津本陽のレビュー一覧

  • 前田利家(下)

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    利家を深く知るきっかけ

    前々から賤ヶ岳合戦の裏切り、秀吉死後に起こる家康との確執の内幕など腑に落ちないところが多々あって本書を手にした。前半は信長、秀吉の動きを詳細に語られるばかりでややストレスを感じた。しかし、ただの傾奇者、武辺者ではなく、主、それらを取り巻く武将たちに利家は学んでいたことが明らかになる後半には引き込まれてしまった。当時の資料も多々引用されているためやや時間はかかったが、逆に説得力もあり存分に楽しめた。

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    2025年01月15日
  • 薩南示現流

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    薩摩藩士達の必殺の剣術、示現流の歴史を描いた作品。
    津本陽さんの作品の中でも一番好きで、何回も読み直しています。

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    2025年06月23日
  • 生を踏んで恐れず 高橋是清の生涯

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    高橋是清が首相、蔵相等大臣を歴任した人、2.26事件で亡くなった人ということくらいしか知らなかったが、池上彰の本に若い頃アメリカに渡り奴隷にされたとの記述があったので興味が湧いて読んでみた。色々な仕事に就くところ、日露戦争時の外債発行のあたりは特に面白い。解説の方が書いている通りだと思った。彼のように国と自分の尺度が重なっている政治家はなかなか現れない。

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    2024年01月05日
  • 雑賀六字の城

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    津本陽といえば武辺物だが、戦いの描写も非常に巧みだ。本作は前半が大坂の石山合戦、後半が信長による雑賀攻めが舞台となっている。鉄砲で武装した雑賀衆の戦い振りが活写されている。

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    2023年04月26日
  • 生を踏んで恐れず 高橋是清の生涯

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    日露戦争において外債を調達し日本の勝利に欠かせない役割を果たした高橋是清の生涯について。 明治維新前後の人物によくある波瀾万丈の人生や、身分の違いは関係なく人の縁や紹介によって実力やその才能が認められていくとても面白い話。

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    2023年03月01日
  • 椿と花水木 万次郎の生涯(下)

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    万次郎が江戸に入って封建的な匂いがしてから急に話がつまらなくなったのもまた当時の日米の違いを表しているのかも。
    しかし万次郎の通訳を拒否して不平等条約を結んだ江戸幕府には辟易とするし、もしそうでなかったら確実に歴史は変わっていたのだと思う。

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    2022年12月12日
  • 椿と花水木 万次郎の生涯(上)

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    驚いたな。開国要求の手土産として重宝された漂流民だと思っていたけど全然違って当時のアメリカ人の優しさと万次郎の探究心でジョン万次郎は誕生していたんだ。

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    2022年12月12日
  • 月とよしきり

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    平手造酒の半生を描く。作者の津本陽は、造酒と同じ紀州家和歌山の出身。同郷のよしみか、あるいは何か近しいものを感じてこの作品を書いたのかもしれない。

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    2022年08月11日
  • 異形の将軍 田中角栄の生涯(下)

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    戦争終戦を経て高度経済成長時代に運(人と機会)
    を掴み取りながら、日本という国を復興繁栄させた稀有なリーダー像が描き出されている。清濁合わせ飲み国を国民を導く、政治家としての判断力と実行力が発揮される、これぞ異形の将軍角栄であろう。本を読むと自分の人生と重ね合わせ、自分もこうありたいなと夢想するものであるが、角栄のようには生きられないなと一歩後ろ引きながらの読後感である。今の令和の時代にはどのようなリーダーが求められるのであろうか?

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    2022年05月04日
  • 椿と花水木 万次郎の生涯(上)

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    ジョン万次郎。名前は知っているが、詳しいことは知らない。彼も土佐から漁船が流されて鳥島にたどり着く。鳥島は漂流で読んだより、過ごしづらそう。ただ捕鯨船が近くに来てくれて救助される。アメリカ人の船長に可愛がられ、マサチューセッツまで付いていき、教育を受けさせてもらい再度の航海に出て帰国するまでを書く。アメリカに。当時のアメリカの様子やグアム、ホノルルが鯨漁で潤っていた事もよく分かる。勉強する事がすごい贅沢で大切な時間だと改めて思い知る事ができる。常に謙虚で人に感謝する性格だったし、何より好奇心が旺盛な性格が素晴らしかったのだろう。ルーズベルトからの書簡も面白い。まだ上巻だが、これから日本とどう関

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    2021年08月12日
  • 勝海舟 私に帰せず(上)

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    麟太郎は、斉昭が終始幕府を代表して外国と交渉すれば、今のような混乱には至らなかったと見る。
    不遇であったため、心にもない暴説を主張し、付和雷同の攘夷派を誘い出し、道を誤った英雄であるという。「惜しいかな、正大高明、御誠実に乏し」

    彼は剣術と禅によって心胆を練っているので、物事に動じなかった。人は天運が尽きたときは死ぬ。尽きないときは、いかなる危険の渦中に身をおいていても死なないと信じている。

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    2021年04月28日
  • 暗殺の城(下)

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    歴史の教科書には長篠の戦いで敗れた武田家が、あっという間に滅亡したように書
    かれているが、実際は敗勢を立て直そうとする武田方と領土拡大を図る徳川方の間
    で壮絶な戦闘が何度も行われている。うのたち少数精鋭の忍者集団が、徳川方にさ
    まざまなゲリラ戦を仕掛けるところは痛快だが、これは現代戦における特殊部隊の
    不正規戦と何ら変わらない。
    それにしても当時の忍者は本当にそんなに凄い能力を持っていたのだろうか?すさ
    まじい修練や訓練を積めば、超人的な能力も備わるのだろうか?
    常に死と隣り合わせで生きていた戦国時代の人たちは、やはり現代人とはどこか違
    っていたのかもしれないが、それでも愛する

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    2020年10月06日
  • 暗殺の城(上)

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    面白かった。津本陽の作品は、いろいろな資料を丹念に読み込んだ上で書かれている
    ので真実味がある。また、他の作品と違って家康、勝頼、信長など、登場人物がそれ
    ぞれの方言で話しているのも面白い。たぶん実際はこんな話し方をしていたのだろう
    なあ、と考えると余計に現実味がわく。あっという間に読み終えてしまった。家康に
    父親を殺された女忍者の復讐劇ということだったが、上巻は殆ど武田と徳川の合戦ば
    かり。激戦につぐ激戦で戦闘の様子も生々しく、それはそれでなかなか迫力があって
    よかった。上巻の後半でようやくヒロインうのの登場。はたして彼女は家康を討てる
    のか、下巻が楽しみ。

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    2020年10月06日
  • 最後の相場師 新装版

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    安く買って高く売るという株式投資の王道を貫いた是川銀蔵を描いた本。
    小手先の技術でなく「王道」なので現代でも面白く読める。

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    2019年10月15日
  • 下天は夢か 三

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    比叡山焼き討ちだけ読みたくて再読。
    数ある織田信長モノで「下天は夢か」が一番好き。
    此れを超える織田信長モノは未だに無い。

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    2019年04月25日
  • 薩南示現流

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    薩摩に伝わる剣術、示現流の話。薩摩には縁があるので、さらに楽しめた。流祖、東郷中位の他、数々の示現流の使い手が出てくる。久しぶりに、格好いい侍の作品を読んだような気がする。薩摩の武士の感じも出ていて良かった。

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    2017年12月18日
  • 過ぎてきた日々

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    時代小説は縁遠く 津本さんのコーナーはパスしていた が 気付けばあまりにもたくさんの本が並んでいる その魅力を知りたくてとりあえずこの自伝的なものを手にとってみておどろいた
    この方の時代小説はどこかでしっかり今とつながって活き活きと描かれているにちがいない この人のチャンバラは机上の空想ではなく実践の上で書かれているもので なので読者をひきつけているのだと思った
    TVのちゃんばらで 切られて絶命しても立ちつくし しばらく後に倒れる様子は 大げさな演出だと思ったが それは間違いであった
    猛烈なスピードで袈裟懸けに刀を振り下ろすと 人の高さに縛った藁づとの上部も落ちないという 60本の藁づとを立て

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    2015年02月27日
  • 勝海舟 私に帰せず(下)

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    勝海舟が今の日本を作ったと言っても過言ではないと思える.幕府が傾きかけており,対抗する薩長に勢いがあって,西郷や大久保,木戸の主導で維新がなされたのは確かだが,それを人脈や根回し,裏交渉を使って実現可能な形で軟着陸させ,無政府状態を回避したのは,勝「個人」(+慶喜が少し)の功績である.かっこいいこと,勇ましいことを言うのは簡単だが,実現させるのはずっと難しい.

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    2014年05月06日
  • 椿と花水木 万次郎の生涯(下)

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    この時代において、この頭の柔らかさ。何度でも読み返して見習いたい。

    幕末の有名人との交流が多くあったようで、歴史のキーパーソンだったこともわかった。あんまり日本史で重視されてないっぽいけど、この人がいなかったらいろいろと大変だったのではないか、幕末。

    興味を持ったので、読後に子孫の中濱博さんが書いた資料本を読むに至った。

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    2013年08月30日
  • 椿と花水木 万次郎の生涯(上)

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    気力、体力、知力、そして礼の心、義の心。万次郎のポテンシャルに脱帽。
    思春期に実力主義・合理主義のアメリカを体験しながら、階級社会の日本に戻り暮らしたことは、さぞ苦しかったのではないかと思う。
    アメリカで結婚を誓った相手キャサリン。彼女との突然の別れには泣けました…。上下巻のなかで、最も泣けたね。

    【以下、史実のネタバレ】 だがしかし! 後日、万次郎の子孫の方が書いた本を読んだら、キャサリンは海難事故で死亡してなかったらしい…。津本先生、オレの感動を返してくださいw ま、小説ですからね(^o^)

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    2013年08月30日