鳴海章のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいる間、全身にGを感じまくりだった航空小説。
ほとんど航空機に関しての予備知識・造詣が無い私にすらもビシビシ伝わって来る程に、とにかく戦闘機周りの描写が緻密。飛行中の挙動、コックピット内の様子や敵機を追い込む際の一瞬の思考。
ロマン脳汁がダダ漏れで拭くのが大変。
「敵機が自機の後方一〇〇フィート近くにまで食らいついてきた時にパイロットにできることは少ない。ハイG横転はそのうちの一つだ。(略)ぐるぐるとラセン状の飛行を続けながら、しかも上昇する。」(p140、p141)
どうです、カッコ良くないですか?
しかも何が素晴らしいって、上記抜き出し部分もそうだが、世界観を妨げない程度に適度な -
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購入済み
読み応えのある一冊
あらすじに麻薬中毒者による立て籠もり、女性警官射殺、中学生による乱射事件云々とあったので「面白そう」と購入を決定。予想したよりも立ち回りは少なかったが、巧みなストーリー展開でなかなか真犯人にたどり着けない。ふと気づくと主人公の佐倉と一緒になって犯人を追っていた。「うだつをあげない」ヤクザの跡見はスジが通っていてかっこいい。成果主義や拝金主義がはびこる世の中では「偉くなったヤツ、カネを稼いだヤツが結局は勝ち」というのはたしかに現実。だが、本当にそれでいいのかを考えさせられた。
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Posted by ブクログ
ストーリーは相変わらず面白い。
が、「これは理系の学術書か?」と思わせる程に小難しい専門的な話が大部分にわたってなされている。
こてこての文系の私にはきっとそんな部分の3分の1も理解出来ていない。理解出来ないが故に「なんかよく分からないがすごいらしい」というとてつもなく頭の悪い結論に達し、最後まで細かいことはスルーしてストーリーだけを追った。
男も惚れる男、ジークは相変わらずかっこいい。私もシリーズ3作目まで彼を追い、すっかりジークの虜だ。
シリーズ4部作も次で終わりとなる。早く読みたい気持ちと読み終わるのが惜しい気持ちが同時に存在するが、やっぱり早く読みたい気持ちが勝るので、すぐにでも -
Posted by ブクログ
今回も面白かった。ほぼ1日で本を読み終える程に夢中になるのは久しぶりだった。
前作同様の空中戦の臨場感に加え、サスペンス要素の強さも堪らない。まさに手に汗握る展開。張り巡らされた陰謀に読みながら体に力が入った。
アメリカやソ連に翻弄されたまま、為す術もなく日本は敗北するのか。そう思ってしまったところからのどんでん返し。糸が繋がり、物語は終わりへと繋がった。
今回もジークは見事に死地から生還し、日本の完全なる敗北は間逃れた。
飛行機マニアというわけでもなければ零戦に大いなる夢とロマンを抱いている質でもないが、そんな私でも純国産戦闘機ネオ・ゼロには胸が躍らないでもない。不思議とワクワクする -
Posted by ブクログ
まず一言。めちゃくちゃ面白かった。そしてアツい。かっこいい。
帰省したときにたまたま平積みにされていたのを目にして、タイトルで購入を決めました。去年の夏のこと。
単純に「ゼロ」に惹かれて買ったので(友人知人は理由を察して半笑い)正直、内容にはさほど期待はしていませんでした。でもそれは、読み始めてすぐに、良い意味で裏切られました。
主人公の那須野がかっこよかった。まさにいい男だった。
空中戦の臨場感がすごい。想像も及ばない世界のことの筈なのに目の前に様子がありありと浮かんでくる。一緒になってGを体感しているようで読みながら体に力が入った。どうりでいつもより肩が凝る。
耳慣れない戦闘機の名前 -
Posted by ブクログ
浅草機動捜査隊シリーズ、8作目。
とうとう辰見刑事が定年に。最後の一日だというのに、次から次へと事件が勃発し、まさかの、、、展開になりそうだったけど、ならなくて本当に良かった。「マリアの骨」とか「カタギ」などこれまでのシリーズ作品と重なることも多く、グッとくる場面もいっぱい。小町の方も、かなり、というか本当にキツい事件だったけど、これが彼女にとって過去の悪夢を乗り越える一歩になってくれたらいいなと思えるものだった。でも、最後はね、お互いもうちょっと踏み込んでくれても良かったのにぃ(苦笑)。カッコつけ過ぎだよ、辰見さん、、、。
辰見の定年でもってシリーズ最終章だ、なんてしないでほしいな。小町も -
空自時代のジークの話
他の方が書いているように、「ゼロ」シリーズのエピソードゼロに当たる作品。
20年前、文庫本化された時、本屋で見つけて鳴海章にはまった作品です。
懐かしのファントムが出てきて空を舞い、ソビエト機とのせめぎ合い、アメリカの謀略が絡み合って、ドキドキしながら読み、最後のシーンを読んだ時、しばらく動けなかったことを思い出します。
専門用語が多いので、少しとっつきにくく感じる人も多いと思いますが、それに慣れてくると、「ちょこっとその手の話を書いてみようか」という感じの小説家の作品が薄っぺらくつまらなくなるほどの濃厚さです。
ちょっとしたロマンスも薬味でしかなく、男同士の戦いが空で繰り広げ -
Posted by ブクログ
本書を読み終わった時、しばらく感動で体が震えました。そのくらい私の琴線に触れたんです。
この本が初めての鳴海氏作品でした。鳴海氏といえば冒険・スパイ小説の方で、ジェット機がでてきたり・・・とそういう系だからと思い込み、手に取ることはなかったんです。
何も知らず偶然でゲットした本書。
いやぁ~~~びっくりした もう少し評価が高くていいと思うのですが、読んだよ!という方に会ったことがありません。残念だなぁ
舞台が2チョ(笑)。私、ゲイのお友達がなぜか多いんです。オカマのお友達もススキノにはたくさんいて・・・そう、オコゲでした。あはは
なので、舞台設定も好きだし、登場する人たちのキャラも好きです -
Posted by ブクログ
こちらもみんみんさんの本棚からです。
狙った訳ではないのですが、終戦の8月に合わせて本作を読めた事はタイミング的には良かった。
みんみんさんも他の方も書かれていますが、帝銀事件と言うよりは謎の多かった旧陸軍731部隊について挑戦的に深掘りした作品です。
この、別名『石井部隊』は、最近になって漸く元部隊員の方々が思い出すのもお辛い中を、二度と戦争を起こして欲しくないと言う思いで後世の我々の為に体験談を語って下さるようになり、ベールが少し解かれて来ました。
帝銀事件を詳しくご存知の方は何故731部隊に繋がるのかを分かってらっしゃると思うので、なるほどそう来たか!としっくり来ると思うのですが、あま -
Posted by ブクログ
帝人事件は有名で、冤罪論も含めて定説が出来上がっているが、これの作品はまた違った見方で物語を作り上げていて新鮮だった。
話の進み方で少し気になったのは、冒頭の現代場面から唐突に戦時中の話に飛んで、心の整理がつかないままどんどん話が進んでいった点と、帝人事件の毒薬を飲むシーンがやたら強調されていて、事件が有名すぎる分、ことにそこにフォーカスするのが興ざめを誘うように感じてしまった点。
後半は広四郎の不幸な巡り合わせが連続する中にあって、一輪咲く希望の星(リンさんとの出会い)が読み手にも救いを与えてくれ、そして現代のシーンに戻って全てを華麗に締めくくってくれる流れは非常に気持ち良い読後感がありまし -
Posted by ブクログ
ネタバレ穂月沙里は、亡くなった祖母の遺品整理のために訪れた実家で、近所の古書店主から祖母に頼まれたと言って封筒を渡される。
その中に「穂月広四郎記」と書かれた古い手帳が入っていた。
そこには昭和23年1月26日、12人が毒殺された帝銀事件を告白する文が…。
ここから穂月広四郎が、満州国に渡り戦時中から戦後にかけての記録になるのだが、731部隊のことからすべては始まったのだとわかる。
どこまでが真実なのか…戦争について教科書でしか知らないものには真偽はわからない。
ただ「帝銀事件」や731部隊があったことは間違いないと。
フィクションではあるが、あまりにも衝撃的であった。
広四郎を「泣いた赤鬼」とい