手嶋龍一のレビュー一覧
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ネタバレ佐藤優と池上彰の「新・戦争論」の発売が2014.11で、その1ケ月後の2014.12にこの本が発売されている。
当然テーマとしては重複しているものが多いが、内容は前者もなかなか面白かったが、本書の方がさらに面白い。
これは池上彰と手嶋龍一という対談相手の違いから来るのは当然だが、佐藤優は相手の議論の深さに合わせて、発言内容の深さを変えている。
つまり池上彰よりは、手嶋龍一の方が掘り下げ方が深く、それに相応して佐藤優がより切り込んだ意見を出している。
幾つかのポイントを見ると、
【ウクライナ】
・G7がロシアとの着地点を見出すことは、安易な妥協だとして批判があるだろうが、モスクワを北京・テヘラ -
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「法学部の四年生が万引きするのと、同じ年の普通のお兄ちゃんが万引きするのでは、罪が全然違いますからね。」
海外事情に通じる2人による密度が濃い対談。
非常に内容が濃く、聞いたこともない話も多く、これは本当なのかと思いながら読んだ。
それは、たとえばウクライナの対ロシアにおける重要性や、鳩山元首相のイラン訪問の隠された部分等である。
しかし、彼らの話には強い説得力があり、納得してしまう。
きっと情報は確かなのだろう。
こういう本を読むといかに自分が知らないかについて知ることができる。
ほかにも、
日韓交換公文の紛争についての認識(p.19)
沖縄入りを果たせなかった黄門さま(p.32)
シリ -
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重慶市のホテルで英国人ビジネスマン、ヘイウッドの変死体が発見される。
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当局は病死として処理する。
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不審を感じた副市長で公安局長の王立軍が市長の薄煕来に捜査を進言。
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進言した王が解任される。
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王が米国総領事館へ駆け込み、アメリカ、イギリスの当局を巻き込み、薄煕来の妻、谷開来が殺害容疑で逮捕される。
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捜査により薄夫妻が5000億の蓄財をヘイウッドの力を借り海外へ不正送金していたことが判明。
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薄氏は現書記長・習近平の太子党の系譜の為、前書記長・胡錦濤の息のかかった安黴省で裁判が行われ、薄氏の妻へ死刑判決が出る。
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事件の真相は太子党内で力を付けて -
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佐藤優さんと手嶋龍一さんの、袈裟の下に鎧を隠した感じの対談集、でしょうか。
いや、非常に読み応えがありました、まさしく今の世界状況を読み解く道標かと。
少なくとも年内から来年夏くらいまでの状況は対応できる気に、なりました。
「国家を真剣に守ろうと思えば、情報収集の手段は自前で構築する必要がある。」
これをベースに、自分なりの肌感と軸となる価値観を交えて、意見を確立しておきたいところ。
同じくお二人の対談である『インテリジェンス 武器なき戦争』も読み返してみようかな。
言われてみれば、なんだか妙に違和感を感じる昨今のTPP反対論ですが、
お二人の仰る「経済ではなく安全保障の視座での検討 -
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お互いに尊重し合いながら対話が進むのだが、今さら、佐藤優と手嶋龍一の関係が気になった。手嶋は、元NHKの元ワシントン支局長であり、外交・安全保障分野における記者経験やインテリジェンス作家としての経験を持つが、情報機関の当事者ではなかったので、実際に国家情報機関で諜報・防諜活動を行った佐藤優とは立場も経験の厚みも異なる。佐藤優のような実務者から見れば、手嶋龍一は「インテリジェンスの世界に憧れる観察者」であり、「真のプレイヤー」ではない。しかし、日本社会において戦略的思考やインテリジェンスの重要性を啓蒙した功績は評価に値するというような所ではなかろうか。
面白かったのだが、過去に佐藤優は次のよう -
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金正男暗殺の事件から公安調査庁の存在を掘り下げ、日本における諜報機関、諜報能力を解説する。それを対談形式で手嶋龍一と佐藤優が行うのだから、情報量、質ともに請け合い。やや手嶋が佐藤をラスプーチンラスプーチンと阿諛追従っぽく、相手が何にも言ってないのに過大解釈するような蒟蒻問答な雰囲気もあり、読者としてもその雰囲気に飲まれ、この人はもっと深い真相を知っているが、全てを明かしていないのでは、というムードになってくる。実力は間違いないのだろうが。
話題は諜報の対象としての共産党、外国人、ISIL、逮捕権などの諜報機能、各国の諜報機関などに膨らんでいく。どれもが面白いが、やはり本書では、北朝鮮に対する -
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「わかりやすく解説」するニュースよりよほど分かりやすく歴史の襞に分け入っていると思う。
p. 60 ウクライナ東部のルハンスク州、ドネツク州の住民を擁護し、非軍事化するーープーチンは、こうした名分を掲げて侵攻に踏み切った。しかしこれは今回の侵攻での「戦争目的」に過ぎません。ここに至る経過は長くて複雑です。(中略)
ソビエト連邦は解体を余儀なくされ、それに伴ってNATOに対抗してソ連、東ドイツ、ポーランドなどが結成したワルシャワ条約機構も解体されました。このとき、西側陣営は「国際社会の脅威はこれで消え去った」と勝利に酔いしれ、ワルシャワ条約機構が消滅した地域にNATOを拡大していきます。(中略 -
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一般市民が犠牲になり、憎しみの連鎖が止まらない。なぜハマスはテロを起こしたのか、そしてイスラエルはなぜ一般市民を巻き込んででも徹底的に攻撃するのか。日本に住む我々には理解が難しいが、2人のインテリジェンスの専門家が平易に説明してくれる。
読めば読むほど解決が難しい問題。これが第三次世界大戦の引き金にならないことを切に願う。
以下、個人的メモ。
イスラエル、特にネタニヤフ首相の内在的論理。
・全世界から同情され死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る。
・ハマスはユダヤ人という属性を持つものを抹殺するという姿勢を持っており、テロ攻撃ができなくなるまで決定的に掃討を徹底する。
ハマスの内 -
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ウクライナとロシアの戦争についてこれほど的確な見識を述べた書物は少ないと言える。メディアや一般の作家から出てくることはウクライナが善、ロシアか悪と描かれているが本当は異なることがこの作品を読むとよく理解できる。ウクライナ東部でのウクライナと親ロシア派の対立が、この戦争を引き起こしたことは明らかだが、それ以前の歴史を紐解けば結論を急ぐべきではなかったのである。犠牲になるのは平和に暮らしていた民衆達で、悪は権力を握るウクライナ政権の中枢の人々そしてアメリカである。プーチンが行っていることには賛成はできないが、これに関してはロシアに大義があると個人的に考える。
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プーチンを正当化できないが一応国際法上の辻褄合わせはしていること、日本のニウエ承認との比較、ローマ教皇の失言とウクライナ戦争へのバチカンの関与、戦争の経過でプーチンの考えが変わったこと、バラバラなウクライナ軍、情報源としてのISWの評価、ウクライナを勝たせるつもりもなく戦争を管理するアメリカ、今の悲劇の原点であるグルジア戦争、セヴァストポリ軍港を失えないプーチン、バイデンの開戦情報リークは失敗、劣化したイギリスのメディアや情報機関、ウクライナが西部と東部で全然違うこと、ポーランドに落下したミサイルの意味、プーチンがマッドマン的な要素を持ちつつ正気であること、中露が同床異夢ではないこと、停戦につ