【感想・ネタバレ】AI時代の新・ベーシックインカム論のレビュー

あらすじ

ベーシックインカム(Basic Income, BI)とは「政府が、すべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する」制度を指す。近年、特にヨーロッパ諸国を中心にBI導入をめぐる動きはかつてないほど盛んになっている。日本での可能性はどうか。財源はどうするのか。現行の貨幣制度の欠陥とは何か。最大の障壁となるものは何か。そして未来の社会とは――。AIと経済学の関係を研究するパイオニアが論考する刺激的な一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

先日読んだ本はAIの本だったので、井上先生が経済学者であることを忘れてしまっていたのだけど、この本はAI時代というものの、しっかりと経済学者がベーシックインカム(BI)について述べた本。AI時代のというのは、AIの高度化で生産性が上がると、人間の仕事が完全に失われることはなくても、AIを使って極端に富を増やす人と職を失うか、AIに使われる人に分かれて、貧富の差が今よりも極端に広がる世界がやってくる。その時の社会保障制度としてのBIというものを語った本といえば、簡単すぎるか。今の生活保護という社会保障は何となく問題が多い制度なんだろうなと思いつつ、何でもかんでも働く意思がないプータローにもBIを支給するというのは正直抵抗がある。でも、歴史的に労働というものがどういうものなのかを分析し、勤勉であることの正義の背景を理解し、AIによって労働から解放される時代を考えると、改めてBIという制度はかなり有力なオプションなのだということが判ったような気がする。この本が秀逸なのは、この歴史的な思想と国民性から労働と勤勉さを考察しているところ。右翼と左翼、右派と左派、儒教的エートスとリバタリアン、今一度しっかり復習したい。

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2018年12月28日

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