絲山秋子のレビュー一覧

  • 小松とうさちゃん
    読書開始日:2022年6月14日
    読書終了日:2022年6月17日
    所感
    【小松とうさちゃん】
    話が出来すぎてる気がする。
    もう少し自然な方が好み。
    みどりも小松もうさちゃんも、もう少し人柄を知りたかった。
    結末ありきだったのかな。
    【ネクトンについて考えても意味がない】
    優しい作品だった。
    心和ら...続きを読む
  • 沖で待つ
     勤労感謝、は婚期をスルーした無職の人の一日を描いた話でした。辛抱をして耐えずに抗って不承不承の場でも辛抱して、吐き出した結果の感謝。
     男女の友情を綴った"沖で待つ"は短な語りの中に?と思わせる要素が幾つも詰まっていて、言葉の意味も複数受け取れそうで、何れも読者が決めるのを許されそうな作品でした。...続きを読む
  • 忘れられたワルツ
     意味がわからなければ、わからないままに、読めばなぜか懐かしを覚える絲山秋子さんの作品です。独立した7話が収録されています。「忘れられたワルツ」、2013.4発行。どれも味わい深いです。絲山さんですから、車、煙草、病の話はしっかりテーマになっていますw。私は、第3話「葬式とオーロラ」、第7話「神と増...続きを読む
  • 薄情
    読書開始日:2022年3月19日
    読書終了日:2022年3月22日
    所感
    北関東、東京へ行こうと思えば行けるくらいの立ち位置。
    この立ち位置も、宇田川のうだつのあがらなさを助長させていたのだろう。
    行動すればなにかが変わることも、
    行動できない理由なんか一つもないことも、
    心のどこかで自覚しながら、...続きを読む
  • 海の仙人
     ~森の青葉の蔭に来て なぜに寂しくあふるる涙 想い切なく母の名呼べば 小鳥答えぬ亡き母恋し~♪ 霧島昇と高峰三枝子の「純情二重奏」(1939年)。この物語は「孤独の三重奏」でしょうか。絲山秋子「海の仙人」、2007.1発行、文庫。ファンタジーの世界が広がっていました。 
  • 沖で待つ
    短編集。どれもかなり良かった。
    知らなかったけれど沖で待つは芥川賞なんですね。さらっとした文章にもかかわらず深みと読み応えがある。グッときました。
  • 逃亡くそたわけ
    暗いはずなのに暗くない、精神病の教科書より精神病が伝わるような一冊でした。彼らは何から逃げたかったんだろう。
  • 忘れられたワルツ
    絲山秋子の本は何冊か読んだ。いずれも少し不思議な感じがある世界なのだが、本書はかなり幻想的な特色を持つ。
    意味のわからない話やメタファーもあるが、意味を探りたくなる深みがある。
    東日本大震災の後に書かれた短編集と知り、なるほどと意味を了解した部分もある。
    不穏さ、もの悲しさに浸るような作品も、どこか...続きを読む
  • 袋小路の男
    究極の片想いの話。

    二人称のあなたで語られる事で、読者それぞれのあなたに重ねて物語を読むことができる。

    小田切が入院して弱っている時、包み込んで抱きしめてあげたいけど、それは「してあげること」だから許されない。限りなく似ているのに、違うことだから...
    彼女にしか許されないことをしてあげたいのに...続きを読む
  • 沖で待つ
    本作には3作収められてるけど、とりあえずは表題の感想をば。

    最近ハイペースで読んでる絲山作品。
    作中のアップダウンがなく、抑揚がないと思いきや、それが逆に気持ち良い絲山作品。
    本作も例外ではなく。

    会社の同期が亡くなり、その同期の住んでたアパートで本人の幽霊と出会うところから始まり、物語は主にそ...続きを読む
  • 袋小路の男
    プラトニックながら心は差し出す。
    ただ期待したような反応がないだけ。
    恋愛って大部分がそういうもんじゃなかろうか。
    差し出したものと同等のものが感じられる恋愛は、
    相当の観察と場慣れの成果だと思ってる。私は。
    (少数派なのかも。わからない。。)
    それでもどちらかの熱量が大きくて、その比重のデタラメさ...続きを読む
  • 海の仙人
    リアルと不思議に浸った本。
    ちゃんと自分を律する大人たちの、安らぎと悲しみと愛情。
    とても丁寧な思いやりと、心地よい距離。
    素敵な風景が豊かな表現でいつまでも読み続けたい気持ちになりました。

    もっと分厚いページにしてほしかった。
    せめて、あと1ページほしい。
    それもファンタジーということか。
  • ばかもの
     平凡な生活を過ごす大学生のヒデはバイト先の年上女性の額子に誘われ初めて女性の身体を経験し付き合い始めるが何事も経験豊富な額子に始終リードされっぱなしのヒデだが、どんどん額子のクールで不思議な性格に引き込まれて行くが付き合って2年目に夜中の公園の立木に下半身を曝されて縛られたままで結婚が決まったから...続きを読む
  • 海の仙人
    恋愛、結婚、友情、生活、出世、家族、人間って色々な悩みや楽しみの中にも沢山の孤独を背負って生きているんだなって深く感じさせられた一冊でした。

    東京でサラリーマンをしている主人公は宝くじが当たって福井の敦賀で自由で孤独な仙人の様な暮しを続けていたある日に"ファンタジー"と言う不思議な神様が出現し主人...続きを読む
  • 離陸
    2020末に橙書店にて購入。
    大人な感じの物語。
    タイムスリップなのか、ミステリなのか、全てが曖昧なままだけど、私にしては珍しく、受け止められた。
    前半、八木沢、東京、四日市、フランスの場面から
    後半は熊本、人吉、八代、唐津、福岡、馴染みのある場所が出てきて、入りやすかったのかもしれない。
    人吉の豪...続きを読む
  • 海の仙人
    とても美しい小説

    男性と女性は身体だけではなく、心で繋がれる。
    主人公と交際している女性の深い結びつきに、心が切なくなりました。
  • 忘れられたワルツ
    短編集。
    震災が共通項となっているが、正面からそれを描いているわけではない。
    どの物語にもどこかにあの3.11の影が現れる。
    しかし、タイトルの「忘れられたワルツ」は、よくわからなかった。妹は精神的におかしくなってしまっているのだろうか。姉と母はもういないのだろうか。
    そうだとするととても悲しい話だ...続きを読む
  • 袋小路の男
    「袋小路の男」「小田切孝の言い分」
    今までこういう話はやきもきしたりじれったいなあと思いながら読んで、最後は(軽い言い方になるけど)こういう恋愛にいい意味で酔って終わることが多かったけどこの作品だとなぜか穏やかな見守るような気持ちで見れたし、爽やかさすら感じる読後感だった
    かっこいい小田切からかっこ...続きを読む
  • 海の仙人
    ―ファンタジーがやって来たのは春の終わりだった。

    冒頭の一文にいきなりグッと引き寄せられた。な、なんだ?
    いるだけでいい、というのはこういうヤツ(失礼!)のことをいうんじゃないだろうか。こんな居候ならぜひうちにもきてほしい。
    相手をそのまま自然に受け入れるような、人々の関わり方も心地いい。
    性別も...続きを読む
  • 逃亡くそたわけ
    きつい躁の女とゆったり鬱の男の逃避行。
    多分メンヘラは皆分かる、逃げたいという絶対的な衝動。それに反してどこかあっけらかんとした二人の旅は、病への諦めに似た気持ちの果てにある。二人は価値観も育ちも全然違う人間なんだけど、精神病によって世間から隔離される存在だというところでゆるやかにつながっている仲間...続きを読む