絲山秋子のレビュー一覧

  • 薄情

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    関東に暮らしていたことがあるので、この北関東方面の雰囲気がよく伝わる。
    都会とは違う郊外都市の在りがちな話をうまく膨らませているな〜、と感心する。

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    2024年02月04日
  • 沖で待つ

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    初の絲山氏の小説。インパクトがある登場人物。そのインパクトという点では芥川賞受賞のタイトルのものより「勤労感謝の日」の方が上。ある意味女性作家でないとここまで描写できないのではないか。勤め人経験のある人ならこの2作はより楽しめるはず。

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    2024年01月28日
  • 神と黒蟹県

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    黒蟹県の人々と神の視点から、黒蟹県を描写する。

    物語自体は全く普遍的だが、黒蟹県人の地域的な視点、ひいては個人視点と、それらを俯瞰した神の視点により、普遍的な風景から重要なことが浮かび上がってくる。

    売却済

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    2025年06月30日
  • 薄情

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    言葉の選び方がさすが秀逸で、言葉に言い表しにくい機微や地方の描写が手に取るように思い浮かんで飽きることなく読めた。主人公に引きづられて気持ちが落ち込みそうになったが、最後の最後で雲間から弱い光がさすように希望が持てた。理解が難しい文面もあり、また読み返して理解を深めたい。

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    2024年01月08日
  • 袋小路の男

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    なんとやっかいな…指一本触れられないからこそ、前にも進めず嫌いにもなれず、諦めもきれずに生殺し 実際そんなに大したことない男でも、恋する女の献身的で盲目的な恋愛には、厚さ15cmくらいあるフィルターがかかっていて、周りの声もまったく耳に入らない そうなんだよねえ、知ってます 感情を持て余しすぎて自己消化不全に陥って、むしろ冷静に置かれた状況や自分の感情を冷静に捉えている日向子の分析や思いに多分に共感して読んでいて苦しくなりました

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    2023年11月11日
  • 夢も見ずに眠った。

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    絲山秋子さんはじめましてだった。

    ふたりの掛け合いとかセリフとか心地よかった。
    心の病はもちろん本人もしんどいけど、周りの人もしんどいよね。家族とか恋人とか。
    でも乗り越えるのは本人だから、どうしようもないよね。
    お互いに意地張らずに素直にヨリを戻して平穏に過ごしてほしいなぁと心から思った。

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    2023年11月02日
  • 忘れられたワルツ

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    2011年から2012年頃に書かれたようで、作者の震災後の複雑な気持ちの変化が感じられた。

    絲山さんの感性か高尚すぎて
    私には
    理解や共感が追いつかず。

    伝えたいメッセージが
    わからないまま。

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    2023年10月23日
  • 末裔

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    生きている人間は修正が利くが、死んだ人間のことなんか間違えて覚えていたらそのまんまじゃないか。

    今までは気持ち半分で両親や叔父母の先祖についての話を聞いていたがこの一文で先祖についての意識が変わりいまは先祖についての話を深く聞きたいそう思う。
    鍵穴が消えているという不思議な出来事から省三の中の心境が少しずつ変わっていく物語。不思議な点はいくつかあるがそれも読み切るまで違和感は感じなかった。そう言うところを自身で噛み砕くのもまた一つの楽しみではないか。私はまだ若輩で省三ぐらいの年齢で読んでいたらもっと違うように思えたのかな、そう思いまたきたる時に再読したいと思った。

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    2023年10月23日
  • 逃亡くそたわけ

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    オフビートなロードムービーっぽい小説。
    特に大きなイベントはなく、淡々と主人国の二人が来るまで博多から鹿児島へと南下する。
    退屈と言えば退屈な話なのだが、ジャームッシュ映画のような「面白い退屈」と言えば良いだろうか。ストーリーの起伏ではなく、主人公二人の会話を楽しむ小説だ。

    「幻覚の方が実感なのだ」
    精神病院に入院している主人公が幻覚を表現した時のセリフだ。健康な人間でも不安に苛まれている時は、自分の想像が現実以上に実感を伴う。
    「あたし」と「なごやん」の会話が普通なだけに、病人と健常者の境界があいまいなものだと感じる。


    「幻覚の方が実感なのだ」

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    2023年10月10日
  • 沖で待つ

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    何かに絶望してしまった人たちに読んでほしい作品です。「沖で待つ」は、同期の社員が亡くなってしまい、その同期の家にある目的のために行くのだが、その家に亡くなったはずの同期がいた。
    読んでて、どこか怪談かと思わせるような少し怖さを感じました。でも最後には、少し涙がでてくるような作品でした。

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    2023年10月09日
  • 沖で待つ

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    絶望を感じてる時、なんで自分だけがこんな目にと孤独感と苛立ちに苛まれるが、実はそばに見守って助けてくれる人がいる。そういうことに気づかせてくれる内容でした。

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    2023年08月18日
  • 不愉快な本の続編

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    呉から始まり、各地を転々とし、呉に終わる話。主人公が終始好きになれず、物語にも結局いまひとつ肩入れできなかった。

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    2023年06月06日
  • 夢も見ずに眠った。

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    岡山で不機嫌になった沙和子が自分に被った。同じ場所にいて感じ方は違くても、同じものを見れて会話ができるということは大切な時間なのだと思った。

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    2023年06月06日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    読んでる間は終始心地よくて、あっという間に読み終わってしまった。
    分からないけど何となくわかる気もする
    表題も好き。

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    2023年05月29日
  • 妻の超然

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    「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」から成る。前ふたつは、共感できたりと面白かったが、作家の超然は難しかった。何度か読めば理解できるのかなぁ。

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    2023年05月16日
  • 沖で待つ

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    女性総合職がまだ珍しかった時代のお仕事小説「沖で待つ」。住宅設備機器メーカーの福岡営業所に同期で配属になった太っちゃんを中心に、ベテラン事務員の井口さんや先輩の副島さんなどとの日々が描かれます。
    同期って特別な関係だなというのと、新人配属された部署って何とも言えない思い出があるな、というのをしみじみ感じます。
    著者さんの社会人時代の後輩さんが記した解説がまたいいです。

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    2023年05月09日
  • ばかもの

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    かつて愛した女・額子に下半身丸出しで木に縛り付けられ「私結婚するから、じゃね」とあっさり捨てられた青年ヒデが、アル中社会人生活を経て、片腕を失ったかつての恋人額子と再会を果たす物語。

    だいぶ端折りましたが、大筋はこんな感じ。ざっくり書くと本当カオスな物語だな……。

    moratoriumを経て社会に出たものの、アルコール依存症になってしまい、恋人も友人も失う顛末が、「そりゃまああんた自業自得ですわね」と若干鼻白らむんですが、なんとか踏ん張って断酒するヒデの独白が、元カノ額子を思い出すでも感傷に浸るでもなくアッサリしてて、なんか無性に読み心地が良い。

    額子との再会も、ドラマチックではなく淡々

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    2023年02月16日
  • 沖で待つ

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    【勤労感謝の日】
    賃金の代わりに心の安定に感謝する日なのだ。
    それは自分にしか分からない感謝の日。
    誰かにそこに居てくれて良かったと思われる日。
    思われてるのか分からなくても、あなたが居てくれて良かった。日日是好日。

    【沖で待つ】
    沖で…待つ…。胡蝶之夢。
    淋しい様で、頼もしく感じる言葉。
    関係性が心地好くて、人柄も相まって、羨ましく感じる。この話に嫉妬している自分がいる。
    そして渇望している。

    【みなみのしまのぶんたろう】
    ダメな事、厭な事、不思議な事。
    子供の読み聞かせに妥当。

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    2023年02月13日
  • ばかもの

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    カラダのことばかり、酒のことばかりの前半と、情景を見つめたり、心の通じたやりとりをしたり、弱さを受け入れたりする後半。コントラストが美しい。

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    2023年01月08日
  • 海の仙人

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    切なさが残る。
    読み終わってすぐはあっさりとした感覚だった。でも、この本のことを考えると少しずつ心の奥底に切なさが降り積もっていき、今はずっしりとした気持ちになった。

    会ったこともないはずのファンタジーに想いを馳せる。彼は一体誰なのだろう。とても不思議な存在で、そこにいなくても誰も困らないし、いつかきっと忘れてしまう人。それなのに会うと嬉しくて心が温まる人。まるで人の希望が具現化したような人だな。

    不器用でも、傷を抱えていても、孤独でも、人は生きていかなくてはいけない。私たちはみんな、孤独とともに生きるのだ。静かな夜にじっくりと読みたい一冊。 

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    2023年01月03日