加藤千恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
平井さんという「40過ぎのおっさん」を間にして、奏絵とまひるという二人の愛人?が奇妙な同居を始める。
モデルというルックスを持ちながら、なにも出来ない不全感も持ち合わせる、まひる。
家事をこなせ、最低限のアルバイトをこなせるが、協調性のなさもある、奏絵。
二人の対比が面白い。
この普通でない三角関係をいちばん理解していないのは平井さんである。
彼の思い描くストーリーを演じる彼女たちは、少しずつ少しずつ変化していく。
食べる、ってやはりすごいことだな。
がっちり二人分の胃袋を捕まえて、奏絵は最後まで強い。
成長を描いているかは分からないけれど、最後はそう在って欲しい終わり方で良かった。 -
Posted by ブクログ
「せつない」の詰まった短編集。
表紙がすごくいいなあ、ほんとにこんな感じ。
綺麗に着飾って、髪を巻いて、おしゃれなお菓子を男に食べさせられるのだ。
女として生まれたことへの何とも言えない悲しみとプライドと美しさがある。
いまどきの女のにおいがしてライトな感触であるにもかかわらず、苦い。
題名に添うなら、最初は甘くて、だんだん苦いなあと思うようになっても結局甘さを探して甘いふりをしてしまう、というか。どんなにビターがあっても恋愛をハニーと定義してしまう不思議、というか。
そういう、恋愛の普段あまり描かれない・けど確実にあるもやもやを題材にしている。
各短編にスイーツが登場するんだけど、その"女子"感はなんだかむず痒いし例えとして陳腐。
でもそのスイーツがその話に登場することにはきちんと必然性がある。ちゃんとしている。
私はもっと文学!って感じのほうが好きなのではまらなかったけど、特定のターゲットに対してはかなり美しく的が絞れてるし、この軽い感触も実はすごく現実に似ていて、リアルなんだと思う。
現実は軽い。
そんでもって、恋って変だなあ、困るなあ、と思う。 -
Posted by ブクログ
映画はいいなぁ。
満ち足りない日常も、閉塞感も、悲しみですら綺麗な画になる。そして1番幸せなところで「めでたし、めでたし」となる。
ところが、現実はもちろんそうはいかない。満ち足りなさも閉塞感も悲しみも、乗り越えて、もしくは抱えて一緒に生きなければならない。もちろん「めでたし、めでたし」の向こう側にある日々も。
そんな「映画じゃない日々」を生きる8人の女性たちの短編集です。
加藤千恵作品は読むと苦しくなることを知りながら、いつも読んでしまいます。淡々と過ぎる日常に潜む、むなしさとか閉塞感を描くのが本当に上手くて辛いです。
加藤千恵の別の作品に、「悩んでいるなら言えばいいんだ。弱っているなら癒せばいい。傷があるなら治せばいい。けれど。けれど、悩んでも弱っても傷ついてもいないなら、どうすればいいのだろう。 」っていう言葉があって、この本に描かれている閉塞感とか、なにか足りない感じって、まさにこの手のものだと思います。
明確な解決策も逃げ道もない、でもそれは確かに存在していて、だからこそもがくという種類のもの。
痛いから、絶対に棘が刺さってることは間違いないんだけど、どうにも目に見えないから取れないみたいな?笑
だから、主人公達もみんな霧が晴れてスッキリ!なんて結末にはならないのだけど、少し心が軽くなるとか、小さな光が見つかったりします。
そんな小さな光でも、そちらに目を向けることで、棘の痛みを少し忘れることができて、そのうちに、棘のことすら気にならなくなっていくのかな。でもたまに思い出したように痛んだりして。それって「映画じゃない」からこそ味わえる機微なのかもしれません。