ミシェル・ウエルベックのレビュー一覧
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匿名
購入済み発売日がシャルリーエブド事件と重なったこともあってセンセーショナルな売り出しになった本書ですが、読むと基本的には他のウェルベック作品と同じく個人主義の行き着いた先でのインテリの絶望が語られています。
「キリスト教のフランス」ではなく「個人主義的で世俗的なフランス」がイスラームに飲み込まれていく小説なので、その点では服従する先はイスラームと姉妹宗教であるキリスト教でも良かったのだろうと思いますが、現代においてリベラルになったヨーロッパのキリスト教にはそこまでの力強さが無いので最終的にイスラーム(イスラームという言葉自体、神への服従という意味を待ちますね)が選ばれます。
ただ小説なのであまりこう -
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ミシェル・ウエルベックはフランスの作家で、ほとんどの著作が日本語訳されているように、世界的なベストセラー作家でもある。2022年のノーベル文学賞では受賞最有力とされていた。ちなみに実際に受賞したのは、おなじくフランスの作家であるアニー・エルノーだったので、もうウエルベックの受賞はなさそうである。長生きしていればあるかもしれないが、どうにも不健康そうだし。
ウエルベックのポルノ映画事件というものがあった。くわしくは検索してもらえばいいのだが、これ自体がくだらない話である。
それと、本書の始まりはウエルベックのイスラム教への発言についても触れられる。イスラム教徒を犯罪者と同列視する発言をしたとし -
Posted by ブクログ
(2015/11/19)
なんでこの本を入手したかその経路を全く覚えておらず、
どんな本かもわからないまま読み始めた。
ときおり物凄い性描写があって引きつけられ、
その後政治的な話になって斜め読みし、、、
しかしそこがポイントの本だったようだ。
近未来、フランスにイスラム政権誕生、人が神に服従する。
O嬢の物語は女が男に服従する。
それを大学教授が両方同時並行的に体験する、、、
みたいな本だったような気がする。
シャルリー・エブドのテロがあったり、
イスラム国などが跋扈したり、
ヨーロッパならではの視点。
それにしても女にもてるのねこの人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ滅ぼすとはそういうことだったのかと、読み進めるにつれて、悲しい気持ちになった。オーレリアンは自殺し、ポールが末期の癌になるとは。喉頭や口腔癌になると、舌を切除しなければならないこともあるとは、知らなかった。
プリュダンスと仲良しに戻っていて、本当に良かったと思った。死期を悟った後も冷静で、手術を拒み、点滴の際は読書をして過ごしたポール。自分だったらどうしていただろうか。
所々に散りばめられたウエルベックのユーモアにはクスッとさせられた。デュボンとデュポンは特にお気に入りだ(笑)。
政治や歴史、文学に恋愛、扱う内容をフランスらしいと言って良いかは定かではないけれどそのように感じ、読み応えの -
Posted by ブクログ
ネタバレ「人間の絶対的な幸福は服従にある」。
2022年のフランス大統領選で、ファシスト党とイスラーム党が決選投票に残り、イスラーム政権が誕生するお話でした。
楽しいの意味はなく、面白かった。
知識や教養は、超越神の前では脆い。インテリほど迎合も早いというのは驚きです、フランスはレジスタンスの国だと思ってたけどインテリはこうなのかな?
この主人公は、再び大学で教鞭を執って生活していくためにイスラームに改宗するというより、何人も妻が欲しい…の方が強そうなのにもやもやするところがありました。もともとノンポリなのも珍しいかも。
外堀から埋められるみたいなところに寒気がしました。その方向からか、と。
実際に -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代社会は、経済だけでなく、「性愛」も自由化され、富めるものとそうでないものの格差が拡大している。このような話は、しばしばSNSで話題になっている「弱者男性」問題にもつながっており、ここ数年は熱をもって議論されていることだが、ウェルベックがこの問題を30年も前に小説のテーマにしている点が興味深い。主人公は容姿がよくない同僚のティスランを心の中では散々馬鹿にしており、実際にティスランは性愛に関してひどい目に遭ってしまう。ただ、主人公の心情描写から、自由恋愛の世の中に果敢に立ち向かっていき、最後には不慮の死を遂げる彼を、著者は心の奥底では敬意を払っているのではないかという印象を受けた。愛を得られな
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Posted by ブクログ
もはや一種の黙示録とも呼べる文学作品を作り続けているフランスの鬼才、ミシェル・ウエルベックによる新著であり、過去の作品と比べても単行本上下巻という大著。
個人的に新著が出たら、迷わずに買うことを決めている現代作家の一人がウエルベックなのだが、迷わずに買ったことを全く後悔しないほど完成度高く魅惑的な作品であった。
ウエルベックの作品は登場するテーマや意匠に強い共通性がある。デビュー当初は、カルト宗教やセックス/性の問題に始まり、ここ10年ほどは極めてアクチュアルな移民問題やテロリズム、資本主義の限界など政治・経済学的な側面が強まっている。本書はまさにウエルベックを構成するであろう様々なテーマ -
Posted by ブクログ
もはや一種の黙示録とも呼べる文学作品を作り続けているフランスの鬼才、ミシェル・ウエルベックによる新著であり、過去の作品と比べても単行本上下巻という大著。
個人的に新著が出たら、迷わずに買うことを決めている現代作家の一人がウエルベックなのだが、迷わずに買ったことを全く後悔しないほど完成度高く魅惑的な作品であった。
ウエルベックの作品は登場するテーマや意匠に強い共通性がある。デビュー当初は、カルト宗教やセックス/性の問題に始まり、ここ10年ほどは極めてアクチュアルな移民問題やテロリズム、資本主義の限界など政治・経済学的な側面が強まっている。本書はまさにウエルベックを構成するであろう様々なテーマ -
Posted by ブクログ
22.11.12〜12.19
快と不快のバランスがゼツミョーだった。ウエルベックの作品はいつもそうかもしれないけど。
Back2Backな構成だから形式は『素粒子』に似ているけど、この小説は構造として『人生記』があるから、全体的にカッチリしてる印象を受けた。
アイデアとしての人生記の面白さと、書き手であるダニエル1たちが定義する彼の人生の滑稽さと悲しいまでの正直さ。人生記には書かれなかったダニエル1の顛末、ままならなすぎる。
ネオヒューマンは自分自身のことが分かりすぎていてやけにサッパリしているから、その孤独な生き方に滑稽さも含まれているような感じがした。
読んでいてウエルベックは正直な人だな