清武英利のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ自動車業界で、販売台数世界No.1、つまり、大衆向けの車を作っているトヨタで、
「売れない」「儲からない」と言われながらも、若者の車離れを食い止めるために、採算性を超えて再挑戦したプロジェクト=スポーツカー「86」やスープラの復活に賭けたトヨタチーフエンジニアとその部下たちの心震わす物語。
技術者はときに、自己実現や「自分がこういう車を作りたい」という情熱を原動力にしているため、営業部門や役員から理解されないことも多くあっただろう。
トヨタの核や強み、本分とは異なり、社内からの軋轢は多かったことだろう。
ただし、そこには単なるスポーツカーの復活を遂げ、大きな壁を乗り越えた熱い物語というだけでなく、自動運転やカーシェアリングの時代、百年に一度の大変革期に、スポーツカーを作ることの意義を考えさせられるものだった。
特に、
「自動運転やカーシェアリングの時代に、スポーツカーは生き残れるのか」とスポーツカーの定義を問われたときに、多田は「スポーツカーとは本質的に、日常の役に立たないものです」と断言した。
車は通勤から運送、レジャーに至るまで幅広くちゃんと役に立つものである一方、スポーツカーは心を満たす趣味の領域のもの。その世界はいつまでも残るだろうが、これからの時代はどんな車好きも体験したことのない驚きや感動を与える付加価値を、スポーツカーを使った新しい遊び方(例えば、ゲームやメタバースに絡めて)を同時に提供していくことなどが求められている。
このプロジェクトは、まさに赤字でも取り組む価値(これまでとは異なるプロダクトやサービスの可能性)に満ちていることを痛感させられた。
私たちは「トヨタの10年後」には、
ほんの数十年前の携帯市場の(現在は1位韓国・サムスン、2位米国・アップル、3位中国・シャオミだが)1位フィンランド・ノキアや2位米国・モトローラなどトップシェアを誇っていた企業が「スマホの台頭」によって軒並み消えてしまったように、
トヨタも消えてしまっていることもあり得ない話ではないし、ゲームチェンジは突然訪れるもの。
しかしながら、トヨタもスポーツカーの開発・製造・販売・サービスを通して、新しい価値を生み出すことの意義を見出だせたと思うし、土台は着実に作れているんじゃないか、と感じた。 -
Posted by ブクログ
多田哲哉
三菱自動車でラリー部門に行けず退社、ベンチャー企業からトヨタへ。
早く安く 二代目ラウム、パッソ、ラクティス、ウイッシュ担当
2007年1月 スポーツカー担当へ
チーフエンジニア=部長、主査=次長、主幹=課長、主任=係長
チーフエンジニアの仕事の9割は辛抱すること 主査は製品の社長 2019年21人
佐々木良典 父親が初代レクサス企画から副社長
スバル=すたれた市役所 トヨタ=高度な町工場
賚(たもう)主査 金沢市立工業高校から富士重工へ~群馬大学工業短大(夜間
スポ―ツカ―は四駆に限る
ナスカーでのヒアリング →手軽に買えるスポーツカー
自分でカスタマイズ ライバルより速いクルマではなく
エンジン開発 一千億円 →スバルのボクサーエンジンのFRに
2008年マツダの貴島主査 徳島東工業高校から東洋工業へ
儲かるスポーツカー 経営を味方に 絶対やめない こだわりの強い人を揃える
乗せて、その人が楽しいと思うクルマ
開発番号 086A 技術企画統括センター付 BRスポーツ企画統括グループ
スポーツモデル全体で収益
直噴D-4S S=ストイキオメトリー(理論空燃比) 86x86スクエアエンジン
モディファイ可能なデザイン
600人のスポーツカー通勤社員から200人の意見を聞く 王道のデザインへ
1.知らないのは当たり前と考える
2.即決 (後で訂正)
3.約束と日程厳守
4.グループの最新技術リサーチ
どんがら=ホワイトボディ
試作車:クルマとの会話ができない(章男社長)
→エンジン音やきゅ気温の導入・電子制御の介入を遅らせる →OKへ
BMW
走りとラグジュアリーでポルシェ、メルセデスの中間を最良のバランスで住み分け
ドイツ全体が自動車会社としてつながっている
スープラ 700万円が限度 10万台が7万台以下へ 原価100万円アップ
赤字はBMWのノウハウ金額化で相殺
スポーツカーとは日常の役に立たないもの -
Posted by ブクログ
「下町ロケット」的テイストの話ではあるけど、ノンフィクションだし、何と言ってもスバルとの共同開発である86(ハチロク)という実車開発の裏話なので、とても楽しく読めました。。というか86が欲しくなります(^^)。BMWとの共同開発なスープラの逸話も語られ、こっちはもっと欲しいけど、価格的にちょっと手が届かない感。
印象に残ったのは、センスを身に着けるには「家庭画報」を読め、というところと、あと、CV、1A、号口、といったトヨタ用語に関する説明は、以前、同社との仕事をしていた時にリアルで体験したので、そうだったなあ~と。
どこの会社にも尖った人や情熱のある人はいて、そういう社員をどう活かすか、というのは一つのテーマでもありますね。 -
Posted by ブクログ
トヨタ自動車の名誉会長である豊田章一郎氏が亡くなった。同社の社長交代人事も発表された。一つの時代が終わったのだと感じる。この先どうなっていくのかとても気になる。
本書の著者は清武英利氏。読売巨人軍の元球団代表だ。自分は知らなかったが、現在ノンフィクション作家として活躍されている。
本書は86(ZN6)とスープラ(A90)の開発秘話である。環境保護が叫ばれる現代において最後になるかもしれない純エンジン車のスポーツカーの開発を、あるチーフエンジニアを主人公にした物語風に書かれている。
出てくる会社もトヨタだけでなく、スバル、マツダ、BMWと多く、それぞれの車づくりに対する思いを感じられた。
また、サラリーマンとして、おぼろげであやふやなものをしっかり形にし、完成させる力とその術に自分も尻を叩かれた思いがした。 -
Posted by ブクログ
野村證券からSMBC、そしてシンガポールのプライベートバンクへと転職した主人公を追いながら、日本人富裕層の資産運用に関して実話も交えたストーリーが展開される。
プライベートバンクは顧客の資産運用を行い、資産総額に対して一定の手数料を取るビジネスモデルのため、一般的な証券営業マンとはインセンティブが異なる設計。
また今ではかなりの規制が入ったと思われるが、シンガポールのタックスヘイブンとしての機能性は高く、キャピタルゲイン課税や相続税がないか極小であり、またケイマン諸島などを活用した法人税回避のスキームに関しても、エージェントが多数おり、まさに打ってつけの場所であった。
一方で、そうした資産運用のために、一定程度シンガポールで過ごす富裕層の切なさ、寂しさもリアルに描かれており、お金は本当に人を幸せにするのか、について深く考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
先にドラマ版の石つぶてを見てしまったせいか、読み進めるワクワク感が無かったが、これを見てドラマ版はよくできているなとおもったし、ノンフィクションの本書を下書きに、映像化する際に、人間関係や登場人物の性格、伏線の張り方を少し変えてドラマチックに演出していることが分かって面白かった。
また、松尾氏の汚職事件簿でもある一方で、刑事の戦いも物語であり、型破りな刑事が多く登場するが、今は管理社会でその存在は許されず、同時に検挙数も下がっているという。日本社会に様々な問題があるが、警察内部においてすら、ある種の息苦しさというのが存在するのだなと改めて思った。 -
Posted by ブクログ
無名人の戦後史という副題が内容を表している。6章18話だが、各話がすべて独立というわけではなく、関連している話もある。また、後列はいえ、最前列ではないだけで前の方の列と言えるとい思う。
それだけに各々に話になるだけの人生があって、物語になっているのだ。そして、いずれもが一生懸命に生きていることがよく分かる。
こんなに必死なのにこれしか報われないのかと読むか、苦労を超えて一生懸命働くことが立派だと感じるか、読者によって感じるところは様々であろう。
人生いろいろではあり、自分の周囲だけではわからない世界を知ることは意味がある。いろいろな人がいるのは面白いというか価値の大きさを改めて感じた。