津本陽のレビュー一覧
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田中角栄ほど、日本的な政治家らしい人はいない。
『金権政治家』というレッテルも貼られている。
貧しい農村の競馬馬にかける父親とひたすら健気にはたらく母親。
今回読んで見て、小学校卒という話であったが、
建築に関して、独学的に勉強する姿が浮き彫りとなった。
抜群の記憶力、仕事に対する集中力があったが、
また、以外と諦めの早いオトコでもある。
次々にチャンスをものにする人懐っこさ。
ひとくくりで、その姿を明らかにすることは、困難なオトコである。
信長的であるが、残忍ではない。
秀吉的な感じが強い。
それに、現場の苦情を基礎に、政策化する能力がある。
清濁 あわせ呑む という感じではなく、
泥水を気にせず呑む という大胆なところがあるねぇ。
十代は、『大仕事を遂げて死なまじ、熱情の若き日はまたと来せはじ』
二十代は、『末ついに、海となるべき山水も、しばし木の葉の下をくぐるなり』
三十代は、『岩もあり木の根もあれど、さらさらと、たださらさらと水の流るる。』 -
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明治の起業王
明治時代の起業王、近代日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一氏の伝記小説を手にした。数百の会社を作りながら、財閥をなすことなく、私利私欲に走らなかった人という言い伝えだけは聞いていたが、その人の人生について知る機会となった。前半生は以外にも、豪農の家に生まれながら、幕末に起った危機感から志士を志す。しかし運命のいたずらから最後の将軍・徳川慶喜に仕えることとなり、さらに慶喜の弟の訪欧に随行していく。ヨーロッパ滞在において若き日の攘夷の義憤がいかに世間知らずの若気の至りであったことを悟って行くことになる流れの必然と、その運命を自身の才覚により切り開いていく様は、江戸~明治期の時代がなせる業だったのか?
自身が同じ境遇に入っても、やはりこうはできなかったろう。しかし激動の時代にあれば、自分ももしかして・・・という気にもなる。
明治政府でも重用される中で、これまでの慣例を打ち破り、新しい施策を次々に考え出さなければならなかったこの時代の政府役人の行動力に感服する。 -
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明治の偉人 渋沢栄一
渋沢栄一の半生を描いた小説の下巻。
明治期に入って、渋沢は明治政府の先駆けとなる仕事を行い、その後野に下り、江戸期の最下位階級にいた商人こそが国を作る原動力になると、会社組織を次々に立ち上げていく。
その数数百にのぼりながら、財閥を築くことなくまさに日本の産業界を作り上げてきた。
その卓越した手腕は、今の世の中であれば当たり前と思われている手法に試行錯誤してたどり着いてゆく。
またに現在の日本の繁栄の根底には、渋沢の勇躍があったといわざるを得ないのだろう。
今の世の中でこれほど国家に対する革命的な手腕を発揮する場所は無いかもしれないが、当時にあって同じ境遇にいたならば、果たして自分はこんな偉業を成し遂げられるだけの才覚を持ち合わせることができただろうか?
勇気の湧く一冊である。 -
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ちょっとネタバレになりますが…ジョン・マンは日本へ帰国する決意をし金鉱で旅費を工面し琉球へ。しかし罪人扱いされるが言語取得能力に長けていたため次第に琉球弁・仮名を覚え少しづつ住民と親しくなり、そして薩摩の島津斉彬公が海外事情に聡明だったため厚遇されたのが大きかったのだろう、紆余曲折を重ね無事故郷へ。この2人のやりとりが楽しい。そして幕臣へと…。やはり外国を知っている中浜万次郎の日本への影響力はすごいですね。万次郎のアメリカ生活を記した河田子竜の『漂撰記略』により坂本竜馬に開国への道を進む影響を与え、土佐藩の山内容堂・吉田東洋といった重鎮にも会っているんですね。しかも親しく。なのにね〜…。勝麟太郎と咸臨丸に乗りアメリカへ行ったり。幕府の切れ者と言われた勝先生が小さく見える。当然開国派のため攘夷派に狙われ、なぜか人斬り岡田以蔵に護衛されたり。竜馬が頼んだのかな?斉彬公繋がりで薩摩と親しくなったため小松帯刀に影響を与えたりとまさしく幕末の奇跡の人でした。でも時代のためアメリカのスパイと疑われ順風満帆には行かなかったけど最後は感動的な終わり方でした。
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"覇王"とは信長のことだ。
昨夜、テレビ東京の「新説!?日本ミステリー」という番組で、『長篠の戦いは無かった!?』というのを見た。
この番組は、いわゆる通説である学校の教科書に載っている歴史を否定し、新説を説明する番組で、いくつかの証拠を元にまとめられているので歴史好きには格別のおもしろさがある。
例に漏れず、織田信長が鉄砲隊を率いて武田家を破った長篠の戦いやそもそも戦国最強と言われた武田騎馬隊は無かった、と日記の文章等の証拠を用いて説明され、ショックを隠せず。。
しかし、
歴史は、解釈である。
引用した場面。これでこそ信長!と勝手に満足。
その彼の、途方もない夢、とは。
この小説は、淡々と歴史の説明を受けているようで、登場人物に感情移入できる歴史小説ではない。語り口は、さも、その第六天魔王信長を近臣の怯える目から見たような。
次に読もうとしている歴史小説は、"密謀" By 藤沢周平。
来年の大河"天地人"の、上杉景勝、直江兼継の物語。
さて、その解釈はいかに。