清武英利のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
無名人の戦後史という副題が内容を表している。6章18話だが、各話がすべて独立というわけではなく、関連している話もある。また、後列はいえ、最前列ではないだけで前の方の列と言えるとい思う。
それだけに各々に話になるだけの人生があって、物語になっているのだ。そして、いずれもが一生懸命に生きていることがよく分かる。
こんなに必死なのにこれしか報われないのかと読むか、苦労を超えて一生懸命働くことが立派だと感じるか、読者によって感じるところは様々であろう。
人生いろいろではあり、自分の周囲だけではわからない世界を知ることは意味がある。いろいろな人がいるのは面白いというか価値の大きさを改めて感じた。 -
Posted by ブクログ
「しんがり」が良かったので、こちらも手に取る。
期待に違わず面白く一気読みでした。事件そのものは、私の中では山一の方が衝撃的で、こちらも同じ外務省で、この後に世間を騒がした、佐藤優・鈴木宗男の一連の事件の方が印象に残っている。
本書もノンフィクションではあるが、出来のいい映画を見ている様に一気に話が展開していきます。捜査をする刑事がホント濃い人ばかりで、こんな組織の中では、自分は絶対に生き抜けないとつくづく思いました。
摘発された松尾も、最後は外務省を守ったのか。捜査では明らかにできなかったそこを、作者が突っ込めたら凄い傑作になってると思う。
この人の作品はもう少し読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
バブルの後始末に奔走する男たちを描いたノンフィクション。
乱脈融資に走った住専会社。それを裏で後押しした銀行。莫大な不動産融資により膨れ上がった不動産業者。
バブルの熱狂で異常な日本の後始末をするために作られた整理回収機構のおはなし。
冒頭から悪徳債務者の実情、手口が描かれていて、トッカイ側の人間との対比で非常に読みやい。当時の男たちの苦労を十分に理解できた。しかも出てくる人間はほぼ実名。
普通のサラリーマンとして入った会社がバブルの影響で破綻し、なんの因果か債権回収を行う羽目になった男たちの苦労。時にはヤクザともやり合い、命の危険も感じながら仕事をするなんて。同じ金融機関としてもなかなか -
Posted by ブクログ
ノンフィクション小説のようなものかなと思っていましたが、比較的簡素な内容でした。映画を先に見て、その補完として読まれるのが良いかと思います。登場する方々の殆どがバイタリティに溢れ、ある意味ベンチャー精神に富んだ方たち。そう感じられたということは、佳美さんの生涯を、様々な人間の人生に精神的にも、ともすると社会的にも好循環を産んでいくというとてもポジティブな結果へ結んでいくという、「感動先行」のドキュメンタリーとして昇華しているように感じ、後味に読み手にも力を希望を与えてくれるような本でした。星の数は、この本の読者として、もう少し深く読みふけりたかったという点で3です。