清武英利のレビュー一覧
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SUBARUと共同開発した86/BRZのトヨタ側開発責任者の奮闘記。
大衆車メーカーと自らを規定するトヨタで、市場規模のわからないスポーツカーを開発するのは想像以上に内部調整が難しい。
悩んだ主人公が相談に行ったMAZDAのロードスター開発の重鎮とのやり取りには、会社の枠を超えてスポーツカー開発に賭ける者に共通する心情が見える。
仕事の作法から手続き、用語まで異なる共同開発をやり遂げたのは、リーダーの力量に加えて、メンバーたちの情熱があったことに間違いない。
その後BMWとのスープラ共同開発にも駆り出された主人公の行く末には、勤め人の悲哀を感じざるを得ない。 -
Posted by ブクログ
著名人の陰で実務に徹したいぶし銀の人々の功績の話、はかりではないのでそういうのを期待するなら間違いだが、文字通り無名の、この本でしか取り上げられないような知られざる人について書かれた読み物で、それなりにおもしろい。著者は後から奥付を見たが元読売新聞だそうで、言われてみればまさしく文章が読売調だなぁとおもった。
糸川英夫と晩年のロケット開発の陰にいたトヨタの赤塚氏、伴侶アンさん。相場師六本木筋こと長谷川陽三と桑名筋こと板崎喜内人(きなんど)の話は興味深かった。
偉い人の一方的な長話を以下のように解釈して飲み込むアイデアは頂きである。
P61 80歳近い老人(糸川博士)が「ちびまる子ちゃん」を -
Posted by ブクログ
最前列ではなく、後列の目立たぬところにいて、人や組織を支え、しかも一本筋が通った人たち。そんな人たちにスポットライトをあて、残した爪痕や非凡な歴史をあぶり出す。
18編から成り立つが、その主な人物像を列挙しておく。
・戦時下、事故死した戦闘機のテストパイロット
・特攻隊員が散華の前夜に宴を張る旅館で世話をした女将
・トヨタ生産方式を最初に実践することになった第一期養成工
・終戦後、ベトナムに残り戦法や規律を伝え尊敬されながらも、ベトナム戦争に巻き込まれ祖国に帰れなかった残留日本兵
・ベトナム戦争に従軍して戦争報道に身を投じ後に沖縄基地問題を世に訴えた無名の戦場カメラマン
・山一証券自主廃業の裏