あらすじ
小説を書いたり、囲碁で世界的な強豪を負かしたりと、AIが目覚しい発展を遂げています。このまま技術開発が進んでいくとどうなるか……。
著者は「2030年には人間並みの知性を持ったAIが登場する可能性がある」と指摘。そうなるとホワイトカラー事務職は真っ先に職を奪われ、医者も弁護士も失業の危機に瀕するでしょう。「最大で人口の9割が失業する可能性もある」と著者は推定しています。
では、一部の資本家以外は飢えて死ぬしかないのでしょうか? AIによって奪われた労働は、BI(ベーシックインカム)で補完しよう!
それが著者の提言です。AIの発達が人類の幸福へつながるためにはどうすればいいのか。気鋭の経済学者の大胆予測。
【目次】
第1章 人類 vs. 機械
「ターミネーター」は現実化するのか?/よみがえる技術的失業/なくなる職業 など
第2章 人工知能はどのように進化するか?
ディープラーニングによるブレイクスルー/ロボットの身体感覚/AIは将棋盤をひっくり返すか? など
第3章 イノベーション・経済成長・技術的失業
日本は衰退する運命にあるのか/第二次産業革命の終わりとポストモダン/AIは雇用を奪うか? など
第4章 第二の大分岐――第四次産業革命後の経済――
第四次産業革命をめぐる覇権争い/全人口の1割しか働かない未来/全ての労働者は飢えて死ぬ など
第5章 なぜ人工知能にベーシックインカムが必要なのか?
生活保護は労働者を救うか?/ベーシックインカムとは何か/財源が問題ではない理由 など
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Posted by ブクログ
AIがもたらす未来の姿を経済学的、哲学的視点から解説した著作。近代合理主義によって到来した資本主義社会は、汎用AIの普及によって終焉し、新しい経済=機械化経済が到来するとの実は構想は壮大な著作。もっと深掘りして読んでみたい印象で、新書ではなくハードカバーの大著として構成し直すべき著作。そういう意味でもったいない本です。ぜひ次作期待です。ただしベーシックインカム導入という方向性については「はてな」マーク。付加価値生産活動がもたらす「承認欲求充足」という根元的な効用=著者いうところの「至高性」についてもっと深掘りするとベーシックインカムとは別の世界観を展開できるのではと思います。
Posted by ブクログ
経済学者がAIが発展した未来を予想した本。経済用語が多く少し難しかったが、わかりやすく説明されていた。
2030年までには人間に限りなく近い形のAIが完成し、2045年までにはそれが実用化されて社会が変わるような大変革が起きるらしい。その時には仕事の1割しか残らず、9割の仕事は消滅する。
そんな未来は人間にとってユートピアなのか?それともAIに支配されるディストピアなのか?著者によると、ベーシックインカムが実現した場合ユートピアになり得るらしい。突拍子もない意見に聞こえるが、経済理論で詳細に説明されていたので納得できた。
Posted by ブクログ
「人工知能」とはコンピュータに知的な作業をさせる技術だそうです。
そうなると人の仕事を機械がやってくれる時代が来るのかもしれません。
それを「技術的失業」と言うそうです。
本書でもベーシックインカムに言及されてますね。
「ビッグデータとデータマイニング」
僕もいまいちビッグデータの活用方法がよくわからないんですよねσ^_^;
ビッグデータには無数のテキストデータが入っています。
テキストマイニングが重要でデータからどんな成果を引き出すのかは人間がやらないといけないのではないかと思います。
しかし今後はディープラーニングによるブレイクスルーがあるのかもしれません。
それがAIがAIを教育するシンギュラリティなのかもしれません。
そうなると人間に何ができるのか…ってなりますσ^_^;
「特徴表現獲得の壁」
また読まないといけないんですが東大の松尾豊さんはAIはディープラーニングによって特徴表現獲得の壁を越えたとおっしゃってます。
これでAIが自ら特徴を見出すことが可能になると人間を越えるベースができたのかもしれません。
今後人間はどうしていけば良いのか悩ましいところです。
AIが
①生産の効率性を向上させる
②人間の労働の大部分を代替し経済構造を変革する
という2つの効果を通じて経済成長を促進する
「産業政策とイノベーション政策は峻別する」
民間に任せていては街灯が十分設置されないのと同様に政府が研究開発を支援せず、ただ民間に任せているだけではイノベーションは過少にしか引き起こされない。
政府はAIの産業育成ではなく新たなAI技術を生み出す研究開発の促進にそこ力を入れるべき。
とあります。
最後にベーシックインカムについて書かれていました。
負の所得税的な書き方をされてます。
これを読んでるとベーシックインカムを導入するかしないかは結局は政治がどう判断するかにかかってくるのかなあと思います。
日本でもやってやれんことはないんやと思います。
Posted by ブクログ
先生の本はこれで3冊読んだけど、やはりこの本を最初に読むべきでした。この本の前半が「人工超知能」に後半が「AI時代の新・ベーシックインカム論」でさらに展開されたような気がする。そういう意味では先に続く2冊を読んでしまって、改めてここに戻ってきて書くべきことも少ないような気もするけど、あとがきに書かれていたバタイユの話が印象的。バタイユは有用な営みに覆われた人生は奴隷的と考え、有用性の対極に至高性を対置している。なぜ、有用性が奴隷的なのかというと役に立つが故に価値があるものは、役に立たなくなった時点で価値を失うので、その価値が独立的でないというのだ。AIやロボットが進化し、人間にとって有用なことはどんどん機械によって提供されるようになる。故に人間の価値も有用であることではなく至高性があることに価値が見いだされるのだと解釈すべきらしい。何だか今の価値観を180度変えるような考えでもあり、またそういう時代が来る可能性を考えると、とても示唆に富む内容だったように思う。
Posted by ブクログ
最近やたらと多い人工知能ものとは少し違う。経済学と人工知能の見地から、未来を予測しており内容にはうなずけるところが多いやはりこのような学際的な見方というのがこれから大切になってくるのだろう。
Posted by ブクログ
本書を読みながら、人工知能(AI)について一つの整理を行いたい。
特に、2016年当時のAIに対する考え方を振り返ることは、その背景を理解する上で重要である。本書の副題「2030年雇用大崩壊」が示すように、その頃はAIによる大失業の可能性が多く議論されていた。当時のAIの進展状況を見ると、チェスや囲碁、将棋においてAIが勝利を収める時期であった。チェスに関しては1997年にDeep Blueが勝利し、囲碁と将棋に関しては2017年にAIが人間に勝った。
ここで重要な概念の一つは「技術的失業」である。この概念について、著者は特に興味深く述べている。イノベーションは省力化を促進し、その結果として人員削減が生じる傾向がある。
歴史的には、イギリスにおいてラッダイト運動という労働者の抗議運動が起こった。ケインズは1930年のエッセイ『孫の世代に可能性を』の中で、「技術的失業」という言葉を初めて用い、省力化に伴う失業のリスクを指摘した。
また、カーツワイルはシンギュラリティの到来を予見しており、遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボット工学のGNA革命が引き起こすとした。カーツワイルは人間の意識のアップロード、すなわちマインドアップローディングが2030年代には実現する可能性を示唆している。カーツワイルによればに、肉体の死後も精神がコンピュータ上で生き続けることになる。
著者は、2045年のシンギュラリティよりも前倒しされた2030年頃に、AIが人間の知能に追いつき、ホワイトカラーの事務職や医師、弁護士などの専門職も失業の危機に瀕するという。その結果、人口の最大9割が仕事を失う可能性が示されている。労働の種類別に見れば、最初に影響を受けるのは肉体労働と事務労働、その次に頭脳労働であるとされる。この時点ではディープラーニングが始まっているものの、生成型AIは当時未だ実装されていなかった。
著者は、AIは人間の知能に追いつくものの、「すべて」ではなく、「大部分」の知能を獲得すると述べている。シンギュラリティの到来の特徴を次の四つに整理している。
① AIが人間の知性を超えること。
② AIが自己増殖を可能にし、「知能爆発」が起きること。
③ AIが人類に代わり世界の覇権を握ること。
④ 人間とコンピュータの融合により、ポストヒューマンの実現。
これらを実現するためのアプローチとして、「特徴表現獲得の壁」や「言語の壁」を超えるために、「全能アーキテクチャ」が提唱されている。これは、以下のような構造を持つ。
① 脳はモジュールに分割可能である。
② 各モジュールは機械学習器で構成されている。
③ それらが組み合わさることで、機能と知性が創発的に現れる。
しかし、「生命の壁」が依然として克服の難しい課題として存在している。AIは創造的な仕事を成し得るのか、意識を持つことは可能か、また、AIに責任を負わせるべきかといった問いも投げかけられている。
全脳エミュレーションは個人の脳の「コピー」を作成し、意識の再現を試みるものであり、これに対して全脳アーキテクチャは人間のような汎用知能を持つAIの構築を目指すものである。双方の違いは明確である。
AIは、バッハと同じような曲や模倣された曲も作ることができる。特に、既存の音楽理論の枠を超え、複雑な対位法や無限の変奏、高速に生成される新たな構造を持つ音楽を創出できる可能性がある。大量の音楽データから、人間が気付かないパターンや組み合わせを発見し、新しい音楽ジャンルや概念を超えた「新たな響き」を生み出すことも現実的となるだろう。バッハの音楽の精神性や時代を超えた感動、人間が持つ「深み」をAIが超えることができるかについては、今後の課題である。
感覚の「通用性」がAIにとって得られるかも重要なポイントだ。AIはあくまで「作曲を支援する強力なツール」かつ、「人間が気付いていない音楽の可能性を探るアシスタント」としての役割を果たすと考えられる。しかし、意味のある飛躍的なアイデアや心地よくて革新的なメロディは、AIにとっては生み出しにくい部分である。そこをいかにブレークスルーできるかが重要な課題である。
また、イノベーションと経済成長に関して、蒸気機関による第一次産業革命、内燃機関と電気モータによる第二次産業革命、パソコンやインターネットによる第三次産業革命を経て、2030年代の汎用AI・全脳アーキテクチャによる第四次革命が予見される。そして、「生命の壁」をどう克服するかが大きなテーマとなる。
AIは生産効率を飛躍的に向上させ、人間の労働の大部分を代替し、経済構造を根本から変革する。経済学の立場からは、技術進歩は持続的な経済成長をもたらすとされるが、その一方で、AIによる技術的失業も懸念される。労働移動には時間がかかり、移動先の仕事が見つからないことが原因で失業が生じると考えられる。これに対処するためには、金融政策としてマネーストックを増やし、失業の緩和を図る必要がある。
労働の中でも、クリエイティブ系(C)、マネジメント系(M)、ホスピタリティ系(H)の仕事はAI時代に残存しやすいとされる。これらは他者との感覚的な交流や感性の通用性を必要とし、それが生き残るポイントとなる。2015年の就業者は約6400万人であるが、その中でCMHに従事する人は約2000万人であった。そして、AI時代においては、この代わりに必要とされる人員は半分の1000万人程度に激減すると予測される。これにより、「純粋機械化経済」へと移行し、最終的には人間の労働が不要となる脱労働化社会へと進むことになる。
ポール・クルーグマンは、「長い目で見れば、人間のすることを機械がすべてこなせるようになる。しかし、その頃には、この問題を考えるのも機械になっている」という。
これに対し、著者は、AIによる大量の雇用喪失に対処し、社会の持続を図るために、社会保障をベーシックインカムに一本化し、すべての人に年齢に関わらず一律の生活保障を支給すべきだと提案している。これは、失業や所得格差といった社会問題の解決策としても一つのアプローチといえる。
以上のように、本書はAIと経済の未来について、多角的かつ深い考察を行っており、今後の技術革新と社会の在り方を考える上で重要な示唆を与えている。著者がいう2030年雇用大崩壊は、あと5年だ。日本政府は、時給を上げるというが、失業者が増大する可能性もある。
Posted by ブクログ
コロナ禍前の2016年に、気鋭の経済学者によって発表された本。当然ながらChat GPTのような生成AIが社会に出回る兆しも見られない頃の著書。
だからこそ、「便乗して書かれたのではない」古典的な説得力がある。
普通、最先端技術と経済に関する書は、少しでも古くなると記述内容の価値も激減してしまうことが多いように思われるが(もちろん記述の質や正確性によっても左右されるが)、
本書は、経済学者である著者の理念が前面に出ているとは言え、結果的にその予測通りに社会基盤の変化が加速している今、古典的に参照する書として大いに参考になると感じた。
新型コロナウイルスやAIについては、流言や都市伝説の類いも飛び交っていて、
それらの言説全体が怪しく見えてしまうような奇妙な状況になっている。
その話題に直接的には触れていないとしても、この2〜3年の間に刊行された書物に対しては(誠実かつ真摯に著述されているかたに対しては大変失礼で申し訳ない話だけれども)少なからず流言性や都市伝説性を疑いながら読み進めざるを得ない印象が拭えない。
著者の経済学者としての業績などはまったく知らずに私見を述べてしまっているが、
少なくとも記述内容は2024年時点での社会状況をそれなりに正確に捉えたものであり、
かつ上記のような「疑わしさ」に煩わされることなく読み進めることができる点は非常に評価に値すると思う。
星5にしても良かったけれども、綿密な分析を提示しないまま一部の仮説のみを頼りに大雑把な予測のみを提示した書である点を(わかりやすさを重視して意図的にそのように著述したのかもしれないが)一応、割り引いて星4つとした。
「大雑把」と言っても、説明自体は身近な例を挙げながら具体的で分かり易かった。
一般人向けに書かれているのだから当然と言えば当然だとも思う。良書。
個人的には、
全脳エミュレーション方式のものを含めてAIと捉えるのが自然だと感じるので、
その部分に妙に線引きしている点に関しては違和感が残った。
そもそも何をもってAIあるいは人格あるいは主体と呼ぶのか、ということ自体、
これから再定義したり哲学的に見直して議論を深める必要があるように感じられるので、
単純に「全脳エミュレーション方式のものを除外」する姿勢は短絡的過ぎる感は否めなかった。
最後に。
現在、なぜベーシックインカム制度の導入が進む気配がないのか。
・・・それは世相を観察すれば、自ずと見えてくることのようにも思われる。
そもそも人は合理的に動く生き物ではないし、目先の環境の維持も安定に固執する傾向が強い、
ということも少なからず影響しているだろうことは、想像に難くない。
Posted by ブクログ
良い本でした。
AIの可能性を過剰に見積もるのでもなく,だからといって,その可能性を全面否定するわけでもなく,AIの可能性(いつまでにどのようなことができるようになるのか)をデータから冷静に分析し,今後の経済(労働)の行き末を予測する。
「未来」の予測とはこのように行うのかと勉強になりました。
AIによって到達する未来がユートピアになるのか,ディストピアになるのかはわかりません。本書ではその両方のシナリオが冷静に提示されています。
逆に言えば,AIの発展はユートピアの到来の可能性も秘めているのであり,そうなるように活動を作っていくことが必要なのだと思います。
Posted by ブクログ
1810年代に、紡績機や織機の導入に反対するラッダイト運動が起きたが、綿布を安く供給できるようになったために消費需要は増大し、工場労働者の需要も増大した。
コンピュータの導入によって、事務労働の人手が減少したため、1980年代から中間所得層の雇用が減少した。コンピュータとインターネットが引き起こした第三次産業革命によって、1990年代からアメリカの生産性上昇率が高くなり始めた。
ディープマインド社が開発したDQNは、ゲームのルールを教わらずにプレイの仕方をマスターした。囲碁AIのアルファ碁もディープマインド社によって開発された。
今後のAI技術発展の道のりには、言語の壁と生命の壁がある。
第四次産業革命で鍵となる技術の候補は、汎用AI、IoT、3Dプリンターがあげられる。汎用ロボットの原初的なものとして、リシンク・ロボティクス社が作ったバクスターがある。バクスターは、2つの腕を持っており、人間がその腕を動かすことで作業の仕方を覚え込ませることができる。
汎用AIにも生命の壁があるため、クリエイティブ系、マネージメント系、ホスピタリティ系の管理職、研究者、教育者、医者、介護、調理、接客、給仕などの仕事はなくならないと予想される。
汎用AI・ロボットの普及によって、それを所有する資本家の所得は増大するが、労働者の所得は減少する可能性がある。
Posted by ブクログ
「純粋機械化経済」ベストセラー 村松弁護士事務所推薦
AIの時代→2045年へ
技術の進展
雇用へのインパクト
マクロ経済学のアプローチ
2019年11月読後時よりは冷静
コロナのインパクトもあり、一直線には向かわないと思う
Posted by ブクログ
読みごたえがありました。特に後半。ベーシックインカムは他でもいろいろ言われており、弊害の方が言われるようになりましたが、2年前はこのようなとらえでしたね。
それよりも「おわりに」にあるバタイユの有用性の考えは、今必死で塾通いをしている子供たちや将来のためにビジネス書を読んでるサラリーマンに対してはハッとさせられる内容でした。
至高性という概念を知りたくなりました。
Posted by ブクログ
2030年に考慮すること
1.特化型→汎用型AIの台頭
2.希少性→過剰性経済へ
3.有用性→至高性価値へ
「価値あるものが価値を無くしていく。
物事のなかに喜びを見出していくこと。
至高性が見直される時代へ。」
読みづらそうを裏切る簡易な文言での展開です。
業務、大きくいえば事業領域を再考する機会となる書籍です。
Posted by ブクログ
参考になる新書だと思う。
後半に書かれているベーシックインカムについては賛否両論ありそうだが
資本を持つものが強くなるのは、AI化が加速したら尚更。
読んでいるといろんな映画でも描かれている内容を思い出す。
前半部には特に経済理論も参照にしながら人工知能技術が進化するとどういうことが起こるか
一般的な概要書と書かれていることは似ているかもしれないが、論理立っていて読みやすい。
Posted by ブクログ
人口知能がこれからの社会をどう変えていくのかについて論じている。人口知能は、今は特化型(目的に応じたもの)だが、いずれ人間のように、汎用型人口知能が開発されていくと指摘されている。
人口知能には言語の壁と生命の壁がある。言語の壁とは、抽象的な言葉の意味が分からないこと、生命の壁とは、感覚の通有性と身体知である。前者は、人間が共通して持っている感覚。例えば、レストランの接客中に現れたゴキブリは潰しても、ネズミは潰さないこと。後者は身体がないということ。
また、人口知能によって代えられない仕事としては、クリエイティブなもの、マネージメント系、ホスピタリティ系と言っているが、それらの仕事でさえ、汎用型人口知能に代替されるだろう。
最後のベイシックインカムには賛同できないが、全体的に論理的かつ説得力があり、読んでよかった本だった。
Posted by ブクログ
人工知能の技術が発展して、経済がどう変わっていくのかを話した本
納得感はあるけど、結構普通の視点であまり新しい発想というものはない。
結局ベージックインカムという結論出し。ベーシックインカムの弱者優位性が面白かった。特に子供のあたり。
肉体労働、事務労働、頭脳労働の3種類がある、ITにより事務労働が減っていく
そうして中央の事務労働層がへり、資産が2極化していく
人造肉は研究はされている
AIには欲望がない、もし持った場合にシンギュラリティが起きるだろう。人間の欲望とは方向が違う
イノベーションには2つの効果がある、この2つによりロジスティック曲線で成長する。
肩車効果:先人たちの知識を役立てることで発展すること
取り尽くし効果:発展が進み新たな発展がなくなっていくこと
クリエイティブ、マネージメント、ホスピタリティの仕事はAIに取られにくいと考えられている
月7万円ほどのBIがちょうどいいのではないか、暮らすのに完全に十分ではないが、基本的には生きていけそう
子育て世帯が今より大きな利益を得ることとなる
お金持ち、独身が比較的不利益を被ることになる。
Posted by ブクログ
筆者は新進気鋭の経済学者。本業はマクロ経済学。AIの登場による社会への影響を、主に雇用面から占う。特化型AIの段階では、人が創造性やもてなしを必要とする労働を担うことで人の共存は可能。しかし、汎用AIが登場すると、それらも含め全ての仕事が機械に代替される純粋機械化経済に移行するという。 少し机の上の議論感はあるものの、経済学的な議論については理論的に面白い。ただ、ベーシックインカムに係る部分については、インフレや高所得者の反対といった導入に際する問題についても、脇において議論を進めずに向き合ってほしかった。
Posted by ブクログ
著者の説明が非常にわかりやすい。それだけに、最終章でベーシックインカム(BI)に論点が移る流れが非常にわかりにくい。AIが高度に発達した社会にはBIが必要としつつ、筆者はAIが発達しない社会においてもBIが導入されるべきと主張しており、BIに対する主張にいささか唐突感を覚えた。
Posted by ブクログ
この本の著者も、名の知れたAIの研究者もやはりAIに対しては、過剰な期待を抱いてはいないようです。シンギュラリティという、AIが人間の能力のすべてを超越して、社会の中心になるというのは現状ではSFの世界の妄想にすぎないようです。最後の章に於いて、AIが労働を奪った後に、人間がどのように所得を得て生きてくのかと言った議論にベーシックインカムの議論がありますが、日本で実現するには相当な思いきりと改革が必要なようで、現実にはちょっと実現しにくいと感じました。
Posted by ブクログ
最近少しずつプランドハプンスタンスが時代に合うようになってんじゃないかってスタンスにシフトしつつある。
この本で言うと「仕事が機械に奪われる事を恐れるのは、有用性を重視する資本主義思考に染まってるから」って論理と通ずるものがある。
金利上昇を前提とすれば、「将来の為に今を我慢する」という山登り型のキャリア観は正しい。転職が前提になり「成長」がキーワードになっても”勝ち馬に乗る”という視点が生まれただけで本質的にはそんなに違いはない。
が、これからはマーケットキャップが富を生む時代に更にシフトしていくと思う。ただでさえ身近な需要は飽和に向かっているのにこれから先は更なる生産性革命が起きるのだとすれば尚更。
一方、内容としては、AIで雇用が減る論理がザックリだからBIの展開がトンデモに見えるのが勿体無い気がする。サービスの需要が飽和しない限り(そしてそんなことは当分ありえない)仕事がなくなることはない、と考えている派。
BI自体の有用性は理解できたから別で議論した方が良さそう。
Posted by ブクログ
【文章】
読み易い
【気付き】
★★★★・
【ハマり】
★★★★・
【共感度】
★★★★★
汎用AIへのアプローチ
・全脳アーキテクチャ…脳をスキャンして機能をコピー(※トランセンデンス)
・全脳エミュレーション…脳の部位毎に機能を作って統合
自発的な欲望獲得の有無が、AIと生命の壁
純粋機械化経済への移行からベーシックインカムが実現するまでの期間を、如何にやり過ごすかが問題
有用性から至高性への転換
「誰かの役に立っている」ということに価値を感じてしまうのは資本主義が生み出した幻想にすぎない、「人間の"生"そのものに価値がある」という価値観への転換が必要
やはり、AIが抽象化能力を獲得したのは大きいと思う。もうその段階で、ある一定数の人間の知能を超えてしまっている気がする。
Posted by ブクログ
AIの発展と未来に待ち受ける雇用の大崩壊。クリエイティブな仕事であってもAIやロボットの進歩は、それも壊していく。
技術的なシンギュラリティが起きうる可能性は、2030年時点でもないかもしれないけど、ディープラーニングの登場以降は、AIの発展も目を見張る。ゲームの画面を見て、ゲームのスコアを最大化するようにひとに教わらずにプレーすると言うのには驚きました。
汎用的AIが本格的に登場したらどんな世界になるのか。おっかないけど、覗いて見たい世界です。
Posted by ブクログ
人工知能の進化の先にどんな未来が待っているのか。肉体労働や事務系の仕事は今後ますますAIによって代替され、残るのは資本家かマネジメントの仕事のみ。新しい産業が生まれるから大丈夫かと言われると、誰もが労働移動できるわけではないし、これまで技術進化が進まなかったサービス産業にも人はいらなくなる。1割ほどの職を除いて、働く必要のない社会を大胆に予測している。著者が提唱するベーシックインカムの導入には懐疑的だけど、今の仕事に安住するのは危険。人生100年時代、自分の市場価値を上げて、変化に対応できるように勉強し続けないとダメですね。
Posted by ブクログ
p6 ところが、〜汎用人工知能が実現し普及したならば、〜あらゆる人間の労働が汎用人工知能とそれを搭載したロボットなどの機械に代替され、経済構造が劇的に変化する〜。
p8 汎用人工知能の普及の果てに訪れる世界は、あらゆる人々が豊かに暮らすことのできるユートピアになるのでしょうか?それとも、一部の人々だけが豊かになり他は貧しくなるディストピアにあるのでしょうか?それはどのような未来を私達自身が選びとるかに掛かっています。
p112 GPT(#General Purpose Technology)は、補完的な発明を連鎖的に生じさせるとともに、あらゆる産業に影響を及ぼす技術で、蒸気機関がその代表的な例です。〜マクロ経済全体で見た時に、産業革命の期間は他の期間比べて生産性の上昇率が高かったわけではありません。〜19世紀における生産性上昇率のピークは、むしろ産業革命が終わった後の1830年から1870年です。
p113 生産性上昇率は19世紀を通じてまず上がってから下がっています。〜イノベーションに関する二つの相反する効果、「肩車効果」と「取り尽くし効果」〜。
p124 1970年代以降の工業の相対的縮小期であっても、幸いサービス業の労働需要が増大し、余剰人員がサービス業へ労働移動したため、〜労働集約型産業であるサービス業は生産性上昇率が低いので、サービス業のシェアが増大するということは、マクロ経済全体での生産性上昇率が低くなるということを意味しています。
p133 「需要不足による失業」とは、消費需要や投資需要が不足しているために、「労働需要」が「労働供給」に対して不足して発生する失業です。
p137 一般的には、金融政策の方が経済全体を潤す効果を持ちます。〜紙幣を市中にばらまくだけで景気が良くなって失業が減ります。
#異次元金融緩和で一向に需要(消費)が上向かないのに?
p138 人々が持つお金が増えれば、その「資産効果」で消費需要も増大します。すると、失業していた人々が労働に従事するので、その分だけ実際に生産量が増大します。
#消費需要は増大するかもしれないが、本書はその労働の多くを今後は機械が代替するという事を言いたいのでは?
p139 〜機械の導入などによって生産性が1.5倍に上昇したならば、消費需要も1.5倍に増えるようにお金の量を増やす必要があります。〜そのようにマネーストックを増やさなければ、デフレに陥ってしまいます。〜お金というのはそもそも絶えず増やさなければならないものなのです。#順番が逆??人が機械と競って1.5倍以上の生産性を達成する必要がある?人間の射幸心やモチベーションを維持するため?今は気持ちの向かう先(需要)の存在感が薄くなったことが問題?
p191 〜純粋機械化経済では、多くの労働は汎用あAI・ロボットによって行われるので、人間は労働から解放されます。レジャーとしての仕事〜は残るでしょうが、賃金を得るための労働はあらかたなくなります。その時立ち現れる社会を「脱労働化社会」〜。
p204 国民の大半にただ飯を食わせたらみんな働かなくなってしまうとか〜それらは要らぬ心配〜。〜労働が不要になっているからこそ労働者は社会保障なしには生活できないのです。
p224 BI(#ベーシックインカム)の給付額が多いと労働しない人が増えるでしょう。#労働が不要になるのでは??労働需要分以上には働きようがない。
p230 少子化は解消できないでしょう。#解消する必要ある?
p243 〜物事のなかに直接のよろこびを見出すことができる人、汗して働くことも紡ぐこともしない野の百合のような人を、尊敬するようになる。
#とてもいい。
Posted by ブクログ
人工知能はこれから飛躍的に発達するが、人間の知性全てを超えると予想することは難しい、という筆者の主張には説得力がある。全脳エミュレーション方式では人間の脳と同じ働きをするが非常に実現性が低く、今開発が進む全脳アーキテクチャ方式では、潜在的な感性・感覚・欲望の全てを拾い上げることができず、新しい尺度を発明し得ないからだ。加えて、人工知能は感覚の通有性や身体知を持ち合わせていないという点にも合点がいく。ただし、既存の仕事の多くを代替していまうくらいの能力にはなるということだ。
筆者は、これから人々の仕事が消えるというのだが、本当だろうか。需要にたいする供給が多くの分野で過剰になる可能性を筆者は指摘するのだが、現在圧倒的に供給不足の分野がある。それは、人と人との繋がりだ。定年後話し相手のいない人、一生独身の人、、、そうした人が増加している。携帯端末がどれほど値崩れしようと、若者の車離れが如何に深刻化しようと、仲間を求める人間の本質は変わるまい。VRのキャラクターが話し相手をするにしても、個人の生老病死を受け止めるほど高度化するとは考えにくい。民生委員や日曜教会、あるいは神社の氏子コミュニティのようなものが発展したビジネスが、21世紀の主要産業になるのではないか?そしてそれは、人工知能に最も代替されにくい職種形態であろう。本書はあまりに技術面に偏っており、歴史哲学からの切り込みが少なく、BIに関する議論には説得力がない。