絲山秋子のレビュー一覧

  • 妻の超然

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    ネタバレ

    2016年、11冊目です。

    絲山秋子の小説です。
    彼女の作品は、過去「沖でまつ」「逃亡くそたわけ」などを読みました。
    我々のそぐそばにある日常を舞台に、僅かに周りの人との間にある齟齬が、
    歩む道筋に大きな影響を与えていく。でもそこでたどり着いた先は、
    渇して無意味なものでなく、少し心が軽くなる着地点にたどり着きます。

    「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の3つの小編から成っています。
    「妻の超然」では、50歳前後の子供のない夫婦で、夫が若い女と浮気を
    している。妻は気付いていて、夫との関係を”超然”と捉えて知らないふりをしている。
    しかし、最後に、超然といって相手の考えていることを考え

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    2016年02月14日
  • 不愉快な本の続編

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    何だかわからないけど「凄い!!」
    実は人生初のぎっくり腰。動けない程の重傷ではないのですが、動くほど悪化するようなので一日会社をお休み。普通の倍くらいの時間をかけて行った整形外科医院のジジババ一杯の待合室で読み始めました。
    いきなり引きずり込まれます。待ち時間1時間半。その長さが気にならないほど没頭していました。
    まともに読めば不愉快な主人公です。パリへの留学経験を持ち高学歴でありながらヒモのように暮らし、変態的な性癖を持ち、金貸しとして陋劣な手段を平気で行い、他人を顧みない。しかしそんな主人公がなんだか愛おしくなる。何やら著者の魔法にかけられたような。その不思議さも小説というものの楽しみだと

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    2016年05月15日
  • 末裔

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    「末裔」(絲山秋子)電子書籍版を読んだ。これは面白かった。シャガールの絵みたいな幻想的で淡く優しい光を感じさせるね。要約すると『わたしはどこから来て、わたしは何者で、そうしてわたしはこれからどこへでも行けるんだ。』って確認と再生の物語。適度な不条理さと適度なユーモアが絶妙です。

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    2015年04月17日
  • エスケイプ/アブセント

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    相対する双子の兄弟がそれぞれ主人公の二編。自由でいながら、挫折に影を潜めて生きる中年男の切なさが、軽く明るく描かれている。二編が構成から響き合っているので、短いながらも印象がしっかり残る名著。

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    2015年03月22日
  • 絲的サバイバル

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    絲山さんの小説はだいぶ読んでいますが、エッセイは敬遠していました。小説のとんでもない世界が現実の足枷を受けるとどうかなあと思っていたのは事実。
    しかしエッセイも絲山さんでした。テント生活なんておよそしそうもない印象ですが、自前でお持ちだし、一緒に行くお友達もたくさんいらっしゃるんですね。そんな訳で引き続き、エッセイを読もうと思いました。進め!絲山秋子!(そんな気持ちになります。)

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    2015年01月31日
  • 逃亡くそたわけ

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    すげえ面白かった。
    精神病棟から抜け出した2人の話なので、危なっかしい場面が何度も続くが最後はとても感動した。

    映画化もされているが、情景描写が秀逸で眼に浮かぶようだったし、実際の九州各地を舞台にしているのでぜひ一度見てみたい。

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    2018年07月19日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    EDの議員、うつ病のヤクザ、痴漢、駄目男のイトコ
    ・・・35歳の女の「すべて無駄話さ」

    第七障害の篤がいいな
    この人の作品初めて読んだけど、すごく好きかも

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    2014年08月24日
  • 妻の超然

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     『妻の超然』『下戸の超然』『作家の超然』の三作品が収録されている。
     表題作の『妻の超然』は多少ユーモラスながら、最も近い他人である夫との距離のあるコミュニケーションと、つかず離れずの友人、そして敬愛する料理の先生との部分的な共有を持った関わりを三人称で描く。『下戸の超然』は酒の呑めない男性の一人称である。これらは作家自身とは全く別の世界に生きる人物のフィクションで、それは「小説」というものの形態としてはごく普通のものなのだが、最後の『作家の超然』では主人公である作家を「二人称・おまえ」で描いてある。
     前二作を読んだ後に、この『作家の超然』を読むという順番にも意味がある。状況を距離を置いて

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    2014年02月26日
  • 妻の超然

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    再読
    夫の浮気に気づいても超然としていられるはずだった「妻の超然」
    下戸の僕はNPO活動を酒好きの彼女に強要される「下戸の超然」
    腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴「作家の超然」
    傑作中編集

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    2013年09月21日
  • 忘れられたワルツ

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    タイトルはリストの「忘れられたワルツ」から。短編集。
    なんというか絲山さんの作品はどれもそうだといえばそうだけど、一見普通で、でもこんな小説は読んだことないっていうのばかり。特に「NR」と「ニイタカヤマノボレ」は凄味があった。
    どちらもあらすじだけだと都市伝説的な要素が強いんだけど、都市伝説ってそもそも人々の不安や不満が形になったものという説もあるから、全体に充満する、今の時代の言葉にしにくい不安がこういう物語の形を作るのかなと思ったり。

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    2013年09月08日
  • 末裔

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    ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。
    離れて客観的に見ることによって、見落としていた本質的なものが見えてくることってあるよなぁ、と考えさせられた作品でした。

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    2013年07月28日
  • ラジ&ピース

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    「ラジ&ピース」もっとも好きな絲山秋子の小説である。

    女同士の友情の話だ。そして場所が移えば壊れてしまうような簡単な。
    しかし,女性同士も,男とも,一目で「友人だ」とわかることがある。不思議なその思い込みが,世界を広げることもあるとのこと。

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    2013年05月13日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    絲山秋子さんなので、あらすじ読まずに購入。

    表題作『イッツ・オンリー・トーク』は観たいみたいと思ってて未だに観ていない寺島しのぶさん主演の映画なはず‼やっぱり面白い。

    もうひとつの、『第七障害』は最初読むのもきつかったけど、中盤からかなり良かった~好きだ~こうゆうの

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    2013年05月05日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    面白い。偶然買った本がこれ、ってこの著者との運命を感じる。この先この人にはまりそう。
    解説を本屋の店員さんが書いているのも面白い。
    そのなかで言っている「痴漢に人気」私も1票。

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    2013年03月23日
  • ばかもの

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    ネタバレ

     結局、他人の心の内は分からないが、誰かに想われている、信じられていると感じることだけが人を救うのだと思う。そして、それを知るには長く迂回をする必要がある。ネユキが理解し得ない宗教という壁の向こうから、ヒデを祈るように。額子が、別れ際にヒデに残酷な仕打ちをしながら、後にはアル中になったヒデを髪が白くなるほど心配したように。

     みんな生きながら何かを失っていく。そして失ってしまったことに耐えられず、幻を作り出す。時には安定を求めた現実自体に裏切られて。だが、誰もが、行き場はないことに耐えなければいけない。街の子宮はえぐり取られている。ヒデは酒に手を出し、ネユキは宗教にすがった。ヒデは友人を、額

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    2013年03月17日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    「キング・クリムゾン」に目を奪われて購読。期待を裏切らない素晴らしさだった。

    「イッツ・オンリー・トーク」は、キング・クリムゾンのエレファント・トークのなかで繰り返しぼやかれるセリフだ。これと同名の本作品は、まさにキング・クリムゾン的な世界である。

    暴力的な狂気とニヒリズムが渾然一体となっている。それは作中で「へんなの。不気味だよ」と言われるような、変な世界なのである。
    しかし、この変さは、決して乱雑なものではない。むしろ整然としている。この丁寧さも魅力的であり、とてもうまいと思った。

    「第七障害」もよかった。すごく丁寧に創られている。上州弁がさりげなく出てきて、ニヤついてしまった。ただ

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    2013年02月26日
  • 絲的サバイバル

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    軽やかな文章。そしてサービス精神てんこ盛りな文体の妙。さすが絲山さん。小説は好きだけど、エッセイは好きじゃない作家さんの方が多いけれど、絲山さんは小説もエッセイも太鼓判です。

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    2012年12月23日
  • 絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか

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    いとやまあきこさんだいすきです。
    エッセイももちろん!

    このなかのりょうり、
    いくつか作りました。

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    2012年06月12日
  • 絲的メイソウ

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    文章のリズムがよいです。
    きもちいい。
    これ読んでから
    焼き鳥ほどいてる人が
    親鳥にしか見えません。

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    2012年03月31日
  • 末裔

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    主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッときました。私に合ってる作家さんなんだな、と思いました。

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    2012年02月05日