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Posted by ブクログ 2013年07月28日
ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。
離れて客観的に見るこ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年02月05日
主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッときました。私に合っ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年02月19日
ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。
「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。とても味わい深い読書だ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月20日
あなたは、家に帰って『鍵穴はどこにもなかった』と玄関扉の前に立ち尽くすことになったらどうするでしょうか?
いや、どうするも何もないですよね。仕事で疲れて家に帰ってきたというあなた、一刻も早くシャワーを浴びたい、晩御飯を食べたい、そして疲れたので早く寝てしまいたいと思っているのに玄関扉が開かない。そ...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年09月22日
絲山さんが長編を書くとこうなるのか、という新鮮さ。
何にしても絲山さんの小説に出てくる人物は当たり前の感性を当たり前に具えていて、それなのにちゃんと一人の人間であるというあたりまえの個性があって好き。
定年間近、妻を数年前に亡くし子供二人も自立して家にはいない。そんな家(ごみ屋敷)の鍵穴がある日突...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年07月05日
「鍵穴はどこにもなかった。」
この一文から始まる。
安部公房の路線だろうかと首を傾げつつ読み進めるに、個人とか、家族とか、親族、先祖、遂には日本にまで至ってしまった。
そして至るも、日常へと戻ってゆく。
一つ一つの物事を昇華させ、残りも昇華へ導いていく。
なんとも不思議な感覚に陥る。
もう一度、じ...続きを読む
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