鳴海章のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
敏腕記者が幼女連続殺人鬼を追う。鳴海章流サイコサスペンス。幼女を誘拐し殺害、手首を切り落とし埋めるという事件の内容こそ猟奇的ですが、たとえば『羊たちの沈黙』のような派手さや血生臭さはなく、殺人鬼「鬼灯」にしても、一般人には理解不能のモンスターではなく血の通った人間として描かれています。
ただ、個人的な感想としては、少し地味すぎたかなと。殺人鬼の心理を丹念に描くというので期待していたのですが、殺人鬼の心理もそこまで深くは掘り下げられておらず、これはむしろ殺人鬼ではなく、「鬼灯」という個人、――孤独な現代人の心理を腑分けするにとどまっている気がしました。前述のとおり、サイコもの特有のグロさも希薄で -
Posted by ブクログ
「おれは指ですよ…背景に目がいけば、ミスをするだけです」公安特殊銃隊の石本は、引き金を引く指に徹しようとする狙撃手である。羽田空港でジャンボ機の墜落事件が起こり、彼は急遽、山中の訓練から呼び戻されていた。やがて、事件の背後に“子守唄”と呼ばれる伝説のテロリストの影があることを知る。狙撃手の意地と誇り、息詰まる対決を生々しく描ききった傑作 というのがあらすじ。銃器についてはもちろんですが、ジャンボ機のコックピットの描写が実に細かい。乱歩賞受賞作も航空サスペンスだったことを改めて思い出しました。この作品が「スナイパー・シリーズ」の第一作と思っていたら、その前に「狼の血」という作品があったのですね。