ミシェル・ウエルベックのレビュー一覧

  • ショーペンハウアーとともに

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    ウェルベックによるショーペンハウアー解説本
    解説、というより礼賛に近い

    私の好きな小説家や芸術家は元を辿ればショーペンハウアー(部分的にはカント)に行き着く事が多い
    本書も例外でなく、ウェルベックの観点からショーペンハウアーを解釈するのは楽しかった。

    途中でプツリと終わってしまうが、想像の余地を残しているようにも感じられる

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    2021年08月18日
  • 素粒子

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    『闘争領域の拡大』に次ぐウエルベックの二作目。フランスでベストセラーになったらしい。

    ウエルベックは博識な作家だが、本書もごたぶんにもれず数学、分子生物学、はては哲学まで盛り込まれていた。ド文系な自分にはさっぱり理解できなかった箇所も多かった。難しすぎる小説ははっきり言って苦手だ。

    性欲に囚われた国語教師の兄ブリュノと、天才分子生物学者である弟ミシェル。この異父兄弟を主人公としてその一生が描かれる。前半の幼少期の話は好きだったが、後半になるにつれわけがわからなくなり、あまり物語に入ってゆけなくなった。

    ブリュノは性欲をこじらせたまま大人になり、ニューエイジ風のキャンプに参加したり、乱交専

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    2021年02月15日
  • 闘争領域の拡大

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    ネタバレ

    現代フランスの作家ミッシェル・ウエルベック(1958-)の第一作品、1994年。資本主義的な「自由」が到り着いている地点を描く。

    資本主義社会では、すべてが同一平面上に並置させられてしまう。すべてがフラット化してしまう。超越的なものが引きずりおろされてしまう。即物的無価値(金、力、快感、効用)へと還元されてしまう。世界がひとつの巨大な商品陳列棚、ランチプレートに成り下がってしまう。則ち、一切のものが貨幣という統一の尺度で比較され計量化される商品と化す。コミュニケーションは互いに商品ラベルと値札を貼り付け合うだけ。外部はありふれた商品として内部に繰り込まれ、消費されるだけ。一切の出口は予め塞が

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    2020年07月12日
  • 服従

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    おもしろいし興味深い設定なんだけど、一夫多妻制で釣ってるのか?おっさんの(ための)話か?ラストは、はあ?と思った。ずっとおもしろく読んでたのに。
    この設定で、他視点での話を読みたいなあ。
    と思ってたら「イスラーム・ジェンダー学」っていうのがあった。ネットでちょっと見てみたけど字がびっしりで読みにくい。段落分けするとかしてほしい。

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    2020年05月25日
  • 地図と領土

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    ☆3.5。
    どんな話なのだろうと思ってたらアートの話だった。
    文庫本あとがきに「服従」について記載があった。
    つぎは「服従」を読もう。

    映画化するとして勝手にキャスティング考えてみた。考え中
    ジェド…マチューアマルリック
    オルガ...イリーナシェイク
    ウエルベック

    ギャラリスト
    マリリン
    ジャスラン...ヴァンサンランドン
    エレーヌ
    クリスチャン...ラファエルペルソナ

    単行本の表紙はフェルメールっだったけれど文庫のはそういうことだったのね。

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    2020年05月04日
  • 服従

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    ウェルベックの作品は和訳も多く出版されていて、かねてより興味を持っていました。フィクションですが、フランスの政治や社会情勢については、かなり現実を反映しており、実在の政治家も登場します。ここに描かれるのは、イスラム政党のフランスでの台頭ですが、ウェルベックが描きたかったのは、「ヨーロッパの自死」ではなかったかと思います。

    西欧文明が、キリスト教支配の頚城から逃れ、理性・啓蒙主義を軸に文明の発展を図ってきたものの、アナーキズムとニヒリズムが社会と精神の停滞を招き、この小説の舞台である近未来のフランスで、イスラームの信じる神とその世界観に「服従」していく。ウェルベックは、フランスが精神のバックボ

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    2020年01月23日
  • ある島の可能性

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    期せずして最近の読書傾向をなぞった形に。老いと性の話。老いに抗わず、否、抵抗した結果の選択?人間の究極の目的は、、

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    2019年12月24日
  • 服従

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    イスラム同胞党がフランスで勢力を伸ばすという架空近未来を背景に、文学者の訳のわからない生活を描く。自由な個人という概念は、中間的な社会構造を解体するには有効だが、家庭という基本的な社会構造を破壊するに至って、否定するべき概念であるという理論、自然淘汰圧によって一夫多妻とそれに伴う少数のエリート男性による女性の独占の肯定などが目新しい。

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    2019年12月31日
  • 闘争領域の拡大

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    フランスを代表するベストセラー作家であるミシェル・ウエルベックのデビュー作。フランス現代思想のような衒学的なタイトルであるが、その意味するところはシンプルであり、痛切なものだ。

    近代の資本主義は、企業やそこで働く個人を市場という絶え間ない闘争領域に追い込んでいく。最初は生産・販売などの経済的活動が闘争領域で繰り広げられたが、止む事のない資本の自己増殖能力は徐々に闘争領域を拡大させていく。その結果、恋愛そしてセックスまでもが闘争領域に飲み込まれていく。

    身の回りを見渡してみれば良い。良いセックスができる人間はますますそのチャンスを増大させる一方で、そうした機会が与えらない人間はますますそのチ

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    2019年10月22日
  • 服従

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    ユイスマンス

    カップルとは一つの世界、独立して閉じられた世界であって、もっと広い一つの世界の真ん中を、傷つけられたりすることなく移動できるのだ。

    人間の絶対的な幸福が服従にあるということは、それ以前にこれだけの力をもって表明されたことがなかった。

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    2019年07月07日
  • ある島の可能性

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    やっと読み終わったー。がんばった。
    最初はSFと思っていたのです。ネオヒューマンがいかな人生を送っているのかという興味から購入したのです。でも実際は、ネオヒューマンに至る新興宗教に肉薄した皮肉を扱うコメディアンの人生記に対して、ネオヒューマンたるが為にその人生記につけた未来人の注釈を読む物語だった。
    ゆえにネオヒューマンの生態というより、コメディアンの皮肉、人生や戦争、なにより老いと性生活への皮肉と批評がメイン。この辺は読み手の読み間違いもあるのでなんとも言えない。
    ただ主人公は本文中で指摘されてるとおり、感性が特別豊かなわけではない。ただただ正直なんだ。この世の欺瞞に対して。そうしてその欺瞞

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    2019年05月31日
  • 服従

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    会話の中で登場するフランス文学や哲学を織り交ぜたストーリーは、消化不良であった。

    しかし、主人公のユダヤ人の彼女・愛人がイスラエルへ避難したり、徐々にパリの街並みがイスラム教色に染まっていく風景に、ただ流されるだけの主人公の小説。

    そして、思慮深いがノンポリな主人公が、環境適応するために、イスラム教へ改宗し服従するという文学的な作品。

    観光や仕事で、パリを観た事がある私にとって、憧れのヨーロッパ的風景であるパリが、イスラム色に染まっていく本作のストーリーは衝撃的だった近未来小説。

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    2019年04月14日
  • プラットフォーム

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    往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。選んだ理由は選者の「日本にこんな意地悪な小説家は絶対いない!」というコメント。
    さして取り柄のない仏人公務員ミシェルは、親の遺産でタイ行きのパッケージ・ツアーに参加し、少女を買う。そして、周囲のひんしゅくを買いつつ、そのツアーで知り合ったヴァレリーと恋に落ちる。帰国後はヴァレリーと一緒に彼女が勤める旅行会社で売春ツアーを企画するが、最後は…。
    この小説の中でミシェルとヴァレリーは、もう数えきれないくらいセックスをして、その度にミシェルは西洋の性の退廃を、ひいては西洋文明の没落を嘆く。
    少々乱暴なつかみ方ではあるけれど、西洋の高度資本主義への批判・警告を性を

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    2018年11月18日
  • 闘争領域の拡大

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    ウェルベック先生的要約は

    「自由が進むと、経済的な落伍者が出るように性的落伍者がでるよ。」

    「それってとっても苦しいことで、メンタルもやられちゃうよね。」

    うん、つらい。

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    2018年08月01日
  • 地図と領土

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    初ウェルベック。
    主人公の芸術家についての詳細な描写が多いので興味を持って調べたら、架空の人物、作品の題名もモチーフも全部架空だったのね。
    位置付けを知らないまま読み始め、どういう方向性になるのか戸惑っていたら、第3章で急展開を見せるし…

    現代のフランス社会と芸術に詳しければ、この本に出てくる人物やメディアの意味とニュアンスについて、作者の感覚と同じものを持てたのかもしれない。

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    2018年05月20日
  • 闘争領域の拡大

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    これがウェルベックのデビュー作らしい。テーマというか作者の姿勢は本当に一貫していて清々しさすら感じる。これと後の作品を比べると(全部読んではいないが)、変えていっているのは読者層を広く取り込むための工夫の部分だろうか。遡ってデビュー作が文庫化されるくらいなのだから、その努力は上々の成果を上げている。この作品自体は、面白いのだけど、まあウェルベックの作品として一番に薦めることはないかなという感じ。

    最後はあの後、自殺したのかな?してないのかな?どちらもあり得ると思うが…。雄大な自然の中にいてもむしろ虚無感を感じるというのは自分にも覚えがある。個人というものの枠組が根源的には「死によって世界から

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    2018年05月20日
  • プラットフォーム

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    所々で唐突に西洋型社会に対する毒舌が出てきて、何度か吹き出してしまった。ペシミスティックでいてユーモアがある。この作家は初めてだったが、読みやすく感性も合う気がする。

    厭世的でありながら性に関しては屈折もなく、初めから素直というのはある意味新鮮だった。おかげで、作中で主人公が展開する性の捉え方を結構面白いと感じながら読んでしまった(笑)。

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    2018年02月03日
  • 服従

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    2022年のフランスでイスラム主義政党が国政を掌握するという、一見あり得ないだろうそんな事、と思いがちだけど、よく考えるとあり得なくもないのか実は、と思ってしまう、現在のフランス及びヨーロッパ諸国の激動を描いた作品でした。
    著者はこの本の中で、ヨーロッパは資本主義を推し進める中でヨーロッパの良さを自ら放棄してヨーロッパを自殺に追い込んでいる、そしていまそこに残っているのは疲弊だけだ、と語っています。
    そのヨーロッパの大国フランスで行われる2022年の大統領選で、移民の完全排除を掲げ内向きなフランスを目指す極右政党と、穏健派のイスラム主義政党との一騎打ちとなり、疲弊した国民がイスラム主義政党を勝

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    2018年01月03日
  • 服従

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    主人公の研究対象であるユイスマンスのことをわからないとわからないんだろうな。。。と読みながら思った。これまで読んできた「闘争領域の拡大」「プラットフォーム」「ある島の可能性」とはなんか違う感じ。消化不良。

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    2017年10月29日
  • 服従

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    フランスの政治状況について全然知識がないため、読むのが難しかったです。もっと知識があれば、もっとこの本の魅力を味わえるのだろうなと思います。

    フランス大統領選挙で、国民戦線とイスラーム同胞党が決選投票に挑み、イスラーム同胞党が勝利します。イスラーム同胞党は、フランス人の子弟がイスラーム教の教育を受けられる可能性を持たなければならないとしています。イスラーム教育は男女共学はあり得ず、ほとんどの女性は初等教育を終えた時点で家政学校に進み、できるだけ早く結婚することが理想とされます。教師もイスラーム教徒でなければなりません。

    そんな社会になっても、思っていたよりは反乱、暴動が描かれていないように

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    2017年06月18日