ミシェル・ウエルベックのレビュー一覧

  • プラットフォーム

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    ネタバレ

    「服従」がベストセラーとなっているミシェル・ウェルベックの長編2作目。彼の作品は初めて読む。現代のフランス(を中心とした西欧社会)において、彼の視点はただただ人間の欲望というものの発露の仕方に向けられているようだ。露悪的ともいえる文体で、「普通の」人間の中にある欲望、殊に性欲についての描写がしつこくまとわりつくようで、濃密である。どこかで開高健が「作家の善し悪しは食事とセックスをきちんと書けるかどうかでわかる」というようなことを書いていたが、この作品では(フランスが舞台でありながら!)食事の描写はわりあいさらりとしていて、その分すべての技巧やレトリックをセックスとそれにまつわる哲学に費やされて

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    2016年01月16日
  • プラットフォーム

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    旅行会社に勤めている?ウエルベック『プラットフォーム』だね。え、なにそれ。という新しい出会いのスタイルを提案する本として私の中では記憶されたこの書籍は、ウエルベック特有の高度に発展した資本主義社会への呪詛に溢れていて、悪意という意味では最も楽しめました。

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    2015年10月25日
  • 素粒子

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    難解な内容。終始ストーリーの方向性が見えない。全体的に叙事的かつ客観的描写が多い。感情論に頼らない文体は孤独な、あるいはシニカルなニュアンスを強めると同時に人類の本来の姿・性質(動物性)を想起させる。観念論や唯物論、更にはヒューマニズムの歴史に関する言及が多く、「今後人類の思想はどう展開してゆくか」といった壮大なテーマを含んでいるよう感じた。

    その答えは十人十色。

    いろんな読み方があります。とにかく近代西洋史や思想史に興味がある方はきっとインスパイアされるだろう問題作だと思います。物語として読むより思想本として読むことをおすすめします。

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    2011年12月13日
  • 素粒子

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    邦題「素粒子」。フランスで最も物議を醸す作家、ミシェル・ウェルベック。初めて読んだ。入り込むまでに時間がかかるのは、その作家の世界観を知らないせい。入り込んでからはのめり込むように読み耽った。これほど悲しい物語を読んだのは久しぶりかもしれない。ガツンとくる物言いと悲しきストーリー展開。読んでいて、こんなに悲しい最後が待ち受けているとは思わなかった。最後だけが悲しいわけではない。後半は常に悲しい。怠惰。頽廃。擦り減っていく感触。現代性をここまで確実に捉えている作品て、そうないと思う。この人はすごい。。。なんといってもアナベルに心捉えられてしょうがなかった。(07/8/20)

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    2009年10月04日
  • 素粒子

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    結構頑張って読み切った。
    理解できなかったのでいつか読み返したい。

    病的に異性を追い求めるブリュノと性的なことに関心が無いミシェル。
    正反対な2人。

    セックスに関する描写は多いが、いつどこでセックスをした。という事実しか読み取れず、セックスに伴う感情の変化や快楽などは読み取れなかった、温度の無い愛。
    セックスを求めるブリュノとそれを求めないミシェルどちらの人生の描写も淡々としたもので、だからこそ行為の意味や愛の意味、異性を追い求めるということ自体について考えさせられた。
    もう少しヒッピー文化などに関係する知識があったら楽しめたのかな〜

    最後SFっぽくなる??
    すごい作品なんだろうなとは思

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    2025年11月11日
  • H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って

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    小説・漫画・映像・ゲームへ大いなる影響を与え続ける架空の神話大系「クトゥルフ神話」。その創造者であるホラー作家ラヴクラフトの生涯と作品について、ウエルベックが偏愛すぎるほどに語った伝記(にしてウエルベックのデビュー作!)。人種主義、絶望、孤独。“晴れやかな自殺のように物語を始めよ”

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    2025年08月29日
  • 地図と領土

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    作者が作中に登場するにしては「重要とはいえ脇役」って珍しいような、コレやったら本人役やなくても良くね?とも思ったり。あと、何となく雰囲気が春樹っぽいような、春樹のそういうとこあまり好きやないような。いや、最近の春樹読んでへんけども。

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    2025年08月04日
  • セロトニン

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    タイトルで興味を持ち気軽に読み始めたが、背景や文化、思想を読み解くのに時間がかかり、というか半分も理解できず、読み終えるまでかなり時間を要した。主人公の終焉に至る心理の流れ共感しにくく、読んでてひたすら疲れる本でした。初心者が気軽に手を出してはいけない書籍ですね。

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    2025年01月16日
  • 地図と領土

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    ネタバレ

    部分的には面白いのだが、総合的には正直面白くない
    たぶん大衆的な面白さを獲得するのをわざと拒んでいることが原因なのだろう
    展覧会に関わるキャッチーな運営メンバー、アクの強いキャラクター、急に始まるサスペンスパートなど
    高水準なエンタメの片鱗を一瞬覗かせるが、すべてあっけなく収束してしまう
    なんといっても一番の見所は、著者自身の分身キャラのウェルベックである
    自分を批評し俯瞰からキャラクター化していながら、更にそれに憑依し内から外からと相当に難易度が高いことをしているように思われる
    この珍妙な人物像が物凄くいい味を出している
    自身を演出してこれほど面白く仕上げられる作家もいないだろうし、間違いな

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    2025年01月03日
  • わが人生の数か月 2022年10月-2023年3月

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    ミシェル・ウエルベックの新刊。短いので二回読み通した。ポルノ映画に出演してしまったことに対しての情けない言い訳と開き直りからの逆ギレ。
    ウエルベックが出演したポルノ予告もすぐにネットで確認したが、不快な顔してベッドにちょこんと入っていて笑えた。60過ぎてセックス絡みで笑いものになり、それを本にしてしまう図々しさ。ウエルベックもまた全身小説家。

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    2024年06月07日
  • 滅ぼす 下

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    上よりサクサク読めた。大きなストーリーではなく、個人の物語と集約されていくのは面白かった。テロの話とか全然解決されてないけど人生そういうもんだよね

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    2024年04月14日
  • 闘争領域の拡大

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    初ウエルベックなので読み方が手探りだった。
    主人公の「僕」と醜男ティスランが主流になり、恋愛という自由主義を求めて彼らの世界が「拡大」していく。
    そう信じていたにも関わらず、その拡大の仕方が頑張れば頑張る程に良くない方向へと転落してしまう。
    ウエルベックを読むにあたり、登場人物に同情(共感)する事によって読み手の世界も拡大していくとあとがきで分かった。
    仕事、恋愛、性生活とテーマが3つあるけど、登場人物全てが日常に潜む人間ばかりでよりリアリティを帯びる。
    主人公は観察者であり、観察する事により自分の内部で噛み砕いて分析をするけれど、取り込むことはせず、だけど敏感に感じやすい体質なのかマイナス面

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    2024年03月24日
  • 素粒子

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    ネタバレ

    読むのに時間がかかった。
    ジェルジンスキという分子生物学者とブリュノという高校教師の異母兄弟のちいさいころからの話。

    1900年代から2200年代の社会にまで及ぶ。
    性的な表現や常識から逸脱していると思われるこういの連続で発売されて避難や攻撃をうけたのも頷ける。
    しかし、いかに道徳的に生きても死んでしまえはなんにもならないなと感じた。ミシェルは、白いカナリアがダストシュートに投げ込んだ。どんな形であれ我々も白いカナリアなんだろう。

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    2024年03月19日
  • 滅ぼす 上

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    ネタバレ

    X(旧Twitter)で頭が良さそうな人が皆読んでたので読んだ。フランス次期大統領戦の最中、謎のテロリストが台頭し、経済大臣の秘書の回りの人達の色々を書いた話。フランスの小話と、各登場人物の考えを細く散漫に書いているのでXのTLを見てるかのような印象だった。まだ下を読んでないけど、ボールとブリュダンスが仲良くなって、オーレリアンが無事に離婚できるように応援する

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    2024年03月05日
  • 服従

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    西欧文明の行き詰まりからありうる近未来を描くということなのかな。一つの極端な基本的にはなさそうな可能性っていうことなのかもしれないけど、全体的なインテリ限定の世界にいまひとつ入り込めない印象。佐藤優の解説が余計に胡散臭さを感じさせる。この人の作品は初めて読んだけど女性の書き方はなんか酷い。この作品だけ?

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    2023年09月28日
  • 地図と領土

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    「素粒子」に比べて政治的主張の色彩が薄い点で、より純粋かつ大衆に受け入れやすい小説。現代の商業的芸術に異議を唱えるべく、作家自ら死体となって現れるあたりは衝撃的でもある一方、心から美術を愛する人たちにとってはある種の救いになる作品でもあると思いました。

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    2023年08月23日
  • 滅ぼす 上

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    上巻は、珍しくいつもの強烈な性的描写なし。政治的描写も少なめ。老いた父、疎遠の兄妹、夫婦の話だけで淡々と進む。上巻だけでの評価はできない。下巻でどうなるか。

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    2023年08月12日
  • 素粒子

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    ブリュノとミシェル、両方ミシェルウェルベックが実際に辿ってきた人生をかなり濃く反映したキャラクターなんだな。

    自由が、かえって男を生きづらくさせた。西欧社会の転換が生んだ翳りを、生々しく露悪的に捉える。自らの人生において、あらゆる面で強烈なコンプレックスを抱くブリュノ、なりふり構わず性に乱れる姿は滑稽だし彼の過去を踏まえると物悲しさすら漂う。でも後半吹っ切れたか振り切れたかしてる。より彼に対する切なさが増幅しちゃう。

    根底にウェルベック自身の痛烈な自己批判があるんだろう。社会を世界をシニカルに捉えているのに、その眼差しは自身の振る舞いにすら向けられている。

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    2025年03月31日
  • 闘争領域の拡大

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    服従を読んでコイツとは全く理解し合えない、と突き放しかけたんだけどちょっぴりそうなのねって寄り添えた

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    2021年12月08日
  • 服従

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    なんと文庫化していたので美容院の暇つぶしのために買って一気読み。フランスがイスラム政権の党に取られて徐々にイスラムに傾き、、、とのあらすじ、ふとした出来事をきっかけにじわじわと世界が変わっていく様、2021年に読むとなんとまぁ皮肉に思える。
    スジとは別に本の全体に流れる強烈な差別意識というか、まぁはっきり言って相当きついセクシズム描写はまさかウェルベック本人無意識に書いてるわけでなく、この本の筋を浮き立たせるために意識的に使っているのだろう。というかそう思いたい。
    それ以外にも、本から距離を取って読める人でないと危険な本になってしまう。それだけの求心力というかカリスマを発する本で、ウェルベック

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    2021年11月17日