【感想・ネタバレ】末裔のレビュー

あらすじ

定年近い公務員の省三が、ある日家に帰ると、玄関ドアの鍵穴はどこにもなかった。妻を亡くし息子も娘も家を出て、家に入れない。省三は外泊を続け、今や住む人のない鎌倉の伯父の家に滞在する。懐かしいものに囲まれながら思い出すのは、父と伯父がかわす教養を根本に置いた会話、母や伯母のことなど、かつてそこにあった幸せな光景。すべては失われ堕落した末裔であると自覚した省三は、自らの系譜に思いを巡らせ、行動を起こす。

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Posted by ブクログ

「末裔」(絲山秋子)電子書籍版を読んだ。これは面白かった。シャガールの絵みたいな幻想的で淡く優しい光を感じさせるね。要約すると『わたしはどこから来て、わたしは何者で、そうしてわたしはこれからどこへでも行けるんだ。』って確認と再生の物語。適度な不条理さと適度なユーモアが絶妙です。

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2015年04月17日

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ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。
離れて客観的に見ることによって、見落としていた本質的なものが見えてくることってあるよなぁ、と考えさせられた作品でした。

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2013年07月28日

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主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッときました。私に合ってる作家さんなんだな、と思いました。

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2012年02月05日

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ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。

「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。とても味わい深い読書だった。

この作家は、女流作家の中で随一に男性の一人称がうまいと思う。団塊の世代のいわゆる「日本のオヤジ」の自意識にリアルに寄り添える力量に感心する。


備忘録:

「自分たちの世代は、若い頃もっと、社会と密接につながっていたと思う。省三(主人公)が月のように、社会の周りで満ち欠けしているとしたら、朔矢(息子)や梢枝(娘)は彗星のようにとんでもない速さで社会から遠ざかり、また還ってくる軌道を持っているようなのだった」

「不思議なもんだ。同じとき、同じ山に降った雨が太平洋と日本海に分かれちまうんだから。山というのは、境界というのはそういうものだ。矢印の根本のことなんだ。そして人間も雨水と同じように拡散し、混じり合い、ついにはどこの由来だかわからなくなってしまう」

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2012年02月19日

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家に入ろうとしたら、鍵穴が無くなっていた。入れない。 その瞬間から、不思議な場所、人達との出会いが始まる。
放浪の末に、手に入れるもの、気づくこと。
深い。

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2016年02月21日

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絲山さんが長編を書くとこうなるのか、という新鮮さ。
何にしても絲山さんの小説に出てくる人物は当たり前の感性を当たり前に具えていて、それなのにちゃんと一人の人間であるというあたりまえの個性があって好き。

定年間近、妻を数年前に亡くし子供二人も自立して家にはいない。そんな家(ごみ屋敷)の鍵穴がある日突然塞がってしまい、入れなくなる。

現在の「家」に入れないのなら自分が属するもうひとつの「家」をたどってみようと思うのは自然な流れかな。
この人大丈夫なんだろうか、と思って読み進めていたけど最後は明るく終わってくれて安心した。

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2013年09月22日

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ネタバレ

家の鍵穴がなくなるなんて、あり得なそうもないのに、読んでいるうちに「アリかも」な気分。
なんとも果てしなく寂しい中年男、と思ったが、最後はそうでもない感じ。

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2013年07月14日

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ネタバレ

不器用な中年男性が、再び自分を、家族を取り戻す物語。いや、これから取り戻すぞ、というところで終わるお話。
はじめからおわりまで不思議な話だ。好きだ。

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2013年06月22日

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「鍵穴はどこにもなかった。」
この一文から始まる。
安部公房の路線だろうかと首を傾げつつ読み進めるに、個人とか、家族とか、親族、先祖、遂には日本にまで至ってしまった。
そして至るも、日常へと戻ってゆく。
一つ一つの物事を昇華させ、残りも昇華へ導いていく。
なんとも不思議な感覚に陥る。

もう一度、じっくりと読み返そう。

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2012年07月05日

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富井省三、乙。

不思議な話だったなー。
自宅ドアの鍵穴がなくなるなんて。

早く起きなきゃいけないのに、読むのをやめられず一気読み。

ビビりの自分にはちょっと怖くて、
ちょっととっ散らかってて、でもホッとして、高揚感もあって。

やっぱり絲山さんが好きだ。

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2012年06月24日

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現実と空想の境界がはっきりしていないのが逆に心地よい。
20年後の不安がチョットだけ解消?
携帯電話の赤外線通信を宇宙人の性交と表現、最高。

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2012年05月24日

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『沖で待つ』が良くて、それ以来、絲山さんの本を読むようになりました。

今回の末裔は、妻を亡くした中年男性が主人公。
家に帰ろうとすると、何故か鍵穴が見つからず、仕方がなく放浪する羽目になるってお話。

鍵穴が見つからないってところで、どういうこと?と思い、かつその説明がされないので、ずっとモヤモヤします。
あ~久しぶりにハズレの本を引いたかなぁって思ったんですが、ジワジワと読み進められます。
んで、最後には、モロモロ納得できないところを吹っ飛ばして、冴えない中年男性が一歩踏み出す爽快感を味わえます。
自分も何かしよう!って気持ちにさせてくれる内容でした。

いや~良い本!
こういう、ジワジワと感動させてくれる本は珍しい気がします。
自分の内側から鍵を開けるってところが印象的でした。

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2012年03月30日

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家族であることとはいったい何なのか。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出

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2012年02月26日

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ネタバレ

鍵穴がなくなって家にはいれなくなる中年オヤジっていう設定も、毒のないストーリー展開も、最後のさらっとした終わり方も好き。

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2011年10月03日

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生きている人間は修正が利くが、死んだ人間のことなんか間違えて覚えていたらそのまんまじゃないか。

今までは気持ち半分で両親や叔父母の先祖についての話を聞いていたがこの一文で先祖についての意識が変わりいまは先祖についての話を深く聞きたいそう思う。
鍵穴が消えているという不思議な出来事から省三の中の心境が少しずつ変わっていく物語。不思議な点はいくつかあるがそれも読み切るまで違和感は感じなかった。そう言うところを自身で噛み砕くのもまた一つの楽しみではないか。私はまだ若輩で省三ぐらいの年齢で読んでいたらもっと違うように思えたのかな、そう思いまたきたる時に再読したいと思った。

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2023年10月23日

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なんと不思議なお話。自分の家の扉の鍵穴が無くなるんだから。向こうの国とこっちの国が交流する。過去と現在が交流する。

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2018年10月20日

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妻を失い、子供達にも構ってもらえない主人公の男性の話が、鬱々と進むのに、最後の展開についていけなかった。
結局、人間は基本、楽観的ってことかな。

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2018年03月25日

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自分の家に入ろうとするが鍵穴がない。困っているところで不思議な男に出会い、泊まるところを紹介され一息をつく。しかし数日たつとそのホテルも跡形なく消え、今は誰も住んでいないと思われるが昔お世話になった叔父の家がある事を思い出し、電気も通わない家に泊まる事にする。そんななかで自分の親の事、親戚の事、家族の事を考える、どんどん不思議な人との縁がうむ出来事に巻き込まれていくという不思議なお話でした。

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2014年08月31日

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絲山秋子の長編。家族であることとは、を、定年間近の省三の視点から描く。父や叔父、自身の生い立ちを辿りつつ、最後に戻ってくるまでの話。メモ。(1)何かを始めるということ。それは本当に恥ずかしいことだ。…でも、一度位いいではないか(2)が待っていたのは終わりじゃなくて変化だったのかもしれない。

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2014年02月22日

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面白かった。著者は悪くない。この作品は好きだ。集中力に欠けたこちらのコンディションの問題で、あまり心に残らなかった。著者には申し訳ない。本作は、しみじみ良い作品だと思う。

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2012年11月09日

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「生きるのに必死」と「死」はぞっとするほど近い、境界線が複雑に入り組んだ場所にある。あるときは生きる方に傾き、あるときは一瞬にして死に傾いてしまう。
(P.245)

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2012年08月29日

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家の鍵穴が消えて家に入れなくなるというシュールな出だし。犬が喋りかけてきたりとどこか現実感が希薄な世界の中を、自分のルーツを求めて彷徨う主人公。物語としては起伏が少なく退屈しそうなものなのに、どんどん読めてしまうのは作者の筆力か。絲山さんの作品の中では地味なほうに入ると思いますが、嫌いじゃないです。

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2012年08月26日

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ある日、家に帰ってくると鍵穴がなくなっていた。
家に入れなくなった男は、運命?過去?のようなものに導かれながら放浪する。

うぅん、不思議な話です。
主人公のオジサンの思考も夢と現をいったりきたり、といった感じだし、謎も謎のまま。

でも、オジサンの帰還と共になんだかストンと全てが帰ってくるような。
よくわからないんだけれど(笑)面白かった。

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2012年06月20日

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妻を亡くし、子供たちは家を出た。省三は、自らの系譜に思いを巡らせる。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出だった…。懐かしさが胸にしみる長篇家族小説。

夢か現か…という不思議な味わいを持つ作品。糸山秋子の筆力だからこそなせる業なのだろうが、最後まで何となく読まされてしまった。ただこれまで私が読んだ糸山作品にはどこかしら毒があったけど、今回それはあまり感じられなかった。
(C)

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2012年09月23日

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2012.03.15. 久しぶりの絲山さん。淡々と身に起こる、普通じゃないこと。とりあえず、淡々と受け入れるしか、ないねぇ。不思議な空気感を醸しています。独語の印象は、「袋小路の男」に近い感じ。青い鳥を探しに。

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2012年03月17日

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「妻の超然」よりは断然いいのだけれど・・・男性の心理描写も巧みだし。娘との会話などもいいのだが、結末にまとまりがないというか、消化不良気味。私の中では「海の仙人」に程遠く、残念。

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2012年01月30日

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家に鍵穴がなくなって家に入れないオヤジの放浪記。最後は何となくハッピーエンドだが、もっと面白い結末を期待していたので残念無念。

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2012年01月01日

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ネタバレ

妻に先立たれ 子供たちも巣立った 独り身の公務員
ある日 帰ったら 鍵穴が消えて 家に入れない…
そして ゴミ屋敷を整理することで 自分と家族 一族を見つめ直す
軽いタッチで1日で読めた
そして 鍵の謎はこの際考えないでおこう ちょっとキツネにつままれた不思議な余韻

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2011年12月22日

Posted by ブクログ

新刊出てたの知らなかったから見つけた時びびったよね(←


私は絲山さんが描くアラサー女子主人公が好きなので、おじさんが主人公かぁーって初めは思いました。が、いがいと好き。

後半が好きですねー。

あと、
町中にいる普通のおじさまたちにも(もちろん若人にも)、皆に人生のストーリーがあってラブストーリーがあるんだよなぁ…

と、しみじみ考えてしまった。
当たり前のことなんだけどね。
忘れがちだからね。

ルネ可愛いねー。

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2011年10月22日

Posted by ブクログ

一度読みはじめて、すぐ挫折。。。
わけ解らないだもん。

でも、その解らなさを突破すれば一気に読めたかも。

現実感がない感じもするけどね。

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2011年10月16日

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