ミシェル・ウエルベックのレビュー一覧

  • 服従

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    書店にて「文庫になってる!」と手に取り、そのままレジ直行。

    イスラム教にヨーロッパが支配されたらどうなるのか、という挑戦的な内容の小説だということをテレビで知り、興味を持っていました。

    ある程度哲学、文学、政治への素養がないと厳しいかもしれません。でも新聞の海外欄を読み通せるくらいの知識があれば問題ないと思います。
    あとフランス人の作家のせいか(それは偏見でしょうか)ベッドシーンが多用されています。特に前半は。
    読んでるときはちょっとくどく(っていうか主人公何してるんだよと)思っていましたが、あとから考えると、ヨーロッパの生命力を欲望として表現していたのかもしれないとも思えます。

    ラスト

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    2017年06月14日
  • 服従

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    だらだらごちゃごちゃゆってるな感はあるけど笑それも含めておもしろかった。何となくの村上春樹感ある。絶対的な幸福は服従にある。イスラーム世界は創造主による創世は完璧、称賛と法への服従。人間主義とインテリは弱く脆い。

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    2017年05月25日
  • 服従

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    近未来を描くディストピア小説。
    フランスの国民戦線とイスラーム党の政権抗争と、その帰結、およびそこから描かれる影響が表されている。視野狭窄と他者への寛容性を失った社会の起こり得る帰結と、そうした非日常が日常化していく中で作られていく新たな「当たり前」が描かれていく中で、現在の持つ特異性や良さ、改善点に改めて気付かされた。

    著者の白人男性としての価値観も少々感じることがあった、ムスリムへのある種のぬぐいきれない固定観念みたいなものもところどころ感じたり。
    自分はディストピア小説に割と心動かされることが多いのかな。ただ一方で、物語の大筋と個人の世俗的な欲望がどのようにリンクしているのか見えにくい

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    2017年04月23日
  • 素粒子

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    「服従」が面白かったので、著者の代表作を読もうと思って購入。性格もキャリアも全く異なる異父兄弟の半生を中心に、家族や夫婦、親子、友人との関係を生々しく描いている。美貌、健康、学歴、財産、政治信条、友情、愛情、幸せなど、どれ一つ確固たるものはなく、得たと思えば去っていくし、またやってくる。外から来るものにしがみつくのではなく、中から信念を持って信じられ続けるものを持つことが重要だと再認識。これが難しいのだけれど。

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    2017年03月23日
  • プラットフォーム

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    ウェルベック 4作目の小説(邦訳は『素粒子』に続いて 2作目)。資本主義と自由主義が行き着く先をポルノ紛いの筆致で描くとともに、イスラムに対する嫌悪感を隠そうともしない表現でスキャンダラスな話題を撒き、ウェルベックの名を世界に知らしめた一冊といってもいいだろう。どちらかというとムスリムからの脅迫とか、怒り狂うフェミストからの批判とかの話題が先行してしまっている印象で、今まで読んだ 3作の中では一番面白くなかった。ただし、享楽的なリゾートが一瞬で暗転する、その瞬間は見事だ。

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    2016年12月04日
  • 地図と領土

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    資本主義社会の消費にまつわるポスト・モダニズムとその周辺。消費に関して、ウィリアム・モリスについて言及している箇所があり、消費のサイクルのその後にまで批評の射程があるのは鋭いなと思いました。
    本文中で主人公の作品を解説している箇所については、芸術を言葉で語る空虚なのか、文章ゆえに作品として凄さが見えてこないため、高値で取引されたと言われてもそんな大したものじゃ無さそうだがと思いながら読むのですが、それにインスパイアされた系として具現化したのが文庫本の表紙の写真だそうです。これに関しては沈黙せざるを得えない。

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    2015年10月25日
  • 素粒子

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    静と動、性と死が激しい物語。
    対局的に位置する二人の兄弟の虚しさが上手く描かれている。取り分け、時間の流れ(若さ)への恐怖は読者をも病む。

    あからさまな性の表現が多く、それ自体はいいが、もう少しミシェル側のストーリーが欲しかった。

    なにかしら残ってしまった自分のしこりが、上手く解決できず、戸惑っている。

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    2014年06月25日