精神病院を脱走し年代物のボロ車で目的の無い旅をする二人の最後は、、、
躁病の主人公と鬱病の”なごやん”は突然にある日精神病院を抜け出し”なごやん”の広島のメルセデスこと名古屋ナンバーのマツダルーチェで目的のない逃走を図る。
九州の福岡を出発し別府温泉、阿蘇山、宮崎市、鹿児島と車中泊を重ねなが
...続きを読むら南進して行く道中では何故か大量のヒルが降ってきたり、無免許運転、食い逃げ、畑荒らし等社会で生活していれば絶対に取り得ない行動を繰り返す二人。
小説のところどころで町田康ばりの意味不明な面白さに出会うのもこの作家さんの特徴で”なごやん”憧れのポルシェに無免許の主人公がルーチェでぶつけて当て逃げするシーンや国東半島で突然ヒルが振ってくるシーンには思わず笑ってしまいます。
鬱だけど東京の大学を卒業し大手企業に勤めている知性的で常識派の”なごやん”と大学目前で躁で入院してしまった博多っ子の主人公が博多弁・東京弁(標準語)・名古屋弁で当ての無い道中に繰り広げる会話は暖かくユーモア溢れ終着の指宿迄に二人は精神的に新たなステップに辿り着く。
軽快で温かくユーモア溢れ青春のひと時が生き生きと伝わる作品です。