あらすじ
サラリーマンの頑固な情熱が、変革を起こす
野球と無縁の人生を歩んできた2人のサラリーマンが、どん底、赤貧に喘ぐ球団の建て直しに身を投じる、渾身の企業ノンフィクション。
単行本 2020年8月 文藝春秋刊
文庫版 2025年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
巨人球団代表を務めた著者(元 読売新聞)が巨人ではなく、阪神の野崎球団社長(元 阪神電鉄)と広島カープの鈴木球団本部長(元 東洋工業=マツダ)の「サラリーマン球団社長」を描いた作品。
「第十二章|ボロボロになる前に」、「第十三章|枯れたリーダー」、最後の「第十四章|耐雪梅花麗」は涙なくして読めなかった。
Posted by ブクログ
阪神タイガースと広島カープのサラリーマン球団社長の実話。
私はベイスターズファンですが、いちプロ野球ファンとして大変興味深く読ませていただきました。
結局はマネーゲームなのかな、いやいや本書にもあるようにサラリーマンやファンの力で球団を動かすのだ!
だからプロ野球はおもしろい!
Posted by ブクログ
野球ファン(カープ)だしこういう本には無条件で惹かれる。
カープの鈴木清明球団本部長は野球の素人だけど選手に寄り添いカープファンのことを一番に考えてくれるサラリーマンだ。
球団経営は想像をはるかに超えたしんどさがあるんだな。
お金がない、ないから選手を育てるしかない、育てたらお金がある巨人に獲られる、の繰り返し。
刈り取られたハゲ山みたいだけど
そこに日の光が当たりまた選手が育つ、その繰り返しだ。
それでもカープから目が離せない❢
Posted by ブクログ
サラリーマン球団社長と言う、かなり地味な存在に焦点を当てた本。阪神の野崎氏と広島の鈴木氏、2名のエピソードが交代で出てくるのだが、どちらかに絞った方がいい気もする。
Posted by ブクログ
とくに野球好きでもない会社員が成り行きで球団の運営に携わることに。素人いびりはあっただろうによくここまで続けられたなぁと感服。
著者も野球関係者のようで、主に主役の2人の一人称で展開される中、たまに著者の一人称が入るので読みづらかった。
Posted by ブクログ
2000年代に球団社長を務めた阪神タイガース野崎氏、広島カープ鈴木氏が、監督の交代や選手の移籍、球団再編の局面でいかに対応したのかを追うノンフィクション。
野崎氏と鈴木氏の夫々のエピソードを並行して取り上げていますが、私は圧倒的に野崎氏の部分が面白かったです。
野崎氏が阪神電鉄関係会社から阪神タイガースに出向となったのは藤田監督の退任の時期。その頃の阪神はまさに万年Bクラスの暗黒時代。それはスカウトや編成などが旧態依然としたやり方で全く機能していなかったからでした。
阪神タイガースのオーナー久万氏、在版スポーツ紙のマスコミ、そして発言力の大きな阪神タイガースOBなど、球団の運営方法をめぐる魑魅魍魎とのやりとりが、非常にリアルに描かれています。こんなことをしていたから、強くなれなかったのか、と改めて実感。
意外だったのは、スカウト情報をパソコンでデータ化し、球団フロントで共有するシステムを、日本球界で最初に導入したのは野崎氏が球団代表だった2001年の阪神タイガースだった事です。野崎氏とシステムを提案した担当者吉村氏が改革を進めるのですが、スカウトからは拒否反応を示され、結局システムを運用するには至りませんでした。ちょうど星野監督の時代です。もしも、この時にシステムを定着させることができていたら、2005年のリーグ優勝から再び暗黒時代に戻ることはなかったかもしれません。吉村氏は後に日本ハムに移籍し、阪神タイガースでやろうとしたスカウトのシステム化を実現し、ヒルマン監督時代の日本ハムを支えることになります。
2004年の球団再編の局面では、巨人の動向を気にかけ、渡辺恒雄氏の顔色をうかがう阪神の久万オーナーに、野崎氏は振り回されることになります。しかし野崎氏は、阪神タイガースだけではなく、球界全体の発展を目標に、1リーグ制を支持していた巨人=渡辺氏に毅然と反旗を振りかざしたのでした。阪神タイガースの球団運営を近代化、正常化した野崎氏ですが、その成果を評価されるよりは、どちらかというと旧主派、保守派からは疎んじられる結果を招きました。それでも筋を通すところが、読んでいて痛快ではあります。
広島カープの鈴木氏については、黒田投手のドジャーズ移籍や、のちのカープ復帰、緒方選手の引退をめぐるやりとりなど、こちらも当事者の口から語られる興味深いエピソード満載です。