Posted by ブクログ
2017年06月06日
社会的な弱者に焦点を当てたルポタージュは、今まで数え切れないぐらいあります。
それを知ることは、日本社会が抱える様々な社会問題の断片を知ることができ、個人的には有益だと思っています。
「自分とは、関係のない問題だ」と、一刀両断することは、簡単ですが、今の日本社会は、
「誰にでも、社会的な弱者になり得...続きを読むる社会」だと、思います。
明日、自分の会社が破綻するかもしれない。肉親が、亡くなるかもしれない。
猟奇的な事件に巻き込まれるかもしれない。どれも、可能性があります。そうなった時、
ある一定数の方は、間違いなく社会的弱者になったり、精神に異常を引き起こしたりします。
30歳以上の童貞=社会的に難あり
というロジックは、非常に失礼な物言いですが、周知の事実だったと思います。
ただ、今までスポットが当たらなかっただけです。
中村氏は、介護業界に一時期身を置いて、強烈な(身勝手な)中年童貞と関わっていく上で、たまたま、
「中年童貞」の取材を始めます。その過程とインタビュー内容が本書です。
こういう内容を面白おかしく読むことは、個人の自由ですが、内容は、かなり深刻で、当事者は
絶望を抱えています。最近の社会的事件(殺人等)を見ても、弱者が弱者に対して、報復するという
事件は、少なくありません。むしろ、増加する傾向にあるかもしれません。
ただ、具体的な解決策は、ほぼ皆無で(本書にも解決策が書かれていますが、、、)、
全てが自己責任と言われる社会状況です。まったく希望がないなと、思ってしまいます。