大塚桃の作品一覧

「大塚桃」の「服従」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 服従
    3.7
    1巻1,012円 (税込)
    二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後にする。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描き、世界の激動を予言する傑作長篇。

ユーザーレビュー

  • 服従

    Posted by ブクログ

    イスラムの文化が現在の資本主義、キリスト教的世界に広がっていく様を、惰性や諦めと共に受け入れる主人公が印象的だった。大きな歳の差のある一夫多妻を最初は軽蔑していたのかと思ったら、最後は期待も込めて受け入れている。
    ステータスのある男性目線ならあるかもしれない。一方で、女性の教養、社会進出への抑制が強くなるが、幸福の定義次第で受け入れられる、リアリティーのある内容なのか?分からなかった。

    初めてのウェルベック作品。
    文体の印象は、性的な描写が多い村上春樹。
    なんとなく感じていたが、明文化されるとハッとする表現が多い。
    現実的で直接的。表現がシャープで遠慮なし。
    比較すると村上春樹のファンタジー

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    2025年02月10日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    タイトルから想像されるプロット(暴力的な場面も多いのでは?など)とはまったく違う、どちらかといえば知的な会話や主人公の内省によって展開に、やや意外な印象を受けた。読後、すべては「ぼくは何も後悔しないだろう」というラストに向かっての布石だったと知るのは、ある意味で衝撃的でさえある。
    主人公の知人の乗車がルノー・トゥインゴと記されていたが、そんな身近なもの(他には、料理、酒、スーパーマーケットなど)によって、一気にストーリーが現実味を帯びてくるということにも気付かされた。
    まるで村上春樹の小説を思わせるかのような訳文も秀逸。

    0
    2020年05月14日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    え?え?と驚いているうちに、状況がどんどん変化していく。
    リアリティは半端ない。
    背景として人口増と共にイスラム教徒が世界で増加していることもあって、背筋が凍る思いがするディストピア小説だった。とくにジェンダーをめぐっては皮肉と真剣さがない交ぜになって、深く考えさせられる。

    最後にソ連崩壊後の世界に触れた佐藤優の解説もよい。

    ただ、イスラムへの偏見は感じる。

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    2019年04月16日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    これはただのSF小説ではない。個人・国家・自由といった概念がこれからどのような変貌を遂げるのか、ウェルベック独自の視点で読者に提示する傑作である。私の理解では、この作品のテーマは先進国における個人主義・自由主義の未来であると考える。重要なのは「服従」というタイトルで、多様性の中で自由を謳歌していた個人がその自由によって疲弊し自己を見失い、共同体的なしがらみに「服従」することで「自由疲れ」からの解放と生の実感を得るという筋書きになっている。

    「フランスにイスラーム政権が誕生!」「社会をリードする知的エリートがイスラームに服従!」という設定はセンセーショナルだが、よく読むと服従する先は何もイスラ

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    2017年12月20日
  • 服従

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ウェルベック・ミーツ・イスラム教。
    フランス大統領選の話だけど、政治ネタは3割くらい。セックスと食事の話が楽しい。
    宗教やユイスマンスの話は、よく分からないなりに楽しい。

    最近「一夫多妻制って制度化されてないだけで日本も実質そんなもんじゃ?結局、所得が高いやつが愛人とか囲ってるわけで」
    って事を知っちゃって、せちがらい。

    0
    2017年07月19日

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