しんがり 山一證券最後の12人

しんがり 山一證券最後の12人

968円 (税込)

4pt

負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。

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しんがり 山一證券最後の12人 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    『しんがり』
    清武英利

    清武英利さんの『しんがり 山一證券 最後の12人』は、実話に基づいたノンフィクション作品で、1997年に自主廃業した山一證券の“最後の砦”となった社員たちの姿を描いている。

    1997年、老舗証券会社・山一證券が突然の自主廃業を発表。
    社長の号泣会見は世間に衝撃を与え、

    0
    2025年10月12日

    Posted by ブクログ

    『ーーたぶん、会社という組織には馬鹿な人間も必要なのだ。いまさら調査しても、会社は生き返るわけではない。訴えられそうなその時に、一文の得にもならない事実解明と公表を土日返上、無制限残業で続けるなど、賢い人間から見れば、馬鹿の見本だろう。しかし、そうした馬鹿がいなければ、会社の最期は締まらないのだ。(

    0
    2025年09月17日

    Posted by ブクログ

    ノンフィクションとは思えない読み味の良さと人間ドラマである。決して「ざまぁ系」のような逆転劇ではなく、ただそこには人の意地と良心があり、我々は不器用な彼らを語り継ぐことが最大の賞賛となるのだろう。

    0
    2025年08月17日

    Posted by ブクログ

    ハンナ・アーレントは「エルサレムのアイヒマン」でホロコーストの中心人物アイヒマンを見るからに極悪非道な悪人ではなく平凡な官僚だと評し悪の凡庸さを主張した。

    山一証券を破綻に追い込んだ人たちも同じ構図なのではないかと思う。確かに出世欲や金銭欲が人よりあったのかもしれないが、最初は些細なことで始まり、

    0
    2025年08月06日

    Ryu

    購入済み

    なんとなく知っているが詳しい内容はよく分かっていなかった山一証券破綻について理由・経緯が分かる上に、こんな熱い志持ったサラリーマンたちがいたんだと目頭が熱くなる内容。
    自分が同じ立場だったら、しんがりとして残れたか…無理だろう。次の職や将来、家族などの不安で真実追求や清算処理なんてする余裕は絶対にな

    0
    2024年08月15日

    Posted by ブクログ

    山一証券破綻時、姫路で勤務していたが、勤務先のビルの一階がとてつもなく立派なショウルームのようなフロアーに、なんと山一がメリルリンチに! 富裕層しか相手にしません感満載、長続きしないと思っていたがその通り…

    0
    2024年07月13日

    Posted by ブクログ

    コンプライアンスを生々しく考えさせられる本。会社がおかしな意思決定になるのは、無責任で決められないトップ、ものを申せない経営陣、哲学が強く暴走する事業部長、恩義を感じて黙認する社員など、いろいろな人間味が混ざっている。
    社内調査という柔らかさがあるからこそ、外部監査とは異なり見えてくる事実があるのは

    0
    2025年12月05日

    Posted by ブクログ

    あの社長の涙の会見は覚えている。
    専門用語や、部署と役職名が多出するため少し読みづらい。
    しんがりと言うからには敗戦したのであろうが、山一證券は何と戦って敗戦したのか?
    戦うべき兵隊である社員には、戦うべき敵が隠されていて戦えていない。不戦敗だ!
    一部の上層部による籠城戦。敵は彼らの義理、見栄、保身

    0
    2025年07月22日

    Posted by ブクログ

    おもしろかったが、証券業界の仕組みがむずい。
    12人の中に「パソコンが得意」って人がいるのが時代を感じるw

    0
    2025年05月06日

    Posted by ブクログ

    世間を揺るがせた事実が基になっているだけあり読みごたえがあった。粉飾の場合は殆どがなるべくしてなった事象であり当事者に同情の余地はないが、会社の最期を見届け締め括るしんがり達には男気のようなものを感じる。もし自分の会社がこのようになった時に、終身雇用のサラリーマンの運命と割り切るには自分の心が追いつ

    0
    2023年12月10日

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