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二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後にする。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描き、世界の激動を予言する傑作長篇。
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Posted by ブクログ
イスラムの文化が現在の資本主義、キリスト教的世界に広がっていく様を、惰性や諦めと共に受け入れる主人公が印象的だった。大きな歳の差のある一夫多妻を最初は軽蔑していたのかと思ったら、最後は期待も込めて受け入れている。 ステータスのある男性目線ならあるかもしれない。一方で、女性の教養、社会進出への抑制が強...続きを読むくなるが、幸福の定義次第で受け入れられる、リアリティーのある内容なのか?分からなかった。 初めてのウェルベック作品。 文体の印象は、性的な描写が多い村上春樹。 なんとなく感じていたが、明文化されるとハッとする表現が多い。 現実的で直接的。表現がシャープで遠慮なし。 比較すると村上春樹のファンタジー性が強調される。
タイトルから想像されるプロット(暴力的な場面も多いのでは?など)とはまったく違う、どちらかといえば知的な会話や主人公の内省によって展開に、やや意外な印象を受けた。読後、すべては「ぼくは何も後悔しないだろう」というラストに向かっての布石だったと知るのは、ある意味で衝撃的でさえある。 主人公の知人の乗車...続きを読むがルノー・トゥインゴと記されていたが、そんな身近なもの(他には、料理、酒、スーパーマーケットなど)によって、一気にストーリーが現実味を帯びてくるということにも気付かされた。 まるで村上春樹の小説を思わせるかのような訳文も秀逸。
え?え?と驚いているうちに、状況がどんどん変化していく。 リアリティは半端ない。 背景として人口増と共にイスラム教徒が世界で増加していることもあって、背筋が凍る思いがするディストピア小説だった。とくにジェンダーをめぐっては皮肉と真剣さがない交ぜになって、深く考えさせられる。 最後にソ連崩壊後の世界...続きを読むに触れた佐藤優の解説もよい。 ただ、イスラムへの偏見は感じる。
これはただのSF小説ではない。個人・国家・自由といった概念がこれからどのような変貌を遂げるのか、ウェルベック独自の視点で読者に提示する傑作である。私の理解では、この作品のテーマは先進国における個人主義・自由主義の未来であると考える。重要なのは「服従」というタイトルで、多様性の中で自由を謳歌していた個...続きを読む人がその自由によって疲弊し自己を見失い、共同体的なしがらみに「服従」することで「自由疲れ」からの解放と生の実感を得るという筋書きになっている。 「フランスにイスラーム政権が誕生!」「社会をリードする知的エリートがイスラームに服従!」という設定はセンセーショナルだが、よく読むと服従する先は何もイスラームに限った話ではなく、それこそ伝統的なキリスト教でもよかったことがわかる。その証拠に、「中世キリスト教文明が1000年も続いたこと」が、「近代文明が高々200年しか続いていないこと」と対比して描かれ、「近代社会に対する中世キリスト教文明の偉大さ」が賞賛される場面が多くある。本書の主人公はキリスト教の聖地を訪れ心の平安を求めようとするが、上手くいかず修道院を後にする。ウェルベックが「服従先」としてあえてイスラームを設定したのは、人々の思想や行動に対する拘束力・人々が進んで身を委ねようとする求心力を、今のキリスト教に見出せなかったからに相違あるまい。 個人的に尊敬する佐藤優氏が解説を寄せているが、「イスラームによるヨーロパの統合がウェルベックの作業仮説であり、知的エリートはとかく権威に服従するものだ」という氏の見立てはどこか的が外れているように感じる。 私は、本書はヨーロッパ統合の問題ではなく個人の生きかたを問いかけているのだと考える。より正確に言うと、「このままでは本書のような社会がやってきますよ、読者の皆さんはそれでいいんですか?」といった感じだろうか。本書で描かれる世界がすべて現実のものとなるということはないとは思うが、本書を構成する様々な要素は現実社会に大きな影響を与えることとなる気がしてならない。
フランスは着々とムスリム化していき各界トップも改宗していくという近未来の予言的小説。虚しさを感じている現代ヨーロッパは大きな力に跪きたがっている。十分ありえる。ファシズムかイスラムか
匿名
発売日がシャルリーエブド事件と重なったこともあってセンセーショナルな売り出しになった本書ですが、読むと基本的には他のウェルベック作品と同じく個人主義の行き着いた先でのインテリの絶望が語られています。 「キリスト教のフランス」ではなく「個人主義的で世俗的なフランス」がイスラームに飲み込まれていく小説な...続きを読むので、その点では服従する先はイスラームと姉妹宗教であるキリスト教でも良かったのだろうと思いますが、現代においてリベラルになったヨーロッパのキリスト教にはそこまでの力強さが無いので最終的にイスラーム(イスラームという言葉自体、神への服従という意味を待ちますね)が選ばれます。 ただ小説なのであまりこういうこと言うのも無粋なのでしょうが、穏健なイスラーム政党が政権握ったからといってただちに一夫多妻制になるかと言われると疑問ではあります(現にトルコも20年以上イスラーム主義政党が政権を握っていますが一夫多妻になりそうもありません)。またサウジアラビアは自国以外にスンニ派をリードする勢力を嫌うので本当ならイスラーム同胞党を弾圧する側に回りそうですが…。現にムスリム同胞団はサウジと関係悪いですし。
(2015/11/19) なんでこの本を入手したかその経路を全く覚えておらず、 どんな本かもわからないまま読み始めた。 ときおり物凄い性描写があって引きつけられ、 その後政治的な話になって斜め読みし、、、 しかしそこがポイントの本だったようだ。 近未来、フランスにイスラム政権誕生、人が神に服従する...続きを読む。 O嬢の物語は女が男に服従する。 それを大学教授が両方同時並行的に体験する、、、 みたいな本だったような気がする。 シャルリー・エブドのテロがあったり、 イスラム国などが跋扈したり、 ヨーロッパならではの視点。 それにしても女にもてるのねこの人
イスラム化していくフランスを強固な政治的リアリズムで描くという実験的な試みが小説の主軸にはあるが、見落としてはいけないのがユイスマンスの存在。享楽に埋没していた中年男性が精神的にも身体的にも危機に襲われる。 結末にやってくるのが、まさに主人公にとっての救い。 これはまさにユイスマンスの人生そのものと...続きを読むも共鳴してる。
全体的に大きな爆発的なエピソードはなく、ゆっくりと食べ物が腐っていく様を見ているような話だった。 序盤は社会情勢についてどこか他人事で非常に呑気な振る舞いをしているがだんだん自身の生活が変容していき、なすがままに飲み込まれていく様子が異様にリアルだった。 主人公が人生を通しての研究対象としたユイスマ...続きを読むンスと彼自身の人生との相似形な構造が生きる事の奇妙さを際立たせるように感じ、惹きつけるものがあったし、宗教の力に国が飲み込まれていく様が流麗で恐ろしさを感じた。 人は抗うよりも順応していった方が生きるのが楽だもんなぁ。それがヨーロッパでいち早く市民革命を起こしたフランスであったとしても。
ずっと前に書店で『素粒子』というタイトルの文庫本を見つけ、物理学系の読み物かと思ったら小説らしかった。変わった題のを書く作家だなと思い、その後もあちこちでウエルベックの名を見かけたが、ついぞ読まずに過ごしてきた。 やっと初めて読んだのがこの本。 現在のフランスの大統領選で、極右政党とイスラム教系の政...続きを読む党がぶつかることになり、フランス国民がイスラム教の方を選択することとなって、結果、女性のスカートがなくなったり、一夫多妻が一般的になったり、大学等の教員はイスラム教徒でなければならなくなる、という話。 いま世界中で「あまり頭の良くない極右」が台頭しているので、それを受け入れない場合の選択肢は何が残るのか?という問題を提起している。 実在の現役政治家等の名前が多数出てきており、これがベストセラーになったのだから、かなりリアルな小説なのではないか。 イスラム教は、我々日本人にとってほぼ完全に未知の世界であるが、それよりは長い付き合いの筈の西欧人にとっても「異質な他者」であるようだ。 イスラム教とは何か? ここではルディジェという登場人物が開陳する物語として示されているのみだ。素晴らしい文明ではあったが、結局は敗北した西欧というイメージ。 とりあえず、小説として面白い作品だった。出てくるフランスの政治家の名前にまったく馴染みが無いとしても。 ほかにはどんなものを書いているのか。ミシェル・ウエルベックの小説をまた読んでみたい。
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