手嶋龍一のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
本を読み続けていると、複数の書籍の整合性や補完性、矛盾点などによって随分と見えてくるものがある。言葉に出されたものだけではなく、表現されていない事柄についても語る、まるで陽否隠述のように。
オシントという技法の可能性を感じるような内容。そもそも二人のインテリジェンスの会話もこうして本になっている。ならば、やはり公開情報と言えど、価値は計り知れない。
ー ウクライナは、1994年末に米英露が署名した安全保障に関するブダペスト覚書と引き換えに、ソ連崩壊後に残された核兵器の放棄を決定したのですよね… 第二次大戦後、ソ連にとってウクライナは、NATOに対峙する尖兵の役割を担っていました。そのため、 -
Posted by ブクログ
本書で言及される「嘘」とは、イスラエルとパレスチナの紛争に関する国際社会やメディアの表層的な理解に対する誤解のことで、「嘘」は言い過ぎだという気もするし、「さすが佐藤ラスプーチン」「情報ソースは言えませんけどね」みたいな身内ノリが目立つ。割に既知の内容も多く、両氏のファンとしては、居酒屋トークな感じが少し残念。
例えば、パレスチナの国家承認問題だが、いわゆるイギリスの三枚舌外交は有名な話。また、ハマスの攻撃の背景には、住民の不満をイスラエルに向けさせる意図があったともされる。対してイスラエルの報復行動が過剰であるとの批判があるが、佐藤優は、イスラエルがハマスを完全に中立化する目的に対し戦闘を -
Posted by ブクログ
「イスラエル戦争の嘘」。このタイトルと著者の佐藤優氏の名前を見れば、本書の内容はイスラエルによるパレスチナ侵攻をイスラエル側立場で正当化する様な内容ではないかと若干構え気味にページをめくっていった。確かに現在発生しているイスラエルのやり方、病院施設への攻撃や民間人を巻き込んだ爆撃などは、国際法の観点からも決して許されるものではない。然し乍らそうしたニュース映像で流れる表面的な事象ばかりを見て、全体を悪か善かで判断し悪として非難することも危険だ。物事の本質を見なければ、今目の前で繰り広げられる、やりすぎとも思えるイスラエルの姿を理解することはできないだろう。そうした意味で、イスラエルの諜報機関に
-
Posted by ブクログ
手嶋龍一『武漢コンフィデンシャル』小学館文庫。
国際インテリジェンス小説。
以前読んだ『宰相のインテリジェンス 9.11から3.11へ』の方が圧倒的に面白かった。
タイトルが『武漢コンフィデンシャル』というだけに新型コロナウイルスを巡る中国の謀略が描かれるのかと期待したのだが、新型コロナウイルス感染症が流行り出す前の2015年で話は終わってしまう。
プロローグは2019年の武漢で感染症の患者が次々と闇医者の治療を受けるところから始まる。となれば、中国の武漢にあるウイルス研究所から流出したとされる新型コロナウイルスの秘密が描かれのではと期待せざるを得ない。
しかし、話は、2014年のア -
-
Posted by ブクログ
佐藤優氏の本は多く読んでいるが、対談相手に誘導されたり振り回されている佐藤優氏を見るのは新鮮で面白かった。作家であり、またインテリジェンスに精通している手嶋龍一氏なればこそで良い組み合わせ。手島氏が佐藤氏を持ち上げたり詰め寄ったりとドラマを感じさせる演出がある。
ただ佐藤優と、例えば池上彰氏との対談本なのでもそうだが、対談でありながら読者への解説を二人でもって淡々と進めていくスタイルには妙な面映ゆさを感じてしまう。その解説の恩恵に預かっている身ではあるが。
改めて宗教・信仰の負の面を強く認識させられる。本来人々の苦しみを取り除き豊かに暮らすために生まれたものなのに、妄信するあまり排他的・攻撃 -
Posted by ブクログ
この本の中で、いくつも知らないことや、ハッとさせられることがあった
イスラエル政府はハマスの襲撃について「属性排除」の論理に基づいたものだと見ている。この「属性排除」とは人種や民族否定、つまりホロコーストと結びついてしまう。
イスラエルを建国する際の国是「たとえ全世界を敵に回してでも、自国が生き延びる道を選ぶ」という覚悟をイスラエルは持っている
これらを考えた上で、イスラエルの成り立ち、周辺国や世界の勢力図、国際機関の限界を合わせて考えるととても難しい問題なんだなと思う
しかし一方でユダヤ教の教えには「わたしが報復し、報いをする」と主が言われる・・・というのがあるそうです
自ら報復する -
Posted by ブクログ
物事には必ず裏がある。表に出ている情報だけを鵜呑みにして、難しい事を考えずにのほほんと過ごす事も可能だが、所詮どこにでもある情報に大した価値はない。その価値を議論していても単なる飲み屋で繰り広げられるような薄っぺらい時間潰しのネタにしかならない。知ってるものが知らなかったかの様に(もしくは本当に知らない)振る舞う人に偉そうに話している内容は、聴きたくもないのに耳に勝手に入ってきてしまう。そんなこと知ってるだろうし、多分聞かされた方も明日の朝には何も覚えてないんだろうなと頭の中で一人突っ込んでると、自分の参加する飲み会も上の空、何かつまらなそうだねとツッコミを受けてしまう。私の悪い癖だ。
情報は -
Posted by ブクログ
外交ジャーナリストで元NHKの手嶋龍一氏と元外交官のラスプーチンこと佐藤優氏がウクライナ戦争について語る。
西側の視点からしか見ない日本人からすると新鮮なとらえ方がいくつも出てくる。
「アメリカはウクライナを勝たせるつもりなはない」(管理した戦争)「在庫一掃セール」などなど。また、NATO拡大の超えてはならないラインだとか、英国のエリートの消滅、ウクライナの複雑な民族文化構成や歴史、「破綻国家」(腐敗と汚職と財政難)の側面などなど。
国際政治のバランスは思った以上に西側に不利になってきているらしい。そうした中、核大国・ロシアに対して「正義」を声高に主張してもしょうがない。現実的な平和への道