手嶋龍一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
よく聞いているPodcastのバックナンバーの番組で紹介されていたので手に取ってみました。
著者の手嶋龍一さんはNHKの海外特派員としてよく知られていますが、その経験を活かしてインテリジェンス小説も書いているんですね。本書は、サブタイトルに「インテリジェンス畸人伝」とあるように、フィクションではなく「人物評伝」です。
ただ、書かれている内容は期待していたほどの密度ではなく、“さわりの紹介”程度だったのが残念です。
こういったジャンルの場合、ノンフィクションもいいのですが、上質のフィクション作品(小説)の方がかえってリアリティがあったりしますから、今度は、定番のジョン・ル・カレの作品も読 -
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手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』小学館文庫。
新種の偽百ドル札をテーマにした国際インテリジェンス小説。
冒頭から1968年の日本人印刷工拉致事件から、百ドル札の原料強奪事件と、『ウルトラ・ダラー』と呼ばれる偽百ドル札の謎を示すような伏線が描かれ、本編へと雪崩れ込む。テーマや描かれるリアルなインテリジェンスの世界は面白いが、小説としては今一つ。
主人公のBBCの東京特派員にして英国情報部員のスティーブンは、精巧に造られた偽百ドル札の発見の情報に国際的な謀略を明らかにし、それを阻止しようとするが……次第に明らかになる米国と中国、北朝鮮の危険な謀略と日本という国家の暗部……
本体価格850円
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Posted by ブクログ
【268冊目】手嶋龍一さんと佐藤優さんの対談形式で、公安調査庁が日本のインテリジェンス・コミュニティで中核的な役割を担っている・担っていくという内容の本。
とはいえ、公安調査庁の実績として述べられているのは、2001年の金正男入国事件と2014年の北大生シリア渡航未遂事件のみ。前者は、MI6が公安調査庁に事前情報をもたらしたんじゃないか?後者は、公安調査庁が間接的に警察に通報したんじゃないか?という話。とはいえ、佐藤さんの憶測という形で示されており、秘密の話だからハッキリ言えないとも解釈できるが、本当のことは知らないけど無理やり公安調査庁の手柄ってことにしてる、とも解釈可能……
そういうわ -
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ゾルゲ、キム・フィルビー、あるいはパナマ文書にまつわるあれこれなど、名前は知っているけど、それほど知らないことについて、楽しく読むことができた。手嶋龍一氏の著作は、これまで佐藤優氏との共著をいくつか読んでいたくらい。単著は初めてじゃないかな。独特の文章を書く人だね。ひとつひとつの文章が、というのではなく、読んでいて何かを読み落としたかな、という気分になる。なにかキーとなる部分が隠されたまま、話が進んでいくというかなぁ。あるいはそれくらい書かなくても知ってるでしょ、ということかもしんないんだけど。インテリジェンスの世界にいる人って、そういうものなんだろうか。いや、佐藤優ではそういう印象はないな。
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ずいぶんと凝った、しかし何かの真似に違いないと思う題名である。そんな衒学的な題名に似つかわしく、内容は過去のスパイやインテリジェンス事件の紹介で、この本を待ってましたと手に取るような人には既知なことばかりで、新たな発掘とか今までとは異なる見解が示されたわけではない。
新著な割には、あまり新しさを感じないのである。この人の本はこんな肩透かし感を感じることが多いが、それでも読んでしまうのは、日本でインテリジェンスを語る或いは読み物にできる人が少ないからである。
この人の著作よりも、この本で紹介された過去の名著を読んだほうがいいかもしれない。 -
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ネタバレもう遠い昔と思っていたけど、今年起こった騒動だった「パナマ文書」。そんな書き出しと、もくじをパラパラと見ると、スノーデンの名前もあるので、今年の世界情勢の反芻と来年初の映画鑑賞(『スノーデン』オリーバー・ストーン監督)の予習の意味で読んでみた。
タイトルにあるように、事象というより、その騒動を彩った人物等、背景、歴史に焦点を当てていく本書。「パナマ文書」をとっかかりに、パナマという中米の小国が、世界的な要衝である運河を軸に、生存を懸けての生き残り策を、超大国アメリカや世界を相手に策謀を巡らせる。
資源を持たない我が日本も参考とすべき戦略が見え隠れしている気がする。
そんな話から、パ -
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この二人の対談本は、既に何冊も出ているとのこと。
本書は、2013年の末に出たもので、これより新しいものもあるようだ。
佐藤-池上本は読んだが、手嶋さんとのものは、私は初めて。
そもそも、インテリジェンスってなに?という読者である。
超大国の作ったルールが守られないことを許してしまうと、やりたい放題になる。
それはイランの核濃縮でも、北朝鮮の核開発でも同じ、ということらしい。
そういう観点で見ると、オバマ大統領より、息子のブッシュの姿勢の方がマシ、なんて話が出てくると、ちょっと複雑な気分になる。
あと、2013年5月に北朝鮮に行った内閣官房参与、飯島勲さんが携えていたキャリーバッグの中身って