高橋恭美子のレビュー一覧
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犬好きは熱くなる。犬好きじゃなくても熱くなる小説。
アフガニスタンで戦闘に巻き込まれ、相棒の兵士・ピートを喪い、自らも銃撃を受けた軍用犬のマギー。パトロール中に銃撃事件に遭遇し、マギーと同じように相棒のステファニーを喪い、自らも重傷を負った刑事のスコット。
心身共に大きな傷を負った一人と一匹の絆と再生を、緊迫感溢れる事件の様相と共に描いていくミステリーです。
冒頭からなかなかにたまらない書き出し……
銃撃戦に巻き込まれピートが倒れ、マギー自身も撃たれてしまうのに、それでもマギーはピートを元気づけようと顔を舐め続ける。しかし、ピートの体温は次第に冷たくなっていき……
さらにスゴいのが、こ -
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ちょっとズルをして解説から読んだ。どんな犬なの? 興味津々だった。
北上次郎さんは
これは、心に傷う撃った人間と犬の物語だ。ミステリー・ファンはもちろんだが、犬好き読者にも是非おすすめしたい、もう、たまらんぞ。
肉声を聞くような 笑
犬も猫も好き。猫語は少し分かる気がする。犬はいなくなって随分日がたった。
家に来た子供の時はくりくりした丸い眼でそれは可愛いかった、コッカースパニエルだ。大人になると金色の長い毛を持ち成長するにしたがって優美になって声も低く、怒ったこともない。夕方の散歩にいくと逆光で長い毛が光の玉のようになって走る姿が今でも浮かぶ。病気になって、いなくなってしまって -
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「容疑者」「約束」に続く第3弾だというので、シェパードのマギーが出て来るのだと思ったら、無関係だった。
探偵エルヴィス・コールは、デヴォン・コナーから、高校生の息子タイソンが高価な物や多額の現金を持っていて怪しいから調べてくれと依頼される。タイソンの持っていたロレックスの番号から盗品だと分かる。しかも連続して金持ちの家から盗む事件があって、もしかするとタイソンはその犯人グループの一員なのだろうか。盗まれた物を追いかける悪党二人組は残忍に人殺しを続けていく・・・
マギーが出てこないという意味では東京創元社はサギじゃないかー、と文句を言いたいところだけれど、面白かったのでまあ良しとする。
コ -
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この作家は女性の描き方がうまい。訳者もあとがきでそう言っている。そう。実に巧いのだ。主要登場人物のみならず、ワンシーンのみ登場するだけの脇役に至るまで、こと女性に関しては個性が際立っている。作者はよほど女性から痛い目に遭っているのかもしれない。あるいはとても優しくて女性にもてる作者の人間観察力がそうさせるのかもしれない。
さて、ともかく。スコット&マージという捜査犬シリーズを離れ、いよいよエルヴィス・コール&ジョー・パイクという作者のメイン・シリーズである。ぼくには初読である。しかも新作。二人の単独シリーズとしては何と19年ぶりとなるらしい。何故? Why? 無論、『容疑者』『約束』と、 -
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最近、ぼくの最もお気に入りのハードボイルド・シリーズがこれだ。
前作『容疑者』は作家を復活させるほどの人気を得たらしい。ぼく自身を含め相当の新しい読者を獲得したに違いない。スコット&愛犬マギーというハンドラーと警察犬コンビがたまらない。共に、相棒を銃火で失い、心と体に深い傷を負った同士の、復活と愛情の、感涙ものの傑作であった。
だから、本作で、ロバート・クレイスの本家シリーズのレギュラー・コンビ、エルヴィス・コール&ジョー・パイクが、一人と一匹のシリーズに合流するという趣向の作品が早くも登場したのも、自然な流れだと思う。何せ、コールは17年ぶり、パイクは7年ぶりの復活作品。彼らにとっ -
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以前は同じ著者の作品を立て続けに読むということをよくしていましたが、最近はいろんな著者の作品を満遍なく読むようにしようと、同じ月に同じ著者の本はできるだけ読まないようにしています。しかし今月初めに読んだ『容疑者』がめちゃめちゃよくて、続編があると知ったら読まずにはいられず。それがこの『約束』。
ロバート・クレイスの作品を読むのは『容疑者』が初めてだったので、今回も刑事ひとりとジャーマンシェパード1匹が主人公だと思ったら、同著者に“コール&パイク”というシリーズもあるそうな。今回は『容疑者』のコンビと、コール&パイクのコンビの、いわばコラボ作品。ファンにとってはたまらん豪華キャストかと。
探 -
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字ぃちっちゃいのよ、創元推理文庫。同程度の厚さでも、講談社文庫と比べたら文字数は倍くらいちゃうか。というのは言い過ぎか。老眼が来るとついつい創元推理に及び腰になってしまいます。この文字の小ささで400頁超やけど、読むのに何日かかるやろと思ったら。こんなん反則、プロローグから涙がこぼれる。
パトロール中に事件に巻き込まれ、相棒女性を亡くしたロス市警の刑事スコット。アフガニスタンで狙撃され、ハンドラー(指導手)を亡くした雌のジャーマンシェパードの軍用犬マギー。心身ともに深い傷を負った一人と一匹が出会うとき。事件から9カ月経つも挙げられない犯人を見つけようと、スコットはマギーと組み、捜査を開始する -
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抜き差しならない状況に追い込まれた恐怖を描くことで人間の本性をあぶりだすのがキングという作家。キングの描く「抜き差しならない状況」というのは死に直面することだ。自分の命が危うい恐怖からさらにエスカレートして、相手の命を奪わなければならない状況に陥ったら・・・汗。
勧善懲悪の時代劇でもなく現代は法治国家であるなかで、この本に納められている2編では最終手段をとってしまう。相手はそうされても当然なのですが、なにか引っかかる描き方。どんな理由であれ、相手の命を奪った者が味わうことになる恐怖は「FullDark,No Stars」前半を収めた「1922」に描かれています。これで、無間地獄のようにもとに -
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前に読んだ『1922』の分冊。「ビッグ・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」の2編収録。
「ビッグ・ドライバー」は講演の帰りに大男に拉致され暴行を受けた作家が復讐を決意するという話。「素晴らしき結婚生活」は30年近く連れ添った夫が連続殺人鬼であると知った妻の行動の描く話。
どちらも普通の生活を送っていた女性が突如異様で狂気に満ちた状況に身を落とすという点で共通している。そしてどちらの女性も自分ひとりで決断し、きっちり行動に移す。
超常現象はないしホラー要素にしてもさほど強いわけでもない。その分、異様な状況におかれた人間の姿が濃密に描かれていて圧倒される。良い具合にキレのあるキングだった。 -
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久しぶりに,一日で読み終えなかった本。キングは昔から好きだが、これはキングが精神がかなり上にいったのでは?と思うくらい。私の歳くらいだとバンバン出てくる映画やらなにやらは、すっと出てくるが、あまり見ない人は比較が?になりそう。でも多分誰でも知っている範囲とは思うが…
一編一日ずつ読んだ。なかなかえぐさもあるのだが、多分現実からはそう遠くない感情だろう。映画やドラマじゃきれいごとになりそうな。しかし、ヒントを得たところがそれぞれあるとはいえ、これはフィクションだし。私が特に感心するのは、キングが男なのにここまで女性心理を書けること。わかったつもりで書く作家は多いがその域を出ない人がほとんどの中、