田中優子のレビュー一覧

  • 日本問答

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    読書会の予習として。松岡正剛の対談は初です。相変わらずの超絶博覧強記。それについていく法政大学総長もさすが。いくつかの概念を提示されるのですが、それらが動的な概念だからか、イマイチピンと来ないのも相変わらず。若い頃イシス編集学校を受講しようと思って結局実行しなかったのだが、やっとけばよかったと思わされた。今からでも遅くはないんだろうけどやり切れる自信がない。

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    2023年11月28日
  • 江戸とアバター 私たちの内なるダイバーシティ

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     江戸時代の人々は身分社会の中にあって、多名を使いこなし「連」などで創作活動をしている人がいた。

     彼らは様々なアバターを使いこなす人々だったようです。

     心の中の様々なアバターを駆使して生きる現代のSNS社会の我々にも通じるヒントになります。

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    2023年09月24日
  • 遊廓と日本人

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    ネタバレ

    ジェンダーから見た遊郭の問題がある一方で、遊郭は日本文化の集積地だった。遊女の能力や人柄は、和歌や文章や筆など平安時代の文学に関わること、琴や舞など音曲や芸能にかかわること、中世の能や茶の湯や生け花、漢詩、俳諧など武家の教養にかかわること、着物や伽羅や立ち居振る舞いなど生活にかかわることなど、ほとんどが日本文化の真髄に関係している。そしてこれらの、特に和歌や琴や舞などの風流、風雅を好む人を平安時代以来、「色好み」と呼んでいた。「色」には恋愛や性愛の意味もあるが、もともとは恋愛と文化的美意識が組み合わさったもので、その表現としての和歌や琴の音曲を含むものだった。遊女が貴族や大名の娘のように多くの

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    2023年07月02日
  • 遊廓と日本人

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    著者の遊郭に対する愛情と誇り、それに相反する批判。
    昔はそれはそれ、これはこれ、的スタンスが認められたしなんなら粋、追求は野暮とすら思われてきたが、この現代にあっては呑気に文化の素晴らしさのみを語ることは難しい。
    人権侵害を前提としたエクスキューズがとても今っぽい。
    遊郭の説明の本編ももちろん興味深かったけれど、前書きと後書きが現代における遊郭の捉え方を考える上での支えとなる。
    いつだって、誰だって、同じ給料もらえるなら体は売らない。

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    2023年05月09日
  • 遊廓と日本人

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    「文化は欲望に人間的で伝統的なかたちを与えたものです」と著者がいうごとく、性欲にまつわる文化が織りなす時代模様を遊郭を題材に一覧した著作。

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    2023年05月05日
  • 最後の文人 石川淳の世界

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    文壇史みたようなものを散見する中で名前はなにか記憶に残るが、どういう人物なのか知りたかったので。
    ある程度はすでに読者である層に向けた内容でもあるが、 著作の歩みを振り返り掘り進める流れの中で、一作家の特質と言えるものが公然と提示されるようになっており、当初の目的からすると敷居が高い取り上げ方かと思ったがそうでもなく助かった。

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    2022年12月12日
  • 苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神

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    某所読書会課題図書:これまで田中優子の本は「布のちから」「江戸とアバター」の2冊を読んでいた.本書は彼女の感性を石牟礼道子に集中して、新たな展開を見せたものと感じた.p21の道子の世界を表した図は対談の中で田中が感じ取ったものを抽象化したものと捉えたが、道子の心をうまく表現したものと思う.道子が一般的な女性解放運動を避けたことに田中は注目していたが、道子の心意気の核心を捉えたものと推測する.死者と生者を区別しないある意味でおおらかな発想も、道子独特の思考方法だと思う.独特の発想や方言の積極的な採用など、独自性が世界的に受け入れられないためにノーベル文学賞の候補にならなかったことは、反対に素晴ら

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    2022年07月18日
  • 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう

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    ロシアのウクライナ進攻。
    中東でも中国、北朝鮮でもなく、東欧の文明国と思っていたロシアが、まさか。
    スマホによって、リアルタイムに発信される戦況。被害を受けたウクライナの人々の、生の声と表情は、戦争というものの圧倒的な破壊と惨状を物語っていて、それが今まさに起きているということをダイレクトに伝えている。
    戦争とは何なのか、平和とは何なのか、少しでも考える端緒を得たいと思い読みました。
    フロイトのエロスとタナトス、ブローデルの地中海、西鶴の日本永代蔵、ヴォルテールの寛容論。時代も場所もそれぞれ異なる著作から、平和とは何なのかを考えるためのヒントを興味深く与えてくれる。
    死の欲動によって避けがたく

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    2022年03月16日
  • 遊廓と日本人

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    遊廓とはただの風俗場という認識だったが違った視点で面白かった。芸としておもてなしとして、遊女はかなり優れた人だったというのも驚きだった。読みきれないところもあるがかなり満足した。

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    2021年11月22日
  • 布のちから 江戸から現在へ

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    ガンジーが英国の大量生産の木綿に対して、カーディとチャルカの運動で手織り木綿を作っていた話は非常に感動した.また沖縄で素晴らしい布が作られていることを知り、日本文化の奥深さを再認識できた.手仕事は元々実用品を作るものだったが、現在では奢侈品のものになっていることを危惧する指摘も紹介されていた.布ばかりでなく刺青の考察もあり、著者の視点の幅広さに驚嘆した.世界各地の布を丹念に調べている一大成果が盛り込まれた好著だ.

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    2020年11月03日
  • 春画のからくり

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    こんなに大真面目に
    論じられたのでは
    粛々 ふむふむ
    と 読み進めるしかないですね

    田中優子センセイ
    の 男女の交合い大講義
    とても 楽しく興味深く
    読ませてもらいました

    本文中に出てくる
    そのモノの描写だけではなく
    男と女の人間の関係性を描いている
    という論評には
    なるほどと深く感じ入りました

    いつの時代でも
    どの国でも
    男と女が存在する
    この地球では
    普遍的な事象なのでしょう

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    2018年07月12日
  • 芸者と遊び 日本的サロン文化の盛衰

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    田中優子

    芸者文化を 芸を以って もてなす 日本文化 として 論述した本。芸者文化の衰退を 日本文化の豊かさの喪失と捉えた。日本文化が失った豊かさとは 「いき」「のんびり」といった 洗練した社交性、マナー、かたち とした点が面白い。

    「文化の豊かさに 金銭は不可欠だが、失った文化の豊かさは 金銭で買えない」

    のんびり とは
    *日常的な付き合い(社交)→何事も起きない関係
    *社交が成立するには マナーがある→マナーがモラルに優先する

    いき とは
    *所詮 遊びは遊び〜嘘は嘘と見抜かなければならない〜しかし、そのことが相手にわかっては芸がない
    *芸者や太鼓持ちは 客を遊ばせるのが商売〜客

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    2018年05月25日
  • 日本問答

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    ネタバレ

    <目次>
    はじめに 松岡正剛
    第1章  折りたたむ日本
    第2章  「国の家」とは何か
    第3章  面影の手法
    第4章  日本の治め方
    第5章  日本儒学と日本の身体
    第6章  直す日本、継ぐ日本
    第7章  物語とメディアの方法
    第8章  日本の来し方・行く末
    あとがき  田中優子

    <内容>
    歯ごたえのある、手ごたえのある本であった。日本が欧米と違う感覚、感情を持ち、それが歴史を紡いできたこと。その由来を博識な二人がひも解いていく。かなり頭を使い、考えさせられるが、無知な私にも何となく伝わってきた。再読必至な本である。

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    2018年05月12日
  • 高校生と考える日本の問題点 桐光学園大学訪問授業

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    ネタバレ

    読書途中。20人の講師による。一人90分の講演会の収録である。一気に読めるはずもなく、じわじわと読んだ。
    姜尚中の講演のなかで、夏目漱石が奥さんをなぐっていたエピソードがあった。ノイローゼであったらしい。私は夏目漱石になれないけど、夏目漱石よりましだなと少し思った。考えかたとしてまちがっているのかな?どんな偉い人もほんとうにいろいろな苦しみにもがいていきているのだと思い直した。
    20名全て役に立つわけでないが、中には、気に入る人もいるかもしれないとのことだろうか?3.11後の話など考えさせられたり。光触媒の話は興味を覚えた。文学、美術に関心を持った。宇宙論や素粒子の話は、わからないので、もうい

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    2017年01月01日
  • 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう

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    ネタバレ

    フロイト『人はなぜ戦争をするのか』、ブローデル『地中海』、井原西鶴『日本永代蔵』、ヴォルテール『寛容論』。心理学、経済学、江戸文学、哲学と、それぞれ切り口は違えど、平和の維持と創造のヒントを名著から見出せる。

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    2016年07月14日
  • 大江戸生活体験事情

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    知っているようで知らないコピペの知識と
    体験を咀嚼して全体観とつなげた意識まで
    育て上げた熟した知識の違い
    まず二人が始めたのは
    江戸流の時間と暦を日々の暮らしに持ち込むこと
    そのために太陽と地球の関係から機械時計を作る
    当時は日の直前を《明六つ》と言い
    五つ・四つ・九つの正午となり
    そこから八つ・七つ・と進み
    日の入の直前を《暮六つ》言う
    この先は夜の部となり
    五・四・九・八・七となって明六つになる
    昼間の短い冬の一刻は三分の二となる
    夜の部の一刻はその分長くなる
    暦は自然界から遊離した太陽暦でも
    太陰暦でもあく
    陰陽二本立ての複雑なもので
    暮らしのリズムに合わせられている
    特に漁業や農業に

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    2015年10月28日
  • 春画のからくり

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    春画のからくりというタイトル通り、春画の見所、解説、解釈、変遷が見事にまとまっています。
    なるほど、そういう解釈をして楽しむ(エッチな気分になる、という意味ではなく、単純に笑う)ものなのかと、春画の奥深さを感じます。
    春画は笑いの種として親しまれていたようですが、いや多人数で見るのも恥ずかしいし、しかもそれを笑いに変えるとなると、僕にはなかなか理解できません。それだけ性に奔放だったのでしょう。
    死が日常であった時代だからこそ、生=性も日常的なものとしてあったのかもしれません。

    大学時代の卒業旅行で秘宝館に行きまして(笑)そこにはもちろん春画があったのですが、本書のような解釈が添えてあったら、

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    2015年03月02日
  • 大江戸生活体験事情

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    歴史や文化を学ぶことが未来を見つめることになるという単純思考は驕りに過ぎぬと知る。正しく理解することが即、正しい生活の実践に繋がらぬとも悟る。

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    2014年05月05日
  • 世渡り 万の智慧袋

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    知らなかったことが一杯で興味深かった。
    始末の思想/自分の老後費とは別にちゃあんと「家産」を作っとくこと/社会貢献とは若者を育てて一人前にすること

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    2012年10月14日
  • 大江戸生活体験事情

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    江戸時代の生活を実際に体験してみた2人の感想を述べています。おひとりは33年生まれ男性、もうお一人は52年生まれの女性で、例えば江戸時代の時間(不定時法)や暦(太陰太陽歴)に従った生活、火打石で火を起こす、行灯での生活、などなど。 知識ではなく体験することの重要性とか、便利になるとはどういうことか、など考えさせられます。

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    2012年08月18日