田中優子のレビュー一覧

  • 昭和問答

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    『日本問答』『江戸問答』『昭和問答』とつづいた二人の対談シリーズは、松岡の死とともに終わりを告げた。

    なぜ競争から降りられないか?国にとっての独立とは?人間にとっての自立とは?という3つのリサーチクエスチョンに対し、苦海浄土やゴジラを引っ張ってきて、連綿とつながる歴史を織り交ぜた認識は、2人の知に圧倒されっぱなしだった。
    エディティングステート/持続的編集力に期待する二人に、自分がどう向き合うのか?道はまだまだ続く。

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    2025年02月23日
  • 遊廓と日本人

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    178P

    昔の遊女は半端ない教養があった人でそこから文化が生み出されるレベルだったらしい。遊郭に行く男性も着物や髪型、教養とか求められることが多すぎて一部の人しか行けなかったらしい。そもそも文化というのは人間の三大欲求の周辺から生まれるっていうのがなるほどと思った。講談社現代新書読み放題88冊目で一番面白い本に出会えた。

    芸能と性風俗は元は同じものだった。

    田中優子
    1952年神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部教授、社会学部長等を経て法政大学総長(2021年に退任)。専門は日本近世文学、江戸文化、アジア比較文化。2005年紫綬褒章受章。著書に『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫

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    2024年06月27日
  • 春画のからくり

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    春画がなぜ単なる猥雑画ではなく、海外にまでコレクターのいる芸術となり得たのか。そこには日本特有の、こうしたものにすら粋や笑いを求める気質がある。だから春画には女だけでなく必ず男女が描かれる。

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    2024年03月29日
  • 芸者と遊び 日本的サロン文化の盛衰

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    遊女と歌舞伎との関わりも深い。歌舞伎は「かぶき踊り」という踊りの名前に由来する。かぶき踊りとは、かぶき者= 傾き者と言われる一種のやくざ者のふるまいを真似た踊りであった。傾き者は派手な格好に長いもみあげを生やし、長大な脇差を腰にさして長大な 煙管 のまわし飲みをする連中である。茶屋に出入りし、肩で風を切って歩く。極めて男性的なふるまいをする者たちだが、それを 阿国 と呼ばれる女性芸人(遊行芸能民)が自分なりに編集しなおして作り上げたのが、男装のかぶき踊りだった。それを受け継いだ遊女たちは腰に脇差を差し、長い髪を結い上げてはちまきを締めて舞台に立った。さらに和尚(卓越した女性芸人)は、

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    2024年01月31日
  • 遊廓と日本人

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    江戸時代の風俗ってどんなんだったか〜ってお話

    昔は今で言う本番までしてあげることが多くて、ただコンドームがない時代だったから性病で若くして(27-28くらい)亡くなる遊女が多かったそうね。

    今と違うのは、当時の遊女は茶道とか華道の作法を知ってて、歌が読めて文が書けてととても教養が高かったそう。だから大名とか商人の奥さんも驚くくらいで、「正妻に迎えてもいいんじゃない?」と奥さんから提案された記録もあったそうよ

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    2022年05月05日
  • 江戸とアバター 私たちの内なるダイバーシティ

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    江戸時代の人々は様々な活動の姿、本書ではアバターと称しているが、を持っていたことを多くに事例で示している.松尾芭蕉、伊能忠敬、渡辺崋山、横山崋山、等々.終章で田中さんが上手にまとめているが、"江戸時代は高齢化社会ではなかったにもかかわらず、隠居の活躍する社会だった.アバターというテーマは非定常発達者だけの問題ではない.ひとつの空間に固執するべからず.自分の中に豊かなマルチ・ユニバースと分身を確保すべきだ(p304-305)" .国会でしどろもどろになっているおっさんに聞かせたいものだ.柳家花緑の話も楽しめたが、非定常発達者をいかに社会に取り込むかは大切な視点だと感じた.俳諧

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    2020年11月06日
  • 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう

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    一年に一回のペースでO.A.されているスペシャルは特に内容、人選ともに大変興味深く蒙を啓かれる。経済、心理、歴史。つまりおよそ平和を取り巻く全方位から論考、議論されるため、立体的かつそれぞれの書のエッセンスにとどまらず、タイムリーな論議にもなっており、実践実用的だ。
     とりあえずは過去作をコンプリートしようかと。

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    2019年04月09日
  • 日本問答

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    読みながら
    引っ掛かりながら
    調べながら
    考えながら
    しばし、
    休息しながら
    読み進めていった

    知的な好奇心が
    これでもか と 思われるほど
    揺さぶられるのが
    うれしい

    田中優子さんが
    これまでの日本の歴史は
    誰が何をしたか、誰が勝ったか、誰が何を作ったか
    の 主語の歴史である。
    名を持たぬ人々の営みは埋もれ、彼らによって作られた無数のアート(優れた技術で生み出されたもの)も語られない。しかし「おおもと」は、その中にある。

    の 視点から繰り出される
    「日本のこれまで」と
    「日本のこれから」は
    まことに 興味深い「問答」に
    なっている

    ぜひ、続編を読みたいものだ

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    2018年05月14日
  • 春画のからくり

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    一昨年から昨年にかけて大英博物館で開催された春画展。日本ではこれまでほぼ禁忌事項の如く扱われ日の目を見ることは無かったが、あまりの反響の大きさに、ついに今年開催。現在12月までの日程で開催中。僕もこの間見てきたけれど、美しさや面白さに目を奪われると同時に、江戸以前の倫理観が如何に現代と違うのかについて衝撃を受けた。今我々が盲目的にフォローしている倫理観は、実は明治以降に新政府によって植え付けられたものだったと言えるのでは無いか、とその時感じたのだが、この本を読んで益々その思いを新たにした。
    というか観に行く前に読んどけばよかった…。現法政大学総長で、江戸文化研究の第一人者である田中優子教授の春

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    2015年10月26日
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業

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    最近受験生の我が息子は、少し遠くの塾に
    日曜日の夜間に通っています。(そんなに必死に
    受験勉強しているわけではないのですが)
    そこで、夫婦も揃って息子を送り届けて
    塾が終わるまで二人でスタバに行って2時間
    くらい待っています。私はじっくり本を読める時間
    なので割と気に入っています。そこで読み終わった
    今回のこの本。
    川崎の桐光学園高校に様々な
    論客(日本のトップクラス)が特別の授業をする
    らしいのですがその授業の内容が本になっている内容。
    こんな高校生はとても幸せだと思いますが
    多分自分が高校生だったときはあまり興味を
    覚えなかっただろうなあと思います。
    でも、それでもそういうことを言っていた

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    2015年06月28日
  • 大江戸ボランティア事情

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    無い物ねだりで《言葉や名前》ができる
    当たり前に存在している環境に名前は付かない
    例えばリサイクルやプライベートやチャリティーや
    弁護士や保護司や社会福祉や義務教育や地方分権などは
    民間ボランティアにゆだねていたので
    分け合うことを常とする人間関係に必要のない言葉だった

    江戸時代の庶民は程よい村を構成して自律した自主性による
    補い合う相互扶助の自治があったから
    ボランティアに相当する言葉など必要もなかったが
    日々の暮らしでお金で買えない補い合う意識を大事にしていた
    紐付きの膨大な官僚組織も社会経費もなしに
    それ以上の偏りの少ない再分配や福祉活動ができる

    対等に人々が寄り集まった社会における

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    2015年05月16日
  • 春画のからくり

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    江戸時代のことなら田中優子に聞けと、いつも吹聴していますが、これは、たとえばキリスト教・聖書のことなら田川建三に、国家論のことなら滝村隆一に、右翼思想とりわけ北一輝のことなら松本健一に、美人のことなら井上章一に、マンホールのふたのことなら林丈二に、SMのことなら団鬼六に、などと似たような、あることに関して様々な見解を知るよりも、他の誰よりも信頼のおける一人の当代随一の研究者の目を通した偏った見方で認識し通してみたいと願望する、私の偏向した趣向にすぎませんが、これが案外なかなか面白くてやめられません。

    つまり、彼や彼女の全著作を読むことによって、その視点を我がものとして反対意見や全体もみえてく

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    2011年10月02日
  • 蔦屋重三郎 江戸を編集した男

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    ネタバレ

    大河ドラマ「べらぼう」を観ているが、知識がないので、どこまで史実なのかわからなかったり、意味が分からなかったりした。この本を読んで、知識を補完できて良かった。
    そして「編集」というものについて考えさせられる機会にもなったと思う。

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    2025年05月22日
  • 昭和問答

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    松岡正剛氏と田中優子氏の対談シリーズ第3弾。
    戦火が近づく昭和初期から、第二次世界大戦、戦後~高度成長期、平成、令和までを縦横無尽に論じており、非常に面白く興味深く読んだ。
    松岡氏が亡くなったのが惜しまれる。

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    2025年04月24日
  • 蔦屋重三郎 江戸を編集した男

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    もしや?と思いながら頁を開くとそこには松岡正剛氏への追悼の言葉があった。
    彼にインスパイアーされ、共に思考を巡らせた田中優子さんが書く蔦屋重三郎は、江戸後期の文化創出を「うつろい・おもかげ」といったキーワードから編集という意図の具現化を切り取った構成で、松岡とのシンクロと感じた。
    もちろん彼女の専門である江戸学からの切り口も新鮮だった。
    平安と江戸を遊廓が繋ぎ、連の進展が襖絵を浮世絵に、狂歌が身分やギャップを埋めた。
    「編集」を通して蔦重と彼らが創った江戸後期のサブカルチャーをもっと知りたくなった。

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    2025年02月09日
  • 遊廓と日本人

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    べらぼう、で気にになって読んだけど、ジャンダーのことや人権にも触れていて、それでいて読みやすく楽しかった。

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    2025年01月31日
  • 蔦屋重三郎 江戸を編集した男

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    大河ドラマ予習本第2弾。(すでにドラマはスタートしてしまいましたが……)
    江戸文化研究者の書く新書、ということで、まぁそこそこの読みやすさはあるだろうが、真面目にお勉強する感じになるのかなぁと思って読み始めた。
    結果、まぁ勉強の要素もありますが、著者の意外にアツい語り口で、思ったより勢いをもって読めた。

    基本的には蔦屋重三郎本人のキャラクターに焦点をあてるわけではなく、彼の仕事をたどっていくのだが、そこから浮かび上がってくる蔦重像というのが私の中にもある程度明確に浮かび上がってきた。
    蔦屋重三郎は、単に「売れる本をつくった編集者」ではない。
    文化をつくる、という強く大きな目標が根底にあり、そ

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    2025年01月17日
  • 昭和問答

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    <目次>
    第1章  戦争が準備されていた
    第2章  二つの戦争
    第3章  占領日本が失ったもの
    第4章  生いたちのなかの昭和
    第5章  本を通して昭和を読む
    第6章  昭和に欠かせない見解

    <内容>
    まずは松岡正剛さんを追悼…。稀代の本読みでした…。この本はなくなる直前に校了したそうで、遺作となります。
    さて、元法大総長の田中優子さんとの対談集の三作目。『日本問答』『江戸問答』に続く。お二人も昭和の半分を生きてきた人。リアルタイムを本を通して追想しながら、昭和を深掘りしていきます。そこには多くの示唆が。勝ち目のないアジア太平洋戦争に突っ込んでいったこと。高度成長期の学生運動。戦後日本に本当

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    2024年11月17日
  • 蔦屋重三郎 江戸を編集した男

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    <目次>
    第1章  何人もの蔦屋重三郎
    第2章  世界が彩られた~蔦屋重三郎の生まれ育った環境
    第3章  吉原を編集する
    第4章  洒落本を編集する
    第5章  なぜ蔦屋重三郎は処罰されたのか?
    第6章  狂歌師たちを編集する
    第7章  浮世絵を編集する
    第8章  芝居と役者を編集する
    第9章  天明の大飢饉が江戸を変えた
    第10章  編集ということ

    <内容>
    著者は、来年の大河ドラマの主人公が蔦屋重三郎であることを利用して、江戸時代の文化、特に出版に関連する諸分野を書きたかったのだろう。山東京伝、大田南畝、喜多川歌麿、東洲斎写楽…。さらに吉原や狂歌、浮世絵から絵巻物…と縦横無尽に語り尽くして

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    2024年11月09日
  • 遊廓と日本人

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    遊廓跡地の雰囲気が好きで写真集などを買っていたのですが、「"昭和レトロ"や"建築好き"の類の好きと一緒にしてはいけないようなモヤモヤした気持ち」がありました。そのモヤモヤをこの本で理解することができた気がします。

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    2024年06月23日