絲山秋子のレビュー一覧

  • 絲的サバイバル
    絲山さんの小説はだいぶ読んでいますが、エッセイは敬遠していました。小説のとんでもない世界が現実の足枷を受けるとどうかなあと思っていたのは事実。
    しかしエッセイも絲山さんでした。テント生活なんておよそしそうもない印象ですが、自前でお持ちだし、一緒に行くお友達もたくさんいらっしゃるんですね。そんな訳で引...続きを読む
  • 逃亡くそたわけ
    すげえ面白かった。
    精神病棟から抜け出した2人の話なので、危なっかしい場面が何度も続くが最後はとても感動した。

    映画化もされているが、情景描写が秀逸で眼に浮かぶようだったし、実際の九州各地を舞台にしているのでぜひ一度見てみたい。
  • イッツ・オンリー・トーク
    EDの議員、うつ病のヤクザ、痴漢、駄目男のイトコ
    ・・・35歳の女の「すべて無駄話さ」

    第七障害の篤がいいな
    この人の作品初めて読んだけど、すごく好きかも
  • 妻の超然
     『妻の超然』『下戸の超然』『作家の超然』の三作品が収録されている。
     表題作の『妻の超然』は多少ユーモラスながら、最も近い他人である夫との距離のあるコミュニケーションと、つかず離れずの友人、そして敬愛する料理の先生との部分的な共有を持った関わりを三人称で描く。『下戸の超然』は酒の呑めない男性の一人...続きを読む
  • 妻の超然
    再読
    夫の浮気に気づいても超然としていられるはずだった「妻の超然」
    下戸の僕はNPO活動を酒好きの彼女に強要される「下戸の超然」
    腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴「作家の超然」
    傑作中編集
  • 忘れられたワルツ
    タイトルはリストの「忘れられたワルツ」から。短編集。
    なんというか絲山さんの作品はどれもそうだといえばそうだけど、一見普通で、でもこんな小説は読んだことないっていうのばかり。特に「NR」と「ニイタカヤマノボレ」は凄味があった。
    どちらもあらすじだけだと都市伝説的な要素が強いんだけど、都市伝説ってそも...続きを読む
  • 末裔
    ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。
    離れて客観的に見るこ...続きを読む
  • 忘れられたワルツ
    短編7作。
    あの日から、変わったこと、変わってしまったこと、変わらないように見えるもの、変わらないもの。
    決してこちらに向かってきてる訳じゃないけれど、研ぎ澄まされた言葉の片鱗が彼方此方に刺さる。
    帰ることは出来ても、二度とは戻れない。
  • ラジ&ピース
    「ラジ&ピース」もっとも好きな絲山秋子の小説である。

    女同士の友情の話だ。そして場所が移えば壊れてしまうような簡単な。
    しかし,女性同士も,男とも,一目で「友人だ」とわかることがある。不思議なその思い込みが,世界を広げることもあるとのこと。
  • イッツ・オンリー・トーク
    絲山秋子さんなので、あらすじ読まずに購入。

    表題作『イッツ・オンリー・トーク』は観たいみたいと思ってて未だに観ていない寺島しのぶさん主演の映画なはず‼やっぱり面白い。

    もうひとつの、『第七障害』は最初読むのもきつかったけど、中盤からかなり良かった~好きだ~こうゆうの
  • イッツ・オンリー・トーク
    面白い。偶然買った本がこれ、ってこの著者との運命を感じる。この先この人にはまりそう。
    解説を本屋の店員さんが書いているのも面白い。
    そのなかで言っている「痴漢に人気」私も1票。
  • ばかもの
     結局、他人の心の内は分からないが、誰かに想われている、信じられていると感じることだけが人を救うのだと思う。そして、それを知るには長く迂回をする必要がある。ネユキが理解し得ない宗教という壁の向こうから、ヒデを祈るように。額子が、別れ際にヒデに残酷な仕打ちをしながら、後にはアル中になったヒデを髪が白く...続きを読む
  • イッツ・オンリー・トーク
    「キング・クリムゾン」に目を奪われて購読。期待を裏切らない素晴らしさだった。

    「イッツ・オンリー・トーク」は、キング・クリムゾンのエレファント・トークのなかで繰り返しぼやかれるセリフだ。これと同名の本作品は、まさにキング・クリムゾン的な世界である。

    暴力的な狂気とニヒリズムが渾然一体となっている...続きを読む
  • 絲的サバイバル
    軽やかな文章。そしてサービス精神てんこ盛りな文体の妙。さすが絲山さん。小説は好きだけど、エッセイは好きじゃない作家さんの方が多いけれど、絲山さんは小説もエッセイも太鼓判です。
  • 絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか
    いとやまあきこさんだいすきです。
    エッセイももちろん!

    このなかのりょうり、
    いくつか作りました。
  • 絲的メイソウ
    文章のリズムがよいです。
    きもちいい。
    これ読んでから
    焼き鳥ほどいてる人が
    親鳥にしか見えません。
  • 末裔
    主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッときました。私に合っ...続きを読む
  • 末裔
    ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。

    「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。とても味わい深い読書だ...続きを読む
  • 絲的メイソウ
     共感するところが多い。肯いたり笑ったりしながら読んだ。著者はかなり頭の良い方なので(あたりまえか)、次々と発せられる的確な言葉ですとんと腑に落とされていく。
     小説作品での人物描写の奥行きや風景表現の静謐さなどの源泉は、このような何でもなさそうなことを鋭く彫りあげていく思索する力の豊かさなのだと感...続きを読む
  • ラジ&ピース
    表題作と「うつくすま ふぐすま」の2編。

    自分のコンプレックスの端っこが引っ掛かるし、読み流してると研ぎ澄まされた言葉がストレートにぶつかってきて、痛いし。
    なんでこんなに面白いんだろ。