太田和彦のレビュー一覧
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太田和彦『家飲み大全 おつまみ編』だいわ文庫。
『家飲み大全』の第2弾は、太田和彦のお気に入りの家飲み定番おつまみのレシピ集である。太田和彦の奥さんのいづみさんが毎日の晩酌のために作ったおつまみのメニューを書き残したノート『小料理いづみ お献立帖』が元ネタのようだ。簡単に作れるおつまみレシピ55品がカラー写真と紹介エッセイと共に紹介される。
アルコール類を一切口にしなくなって10年以上が過ぎたが、おつまみの類は相変わらず好きである。
余り手間を掛けずにアイデア勝負のおつまみの数々はなかなか興味深い。
きゅうりとカニカマのサラダは確かに美味い。カニカマは少し高級なものにして、マヨネーズで和えた方が美味い。昔、上野にあるとんかつ井泉で初めてカニと胡瓜のサラダを食べてその美味さに驚いたが、カニカマでも充分である。
イカと大根の甘辛煮も美味い。大根の代わりに里芋でも良い。盛岡から秋田に向かう国道沿いにおでんが有名な峠の茶屋という店があるが、ここのおでんにはイカが使われている。あの独特の濃い色のつゆはイカかスルメで出汁を取っているのだと思う。
しゅうまいを家で作るのはなかなか面倒だと思う。一関の稲村というラーメン屋はラーメンも美味いのだが、具材に殆ど玉ねぎだけという焼売も名物だ。ウスターソースで食べる熱々の焼売はたまらない。一度、家で玉ねぎだけの焼売に挑戦したが、稲村の足下にも及ばなかった。
牡蠣の昆布焼きは一関のこまつで食べたことがある。確かこまつの牡蠣は唐桑の大ぶりの牡蠣を使っていたと思う。唐桑の牡蠣はなかなか手に入らない貴重品である。唐桑の牡蠣は、宮古の牡蠣や広島の牡蠣に比べて大ぶりで味が濃く、生でも美味いが、焼いたたり、火を通した方がさらに味が濃くなり、美味である。牡蠣のシチューやグラタンも美味い。
本体価格980円
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太田和彦『人生を肴に ほろ酔い百話』だいわ文庫。
77歳の喜寿を迎えた居酒屋の達人・太田和彦による酒飲みにまつわる100話のショートエッセイを収録。書下ろし。
自分はおよそ10年前に酒を止めた。11月に突然酒を飲むのを止めて、年末年始を飲まずに居たら、その後は全く飲む気が起きなくなった。しかし、酒の肴の類いは好きで、太田和彦の居酒屋エッセイは面白く、止められない。
居酒屋や酒の肴の話は僅か、刺身のツマ程度で、太田和彦が自らの人生を振り返るというエッセイが多い。1つのエッセイが僅か2ページにまとめられているので、1つ1つのエッセイがさらっと読めるのだが、自分の人生とも重なる所もあり、噛み締めながら読んだ。
文化論や政治批判、歌謡曲にロック、ジャズ、さらには若い頃の登山や資生堂で働いていた時代、椎名誠らとの交流についても書かれていて非常に面白い。
さすが文庫書下ろし。ニューヨーク・タイムズが2023年に行くべき世界の52ヶ所の第二位に盛岡を選んだことが書かれている。確かに盛岡は良い。豊かな自然を背景に古きと新しきが良いバランスで残っている街だ。
自分が酒を止めたのは飲むのが億劫になったからだ。仕事の付き合いや友人知人との酒を介した付き合いというのが非常に疲れるし、飲んだ後に本を読んだり、風呂に入ったりするのは非常に億劫だ。酒を止めてから、肝臓の数値はすこぶる良い。20代や30代の時より断然良い。妻には若い頃はどんだけ飲んでいたのよと窘められた。
本体価格800円
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全都道府県を踏破した居酒屋研究の第一人者である著者がその居酒屋から見た県民性を述べた一冊。
県民性といった本は多々ありますが、居酒屋から見る、というのはなかなか面白い内容でした。1つの県あたり何件の居酒屋を訪れたのかは分かりませんし、数件で県民性を語るのはなかなか難しいと思いますが、著者の視点は興味深く、この一冊をもとに、全国を旅したくなります。
著者は、最後に、居酒屋には諸外国にはない、各地域の気質が現れ、日本の文化であると述べています。お酒好きにはたまらない一冊になるでしょう。
▼日本中の居酒屋を巡り歩くうちに。居酒屋ほど各地の県民性が表れるところはないと気づいてきた。作家サマセット・モームは「その土地を知るには、市場に行け」と言ったが、私流は「その土地を知るには。居酒屋に行け」。
▼その感動とは「地方の居酒屋にはそこにしかない肴と調理がある」
▼町の人口が増え、経済的、行政的に安定が生まれると、住む人がくつろぐ場所としての居酒屋が求められてくる。一日の疲れをとりながら、できごとを話し、互いの気心を知って、町の安定感になってゆく。よそからの客をもてなすために地方色を強調した接待店ではなく、住民が毎日通え、安価で飽きない、いや飽きているが、だからこそ落ち着く。互いに飾り気なしの本音で通用する場所としての居酒屋がある町は健全だ。そこにこそ各地の県民性が表れていると気づいた。そうなるとその県民性を味わいにまたでかけてゆく。
▼島国の日本は閉鎖的で外国と交流がなく、江戸期に長期安定をみた藩制は、その地方の気質を生み出してきた。土地の歴史が育てた県民性がこれほど細かく多様なのは、日本という国の特徴かもしれない。言葉はもちろん、話題、自慢、引け目。すぐ打ち解けてくれたり、警戒心が強かったり、長尻だったり、はしごだったり。一杯やりながら眺めている県民性はまことに多様で、国内各地の旅の面白さはそこにある。土地に古くから残るものを探って記録するのは民俗学だ。いつしか「居酒屋の民俗学」と思うようになった。
▼これだけ豊かな食が日常的に安価に提供されている飲食店は諸外国にはないだろう。南北に長く、四方を海に囲まれ、地形は変化に富んでさまざまな気候風土となり、それにあった農業、漁業、さらに調理を工夫するのが好きな国民性が生んだ。日本の食文化の豊かさゆえだ。日本人はその豊かさを居酒屋で日常的に楽しんでいる。
▼こうしてみると日本の居酒屋は諸外国に較べて特徴がつよいと感じる。そこで育まれる共同体意識が都市の安定装置になっている。小説でも映画でも居酒屋は日常的に登場して、本音や人間性が表れる舞台に使われる。これは文化だ。日本の居酒屋には文化がある。 -
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太田和彦『飲むぞ今夜も、旅の空』小学館文庫。
8年前に酒を止めて以来、一滴も飲まぬのだが、太田和彦の居酒屋巡りエッセイは止められない。
過去の再収録エッセイと未収録エッセイとで構成。
酒と肴だけでなく、その土地の文化や歴史、人びととの出会いを流れるような文章で綴られるエッセイは酒好きでなくとも虜になるだろう。
酒場の看板。確かに『来夢来人』や『多恋人』は中規模以上の街なら一軒はある店名だろう。女性の名前を冠したバーなどは飲み屋横丁などでよく目にする。
東日本大震災で被災した東北の酒蔵。気仙沼の男山の蒼天伝はどっしりした飲み心地の酒だったと思う。石巻の日高見、村田町の乾坤一はすっきりした男らしい酒だったと記憶している。
様々な土地の美味しそうな酒と肴。海の幸も山の幸も素材自体も大事だが、その土地の調理法で頂くのが一番美味い食べ方なのかも知れない。東北地方の酒場や酒が多数紹介されているのも嬉しい。
本体価格620円
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購入済み
呑みたくなります
太田さんの表現はイメージが湧きます。読んでいるうちに日本酒を呑みたくなってきます。美味しいおつまみも。
チェーン店じゃない居酒屋って、当たり外れを考えて初めてのお店はためらいがちになりますが、ここで紹介されているお店には行ってみたいです。
呑兵衛必読の書。 -
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太田和彦さんの居酒屋本です。この人の書く居酒屋とそこで働いている人たちや客、そしておいしいお酒と肴の数々には「僕もいつかこういう旅がしてみたい」と思わせます。こういうところにいつか行ってみたいですね。
性懲りも泣く居酒屋に関する本ばっかり読んでいる私がいます。あとがきによるとこの作者による「居酒屋」に関するエッセイはこの本で一応終止符のようですね。僕もまだ全部を読破したわけではありませんが、がんばって読破しようと思っています。最近では『女子会』なるのものが巷で花盛りだとか。でも、僕はそういうおされなところには足を運ばず、ここに書かれているような時代を感じさせる居酒屋でひとり、杯を傾けてみたいですね。というか実際のところ、酒の相手をしてくれる人がいないんでいきおい一人で飲むしかないんですが…。
僕が東京でよく行っていたのは荻窪の『鳥もと』でした。いい店でしたね。今は移転してしまって新しい店になってしまったようですが。こういう酒場を放浪すると、どれくらいお金がかかるものなのでしょうか?
「酒場放浪記」の吉田類さんは
『家の一つや二つはたっている』
と申しておりましたけれども。
それくらいのお金をひとつのことに費やせばまぁ、後悔はないでしょう。
こういう本を読んでいると、また酒場をうろつきたくなって困るんだよなぁ。今はまじめに生きないといけないのに。そんな自分がいます。 -
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この本で大団円を迎えるのですが、志を立てて三年、ここまで飲み続けるのもある意味根性が必要ですが、この本は酒の本であると同時に、すばらしい紀行文でもあることを教えてくれます。
ジンギスカンを肴にビールを飲み、沖縄でTボーンステーキを平らげ、流浪の旅はさらに続き、高松、那覇、仙台、熊本、壱岐、札幌、名古屋、博多、会津をめぐり続けて、神戸で結末を迎える。いい旅路だな。読んだあとに本当に素直にそう思えました。もともと僕の家ならびに親類縁者は、あんまり酒飲みの家系ではないようで、若干いたことはいたのですが、その人たちのことはあんまりここで書くには忍びないので、詳しくは書きません。
それはさておき、僕が本格的に酒場に出入りし始めたのは東京に出て『会社勤め』なるものを始めてからのことですけど、なんというか、しゃれた店よりもこういうところに心惹かれるのはなぜでしょうね。僕の中で酒と旅はどうも二つセットになっているような気がしてなりません。
これからまたさらに吉田類さんの『酒場放浪記』の最新刊を読むのですが、あとすこし、あとほんの少しだけ、今の自分を取り巻く状況が改善したら、少しこういうところをめぐる旅をしてみたいという衝動に駆られます。何度もこの話は続きますが、これが今の自分の『希望』です。