田中優子のレビュー一覧

  • 春画のからくり
    春画がなぜ単なる猥雑画ではなく、海外にまでコレクターのいる芸術となり得たのか。そこには日本特有の、こうしたものにすら粋や笑いを求める気質がある。だから春画には女だけでなく必ず男女が描かれる。
  • 芸者と遊び 日本的サロン文化の盛衰
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    遊女と歌舞伎との関わりも深い。歌舞伎は「かぶき踊り」という踊りの名前に由来する。かぶき踊りとは、かぶき者= 傾き者と言われる一種のやくざ者のふるまいを真似た踊りであった。傾き者は派手な格好に長いもみあげを生やし、長大な脇差を腰にさして長大な 煙管 のまわし飲みをする連中である。茶屋に出入り...続きを読む
  • 遊廓と日本人
    江戸時代の風俗ってどんなんだったか〜ってお話

    昔は今で言う本番までしてあげることが多くて、ただコンドームがない時代だったから性病で若くして(27-28くらい)亡くなる遊女が多かったそうね。

    今と違うのは、当時の遊女は茶道とか華道の作法を知ってて、歌が読めて文が書けてととても教養が高かったそう。だ...続きを読む
  • 江戸とアバター 私たちの内なるダイバーシティ
    江戸時代の人々は様々な活動の姿、本書ではアバターと称しているが、を持っていたことを多くに事例で示している.松尾芭蕉、伊能忠敬、渡辺崋山、横山崋山、等々.終章で田中さんが上手にまとめているが、"江戸時代は高齢化社会ではなかったにもかかわらず、隠居の活躍する社会だった.アバターというテーマは非定常発達者...続きを読む
  • 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう
    一年に一回のペースでO.A.されているスペシャルは特に内容、人選ともに大変興味深く蒙を啓かれる。経済、心理、歴史。つまりおよそ平和を取り巻く全方位から論考、議論されるため、立体的かつそれぞれの書のエッセンスにとどまらず、タイムリーな論議にもなっており、実践実用的だ。
     とりあえずは過去作をコンプリー...続きを読む
  • 日本問答
    読みながら
    引っ掛かりながら
    調べながら
    考えながら
    しばし、
    休息しながら
    読み進めていった

    知的な好奇心が
    これでもか と 思われるほど
    揺さぶられるのが
    うれしい

    田中優子さんが
    これまでの日本の歴史は
    誰が何をしたか、誰が勝ったか、誰が何を作ったか
    の 主語の歴史である。
    名を持たぬ人々...続きを読む
  • 春画のからくり
    一昨年から昨年にかけて大英博物館で開催された春画展。日本ではこれまでほぼ禁忌事項の如く扱われ日の目を見ることは無かったが、あまりの反響の大きさに、ついに今年開催。現在12月までの日程で開催中。僕もこの間見てきたけれど、美しさや面白さに目を奪われると同時に、江戸以前の倫理観が如何に現代と違うのかについ...続きを読む
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業
    最近受験生の我が息子は、少し遠くの塾に
    日曜日の夜間に通っています。(そんなに必死に
    受験勉強しているわけではないのですが)
    そこで、夫婦も揃って息子を送り届けて
    塾が終わるまで二人でスタバに行って2時間
    くらい待っています。私はじっくり本を読める時間
    なので割と気に入っています。そこで読み終わった...続きを読む
  • 大江戸ボランティア事情
    無い物ねだりで《言葉や名前》ができる
    当たり前に存在している環境に名前は付かない
    例えばリサイクルやプライベートやチャリティーや
    弁護士や保護司や社会福祉や義務教育や地方分権などは
    民間ボランティアにゆだねていたので
    分け合うことを常とする人間関係に必要のない言葉だった

    江戸時代の庶民は程よい村を...続きを読む
  • 春画のからくり
    江戸時代のことなら田中優子に聞けと、いつも吹聴していますが、これは、たとえばキリスト教・聖書のことなら田川建三に、国家論のことなら滝村隆一に、右翼思想とりわけ北一輝のことなら松本健一に、美人のことなら井上章一に、マンホールのふたのことなら林丈二に、SMのことなら団鬼六に、などと似たような、あることに...続きを読む
  • 日本問答
    読書会の予習として。松岡正剛の対談は初です。相変わらずの超絶博覧強記。それについていく法政大学総長もさすが。いくつかの概念を提示されるのですが、それらが動的な概念だからか、イマイチピンと来ないのも相変わらず。若い頃イシス編集学校を受講しようと思って結局実行しなかったのだが、やっとけばよかったと思わさ...続きを読む
  • 江戸とアバター 私たちの内なるダイバーシティ
     江戸時代の人々は身分社会の中にあって、多名を使いこなし「連」などで創作活動をしている人がいた。

     彼らは様々なアバターを使いこなす人々だったようです。

     心の中の様々なアバターを駆使して生きる現代のSNS社会の我々にも通じるヒントになります。
  • 遊廓と日本人
    ジェンダーから見た遊郭の問題がある一方で、遊郭は日本文化の集積地だった。遊女の能力や人柄は、和歌や文章や筆など平安時代の文学に関わること、琴や舞など音曲や芸能にかかわること、中世の能や茶の湯や生け花、漢詩、俳諧など武家の教養にかかわること、着物や伽羅や立ち居振る舞いなど生活にかかわることなど、ほとん...続きを読む
  • 遊廓と日本人
    著者の遊郭に対する愛情と誇り、それに相反する批判。
    昔はそれはそれ、これはこれ、的スタンスが認められたしなんなら粋、追求は野暮とすら思われてきたが、この現代にあっては呑気に文化の素晴らしさのみを語ることは難しい。
    人権侵害を前提としたエクスキューズがとても今っぽい。
    遊郭の説明の本編ももちろん興味深...続きを読む
  • 遊廓と日本人
    「文化は欲望に人間的で伝統的なかたちを与えたものです」と著者がいうごとく、性欲にまつわる文化が織りなす時代模様を遊郭を題材に一覧した著作。
  • 最後の文人 石川淳の世界
    文壇史みたようなものを散見する中で名前はなにか記憶に残るが、どういう人物なのか知りたかったので。
    ある程度はすでに読者である層に向けた内容でもあるが、 著作の歩みを振り返り掘り進める流れの中で、一作家の特質と言えるものが公然と提示されるようになっており、当初の目的からすると敷居が高い取り上げ方かと思...続きを読む
  • 苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神
    某所読書会課題図書:これまで田中優子の本は「布のちから」「江戸とアバター」の2冊を読んでいた.本書は彼女の感性を石牟礼道子に集中して、新たな展開を見せたものと感じた.p21の道子の世界を表した図は対談の中で田中が感じ取ったものを抽象化したものと捉えたが、道子の心をうまく表現したものと思う.道子が一般...続きを読む
  • 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう
    ロシアのウクライナ進攻。
    中東でも中国、北朝鮮でもなく、東欧の文明国と思っていたロシアが、まさか。
    スマホによって、リアルタイムに発信される戦況。被害を受けたウクライナの人々の、生の声と表情は、戦争というものの圧倒的な破壊と惨状を物語っていて、それが今まさに起きているということをダイレクトに伝えてい...続きを読む
  • 遊廓と日本人
    遊廓とはただの風俗場という認識だったが違った視点で面白かった。芸としておもてなしとして、遊女はかなり優れた人だったというのも驚きだった。読みきれないところもあるがかなり満足した。
  • 布のちから 江戸から現在へ
    ガンジーが英国の大量生産の木綿に対して、カーディとチャルカの運動で手織り木綿を作っていた話は非常に感動した.また沖縄で素晴らしい布が作られていることを知り、日本文化の奥深さを再認識できた.手仕事は元々実用品を作るものだったが、現在では奢侈品のものになっていることを危惧する指摘も紹介されていた.布ばか...続きを読む