絲山秋子のレビュー一覧

  • 逃亡くそたわけ
    亜麻布二十エレは上衣一着に値する。
    『資本論』の一説らしい。

    ホンタメで続編が紹介されていて、気になったので先に前作のこちらを。
    変わった小説でした。あてのない旅ってしたことないなぁ。逃亡ってなんかいいなぁ〜。九州は呑み温泉旅しかしたことないな。九州縦断旅が無性にしたくなりました。阿蘇でいきなり団...続きを読む
  • 小松とうさちゃん
    きっとどこにでもいるような中年二人。絲山秋子の晒し方、拾い方にかかるとなぜか彼らが愛おしく思えてくる。併録の「ネクトンについて考えても意味がない」の異種生物間精神的交流噺も良かった。
  • エスケイプ/アブセント
    なんかいいんだよな、絲山秋子。サクッと読める短くて軽快すぎる文章なのに、気づかないうちにえぐられている。
  • 小松とうさちゃん
    おじさんのあだ名がうさちゃんってところからほっこり。うさちゃんのシーンは主にネットゲーム
    小松さんとみどりさんのとんとん拍子はすごかったけど、穏やかな話だから好き。
    まさかみどりさんがうさちゃんのゲームの同盟だったとは、それも二役。さすがに出来過ぎだけど面白かった。
  • 袋小路の男
     切ない平行線。互いの心情は包み隠さずストレートに表現される反面、男女が心身共に交わる事なく時が流れる。読み手のその時の感情によっては歯痒くも感じられる場面が次々と繰り返されるものの何故か納得感も覚えさせられ、物語と読者との距離も接する事なく一定の間隔を保ったまま結びの行までだどり着いてしまうような...続きを読む
  • 袋小路の男
    これは恋愛?純愛?なんとなく綺麗だけど、実は、ものすごくドロドロで。

    わかるようなわからないような…引きづりますね。

    2話目でただの閉塞感は薄まりましたが。
  • 袋小路の男
    「袋小路の男」には三作品が掲載されていて、一番初めの物語、「袋小路の男」は書き方、いや主人公の語り口調がとても好きだと思った。その理由はなぜか、大抵改行があまり行われていない文字の羅列は、開くたびに時折うっとなってしまうことがある(そんなこというなら小説なんて読むな、という話であるが)が、絲山秋子さ...続きを読む
  • 逃亡くそたわけ
    めっちゃ良かった。面白い。
    精神病棟から逃げ出して、九州を逃亡する約1週間ほどを描くロードムービー、いや
    ロードノベル?
    亜麻布二十エレは上衣1着に値するという
    意味不明な言葉が主人公の頭に幻聴として
    響く。最初意味不明だなと思ってたけど
    調べてみて、更に作品に深みが出ました。
    方言も素晴らしい。そ...続きを読む
  • 妻の超然
    絲山さんの本は前にまとめ買いしたのでちょこちょこ読んでいるのだが、この手の「らしさ」というか毒が前面に出ている作品があんまり合わなくてつらい。なにかにつけ現れる不満、攻撃性が常に読書のテンションを下げてくる。
    巨人戦は負けた時の悔しさが尋常じゃないから見に行きたくないとかものすごくわかるし、「他人へ...続きを読む
  • 妻の超然
     芥川賞作家の作品だと思いました。超然というのは手をこまねいて、すべてを見過ごすこと。栄えるものも、滅びるものも。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の3話が収録されています。私は「作家の超然」が気に入りました。絲山秋子「妻の超然」、2013.3発行(文庫)、2010.9刊行。
  • 袋小路の男
    最近、積読を積極的に消化しようキャンペーンをやっていて、この本も随分と前に古本屋で購入してあった本。
    まず、袋小路の男と小田切孝の言い分。
    デカダンス的な男女の何とも割り切れない十数年。2人が、世の中で名前がついている関係にならないのは、2人がどこまでも自己愛から抜け出せないエゴイストだからかなと思...続きを読む
  • 妻の超然
    「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の三篇からなる中編集。

    恥ずかしながら私、「超然」という言葉を知らなくて。
    読む前に意味を調べました。

    で、「超然」とは、『物事にこだわらず、平然としているさま。世俗に関与しないさま』という意味とのこと。

    夫の浮気に超然といようとする妻。
    超然とした態度...続きを読む
  • 袋小路の男
    家にあった本。意外や川端康成文学賞作品。

    十年に及ぶ女性の片思いのの物語と思いきや、実は両思いだけどなかなか交際には発展しないもどかしい二人の距離感を、時に暖かく描いている作品。

    淡々と読みながらも、ホントふとあったかい表現がうまく使われてます。直接的な表現は少ないのでぼーっと読んでると見落とし...続きを読む
  • 忘れられたワルツ
    小品7作
    どの作品も主人公はそこし変わった人
    理解できるところとそうでないところがありそこし読みにくかった
  • 絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか
    雑誌の連載で絲山さんが身も心も削って書いていたらしい、自炊のお話。自炊らしい適当な感じで全く肩ひじ張らないし、めちゃくちゃおいしそうすぎてお腹が空く、ということもないかも。それでも久々に豚キムチ作って食べたくなった。
  • 沖で待つ
    遠いけど何だか近い「同期」
    友達とは異質な関係だなぁと思った
    共感!ってわけじゃないのに、
    読んでいてどこか懐かしい気持ちになりました_φ(・_・
  • 袋小路の男
    大谷日向子の心境はさぞ辛いだろうなと思う。

    読んでいる私からすれば、日向子と小田切、お互いの胸の内を読者として知っているから、これはこれでいい関係かもしれないと思うけれど、片思い中の当人にとっては、たまったもんじゃない。ただ、答えが出たら、そこで何かが終わってしまうかもしれない怖さもあり、改めて恋...続きを読む
  • 掌篇歳時記 春夏
    二十四節気をさらに三等分した七十二候をもとに、年末から夏にかけて、それぞれ人気作家がつづる短編集。
    季節がテーマで、純文学系の作家が中心ということで、その表現を楽しむ小説であることは間違いない。
    でも、その反面、連想で思考があちこちに飛んでしまうので、集中できないのも確か。
    寂聴氏の作品を初めて読ん...続きを読む
  • 逃亡くそたわけ
    精神病院を脱走し年代物のボロ車で目的の無い旅をする二人の最後は、、、

     躁病の主人公と鬱病の”なごやん”は突然にある日精神病院を抜け出し”なごやん”の広島のメルセデスこと名古屋ナンバーのマツダルーチェで目的のない逃走を図る。

     九州の福岡を出発し別府温泉、阿蘇山、宮崎市、鹿児島と車中泊を重ねなが...続きを読む
  • 沖で待つ
     2006年第134回芥川賞受賞作である表題作他「勤労感謝の日」「みなみのしまのぶんたろう」収録の短編集。
     全ての小説が「仕事」をテーマにしている。「勤労感謝の日」は、文字通り「勤労感謝」って何だという問いについて描いた作品。「沖で待つ」は同期の男女が持つ仕事を通した友情を描いた作品。「みなみのし...続きを読む