津本陽のレビュー一覧
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12の城とそれにまつわる武将を紹介した津本陽の著書。著書は勿論様々な文献を調べていることを記載しているのであるが、それだけでなく実際に訪れてみて、どうして武将がある行動をとった(或いはとらなかったか)を推測想像で補完しているのであるが、それは荒唐無稽なものではなく、資料によっているからで頷けるところも多々ある。
どうしても戦国武将となるとその人物に視点がいってしまいがちであるが、もっと城にもフォーカスさせても面白いと思われる。
しかし滅亡していくまたは、没落していく人物が描かれているが、やはり城により過ぎて、人に重きをおかず、時機を見定められなかったところが主な原因かと学ばされた。
そ -
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津本先生には同じ信長を主人公にした長編小説があるがコチラは1冊でコンパクト纏まっている。鉄甲船や火縄銃を使った戦での合理性に目がいきがちであるが自分が注目したいのは未知の初対面の人物への接し方。首を斬るような威嚇する態度ではあるがどの人物も下に見ている事である意味平等。質問の仕方が始めは差し障りのない平凡なモノから始まっているが、この辺りでその人間の知識と人間性を観察しているのだろう。短気な性格に見えるが本書を読む限りではよく言えば周到であり悪く言えば執拗で多分気長。海洋商人から情報を得たりする事を見ても多量の情報を得て処理と判断をしていた事が伺える。フロイスの地球儀を見て理解できたのも頷ける
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読み応えのある力作でした。
明治十一年に実際に起きた悲惨な海難事故に材を取りつつ、是を仏教文学の思想を交えてテイスティングしていく。
板子一枚下に広がる無辺の地獄。生命と生命の格闘。生きるという苦難。愛別離苦。而して無常。
台詞の殆どが和歌山県の古い方言である為、可也読み難い部分は有るものの、臨場感や迫力はその分申し分無いものがある。特に前半の鯨との闘いは白眉。後半は軈て滅びを迎える鯨方と村の命運が描かれ、此方は寧ろ思想の色合いが強い。
自分はそもそも題材となった事件に就いて寡聞にして知らなかった。明治十一年十二月二十四日、悪条件の重なる中、背美鯨の深追いが招いた大惨事 -
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津本陽さんによる10編からなる短編集。
・上泉伊勢守信綱
・前田慶次
・千利休
・藤堂高虎
・長谷川等伯
・九鬼嘉隆
・安国寺恵瓊
・雑賀孫市
・石川五右衛門
・大久保長安
業師とはその分野で素晴らしい能力や功績を残し、人としてもカリスマ性を持ち合わせいる人物という意味で上記10名は各々が業師であるとのこと。
剣豪、傾奇者、茶人、築城名人、絵師、海賊武将、外交僧侶、鉄砲名人、大泥棒、山師とそれぞれの業師が楽しめる作品でした。
歴史小説が好きな方にはそれぞれの短編の主人公の小説を読んでこられたと思います。
個人的には永岡慶之助、隆慶一郎、山本兼一、安倍龍太郎、白石一郎、火坂雅志など感想を -
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大分前に読み終わっていたが書くの忘れてた。この明治維新から国が成っていく過程って、あまり詳細に理解することなく、日清日露戦争の戦勝に繋がっていき、軍国主義になって太平洋戦争に突入していってしまうバクっとした理解しかない。しかしながら明治維新から国が固まっていく過程の中で綱渡りな駆け引きや事件が沢山ある。もちろん西南戦争なんてのもそうなんだけど。そういう困難さが陸奥の生涯を通じて、やはり大変だったんだなという事が感じられる。陸奥も龍馬と出会い、伊藤博文との交友など、人との出会いの中で活躍の場を得ていく。個々の優秀な日本人が活躍して何とか国を作り上げていったんだなと。それが一度太平洋戦争でリセット
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陸奥宗光と言ったら小村寿太郎と共に維新後の日本の名外交官と言う理解。それ以上深い事は知らなかった。たまたま本書を手に取り読み進める。上巻は何かあんまり陸奥の事は出てこないような。終盤は出てきたかな。立志社の政府転覆計画に連座したという事で拘束され、5年間だったかな、牢屋に入れられたんだな。しかし明治維新からどうやって政府が出来たか、廃藩置県などがあり、武士が武士でなくなり、平民と同じ扱いになり、職も失い、すごい時代だよな。大転換が起こったのだから今の比じゃないな。そう言う社会が落ち着いていくまではやはり時間も掛かるし色々な事が起きる。でも大久保が暗殺されて伊藤博文が台頭して彼にまた活躍の場が巡