津本陽のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
■読みたい理由(2010年4月29日)
「勝海舟」を読み比べよう祭開催!ってことで
■読み終わった!(2010年5月8日)
正直なところ、「あれれ?『村上版勝海舟』とは印象がずいぶん違う」と第一に思った。
村上版は「欠点はあれど家族思いで熱い魂を持つ、清廉潔白な男」という印象が強かった。津本版は愛人はいるは(こっちが史実に近いのかもしれないが)、かくまってくれとお願いに来た人を冷たく帰すわ(もちろん逃走の軍資金は渡してるんだけれど)、船酔いでぐでぐでだわっていう「ただ強い態度なだけ」という感じがしてしまう。そうそう。こちらは「出世しようという野心」が強く見えるのだ。これだけを読むと「勝海舟ねぇ。ふーん。エリート役人でしょ」で終わってしまうかもしれない。苦労ばかりの幼年期を中心に描いた村上版と異なり、幼年期よりも実際の活躍期をこと細かく書いていることも影響している。
でも、津本版が村上版よりもページ数が多い(こちらは上下巻)のは、勝の周辺だけではなく、そのときの社会情勢についても描いているためでもある。臨海丸に乗った人数、訓練に要した時間、その他その時代の特性が記載してあるので、幕末と言う時代をいっぺんに知るにはいい本だと思う。
■次に読む本は
勝海舟 下巻。 -
Posted by ブクログ
必ず返事を出すんだ。結果があいての希望通りでなくても聞いてはくれたんだ、となる。大切なことだよ。
教養、非教養のいずれの側の人間でも自分が置かれた立場を理解し、国民が最も必要としている対策に猛然と取り組むことが政治家に最も必要な資格といえる。
田中政治とは一言で言えば合理主義。そして得意技は再建。世論を重視する。どんなに小さな情報をも大切にする。
ここしかないという着地点を見つける。それで痛手を蒙る人を如何にして九歳していくかが政治の処理の全て。
生きていくためには、徹底的に気を配る人の身辺には利運が巡ってくるのかもしれない。いるも人生の特別席に収まっていた佐藤、福田には窺い知る機微ではない。
角栄が税制のプロになったのは政界では権力を奪取、維持するためには多額の資金が必要としたから。 -
Posted by ブクログ
本能寺の變。
歴史上の大きな謎のひとつだと私は思つてゐる。
何故、明智光秀は謀反に及んだのか。
そして、あれほどのことを起しながら、將來の戰略を持つてゐなかつたのは何故なのか。
明智光秀ほどの男がその後の展望もなしに發作的に謀反に及んだとは考へ難いのだが・・。
もうひとつ、信長の遺體が見つからない謎。
光秀も懸命に搜させたが見つからなかつた。
單に本能寺が炎上したからといふのは理由にならない。
作者は小説の形式を取りながら、これら謎を解き明かしてゐる。
光秀謀反の動機については、端的にいへば、リストラ目前の初老の男が、窮鼠猫を齧む心境で起した事件だといふ解釋である。
それはそれで納得できないことはないのだが、その後の無策さの説明にはなつてゐない。
もうひとつの、信長の遺體が見つからない謎については、本能寺爆發説を採つてゐる。
本能寺は堺鐵砲商人の取引所でもあつたため、表御殿の下に煙硝藏があつたといふのだ。
こちらのはうは、さうもあらうかと納得できた。
小説形式だが、光秀の視點といふよりは歴史的な事實の羅列になつてゐるので、むしろ津本史觀による歴史書といつた趣きがある。
2005年5月2日讀了。
-
購入済み
50代の今見て思うこと
50代の今だからこういう感想になるのかもしれないが、この伝記に出てくる人物たちの歴史への必然性が自分と重なり合って見えてくるようだった。