津本陽のレビュー一覧
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日本の政治家らしいといえば、田中角栄である。
それを、津本陽は、様々な資料を使い、
金権政治家を暴くというより、人間としてどうなのか
を明らかにしようとした。
田中角栄に対する評価はたくさんあるが、
人間味があるというところを、明らかにしようとする。
困った人に対して、とことん対応する。
政治家とは何かを心得ていた。
政策立案能力、アイデア、現場解決能力など、
様々な場面で、田中角栄の凄さを語る。
資源に関して、積極的に動いたことが、
アメリカより、睨まれる。
それが、ロッキード事件の発端とも言える。
小佐野賢治との関係ももっと明らかにしてもいいが、
サラッとしている。
佐藤昭子で浮かび上がらせようとしているからだ。
田中角栄を歴史小説の手法で明らかにしようとしているが、
なぜか、物足りなさを感じる。 -
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結局のところ、金を集める政治家というのが政治家の力の尺度だったと。
それが違法でなくても倫理がない、と世論が変わり尺度が折れた。
新しい尺度はないままに大衆迎合の政治に陥っている。
実際に何かをやると批判を浴びるために、政治家は保身に走って何もしない。
民主主義の国アメリカは正論に弱いが、いざとなれば裏から裏へ手を回してくる。
逆らわないものまた保身。
先送り、知らしむべしが蔓延。
金権に過ぎたが、力のない成り上がりの角栄にはそれしかなかった。
しかし角栄以前に強行突破できる政治家はいなかったし、角栄以後にも現れていない。
今の閉塞感を打破するには角栄復活しかない。
そんな感じか。
そう言われると金にまみれただけで何もしない今の政治屋達は、未来を見てないのか見れないのか。
結局地方分権か?
いやしかし国が崩壊すれば日本人は一致団結する民族だと言われれば、現状維持で崩壊を待つしかないのか。 -
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ネタバレ初めは文字に起こされた土佐弁に違和感があって
読み進めるのにちょっと苦労したが
遭難したあたりからは慣れと話の緊迫感もあって
引きこまれて読み進められた。
名前だけは知っているが、あまり詳しくは知らなかった
中浜万次郎氏。
そんなにも長期間無人島で生きながらえておられたとは知らなかった。
助けられて異文化に触れ、戸惑うこともありつつも
キャプテンを父と思い慕う様子が如何にも日本人らしく真面目でもあり
キャプテンが航海中、留守を男である自分が守ろうとするところが
頼もしくもあった。
いよいよ念願叶って航海に出る万次郎。
続きが気になるところ。 -
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幕末、なぜ、薩摩主導で討幕をなしえたのか?江戸時代、太平の世の中にあって、武士の性質も変わってきた。当時、武士の気風を残していたのは薩摩藩と会津藩だけだったと言われている。(一方、長州藩は奇兵隊によって武士だけに頼ることを諦めた)
本著は、この何故薩摩が強かったのか?薩摩隼人の精神構造、価値観、生き様は如何に?、これらに答えてくれるものであり、興味深い。
何よりも薩摩隼人に男気を感じる。
「チェスト!」のかけ声と猿のような奇声で白兵戦に圧倒的な強さを誇った薩摩隼人、その力の源泉が示現流といっても過言ではない。
本著は、その示現流が生まれた歴史・経緯と、それを薩摩に広げた東郷重位について取り上げたものが主。その他にも幕末時の寺田屋事件、西南戦争まで舞台は広がっていく。
【引用】
・東郷家の先祖は、その源をたどれば相模国早川に城郭をもつ、渋谷太郎という鎌倉幕府の御家人であった。1248年、彼は幕府の命を受け、地頭職として薩摩に下った。渋谷太郎には六人の子息がいた。彼は長男を本領相模にとどめ、あとの五人(内、ひとりが東郷)に自分の治める薩摩の所領を5つにわかちあたえた。⇒渋谷に東郷神社がある所以。
・朝に三千回、夕に八千回という言語を絶する立木打ちの苦行をおこなううちには、ただ一撃で敵を三万地獄の底まで打ち込む、不動不抜の腰が固められてくる。 -
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---こののち天下の体勢は、門望(声望)と名分に帰せず、かならず正に帰すであろう。
私に帰せずして、公に帰するにきまっている。これはわずかな疑いもいれないことである。---
---麟太郎は市井の無頼、侠客の名誉心をかきたててやれば、幕臣よりはるかに頼りがいのある、義侠の徒となるのを知っていた。---
無頼漢の扱いをよく知っていて、上手く利用する采配…すごい。人の動かし方を本当に心得ています。
---おれは自分の胸をさして兵隊にむかい、いずれ今明日中には何とか決着すべし。決定しだいにて、あるいは足下らの銃先にかかって死ぬることもあろうから、よくよくこの胸を見覚えておかれよ、といいすてて、西郷に暇乞いをして帰った。---
薩摩屋敷で江戸城攻め中止の話し合いに出掛けた勝さんが、屋敷に詰め掛けている官軍の兵隊に取った言動です。惚れる…っ
フィクションで見かけたりしますが、これを本物の武器を持った兵隊の前で出来てしまうのが凄い…これが明鏡止水の境地なのか。
上下巻共に読みました。勝さんの細かい足跡や言動を知れたので良かったです。航海で死にそうになったり、何度も暗殺されかけたりしながらも激動の時代を生き抜いたのはやはり凄いと思います。幕臣達を無能だと思いながらも徳川家に最後まで尽くしたり、敵味方隔てなく相談に応じたりと、その人柄にも惹かれました。 -
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<本の紹介>
本願寺率いる一向一揆との泥沼の戦いが信長を待ち受けていた。将軍・足利義昭は、信長を失脚させようと陰謀をめぐらす。敵対勢力の拠点と化した比叡山延暦寺を焼討ちにより殲滅するが、三方ケ原では徳川家康との連合軍が武田信玄に大敗。信玄の急死で辛くも窮地を脱した信長はついに義昭を追放し、浅井・朝倉討滅を果たす。戦いに明け暮れる信長の胸中に、暗い猜疑心が次第に大きく渦巻いていく…。日本の歴史文学史上に輝く傑作。
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パレートの法則じゃないけど、目的を達する為に最初の80%をどれだけうまくやっても、最後の20%を完遂するのは本当に困難だなと、そう思いました。領地を増やして、兵力を蓄えて、当初の目標にしていた上洛は果たして。そこまでは良かったものの、見なきゃいけない方面があらゆる方面に増えていって、自分の見える範囲がだんだん薄くなっていくと反抗勢力が台頭したり、恩賞に一貫性がなくなったり、管理すべき人が増えて管理しきれなくなったり。
進んでいけば、はじめに見えてなかった困難が見えてくる。そこは見えてなかったから準備ができていないんだけど、対応しなきゃいけない。そういった中で、どれだけ柔軟に早く対応していけるか。そういう意味じゃ、信長が即断を常にしていたってのは僕らも見習わなきゃいけない姿勢なんだろなと思います。
先送りしても、毎日出てくる問題が雪だるま式に増えていくだけだ。常にもぐら叩きじゃないけど、即断できるように準備しておくことと、実際に即断をしていくこと、そして、その即断の精度を時間の経過の中で少しずつでもいいから上げていくこと。
そういうことが求められているのは、戦国時代でも今の世の中でも一緒かもしれないですね。いや、戦国時代はある程度大きい規模の人をまとめる人が持っていれば良いスキルだったかもしれないけど、今はドッグイヤー。過去の7年分の出来事が1年で起こる。
いや、ドッグイヤーじゃなく、シカダーイヤー(蝉の年)なんて言葉も出てきてる。ドッグイヤーって人生が7倍に凝縮されるってことでしょ?蝉って7日間、、、さらにどんどん短くなってきてるってことだと思うけど、そういう世の中ではもっと多くの、言ってみればほとんど全ての人に必要なスキルになってくのかもしれないですね。
あと、やっぱり信長がすごいと思ったのは鉄砲の使い方だったり、発想の大胆さ。これは新しい技術をどんどん自分のものとして取り入れるってことになるんだけど、今で言えば、IT革命、情報革命の中でできることが新しいサービスや製品、コンセプトや考え方が飛躍的に増えていってる。今まではわからなかったこと、一部の人にしか知られてなかったことがどんどん公になってきてる。その波にうまくバランスを取りながら、自分の位置や相手の位置、波の向かう方向と自分の行きたい方向を考えながら乗っていくってのはそういう意識を持っていないとできないことなのかなと思います。
いやー、信長って勉強になるなぁ。
でも、単に歴史の教科書を読んでもこうは思わない、こういうとこまで自分の落としこみはできないと思う。そういう意味じゃ、この津本陽さんの作品は気づきが多い、「傑作」って定評のある理由もわかる気もします。1989年の出版。その頃の俺はこの本をたとえ本屋で見かけていても、20年後に読むことになるなんて思いもしなかったんだろうなぁ。。。今から20年後に読む本ってどんな本だろう。