高橋恭美子のレビュー一覧
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ネタバレクリスティ好きな私は、文句なしに楽しめた!
仲の良いフィンリー姉妹、その姉アリシアが主催する「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」。そのメンバーの1人が失踪し、メンバー全員で行方を探すことに。ところどころ散りばめられる”手がかり”と、バックグラウンドにあるクリスティの作品。ミッシーはミスマープルっぽい観察力の持ち主で、フィンリー姉妹は2人でタペンスのような役どころ。そしてメンバー全員で灰色の脳細胞を働かす。最後までクリスティにこだわって、なるほど〜と納得の結末でした。
ところで作中にある「青列車の謎」はクリスティ自身も納得がいっておらず、評価も低いとの事だけど私はかなり好き。クレアも言っているように「茶色の服の男」はとてもつまらなかった記憶がある。 -
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警察犬マギーのシリーズではありません。
「指名手配」は探偵コール&パイクシリーズ17作目で、「サンセット大通りの疑惑」以来19年ぶりの邦訳(訳者あとがきより)です。
ロバート・クレイスのWikiにある作品リストだとわかりにくいですね。
マギーが登場する「容疑者」は当初単発作品のつもりだったのではないでしょうか。
しかしこの作品が作家を復活させるほどの人気を得たので、
新たに得た読者層を続編「約束」に導いてコール&パイクに出会わせ、
マギーは?と思っているうちにコール&パイクの魅力にひきつけて本流のシリーズに誘う仕掛けかな。
仕掛けにはまった私は「指名手配」でさらに2人に魅了され、
それと共になぜコールとパイクはこんな女性や子どもを守ろうとするのか不思議になって、入手難しいコール&パイクシリーズ1作目から読むことになりました(笑) -
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ネタバレ『火のないところに煙は』を読んでいて、そういえば、クリスティーにも占い師が出てくるホラーテイストな話があったよなぁー。
……と思い出して読んだんだけど。
読みだしてすぐ、「あ、占い師じゃなくて、魔女だった」って(^^ゞ
とはいえ、占い師よりは魔女の方が読者をお話に引き込む魔力が強いのか?w
なかなか面白かった。
そんな『蒼ざめた馬』、ちょっと前にやっていたドラマは見ていた。
ただ、あのドラマって、よくわからないで終わっちゃうんだよね(^^;
実はクリスティーって、ハヤカワのクリスティー文庫が出た時、初めて読んだこともあって。
だから、『蒼ざめた馬』も、その頃に読んだんだと思うんだけれど。でも、面白かったという記憶はあるものの、内容はほとんど憶えてなくて。
ドラマを「こんなホラー、ホラーした話だったかなぁー?」と思って見ていたんだけど、なぁーんだ。全然違うじゃん(^^ゞ
こっちのラストなんて、「オマエら、もう勝手にやってろ!w」と思わず噴き出しちゃったくらい、二人でラブラブで(爆)
ドラマはなんであんな風にしちゃったんだろう?というくらい、面白い。
というのも、女性の登場人物がすごくいいんだよね。
ジンジャ―はもちろん、(主人公いわく「退屈」な)ハーミアも魅力的だし。
主人公とその友だちからケチョンケチョンのポピーも、特有の可愛気がある。
また、ストーリーのところどころで絡んでくる、オリヴァや主人公の従弟のローダ、デイン・キャルスロップ夫人のキャラもいい。
ま、肝心の魔女3人は、ドラマに出てきた3人のイメージが強烈だったこともあって、ちょっと影が薄い気もしたけど(^^ゞ
とはいえ、最後にちょこっと出てくる、アイリーン・ブランドン。これが、またいいんだよなぁー。
個人的には、主人公のマークとアイリーン、二人の視点でそれぞれストーリーを進めて。最後にガッチャンコしたら、すっごくワクワク出来たんじゃないかなぁーと思った。
アイリーンの仕事である市場調査の調査員はこの話の重要な要素なわけだし。さらに言えば、この話の発端はアイリーンの同僚のディヴィス婦人なわけだ。
前半に、自らの仕事に何か不審なものを感じているアイリーンとディヴィス婦人の会話がある中、ディヴィス婦人が…という流れがあったら、もっとドキドキ出来たんじゃないだろうか?
ただ、この話って、呪いを実際に実行させる方法は?というのが何より疑問に思うところなわけで。
アイリーンとディヴィス婦人が、あくまで脇役として隠されているからこそ、呪いの実行方法は何だろう?と読者はワクワク出来るっていうのもあるのかなぁー。
ちなみに、最後の「え、そっち?」は、ちょっと強引に意外な展開をしてみせた感がなきにしもあらずなところがあったけど(^^ゞ
クリスティーって、今でも全然古びてないんだなぁーと感心……、というか。コンピューターをめぐる、主人公とヴェナブルズの会話、あれには驚いた。
「人間はいずれ機械(コンピューター)にとってかわられるということですか」
「並の人間なら、そうなるだろう。
労働資源の一部でしかない人間なら――という意味だが。
しかし、ある種の人間なら、そうはならない。
管理する人間、考える人間、つまり機械に問いかける質問を作る人間はどうしたって必要だからね」
これって、まるっきり現代のAIと人間をめぐる話と同じじゃん。
小花柄のチュニックの占い師のご託宣よりは、クリスティーの方がよっぽど当たるって?(爆) -
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互いに大事な存在を喪った警察犬と警官の出会い。
警察犬マギーの感覚が伝わる表現で、胸が熱くなる物語です。
アフガニスタンの海兵隊で、爆発物探知犬だったマギー。
ハンドラー(指導手)のピートが撃たれ、かばって被弾したマギーはアメリカに戻っています。
大きな音に怯えるため、警察犬としては無理だろうと思われていましたが…
スコット・ジェイムズは、ロサンゼルス市警の巡査。
銃撃事件に遭遇して相棒を亡くし、自らも重傷を負いました。
復帰後に警察犬隊を志望したのは、人間の相棒の悲痛な叫びを忘れられなかったため…
9か月後、マギーに出会って、コンビを組むことにします。
警察犬隊の主任指導官リーランドは、犬にかけては凄腕で知らないことはない。
心と体に傷を負い、警察犬隊にはあまり向いていないかもしれない犬と人に、もしかしたらと期待をかけます。
犬につけるリードとは、ただ人間が命令を伝えるものではなく、犬と人間が双方向で様々な感情を伝え合うものなのだとか。
マギーが人間とは桁違いの匂いを細やかに嗅ぎ分け、様々な状況を賢い犬なりの価値観で見抜いて判断していく様子がリアルに、ありありと描かれます。
ハンドラーのピートだけが大事な仲間で、彼を守り喜ばせるために生きていたマギー。
(もう、たまりません…)
初心者でぎこちないスコットの誠意を受け止め、新たなパートナーへと絆を深めていくのです。
スコットの事件は9か月たっても未解決でしたが、これも捜査官が変わり、動き出します。
スコットの記憶の切れ端や、現場に行ってみたマギーの反応など、わずかな兆候からも進展が見えてくる。
盛り上がる結末にも満足感がありました。
2013年の作品。
ロバート・クレイスは、2010年にMWA生涯功労賞を受賞しています。 -
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ネタバレスコットとマギーの第二弾。
と思いきや、エルヴィス・コールもジョー・パイクも出ていた。
失踪した女性を探すために女性の知り合いを訪ねたコールは、
逃亡中の犯人を追ってきたスコットとマギーに出会う。
女性はジャーナリストだった息子を自爆テロで失い、
復讐しようと爆薬を作っていた。
スコットは犯人の顔を見ていたため、命を狙われることになり、
コール達と協力することに。
いままでいろいろな人を守ってきたコール達、
今回は若くもない、スタイルが良いわけでもない女性だが、
やっぱり彼らは守るのかとちょっと感動した。
最後には息子の敵もとっていたし。
貸倉庫の中に入って爆弾を捜すことができないコールたちが、
マギーに探してもらおうスコットを呼び出すところも、
コールの笑顔が通じなかったそこの事務所の女性を、
マギーがめろめろにするところも面白かった。
ドラマでいう所のクロスオーバー作品、
なかなか良かった。 -
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セーアン・スヴァイストロプ『チェスナットマン』ハーパーBOOKS。
700ページ近いボリュームのデンマーク・ミステリー。
真犯人の姿が見えぬままに次々と凄惨な事件が発生し、ストーリーは二転三転のうねりを見せるので、手に汗握る非常にリーダビリティの高い作品に仕上がっている。そして、全く予想もしなかった犯人像とプロローグに描かれた事件と犯人の目的の全てがつながり、納得すると共に、これで全てが決着するのかと安心するのだが……
物語は1989年の10月31日のオーロム牧場で発生した斧を使って一家を惨殺した凄惨な事件から幕を開けるが、これは単なるプロローグに過ぎない。
本編の舞台はプロローグから長い年月を経た現代で、主人公はコペンハーゲン警察重大犯罪課の女性刑事、ナヤ・トゥリーンである。彼女はパートナーのマーク・ヘスと共に若いシングルマザーを狙った凄惨な殺人事件の捜査にあたる。被害者は身体の一部を生きたまま切断され、現場には2つの栗と4本のマッチ棒で作られた『チェスナットマン』と呼ばれる人形が残されていた。さらに現場に残された栗人形から1年前に誘拐され、殺害された社会問題大臣の娘の指紋が見付かり、事態は急展開する。やがて、シングルマザーを狙った第2、第3の事件が発生し、同じように現場から誘拐された娘の指紋が付いた栗人形が発見される。
と、ここまでですらまだ物語の前半にしか過ぎず、後半は全く予想もしなかった極悪非道な事件の全貌と真犯人の正体とその目的が明らかになるのだ。
定価1,430円
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フランスで一番売れている作家と言われるベルナール・ミニエを想起させるサイコなサイコなエンタメ作家が、デンマークに新たに登場した。今回はおそらく北欧小説界においてもエポック的大作。デンマークと言えば、ぼくも大ファンである『特捜部Q』のシリーズを第一に思い浮かべるが、本作は当然ながら別の個性による味わい。新たな大物が誕生した感が強い。
サイコ&スプラッタ&アクション、さらにフーダニット+ホワイダニットといった、謎に謎が積み重ねられてゆく分厚い材料いっぱいのクロスオーバー。重厚なエンタメ作品なのである。前述したベルナール・ミニエ作品の事件現場も凄絶でエモーショナルでインパクト抜群なのだが、本書はそれに劣らぬか上回るものがある。
物語はある時ある場所で、一家が惨殺されている現場に、老警官が到着するシーンから始まる。そこで一度目の「背筋に来る」恐怖の世界の開幕とあいなる。
チェスナットマンとは、惨殺現場に残される小さな栗人形のことである。惨殺に使われる武器は主に斧。<背筋に来るミステリー!>、という本作のキャッチフレーズは、ページを開くなり何度も味わうことができてしまう。
かといってサイコ一辺倒でもなく、刑事アクションとしても実に味わい深い物語である。とりわけ珍しいのは、インターポールを承継したユーロポールという国際警察機構と地元警察との組織間軋轢と、これに絡んだ二人の主役捜査官の距離感と不安定感というところに、登場人物たちの個性を見せて、ヒューマンな読みごたえをも感じさせられる。
かたやユーロポールに憧れ、赴任の日取りもほぼ決まっている出来のいい女刑事ナイア・トゥーリン。かたやユーロポールではたびたび各国で問題を起こし、ついに罰として地元警察での捜査協力を一時的に課せられてしまった一匹狼の変人刑事マーク・ヘス。主人公が入れ替わりながら、どちらも個性的で、どちらも私的な問題を追求しつつ、本筋の物語に絡めてゆく。その味わいは両者個性的ゆえに大変強烈である。
1989年の事件、そして現在の連続殺人事件、一年前の女性政治家の長女殺人事件。各方向から語られる暴力と残虐の系譜を見せられる読者としては、一体どれだけの数の殺人を追いかけるミステリーなのか? と戸惑われる方も多いのではないだろうか。
長大な力作な上、ミステリの底も深く、扱われている現代的な社会問題、家族の問題、社会による救済システムやその破綻と罪の問題、等々、北欧小説ならではの社会告発に満ちた批判精神の堆積の上に、エンタメ性をしっかりと乗せている。刑事たちの怒りや、関係者たちの恐怖や、起こってしまう犯罪の残忍性がそれらの主題をしっかり強調もしている。
本年度バリー賞最優秀新人賞受賞作品、他に数多くの評価を受けつつある作家であり作品であるとのこと。翻訳ミステリファンであれば、これを読み逃す手はまずあるまい。とても新人とは思えないストーリーテリングや場面展開の構成の妙をこの作者は見せてくれるが、実はその正体は、既に有名ドラマ映画での脚本演出などの華々しい経歴に彩られている方なのであった。小説分野にこういう凄腕の人が転出してくると、本好きとしては武者震いしたくなるほど嬉しい限り。
次作が待たれてならない作家である。是非とも主人公刑事たち二人には、次作以降で再会したい。とりわけ偏屈で風変わりな一匹狼刑事ヘスには、どなたであれ他の物語で必ずや再会したくなるだろう。