手嶋龍一のレビュー一覧
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手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』小学館文庫。
新種の偽百ドル札をテーマにした国際インテリジェンス小説。
冒頭から1968年の日本人印刷工拉致事件から、百ドル札の原料強奪事件と、『ウルトラ・ダラー』と呼ばれる偽百ドル札の謎を示すような伏線が描かれ、本編へと雪崩れ込む。テーマや描かれるリアルなインテリジェンスの世界は面白いが、小説としては今一つ。
主人公のBBCの東京特派員にして英国情報部員のスティーブンは、精巧に造られた偽百ドル札の発見の情報に国際的な謀略を明らかにし、それを阻止しようとするが……次第に明らかになる米国と中国、北朝鮮の危険な謀略と日本という国家の暗部……
本体価格850円
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【268冊目】手嶋龍一さんと佐藤優さんの対談形式で、公安調査庁が日本のインテリジェンス・コミュニティで中核的な役割を担っている・担っていくという内容の本。
とはいえ、公安調査庁の実績として述べられているのは、2001年の金正男入国事件と2014年の北大生シリア渡航未遂事件のみ。前者は、MI6が公安調査庁に事前情報をもたらしたんじゃないか?後者は、公安調査庁が間接的に警察に通報したんじゃないか?という話。とはいえ、佐藤さんの憶測という形で示されており、秘密の話だからハッキリ言えないとも解釈できるが、本当のことは知らないけど無理やり公安調査庁の手柄ってことにしてる、とも解釈可能……
そういうわけで、昔からある「公安調査庁解体論」を覆すだけの説得力ある議論にはなってない。
勉強になったのは、公安調査庁のルーツ。1945年9月の内務省調査部。それが内務省を警戒するGHQによって内務省ごと解体された後、1948年2月に法務庁特別審査局として生まれ変わった。これが公安調査庁の前身。当初、GHQが警戒するウルトラ・ナショナリズム、つまり極右を警戒対象としていたが、いわゆる1947年の「二・一ゼネスト」あたりを境目にして占領政策の転換が図られたこととともに、共産主義をその対象として変えていったとのこと。なるほど。 -
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ゾルゲ、キム・フィルビー、あるいはパナマ文書にまつわるあれこれなど、名前は知っているけど、それほど知らないことについて、楽しく読むことができた。手嶋龍一氏の著作は、これまで佐藤優氏との共著をいくつか読んでいたくらい。単著は初めてじゃないかな。独特の文章を書く人だね。ひとつひとつの文章が、というのではなく、読んでいて何かを読み落としたかな、という気分になる。なにかキーとなる部分が隠されたまま、話が進んでいくというかなぁ。あるいはそれくらい書かなくても知ってるでしょ、ということかもしんないんだけど。インテリジェンスの世界にいる人って、そういうものなんだろうか。いや、佐藤優ではそういう印象はないな。
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ずいぶんと凝った、しかし何かの真似に違いないと思う題名である。そんな衒学的な題名に似つかわしく、内容は過去のスパイやインテリジェンス事件の紹介で、この本を待ってましたと手に取るような人には既知なことばかりで、新たな発掘とか今までとは異なる見解が示されたわけではない。
新著な割には、あまり新しさを感じないのである。この人の本はこんな肩透かし感を感じることが多いが、それでも読んでしまうのは、日本でインテリジェンスを語る或いは読み物にできる人が少ないからである。
この人の著作よりも、この本で紹介された過去の名著を読んだほうがいいかもしれない。 -
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ネタバレもう遠い昔と思っていたけど、今年起こった騒動だった「パナマ文書」。そんな書き出しと、もくじをパラパラと見ると、スノーデンの名前もあるので、今年の世界情勢の反芻と来年初の映画鑑賞(『スノーデン』オリーバー・ストーン監督)の予習の意味で読んでみた。
タイトルにあるように、事象というより、その騒動を彩った人物等、背景、歴史に焦点を当てていく本書。「パナマ文書」をとっかかりに、パナマという中米の小国が、世界的な要衝である運河を軸に、生存を懸けての生き残り策を、超大国アメリカや世界を相手に策謀を巡らせる。
資源を持たない我が日本も参考とすべき戦略が見え隠れしている気がする。
そんな話から、パナマ文書で名を馳せた?パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の成り立ち、創設者2人の背景から、やがてそのパナマを舞台に編まれたジョン・ル・カレの「パナマの仕立て屋」へと話が広がる。
1930年のパナマ運河条約、カーター政権時代の1977年の新運河条約へ、租借権の変遷からパナマを取り込もうと、その時代時代の列強がかの地に触手を伸ばしエスピオナージ・ストーリーにはうってつけの舞台が誂えられていたという話だ。
次に、著者は「パナマの仕立て屋」の著者ジョン・ル・カレの生い立ちを語る。苦手な作者のジョン・ル・カレ、元英国の情報機関MI6の出とい話は知ってはいたが、壮絶な生い立ちの話はなかなか面白かった。
「作家の預金残高はその子供時代にあり ― 。」
そんなグレアム・グリーンの言葉を引いて、ジョン・ル・カレの育った環境を記す。
その後、世紀のスパイ、ゾルゲ、二重スパイ、キム・フィルビー、稀代のハッカー、アサンジ…と、時代を遡り、スパイ列伝という本書だ。
ちょっと思っていたほど”現代”の諜報活動の話が少なかったのは残念だったが、最後はスノーデンの話へと、情報戦の主戦場がサイバースペースへという変遷を描く。
とはいえ、最後は、濃密な人間同士のやりとりにいきつくと著者は記す。
「人間力を駆使して持ち帰る情報こそ、ダイヤモンドのような輝きを放つ」
ひょっとしたら、もうその発想(思い?)そのものが旧いのかもしれないが、IT技術と人間力の相克は今後もしばらく続くのだろうなあ。 -
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この二人の対談本は、既に何冊も出ているとのこと。
本書は、2013年の末に出たもので、これより新しいものもあるようだ。
佐藤-池上本は読んだが、手嶋さんとのものは、私は初めて。
そもそも、インテリジェンスってなに?という読者である。
超大国の作ったルールが守られないことを許してしまうと、やりたい放題になる。
それはイランの核濃縮でも、北朝鮮の核開発でも同じ、ということらしい。
そういう観点で見ると、オバマ大統領より、息子のブッシュの姿勢の方がマシ、なんて話が出てくると、ちょっと複雑な気分になる。
あと、2013年5月に北朝鮮に行った内閣官房参与、飯島勲さんが携えていたキャリーバッグの中身って?
「この本の読者なら分かるはず」って言われても...。
ともあれ、東京オリンピックや、尖閣問題が、東アジアの安全保障に大きな意味をもつものであるということが、よくわかった。 -
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佐藤優さんと手嶋龍一さんの“世界を読み解く対談集”、第3弾。
相変わらずに2匹の獣がじゃれ合うかのような面白さです。
題材は、ウクライナ、イスラム国、東アジア、集団的自衛権、
そしてまっとうな意味での“愛国心”、な感じで。
興味深かったのは、いわゆる“公開情報”を分析するだけで、
国家が生き抜くための“インテリジェンス”を抽出できるとの点。
そして、右派にも左派にもそれぞれに批判を加えながら、
見失ってはいけないのは愛国心であろうとは、なるほどと。
いずれにせよ、ブレない“軸”を作っていかないとなぁ、と。
ん、「イスラム国」の傍若無人さから始まった今年、
この1年を生き抜くためのヒントがちりばめられているのかな、なんて。