絲山秋子のレビュー一覧

  • 沖で待つ

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    芥川賞受賞作です。
    表題の、沖で待つは会社同期の男女間を超えた絆の話。
    自分自身の新人時代を思い出し、懐かしい感触が味わえる作品です。

    併録の「勤労感謝の日」もテンボが素晴らしく軽快で、気持ちよく読み進められる作品です。
    芥川賞というと純文学で難解な作品が多い印象ですが、この作品は非常に読みやすくて面白いですね

    二編ともに当時開始された、男女雇用機会均等法の当事者である女性の視点で、仕事とはがテーマです。組織で働く人にお勧めの、少しほろ苦い小説です。

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    2024年07月08日
  • 神と黒蟹県

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    どこかに現存してそうなリアリティのあるフィクション。出てくる神は人間味あふれてていいな。絲山さんの作品好き。

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    2024年07月02日
  • 海の仙人

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    静かに風が吹くような読み心地。
    登場人物みんなしっかりとした価値観をもつ成熟した人たち。
    どっしりと構えて、多少のことでは揺らがない芯を感じ、好ましく思う。

    ファンタジーという神様のようなものの名前が秀逸。孤独と寄り添うような、夢を見せるような名前だが、実態はないという。
    実際に神様に出会ったら縋ってしまいそうなものだが、割とみんな淡白な付き合いをする。

    最後の方は怒涛の展開で驚いたが、淡々とかかれているため、そうなの…?と思いつつ受け止めてしまった。雷の伏線はそういうことなのかと。
    宝くじに当たるなんてついているんだけど、ついていないところもあり。贅沢はせず、トラウマを抱える主人公と、優

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    2024年06月26日
  • 海の仙人

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    良書☀️あの、関西弁、まったり加減、癒される。静かな物語だったけど、心に残る。また時間を置いて読みたい一冊‼️

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    2024年06月10日
  • 沖で待つ

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    絲山秋子先生の作品は初めてでした。
    僕個人の感想ですが、大きく起伏のある感じではありませんでしたが、しっかり登場人物に感情移入できる作品でした。3作ありましたがどれも良い作品です。中でも1話目が好きです。

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    2024年06月08日
  • 御社のチャラ男

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    不肖わたくし、気が付くと社会人というやつになり会社組織の中に放り込まれて早10年を過ぎ、悟ってしまった世の理の一つに、いろいろな人がいろいろな所でいろいろな事を言う。
    その具合を余すことなく描いてくれた小説。ありがとう!

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    2024年05月23日
  • 御社のチャラ男

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    複数の人物による、ひとりのチャラ男を軸に据えたお話。これはちょびちょび楽しむべきだったかな、とおもったけれど、一気に読みました。会社が崩壊する場面、なんだか日本の未来を見るようで、背筋が寒くなりました。「それがどうした?」って、仕事で使ってみたいなあ?ちょっと強めなので、「それがどうかしましたか?」くらいかな。

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    2024年05月11日
  • 御社のチャラ男

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    「あなたの身の回りにもいるでしょう?こんな人。あなたも誰かに当てはまるでしょう?」と当て書きして書いても、普通なかなかこんなに上手くハマらないし、本質的には変わっていくこともなくそれぞれブレた軸で次の周回に入っていく感じとか、狙って書いてるのがすごい。

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    2024年05月08日
  • 御社のチャラ男

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    世の中には真性チャラ男もいるけど、このチャラ男は中身がないことを悟っている点で仮性チャラ男だ。

    組織で働くってことは、色々と割り切りが必要だなと改めて感じた。

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    2024年05月06日
  • 神と黒蟹県

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    黒蟹県という架空の都市を舞台にした、そこに住む人々の短編集。
    なんとなく想像はできつつもつまるところ絵を結ばないが雰囲気だけは想像できる世界。架空と現実とがいい具合に混ざっているので、全く存在しないことであってもすんなりと読めてしまう。話の終わりに用意された黒蟹辞典でそれが架空が実際かを判断して、架空であれば頷き実際であって驚く。いかに自分がよくわからいものでも想像で補完して読み進めているのだと実感する。
    神という立ち位置はその地に存在し生活をしながら、そこで実際に生きる人とは指先で触れ合うような関わりをする。神にとっては薄い紙越しに見る世界なのかもしれない。だから関わって仕舞えばそれは誰かの

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    2024年04月25日
  • 神と黒蟹県

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    “黒蟹県”なる架空の微妙な県を舞台に、普通の人々と半知半能の神が普通に関わったり関わらなかったりする八編からなる短編集。各編で登場人物が変わったり、神が主人公になったり、前の編の主人公が後の主人公と関わったりして、黒蟹県のリアリティが補強されていき、架空と現実が混じり合って、なんとも不可思議な黒蟹ワールドを構築している。
    植物とか鉱石とか機械とかの名前がサラッと出てくるけど、それが架空だったり、実物だったりして、各編の最後に辞書索引みたく、文中の単語が引かれていて、架空か実物かを解説しているのもクスリとさせられる。なんとも不思議な本だなと思ったら、作者さんの過去作には神が出てくるのが多いらしく

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    2024年04月20日
  • 御社のチャラ男

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    これはお仕事小説じゃなく会社員小説というのが納得!

    お仕事小説は読むと自分も頑張ろうと思えるが
    これはそうではない。
    この小説は出てくる人達が特徴的で
    妙にリアルに読めるからちょっと苦しくもなる。

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    2024年04月11日
  • 御社のチャラ男

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    お仕事小説ではない。ギャグ満載の軽い小説でもない。組織に集うさまざまな個人の心理と相互関係を描いて、面に敷き並べたという感じを受けた。それぞれに過去や、生傷や、妄想や、漠然とした憧れを持って生きる普通の人間であり、彼らが企業や社会を動かしている。

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    2024年04月10日
  • 御社のチャラ男

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    面白かった。叙述トリックのような終盤が特に良いです。

    恐らく自身の欠点・短所を客観的に認識できているのは"チャラ男"三芳部長、"窃盗癖"山田さん。しかし、周囲から二人の言われようときたら散々。
    自分のことを"正しく"認識できているからと言って、それが社会的・人格的その他にとって"正しく"機能し反映されるかと言うと、そんなことはないんだよなあ…と、身につまされました。
    そして、誰かから見れば評価は低かったり悪かったり、高かったり良かったり。また誰かから見れば違う評価や印象になる。
    なんて恐ろしくも可笑しいんだろう。
    人間ってどうしようもなく、関係性の中で生きているのだなあ。
    では個人の本性とは

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    2024年03月31日
  • 神と黒蟹県

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    架空の黒蟹県を舞台にした連作短編集。
    最初の『黒蟹営業所』を読んだときは「これ面白いのかなぁ」と、ちょっと思った。
    でも次の『忸怩たる神』から、じわじわと面白くなる。個人的に好きなのは『なんかわからん木』
    あと黒蟹辞典も好き。本文を読みながら「これ絶対、架空のものだろー」と思ったものが実在したり、逆に実在するものが架空のものに思えてきたり。そういう体験も面白かった。

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    2024年03月14日
  • 袋小路の男

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    うん、好きだ!

    3編からなる短編集。
    『袋小路の男』と『小田切孝の言い分』は
    同じ男女を描く視点違いの2編。
    この2つ好きだわ〜。
    名前はつけられないような関係性。
    とくに“バカだな”のくだりがしびれた。

    『アーリオオーリオ』は叔父と姪の文通で、
    星座や星がキーワードになっている。
    こちらも静かな物語で素敵だった。

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    2024年03月06日
  • 神と黒蟹県

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    絲山秋子さん好きにはたまらない魅力が詰まった作品です。ファンタジーですが、細部の地方都市のリアリティが抜群にうまい。黒蟹辞典と地図で何時間でも妄想が掻き立てられます。

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    2024年03月04日
  • まっとうな人生

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    「逃亡くそたわけ」の続編といえば続編。本作単品でも十分に面白いが、前作を読んでいるとより細かいところの意味合いが感じ取れる。
    一言でいうと家族の小説。ちょっと詳しくいうと家族を含めた様々な世代の老若男女のコミュニケーションの難しさ、大切さを問う小説。
    最後の章は特に含蓄に富んだセリフが続く。
    主人公の娘がある意味この小説のキーパーソン。発想や発言が非常に魅力的でキュートな女の子だ。この子の視線、この子が主人公の小説が読みたくなる。

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    2024年02月19日
  • 神と黒蟹県

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    まったく架空の地なんだがいかにも郷土史とか銘菓名産等ありそうで、こういう作品大好き!
    隣と町や市との関係とか、ジワジワ来る。あの人がここに!という私の好きな連作短編集

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    2024年02月16日
  • 絲的メイソウ

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    面白かったです。久しぶりに本を読んで爆笑しました。エッセイなので絲山秋子さんの日々の生活が映し出されていくのですが、気持ちいいくらい感情の描きっぷりがいいので、すっきりとした気持ちで笑えました。絲山さんの他のエッセイも読んでみたくなりました。

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    2024年02月09日