絲山秋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かつて愛した女・額子に下半身丸出しで木に縛り付けられ「私結婚するから、じゃね」とあっさり捨てられた青年ヒデが、アル中社会人生活を経て、片腕を失ったかつての恋人額子と再会を果たす物語。
だいぶ端折りましたが、大筋はこんな感じ。ざっくり書くと本当カオスな物語だな……。
moratoriumを経て社会に出たものの、アルコール依存症になってしまい、恋人も友人も失う顛末が、「そりゃまああんた自業自得ですわね」と若干鼻白らむんですが、なんとか踏ん張って断酒するヒデの独白が、元カノ額子を思い出すでも感傷に浸るでもなくアッサリしてて、なんか無性に読み心地が良い。
額子との再会も、ドラマチックではなく淡々 -
Posted by ブクログ
切なさが残る。
読み終わってすぐはあっさりとした感覚だった。でも、この本のことを考えると少しずつ心の奥底に切なさが降り積もっていき、今はずっしりとした気持ちになった。
会ったこともないはずのファンタジーに想いを馳せる。彼は一体誰なのだろう。とても不思議な存在で、そこにいなくても誰も困らないし、いつかきっと忘れてしまう人。それなのに会うと嬉しくて心が温まる人。まるで人の希望が具現化したような人だな。
不器用でも、傷を抱えていても、孤独でも、人は生きていかなくてはいけない。私たちはみんな、孤独とともに生きるのだ。静かな夜にじっくりと読みたい一冊。 -
Posted by ブクログ
タイトルの感じが好きだったのと、なんとなくの直感で購読。
ものすごく面白い、というのとは違うけど、ずーっと心地よい波にプカプカ浮いている感覚。
いい意味で、読んでいると気持ち良い波で眠くなって、タイトルに反して良い眠りにつける。笑
色々な場所が出てきて、高之がどこでも車で行くからか、ペーパードライバーの私も運転する夢を見た。
高之がちょっと変わっているので、なんで2人は結婚したんだろう、と思ったけど
離れていても相手のことを考えてしまう、というのは
やっぱり2人はなるべくして一緒になったんだと思った。
具体的なことはあまり描かれない。
2人の感情が、情景に乗せて伝わってくる心地良い作品。 -
Posted by ブクログ
「袋小路の男」には三作品が掲載されていて、一番初めの物語、「袋小路の男」は書き方、いや主人公の語り口調がとても好きだと思った。その理由はなぜか、大抵改行があまり行われていない文字の羅列は、開くたびに時折うっとなってしまうことがある(そんなこというなら小説なんて読むな、という話であるが)が、絲山秋子さんは違う。
この改行のない文章は、主人公思考の過程を表しているのではないか、思考が思考を呼び、その思考はたしかに存在しているにもかかわらず、この主人公の身の一つとなる構成要素の一つとなる。
文字の繰り返し、会話、文字の繰り返し、会話、このリズムは、自然と私たちの頭の中に入ってきて、スッと消えて入って