中村淳彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
風俗産業で働く若い女性への取材から浮かび上がる実態。
風俗を選んだ理由。
やはり多いのは、お金を稼ぐ必要に迫られてのことだが、その理由が、昔と今では違う。
昔は「遊ぶためのお金」だったが、現代では、「日本学生支援機構の奨学金返済のため」、「生活のため」。
奨学金の返済に苦しむ大学生がいかに多いかということに驚かされた。
大学生でなくとも、毎日の生活費のために風俗産業を選んだという人、単に興味関心があったから入った(この人はこの人で、複雑な事情を抱えていた)、そして、やはり生活費・学費のために、風俗産業に進む男性もいることに驚く。
学費の高騰と返済能力を無視した学生支援機構の融資枠の拡大。若者たちを圧し潰す。
そうした若者たちの現実を描き出している本書だと思う。 -
Posted by ブクログ
風俗関連記者によるAV女優の実態を記した本。AV業界にくわしく、特にAV女優への取材を以前から続け、その実態を明らかにしている。業界の80年代からの変遷が理解でき参考となった。AV女優一人一人に様々なドラマがあることがわかった。
「不景気で収入源を補おうとする女性から、好奇心や刺激ほしさの女性まで、幅広い層からの応募で出演志願者は膨れあがり、完全に供給過剰な状態となっている。大多数の女性は出演したいと希望しても面接に呼ばれることすらなく、門前払いされているという現実がある」p15
「90年代後半、AV業界全体でも“健全化”の波が起こり、現在は怪しさや胡散臭さのないビジネスライクな世界になっている」p118
「AV女優たちは怪しさやいい加減さのかけらもない環境で“女優”として演技を求められ、その1つ1つが成功体験になっている。AV女優は各社からオファーをもらって経験を重ねるほど、やりがいを覚えて働く姿勢が前向きになる。現在生き残っているメーカーやモデルプロダクションは、一般企業家に成功した法人ばかりである」p118
「自殺をしてしまったAV女優たちは、AVというメディアに性搾取をされて弱り切ったから自殺をしたのではなく、意思を完遂する人間的能力が高く、一時期の気の迷いや心のぶれで不運なことに死ぬことに成功してしまった、といえるのである」p142
「どうしても女性を管理するモデルプロダクションには暴力性を背負っているイメージがないと、同業者や所属モデルに舐められて、なにが起こるかわからないといった事情がある」p187
「AV女優には誰かにバレるリスクより、一般社会と感覚がずれること、一度足を踏み入れてしまうと抜け出せないリスクの方が高い」p202
「引退後にそのような裸やセックスの写真や映像が残ってしまうことより、深刻なのは「楽に楽しく稼げた」、また「注目されて必要とされた」という裸の世界だからこそ摑むことが可能だった成功体験から抜けられないことにある。一時期の高コストな生活水準が忘れられなくて、普通の仕事はとてもできないと切り替えができない女性は多く、それがAV女優全体の2/3が性風俗に流れている所以である」p232
「AV女優としての一般論として女性は初々しい処女の状態が最も価値の高い状態と仮定すると、出演してカラダをお金に換えるほど価値は下がる。「カラダは減るものじゃない」というよく耳にする通説は、誰かに売るという競争がある以上、消費されているので明らかに価値は減っている」p232
「社会が裸の仕事に対して以前より寛容になったといってもカラダを売っている現役時代は、楽に稼げることの代償として他人から信用されづらく、恋愛をしてもうまくいかず、成長した友達からは見放され、周囲からは転落したと蔑まれる、ということが起こりがちである。非常に惨めで孤独な青春時代、人生といえる」p237 -
Posted by ブクログ
風俗を専門とするフリーライターによる、日本の風俗嬢に関する調査や取材結果をまとめたもの。本著者の本は以前にも読んだことがあるが、よく取材をしているし、客観的な視点に立ってよくまとめられていると思う。風俗嬢は高スペック化しており、普通の女性ではなかなか稼げない業界となっており、今後ますます二極化が進みそうな現状がよく理解できた。著者が作った性風俗店の採用偏差値は、とてもよくできていると思う。
「(風俗嬢の意識)自分の才能や技術に対して、男性客が安くはないお金を払ってくれている。誰にも頼らずに生きているのだから、私は平均的な女性と比べても勝っている。むしろ上層にいる、という意識すら見られる」p18
「日本の風俗嬢は合法、非合法に関係なく、風俗店や客に選ばれた女性しか就けない特別な職業になりつつある」p23
「デリバリーヘルスが該当する無店舗型第一号の17,204店は圧倒的な数だと言っていいだろう。セブンイレブンの店舗数16,450件(2014.4)を凌駕する数値で、供給過多、増えすぎている業態である」p36
「(大学生ソープ嬢インタビュー)授業のある平日は2本、土日は3〜4本くらいですね。ヘルスの時は月収30〜40万円、ソープの今はたぶん50万円くらいかな。四年生になったら時間を公務員試験の勉強にあてたいから、貯金をしようと思って先月から福原のソープに転職した。稼ぐには、単価の高いソープの方が合理的ですから。風俗の仕事はそれなりに楽しいし、全然苦痛じゃないです」p117
「大手企業に就職したいとか、総合職の試験を受けて国家公務員になるとか、目的があるとアルバイトに長い時間を割くわけにはいかないんですね。千葉駅近くに大きな風俗店があるし、たくさんの女子学生が風俗に走るのは自然の流れだと思う」p118
「供給過剰なので、雇用する性風俗店と客による女性の選別が始まる。容姿を中心とした外見スペックだけでなく、接客サービス業なので技術、育ちや性格や知性などを含めたコミュニケーション能力が加味されて、性風俗がセイフティーネットではなくなり、選ばれた女性が就く職業になってしまった」p139
「そもそも風俗業界で稼げるということは、競争に勝った者だけに許される特権なのだ」p140
「裸になりさえすれば生活できる、という時代は完全に終わっている。だから店も風俗嬢も講習料を投資してでも意識や技術を磨き、どうやって客をさらに満足させて自分のファンになってもらうかということを考えている」p178
「スカウトマンたちは日々女性に声をかけているが、AV女優や、高級ソープ嬢などになれる女性を捕まえるのは夢のような話で、料金が安めのキャバクラやデリヘルへの紹介を重ねるのが普通である」p205
「人気AV女優や売れっ子風俗嬢など稼ぐ女性ほど「彼氏はスカウトマン」という人が多い」p207
「上納している暴力団の力でスカウト活動ができる範囲が決まり、許可のない者が女性に声をかけることは許されない」p208 -
Posted by ブクログ
1990年〜2010年代にかけての業界の激変と不変の因習
はっきり言って興味本位で手にしましたが、内容は理論的なビジネス書風、淡々とした業界ルポです。
著者のスタンスは、AV女優寄り、意外にもプロダクション、メーカーには厳しいといったところ。
長い不景気の影響を受けて、業界は短期間に大きく変容を遂げた。
・製作サイドの合理化、人材刷新、コンプライアンス重視
→業界挙げての一般企業化
→マージン分は多いものの、AV女優の報酬は透明化されてきた。
・女優 応募者の増大、クオリティの底上げ、メンヘラなどの排除
→業界は女性最後の手段で食いつなぐセーフティネットでなくなった
また、2000年頃の苛烈な競争による事件の数々が背景にもある。
→撮影時の過激な暴力、傷害。スタッフ全員刑事告訴・実刑判決
ただし、裏社会的なもの、暴力を想起させるものが駆逐されたわけではない。
→桃井望事件の闇
著者は、「AV女優がAV活動で精神的に病むことはない」と、定説に反論を随所に試みている。
(精神を病んでいる女性は、業界入り前から病んでいる等)
一方、女優ヒエラルキーの転落(単体→企画単体→企画)等が、大きなプレッシャーとなって自殺に走ってしまうパターンも。
(著者は自殺が果たせるほどの活力があると微妙な表現をしている)
ここら辺に、著者の自己矛盾を感じた。
記されているように、最近のAVは、男性を満足させる映像パーツの集合であって、往事のアングラな映画的表現の実験場の趣など微塵もないのだという。
寂しい気持ちだ。
また、国内市場を支えている層は、デジタルディバイドされた中高年で、衰退は必至だろう。
主戦場ネットでの収益性(コピーされやすい)は厳しそうで、どうなるのか。 -
Posted by ブクログ
1990年代後半AV業界で大活躍した小室友里さんは「アイドルのような扱いが気持ちよかった」と。人間、誰でもちやほやされると嬉しいもんですよね。需要があるから商売になる。AV業界も同じでしょう。ビデオデッキの普及と共に動くビニ本といわれたAVは1981年に誕生したと。1986年黒木香の「SMぽいの好き」が爆発的なヒットを。1989年松坂季実子、1990年卑弥呼、1993年飯島愛・・・、ギャラは1本が100万、1000万、数千万円にどんどん上昇したそうです。一方で「本物のレイプ撮り」も常態化してたとか。
2004年のバッキ―事件(凌辱AV撮影で被害女性が訴え懲役18年に)でストップしたそうです。今や世の中のデジタル化、インターネットによってAVは斜陽化。ただ中国には日本のAV女優に熱狂する男性が多くこれからのビジネスと。ちょうど30数年前の日本の状況だとか。 -
Posted by ブクログ
いまや30歳以上未婚男性の4人に1人が童貞だとか・・・そんでそーゆー人たちに共通するのは、過剰なプライドの高さ、コミュニケーション不全、潔癖な女性観、らしい。
童貞というコンプレックスは彼らの社会的な自立をも阻害する。
もちろん、みんながみんなそうではないのだろうけど、読んでみると「あ、なるほどなー」と思うことも、しばしば。
やっぱ、ちょっと変わった人たちだから、女性にも敬遠されちゃうのかなー?
容姿が悪いからって思いこんでる人もいるみたいだけど、そこじゃないんだよね。容姿がフツーでも、童貞の人はいるもんねぇ・・・女性に対する期待が高すぎたりするのかな?
それとも童貞でいる理由をそのへんに持ってってるだけなのかもだけど。
なんか福祉関係に多いとかなんとか。しかも、トラブルメーカーだったりするらしい。自己肯定がクセになってるのかも?んで、空気読めないっつーね。。。
とりあえず「体験」って大事よねー、ってことかな?
なかなか、いろいろ考えさせられるルポだったのだー! -
Posted by ブクログ
なかなか気合いの入った本でした。
裏社会ライターの中村淳彦と鈴木大介の対談本です。
介護を筆頭とした壊れてる産業、ブラック労働で時間と賃金を取られるより、裸になった方がマシという選択になる時代。
ただそこに単に短時間で稼げるという意識でスペックが高い女性が加わり、裸になっても稼げない女性が出てくる時代になってるようです。
性を売るというのはかなり特殊な女性ととらえてましたがそうじゃないみたいです。
2003年の労働者派遣法の改正を機に普通の女性だらけ。
誤解しちゃダメなのが風俗してるからって貧困層ではないということです。
風俗以外に行く場所がなく、そこから弾かれた女性。それが最貧困層。
社会的にそういう商売を潰すことばかりですがその後のこういう人たちのケアが全く考えられてないのも今の現状です。
仕事のない人、できない人に国が介護職を紹介するのにも触れてました。
本来とても繊細な仕事でスペックが要求される仕事に対し軽視されがちな介護職。
労働時間、賃金を考えるとそういう人たちを紹介するのは仕方ないことかもしれませんがそういう人たちをほっておくと1番恐ろしい「最貧困中年童貞」が生まれます。
これは男性の貧困層についてです。
この本で呼ばれてる「最貧困中年童貞」という人たちは簡単に言えば引きこもり、親の金で生活してた人たちで親が他界した後の人たちです。
ただ今後の日本でこの人たちをどう働いてもらうか、どう使うかが最も大事でしょうね。
奨学金問題もかなりリアルでした。
大学にいくためだけに背負わせる借金。
国を挙げたビジネスです。
なんとなくこの本を読んで日本はかなりやばいところにきてるのを強く感じました。
もう奇跡でも起きない限り格差は広がり続けそうです。 -
Posted by ブクログ
AV女優も風俗嬢と同じで最近は自らなる人が増えている、というのは確かなはず。ただそれでも出演強制に関しては古くからと同じく当然あるわけで、そういった構造になっている中で、以前と同じ業態のままではいかないでしょう?という結論になるまでに業界の裏を色々と解説してくれる。
全くの私見だが、男としてAVにはやはりお世話になる時期が当然あって(特に日本では、なのかはわからんけど)、どうせ見るならやはり好みのきれいな女性の裸体やセックスを見たいのはどうしようもない。でも画面の向こうの女性が強制ないしは半強制の契約で女優業を始め、ギャラも少なく、引退後は自己嫌悪に苛まれて良い人生を送れないとしたら…と考えると非常に辛い。
ところで、過激なAVが作られるのは結局それを望む男がいるから、という。個人的にはきれいな女性の美しいセックスしか見たいと思わないので、私には強姦物やぶっかけ、多人数プレイなどなど、過激さを売りにする映像に性欲を覚えること自体が不思議に思うし、そういった願望を持っていることの病理を感じてしまう。リアルに充実しないからそうなの?いやどういうものにも性的感情を抱いてしまうという脳の困った性質があるんだろう。困ったものだ。 -
購入済み
ストーリーの余韻を残したい?
漫画の表現力は非常に強力なので、ネーム部分のストーリー展開にマッチしていないように感じた。
ネームは、婉曲的な表現や余韻と次の展開を予感させるラストシーンを持つ短編小説的であり、文字だけを読むとそれだけで楽しめる。
しかし、漫画と組み合わせると視覚にも訴えてくるので余韻や予感といったものが、薄まってしまいストーリーが尻切れトンボのように感じられてしまう。
職業としての風俗を他の職種に置き換えてみると、いろいろと考えさせられる良作であることは、疑いないと思う。 -
Posted by ブクログ
社会的な弱者に焦点を当てたルポタージュは、今まで数え切れないぐらいあります。
それを知ることは、日本社会が抱える様々な社会問題の断片を知ることができ、個人的には有益だと思っています。
「自分とは、関係のない問題だ」と、一刀両断することは、簡単ですが、今の日本社会は、
「誰にでも、社会的な弱者になり得る社会」だと、思います。
明日、自分の会社が破綻するかもしれない。肉親が、亡くなるかもしれない。
猟奇的な事件に巻き込まれるかもしれない。どれも、可能性があります。そうなった時、
ある一定数の方は、間違いなく社会的弱者になったり、精神に異常を引き起こしたりします。
30歳以上の童貞=社会的に難あり
というロジックは、非常に失礼な物言いですが、周知の事実だったと思います。
ただ、今までスポットが当たらなかっただけです。
中村氏は、介護業界に一時期身を置いて、強烈な(身勝手な)中年童貞と関わっていく上で、たまたま、
「中年童貞」の取材を始めます。その過程とインタビュー内容が本書です。
こういう内容を面白おかしく読むことは、個人の自由ですが、内容は、かなり深刻で、当事者は
絶望を抱えています。最近の社会的事件(殺人等)を見ても、弱者が弱者に対して、報復するという
事件は、少なくありません。むしろ、増加する傾向にあるかもしれません。
ただ、具体的な解決策は、ほぼ皆無で(本書にも解決策が書かれていますが、、、)、
全てが自己責任と言われる社会状況です。まったく希望がないなと、思ってしまいます。