絲山秋子のレビュー一覧
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どっちかと言えば俺が旅、だよなあ。俺が旅に出てしまったようなものだよなあ。旅先でもばらばらだったけれど、あとで落ち合うのは楽しかったな。
岡山の夜をかれは思い出していた。(220p)
総てが、旅人視点からの物語だった。1998年から2022年までの大学同級生の男女の話ではあるが、まるで旅人のように初めて見る景色と同様に、着かず離れない2人の初めて知る景色を描いている。
knkt09222さんのレビューに、岡山や松江や三次の話が載っていると聞き、それなら私も‥‥と思い紐解いた。初めと終わり以外は埼玉や北海道や岩手や東京周辺などが舞台になるのだけれど、冒頭に岡山の笠岡や倉敷や岡山市商店街の風景が、正に旅人として取材したままに描いたのがわかる描き方で置かれていた。たぶん他の全ての風景や街の描写も、作者が実際に歩いたところなんだろうなと思う(時間の使い方がとてもリアルだった)。
冒頭、高之と沙和子はちょっとした口喧嘩で倉敷と笠岡で別れて観光旅行をする。そして岡山駅前の和食屋で、何気なく仲直りしてサワラの刺身と黄ニラの煮浸しとタコの唐揚げを食べる(←岡山のど定番の名物料理)。キャリア志向の沙和子と風来坊気質の高之の、夫婦では収まらないジグザグ関係。それでもあとあとから顧みて、高之が2010年の岡山の旅を「楽しかったな」と振り返るように、彼らが自ら選んで角を曲がって行くのが、とても読んでいて心地良かった。
高之の趣味(博物館・古代好き)が、私に似通っていて好印象。それでも鬱になるような繊細な部分も持ち合わせている。沙和子も繊細のようでいて、40歳を過ぎても起業して真っ直ぐ歩いている。なんかとても心地良かった。高之も言っているけど、長いこと別れて暮らしている2人だけど、こんな相性良い相手は他に居ないと思うよ。
私の苦手分野の小説なのだけど、自ら旅し「夢も見ずに眠った。」ように本を閉じることができた。
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ネタバレ精神病院=プリズンからの逃亡
博多生まれの花ちゃんと、名古屋生まれのなごやん。
書き出しの〜亜麻布二十エレは上衣一着に値する〜も、最高によくって‼︎
九州の北
博多から、耶馬溪、磨崖仏でヒル、別府、阿蘇いきなり団子、椎葉村で川になごやん流され(よく助けた花ちゃん)、宮崎でエアコンのガス漏れ直し、桜島、指宿知林ヶ島、開聞岳。
福岡の運転マナーを名古屋走りのなごやんがたしなめるのも面白く(花ちゃんの父は木刀積んで運転していると)更に笑った。
がんばったルーチェ。エアコン壊れたけど、ね。
方言も心地よく、ルーチェから流れるTHEピーズの曲♪
終わりが気になって仕方なかったけど…
畑泥棒、当て逃げ、無免許、万引き…どうなる二人⁉︎
海でのラベンダーの香り、突然の九州地図、ココがラストもよかったぁ。 -
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ネタバレ
p53
道端にブドウ畑があった。あたしは思わずブレーキを踏んで、後ろの車にクラクションを鳴らされた。なごやんとあたしは目と目を見合わせて次の瞬間車から出て畑に忍び込んだ。マスカットのつぶつぶを片っ端からちぎり取って口に放り込むと水分と甘味が盗みの喜びをかきたてた。そうなるともう、止まらなかった。次がトマト畑で、それからキュウリだった。茎は意外に強くて手でちぎるのは大変だった。
「バーベキューセットがあれば、茄子でもトウモロコシでも行けるのになあ」
キュウリをぽりぽり噛みながら、善悪のみさかいのつかなくなったなごやんが言った。
p112
「ねえなごやん、悲しかね、頭のおかしかちうことは」
p142
「知らん。いっちょんわからん」
もう、なごやんの小理屈にもうんざりだ。山を越えても越えても、この九州にはどこにもラベンダー畑なんかなかった。探しても無駄だった。あたしは黙ってラムを飲み続けた。それで気持ち悪くなって、トイレも何もないパーキングに車を停めてと言って、端の草むらでハンバーグとラムを吐いた。ふらふらしながら車に戻ると、運転席にいたなごやんが運転席の窓から空になったラムの瓶を道路の方へ叩きつけた。パン! とガラスが砕ける音がして、残骸がキラキラと飛散していた。
「俺もああやって粉々になればいいんだ」
なごやんは言った。小さくはあったが、吐き捨てるような調子だった。それっきりあたし達は口をきかなかった。 -
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読書開始日:2022年9月19日
読書終了日:2022年9月24日
所感
【袋小路の男】
【小田切孝の言い分】
小田切孝は虚勢を張る。
つい弱音を吐くと、メッキが剥がれ、人が離れていく。
わたしは小田切孝がハリボテだと気づいているが、愛しているから離れない。
小田切孝もそれに気づいているから離れない。
でも近づきすぎると、小田切孝が自身の弱さを目の当たりにし、わたしもわたしで小田切孝の弱さを受け止めきれないかもしれないと不安に苛まれ、先に進まない。
それでも時間をかけ、進まないことこそが二人の関係性とお互いが気づき、袋小路のぺんぺん草になった。
【アーリオ オーリオ】
素敵なお話のようだったけど、理解ができなかった。
きっと自分は譲側であり、小島側なんだと思う。
でも哲のような、自然の中でも見えない自然にまで興味を示せる人間は、好奇心があってカッコイイと思う。
袋小路にはまってる。
反時計廻りに回った
なんて無謀なんだろう、なんて素敵なんだろう