あらすじ
2001年に発覚した外務省機密費流用事件、官邸・外務省を揺るがせたこの事件を掘り起こしたのは名もなき刑事だった。
容疑者は、着服したカネで次々と愛人を作り、競走馬を何頭も所有する外務省の「ノンキャリの星」。地道な裏付け捜査と職人技を駆使した取り調べ、そして容疑者と刑事の間に生まれる不思議な人間関係。
機密費という「国家のタブー」に触れてしまった二課刑事(ニカデカ)たちを待っていたのは――。
人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
外務省ノンキャリアによる海外外遊に伴う機密費の横領(詐欺)を巡る警視庁2課の奮闘を描いたノンフィクション。
地味で地道な捜査、霞が関を守ろうとする官邸・外務省・警察内部など腐った官僚組織の数々。
それを乗り越え立件していく刑事たちの仕事。
そして成し遂げた結果がこれだよ!という最悪のオチ。
読み応えのある素晴らしい作品。
Posted by ブクログ
先にドラマ版の石つぶてを見てしまったせいか、読み進めるワクワク感が無かったが、これを見てドラマ版はよくできているなとおもったし、ノンフィクションの本書を下書きに、映像化する際に、人間関係や登場人物の性格、伏線の張り方を少し変えてドラマチックに演出していることが分かって面白かった。
また、松尾氏の汚職事件簿でもある一方で、刑事の戦いも物語であり、型破りな刑事が多く登場するが、今は管理社会でその存在は許されず、同時に検挙数も下がっているという。日本社会に様々な問題があるが、警察内部においてすら、ある種の息苦しさというのが存在するのだなと改めて思った。
Posted by ブクログ
他の方の書評にもあったが、淡々と実名で語るノンフィクションは読み応えがあった。
だけど、完全勝利は難しく役得で逃げ切った大物たちが多いことが読み取れる。そこに警察官達の忸怩たる思いややるせなさも正直に書かれていると思う。
機密費という名のもとに、好き放題に使っている官僚や政治家に怒りを覚えるも、一般大衆にはどうすることもできない。その闇に挑んだ二課の刑事たちの物語。
タイトルである石つぶてとは?・・・
巻末での『廉吏』な警察官に対して敬意を払いたいと素直に思いました。
Posted by ブクログ
ドラマを配信で観てから読んだ。2課といえば振り込め詐欺を想起するけど、こう言う現場もあるんだな、と。公金の使い込みは腹立つけど、機密費の必要性は少しは認めるが、こんなことがあるとまだまだ闇は続いているんだろうと思うなぁ
Posted by ブクログ
「しんがり」が良かったので、こちらも手に取る。
期待に違わず面白く一気読みでした。事件そのものは、私の中では山一の方が衝撃的で、こちらも同じ外務省で、この後に世間を騒がした、佐藤優・鈴木宗男の一連の事件の方が印象に残っている。
本書もノンフィクションではあるが、出来のいい映画を見ている様に一気に話が展開していきます。捜査をする刑事がホント濃い人ばかりで、こんな組織の中では、自分は絶対に生き抜けないとつくづく思いました。
摘発された松尾も、最後は外務省を守ったのか。捜査では明らかにできなかったそこを、作者が突っ込めたら凄い傑作になってると思う。
この人の作品はもう少し読んでみたい。
Posted by ブクログ
エンターテインメントではない でも真実でもない 積み上げられた事実のみが存在する 鮮やかな伏線回収や心を震わせる感動のラストではなく 事実の力強さがここに在った
Posted by ブクログ
骨太な警察小説。ノンフィクションで、実名での作品。
2課の活躍する小説はこれが初めてでした。
情報がいかに大事か、同じ課でも詮索されないようにする徹底ぶり。
今回の事件、恥ずかしながらこの作品を読むまで知りませんでした。
国家の裏金を何億も私的利用するなんて、中々に闇が深い。
完全解決もしてない為、警察内部での社内政治的な1面も感じ、なかなかモヤモヤしました。