絲山秋子のレビュー一覧

  • 掌篇歳時記 春夏

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    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにねえやがいて、様々な世話をするという、今では考えられない家庭内のやり取りが出てくる.あんな時代があったことは、映画や小説の中でしか接することはできないが、この姉妹の会話からその情景が想像できることが新しい発見をしたような感じだった.

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    2019年11月06日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか

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    2019年08月22日
  • 薄情

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    題名と内容をつなげる癖があって、この題名をつけたのなら作者の言いたい核ってなんなのかといつも考える。主人公の性格なのか、主人公の性格を形成した土地なのか。究極、人間ってみんな薄情なのかな?とか。話の内容は田舎で起きる些細な出来事の連鎖なのだけど、思考ってそういうところから広がっていく。

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    2019年08月05日
  • 薄情

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    読んだのがたぶん去年なので(どれだけ置いておいたんだ 笑)うっすら忘れかけている部分もあるのだけど…悪い言い方をすればとても地味な雰囲気の小説。だけど妙に心にずっしりと来る。
    地方都市の狭さとか(人間関係の密接した感じ、噂がすぐに広まる、等)は似たような街に住む私もよく分かる。時には助けになるけれど、一方でものすごくうんざりするときも多い。都会ではなく、本当の田舎でもない。そういう独特の狭さの街。

    この、薄情というタイトルがどういうところを指しているのかは、作者ではないから分からない。主人公はある意味で至って普通の青年だ。つかず離れずの人間関係を形成しながら、必死ではないものの日々食べていけ

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    2019年04月15日
  • 薄情

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    句点を置かずに時折現れる宇田川の「どこへとも向かない気持ち」が心地よいリズムで語られるのが、この作品の印象をグッと深くする。

    群馬の自然がほんのりと味わい深く、そしてマイノリティであろうとする宇田川の繊細とも形容ならない感じがバランスよく、程よく感情移入できた。

    終わりにかけて『薄情』というタイトルの真意がつかめてくる。

    バランス良い小説でした。

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    2019年03月05日
  • 薄情

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    田舎の空気がとても的確に描かれている気がする。そして群馬県民的には、群馬あるあるが多くてとても楽しい。

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    2019年02月17日
  • ばかもの

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    (以下、ネタバレ気をつけていますが、核心に触れるセリフを引用してしまっています)

    「沖で待つ」もそうだったんだが、わたしにとって絲山秋子の小説は、ある程度歳を重ねてきたからこそ共感できる、という部分がある。主人公は若者なのに・・・

    年上の女性にドはまりしたあげくに振られ、大学で落ちこぼれていつしかアルコールに溺れる。
    自信満々(単に世間知らず)なだけの若いときの自分なら、こんな「ダメ人間」には感情移入できかなったと思う。

    「たぶん俺はずっと誰かに甘えたい男なのだ。でもそれはこういう形じゃない。もっと、誰も不幸にならないような甘え―――そんなことは可能なのか」

    「俺は、かつて自分をアルコ

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    2019年02月10日
  • 逃亡くそたわけ

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    舞台が九州で行ったことある場所が出てきて想像が膨らんだ。201812の天神ぷち読書会の課題本。福岡タワーに近い百道病院という精神病院の入院患者が2人で脱走。24歳慶応大学出身のなごやんと、幻聴の聴こえる福岡大学生のはなちゃん。赤十字病院や高宮や西新などてでくる。車で福岡から阿蘇、さらに南へと奔走するのだが、旅行記をみているようで傍目にはたのしげ。なんか元気をもらえる。

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    2019年01月10日
  • エスケイプ/アブセント

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    ふわふわと、テキトーに、ラクに、諦めながら、なんとなく浮き草みたいに生きてる。
    それは、もう燃やし尽くしちゃったからなのか、もともと燃料が無いだけなのか…。
    でも、どことなく、確実に寂しい。
    捉えようもない寂しさに包まれた二篇。

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    2018年10月15日
  • 薄情

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    ネタバレ

    普通の人たちの普通の出来事が面白くてじゅうぶん小説になるってよくわかった。地方に暮らすこと、地方って田舎とは違う意味があると思うので、この小説に書かれているのは地方ということだろう。東京や名古屋などに一度出て帰ってきたひとは地方出身者と言いきれるのかどうか。主人公の宇田川と後輩の蜂須賀がかかわった相手と場所は東京出身の鹿谷と鹿谷の作った工房で、それは東京という大きな場所とつながっていたいと心のどこかで考えていたからじゃないか、とか思っていた。はっきりと書かれているわけじゃないし、そこはわたしの感想です。あと、恋愛恋愛してないのも良かった。そういうの読みたいわけじゃないから好感度かなり高いです。

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    2018年10月02日
  • 薄情

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    なんというか、しみじみとよかった、という感じ。
    文章に淡々としたユーモアがあって、するする読める。
    すごく大きな事件とかはないんだけど、でも読みながらなんとなく、人間関係とか人生とか日々の暮らしとか、いろいろ考えさせられる。ラストには希望のようなものがあってさわやかな感じもして。好きだ。

    主人公は、30代男性、将来は神主の職を継ぐことが決まっていて、群馬県の実家で暮らし、ヒマなときは農家の住み込みのアルバイトしたりとか、基本、ふらふらっとしてる感じで。基本、淡々と生きてる感じで。
    自分にはなにかが欠落してると思っているけれども、最初からなかったものは、そもそもなにがあったのか、なにがあるべき

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    2018年08月16日
  • 薄情

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    地方に住んでいると、ふと感じる狭さだったり、その心地よさだったり、見下したくなるような、私は違うといいたくなるような気持ちになったりする。
    ないないものねだりは、どこかにあると知っているからだ。外から来た人が持っていると知っているからだ。
    でもないものを引き受ける覚悟もない。

    絲山秋子はいつだって残酷だ。私たちが、「いやそんなつもりなかったんだ」といってへラリと笑ってみせることを指さしてくる。
    でも見ないふりも、澱が積もるようで身体が重い。
    だからまた、彼女の本を手に取るのだ。

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    2018年07月29日
  • 不愉快な本の続編

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    読んでないと思ったら単行本版で読んでいた。

    誰もが持つ不愉快な本に身を委ねることは理想であれども難しい。

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    2017年12月28日
  • 海の仙人

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    敦賀の海はどんな海なのだろう。
    私の中にあった閑静な港町のテンプレートのようなイメージが、最初のページ、主人公が「オレンジ色のダットサン・ピックアップ」で早朝の浜に乗り入れるところから一気に“敦賀”としての確かな形を見せ始める。なんて気持ちのいい物語のはじまり。聴こえてくるのはピックアップが砂を散らし走る音、風が吹き抜けて朝日にきらめく凪いだ海の静かな波の音。車のオレンジと海の青が鮮やかに目に浮かぶ。「海の仙人」はまるで海のような小説だった。

    登場人物たちはそれぞれがつかず離れずの距離で集まっては移動し、また離れてゆく。孤独をわきまえ、孤独に向き合い、そして傍にいてくれるのは海と、あとは“フ

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    2017年12月08日
  • 離陸

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    ネタバレ

    死を表現するのに、かつては彼岸此岸というように船旅だった。
    どこへ流されていくのかわからない水の流れ。
    今回は飛行機の旅にアップグレードされた。
    あの広大な待機所で、多くの飛行機が離陸を待っている、というイメージもしっくりくるし美しいし、離陸した飛行機がどこへ向かうのかもわかっている。
    しかしそこがつまりはどんなところなのかは、ぼくらにはわからない。
    結局人間にとって生死の在り方は変わらないのだ。
    変わるのは寓意を読み取る人間の側が、何に生死を重ねて理解できるか、だけだ。

    解説で池澤夏樹が村上春樹のクエストものみたいと言っていて、同感。
    確かに巻き込まれ型の主人公、女性関係で巻き込まれるとい

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    2017年09月14日
  • 海の仙人

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    宝クジに当たったというところからしてファンタジー!短い話だがテンポ良く人の繋がり哀しみが綴られていく静かな物語。幸せとは何かをソッと問うてくるような印象が残る。

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    2017年08月09日
  • 海の仙人

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     おそらく私はこの本を何度も読み返すことになるんだと思う。自分がどのような状況下に置かれていようとも孤独であること。その孤独に浸りたいときに、読み返すと思う。

     河野が持っている独特の他者との距離感や、不意に生活圏に表れてきたファンタジーという出来損ないの神。そこに侵入する片桐。そしてかりん。

     解説にも書かれているけど、男女関係の物語に、ここ最近性描写がセットになっていて、性描写と愛がイコールになっているものが多くて辟易としていたが、この本はもっと違う何かでつながっている。それぞれが孤独であることを意識しながら、うまく距離を測っている。そんな対人関係の微妙な距離感がすごく好き。

     私も

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    2017年07月29日
  • 逃亡くそたわけ

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    好きー(^-^)
    精神病院からの逃亡って暗くて重い話なのかな、と思っていたら、予想外に爽快だった。なごやんと花ちゃん、どっちも突き抜けてて気持ちよか。
    九州縦断、旅したくなった。
    なごやんがところどころキュートで癒された。

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    2017年07月19日
  • 離陸

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    不思議な本。
    ミステリーでもないし、恋愛小説でも、ファンタジーでもないが最後は、腹落ちのする本でした。

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    2017年04月16日
  • ラジ&ピース

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    絲山秋子のラジ&ピースを読みました。

    相馬野枝は25歳から六年間続けた仙台のFM局から群馬のFM局に転職します。
    そこでラジ&ピースという番組のパーソナリティーを始めます。
    野枝は番組で見せる顔とは違うかたくなな素顔をもてあましています。
    そんな野枝は朗らかで無防備な女医の沢音と出会って時々会うことになります。

    自由に生きる女性の生き様が淡々と描かれています。

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    2017年01月21日