清武英利のレビュー一覧

  • しんがり 山一證券最後の12人

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    『しんがり』
    清武英利

    清武英利さんの『しんがり 山一證券 最後の12人』は、実話に基づいたノンフィクション作品で、1997年に自主廃業した山一證券の“最後の砦”となった社員たちの姿を描いている。

    1997年、老舗証券会社・山一證券が突然の自主廃業を発表。
    社長の号泣会見は世間に衝撃を与え、「社員は悪くありません!」という言葉が記憶に残る出来事だった。

    - 社員の多くが再就職に奔走する中、業務監理本部(ギョウカン)という“場末”と呼ばれる部署にいた12人の社員たちは、会社に残り続けた。
    - 彼らは無給で、顧客資産の清算業務や、帳簿外債務(約2600億円)の社内調査に取り組む。
    - 「

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    2025年10月12日
  • しんがり 山一證券最後の12人

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    『ーーたぶん、会社という組織には馬鹿な人間も必要なのだ。いまさら調査しても、会社は生き返るわけではない。訴えられそうなその時に、一文の得にもならない事実解明と公表を土日返上、無制限残業で続けるなど、賢い人間から見れば、馬鹿の見本だろう。しかし、そうした馬鹿がいなければ、会社の最期は締まらないのだ。(p.321)』

    全JTCで働くサラリーマンに読んでほしい作品。

    たとえるなら、「救いのない半沢直樹」といったところだろうか。

    経営陣の不正によってある日突然、経営破綻した山一證券。
    その事実を日経新聞で知った社員も多かったという。
    主人公である嘉本さんもそのひとり。

    これは、トップ経営陣の不

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    2025年09月17日
  • しんがり 山一證券最後の12人

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    ノンフィクションとは思えない読み味の良さと人間ドラマである。決して「ざまぁ系」のような逆転劇ではなく、ただそこには人の意地と良心があり、我々は不器用な彼らを語り継ぐことが最大の賞賛となるのだろう。

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    2025年08月17日
  • しんがり 山一證券最後の12人

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    ハンナ・アーレントは「エルサレムのアイヒマン」でホロコーストの中心人物アイヒマンを見るからに極悪非道な悪人ではなく平凡な官僚だと評し悪の凡庸さを主張した。

    山一証券を破綻に追い込んだ人たちも同じ構図なのではないかと思う。確かに出世欲や金銭欲が人よりあったのかもしれないが、最初は些細なことで始まり、それを周りは見て見ぬふりをし、いつのまにか歯止めが利かなくなる。誰が悪いのかよく分からず悪の権化みたいなものはおらず、ただただ倫理観が欠落していただけではないかと思う。倫理観すら独自にあった可能性もある。恐ろしいのは空気のような実体のなさで、エルサレムのアイヒマンとの類似に気づかされる。これは人間の

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    2025年08月06日
  • サラリーマン球団社長

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    巨人球団代表を務めた著者(元 読売新聞)が巨人ではなく、阪神の野崎球団社長(元 阪神電鉄)と広島カープの鈴木球団本部長(元 東洋工業=マツダ)の「サラリーマン球団社長」を描いた作品。
    「第十二章|ボロボロになる前に」、「第十三章|枯れたリーダー」、最後の「第十四章|耐雪梅花麗」は涙なくして読めなかった。

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    2025年04月02日
  • どんがら トヨタエンジニアの反骨

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    ノンフィクションであり、かつ実名で今も現役で活躍される方も多く登場するので、臨場感があって面白い。また不自然にトヨタ自動車を持ち上げる感じもなく、最近はどうか分からないが、鬱になりそうな働き方やトヨタ村の閉鎖的な感じ、纏まりの無さ、本人達が気付いていないような傲慢さなども生々しく綴られる。ただ、不思議と嫌な感じではない。この「傲慢というか奔放だが、嫌な感じではなくてトヨタだから仕方ない」ムードは、実際にここの社員から受けた私の印象に近い。

    仕事とは、出世や収入のためにするだけのものではなく、自分の好きな事をやり遂げられることが重要であるという事に気付かさてくれる話だった。端的に言うと、トヨタ

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    2025年03月24日
  • 奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢

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    ソニーの凋落を書き連ねた本。
    ソニーといえば、年代的にCD、MD、プレステあたり。
    大量に就職した世代を、大量にリストラする結構生々しい内容。
    自分が無知なだけで、VAIO、テレビ事業なんかは結構ニュースにもなった記憶。
    リストラとは、本来『再構築』という意味があり、ただ単に構造改革という一言では終わらず、その後どう活動するのか?が問われるポイント。
    早期退職した人のほうが生き生きと生活している締め、それがソニーへの愛だったのは皮肉ですね。

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    2025年02月19日
  • アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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    映画が評判になって、気になってたものの見る機会を得ることができなかった。文庫を手にして、心から感動した。真摯に一生懸命に、そして前向きに頑張っていく力をもらった。

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    2024年12月04日
  • アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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    娘を助けたくて人工心臓の研究を始める筒井夫婦
    今の時代は3組に1組が離婚する時代
    なにかあればパワハラセクハラ
    少数のものが声を上げたい時は多様性
    もちろんいい事もたくさんあるけど
    この話は今の時代じゃこんな風になってなかったのではないかな。
    借金まみれでも支える奥さん
    その人物に心動かされて協力する人達
    娘を助けることは出来なかったけど
    みんなよんちゃんを思ってた。
    そして今も色んな人を助ける道具を作っている。

    胸がすごく熱くなりました。

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    2024年11月15日
  • アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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    映画ディアファミリーの原作
    家族の愛に溢れる作品でした
    読みにくい部分もありますが、とても良かったです

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    2024年09月23日
  • しんがり 山一證券最後の12人

    Ryu

    購入済み

    なんとなく知っているが詳しい内容はよく分かっていなかった山一証券破綻について理由・経緯が分かる上に、こんな熱い志持ったサラリーマンたちがいたんだと目頭が熱くなる内容。
    自分が同じ立場だったら、しんがりとして残れたか…無理だろう。次の職や将来、家族などの不安で真実追求や清算処理なんてする余裕は絶対にない。でも、それをした人たちが実際にいた。その志、信念には感服するばかりで、読み終わったあと、色々と考えさせられた。すべてのサラリーマンに読んで欲しい一冊。

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    2024年08月15日
  • アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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    実話。

    実業家としてのチャレンジ精神、父としての愛、使命感。

    自分が彼の立場で、ここまでできるだろうか。

    でも、目の前のことに誠実には取り組める。

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    2024年08月04日
  • しんがり 山一證券最後の12人

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    山一証券破綻時、姫路で勤務していたが、勤務先のビルの一階がとてつもなく立派なショウルームのようなフロアーに、なんと山一がメリルリンチに! 富裕層しか相手にしません感満載、長続きしないと思っていたがその通り…

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    2024年07月13日
  • アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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    映画を観て原作を読みましたが、絶対に諦めない家族の愛の物語に沢山泣きました。
    人工心臓を作ることはできませんでしたが、結果としてIABPバルーンカテーテルによって17万人の命を救うことが出来たのは、このストーリーに出てくる全ての方の尽力があったからこそ成し得た軌跡。
    沢山の方に読んで頂きたいです。

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    2024年06月29日
  • どんがら トヨタエンジニアの反骨

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    どんがら

    メーカーで製品企画/開発を担当しています。
    業界は違いますが、“ものづくり”に携わる方達には共感できる事が多いのでは無いでしょうか。
    若手エンジニアに勧めたい一冊です。
    因みにスープラ納車待ちの86 乗りです。

    #アツい #感動する

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    2023年03月05日
  • 後列のひと 無名人の戦後史

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    最前列ではない日の当たらない、市井の人々の人間模様を描いた傑作。

    目立たぬ後列で組織や社会を支える人たち。実はそんな人の方が多いことを中気づく年齢にいつの間になっていた。もちろん自分も含め。

    本書は「文藝春秋」に連載されたもの。筆者の十八番のサラリーマンもので多くはバブル崩壊が出てくる。

    それぞれの登場人物の仕事と人生に対する矜恃が胸を打つ。そう自分の今の境遇を比較して至誠に悖るところ努力に憾みはないだろうか。

    人生に前向きなれる大きなパワーを持った本。

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    2021年11月19日
  • 石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの

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    外務省ノンキャリアによる海外外遊に伴う機密費の横領(詐欺)を巡る警視庁2課の奮闘を描いたノンフィクション。
    地味で地道な捜査、霞が関を守ろうとする官邸・外務省・警察内部など腐った官僚組織の数々。
    それを乗り越え立件していく刑事たちの仕事。
    そして成し遂げた結果がこれだよ!という最悪のオチ。
    読み応えのある素晴らしい作品。

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    2019年09月15日
  • 奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢

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    世界のSONYと呼ばれた超一流企業のリストラの実態。えげつない内容が冷静に綴られる文章の行間に、人々の夢と希望への熱いを感じる。

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    2016年05月28日
  • しんがり 山一證券最後の12人

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    コンプライアンスを生々しく考えさせられる本。会社がおかしな意思決定になるのは、無責任で決められないトップ、ものを申せない経営陣、哲学が強く暴走する事業部長、恩義を感じて黙認する社員など、いろいろな人間味が混ざっている。
    社内調査という柔らかさがあるからこそ、外部監査とは異なり見えてくる事実があるのは興味深い。登場人物のひとりのように、聖書や仏教から人生訓を持つのも良いかもしれない。

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    2025年12月05日
  • アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録

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    この本を読む前に、ふと学生時代にテレビで見た心臓カテーテルの制作ドキュメンタリー(ニュースだったかも)を思い出し、「この一家のことだったのか…!」と感動しました。
    父と母、そして姉妹が、ただ自分の家族を守ることを目的に、あらゆる勉強に励み、なんでもやってみるその姿がとても心に残りました。この一家の心情や誰かに対する姿勢を見習いたいものです。

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    2025年09月06日