絲山秋子のレビュー一覧

  • 袋小路の男

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    人の数だけ、絆の形 や 独特の距離感 があっていいんだと、肯定してくれる
    女と男 双方の視点から書いているのがいい

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    2019年01月25日
  • 逃亡くそたわけ

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    舞台が九州で行ったことある場所が出てきて想像が膨らんだ。201812の天神ぷち読書会の課題本。福岡タワーに近い百道病院という精神病院の入院患者が2人で脱走。24歳慶応大学出身のなごやんと、幻聴の聴こえる福岡大学生のはなちゃん。赤十字病院や高宮や西新などてでくる。車で福岡から阿蘇、さらに南へと奔走するのだが、旅行記をみているようで傍目にはたのしげ。なんか元気をもらえる。

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    2019年01月10日
  • エスケイプ/アブセント

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    ふわふわと、テキトーに、ラクに、諦めながら、なんとなく浮き草みたいに生きてる。
    それは、もう燃やし尽くしちゃったからなのか、もともと燃料が無いだけなのか…。
    でも、どことなく、確実に寂しい。
    捉えようもない寂しさに包まれた二篇。

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    2018年10月15日
  • 薄情

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    ネタバレ

    普通の人たちの普通の出来事が面白くてじゅうぶん小説になるってよくわかった。地方に暮らすこと、地方って田舎とは違う意味があると思うので、この小説に書かれているのは地方ということだろう。東京や名古屋などに一度出て帰ってきたひとは地方出身者と言いきれるのかどうか。主人公の宇田川と後輩の蜂須賀がかかわった相手と場所は東京出身の鹿谷と鹿谷の作った工房で、それは東京という大きな場所とつながっていたいと心のどこかで考えていたからじゃないか、とか思っていた。はっきりと書かれているわけじゃないし、そこはわたしの感想です。あと、恋愛恋愛してないのも良かった。そういうの読みたいわけじゃないから好感度かなり高いです。

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    2018年10月02日
  • 薄情

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    なんというか、しみじみとよかった、という感じ。
    文章に淡々としたユーモアがあって、するする読める。
    すごく大きな事件とかはないんだけど、でも読みながらなんとなく、人間関係とか人生とか日々の暮らしとか、いろいろ考えさせられる。ラストには希望のようなものがあってさわやかな感じもして。好きだ。

    主人公は、30代男性、将来は神主の職を継ぐことが決まっていて、群馬県の実家で暮らし、ヒマなときは農家の住み込みのアルバイトしたりとか、基本、ふらふらっとしてる感じで。基本、淡々と生きてる感じで。
    自分にはなにかが欠落してると思っているけれども、最初からなかったものは、そもそもなにがあったのか、なにがあるべき

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    2018年08月16日
  • 薄情

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    地方に住んでいると、ふと感じる狭さだったり、その心地よさだったり、見下したくなるような、私は違うといいたくなるような気持ちになったりする。
    ないないものねだりは、どこかにあると知っているからだ。外から来た人が持っていると知っているからだ。
    でもないものを引き受ける覚悟もない。

    絲山秋子はいつだって残酷だ。私たちが、「いやそんなつもりなかったんだ」といってへラリと笑ってみせることを指さしてくる。
    でも見ないふりも、澱が積もるようで身体が重い。
    だからまた、彼女の本を手に取るのだ。

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    2018年07月29日
  • 不愉快な本の続編

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    読んでないと思ったら単行本版で読んでいた。

    誰もが持つ不愉快な本に身を委ねることは理想であれども難しい。

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    2017年12月28日
  • 海の仙人

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    敦賀の海はどんな海なのだろう。
    私の中にあった閑静な港町のテンプレートのようなイメージが、最初のページ、主人公が「オレンジ色のダットサン・ピックアップ」で早朝の浜に乗り入れるところから一気に“敦賀”としての確かな形を見せ始める。なんて気持ちのいい物語のはじまり。聴こえてくるのはピックアップが砂を散らし走る音、風が吹き抜けて朝日にきらめく凪いだ海の静かな波の音。車のオレンジと海の青が鮮やかに目に浮かぶ。「海の仙人」はまるで海のような小説だった。

    登場人物たちはそれぞれがつかず離れずの距離で集まっては移動し、また離れてゆく。孤独をわきまえ、孤独に向き合い、そして傍にいてくれるのは海と、あとは“フ

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    2017年12月08日
  • 離陸

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    ネタバレ

    死を表現するのに、かつては彼岸此岸というように船旅だった。
    どこへ流されていくのかわからない水の流れ。
    今回は飛行機の旅にアップグレードされた。
    あの広大な待機所で、多くの飛行機が離陸を待っている、というイメージもしっくりくるし美しいし、離陸した飛行機がどこへ向かうのかもわかっている。
    しかしそこがつまりはどんなところなのかは、ぼくらにはわからない。
    結局人間にとって生死の在り方は変わらないのだ。
    変わるのは寓意を読み取る人間の側が、何に生死を重ねて理解できるか、だけだ。

    解説で池澤夏樹が村上春樹のクエストものみたいと言っていて、同感。
    確かに巻き込まれ型の主人公、女性関係で巻き込まれるとい

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    2017年09月14日
  • 海の仙人

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    宝クジに当たったというところからしてファンタジー!短い話だがテンポ良く人の繋がり哀しみが綴られていく静かな物語。幸せとは何かをソッと問うてくるような印象が残る。

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    2017年08月09日
  • 海の仙人

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     おそらく私はこの本を何度も読み返すことになるんだと思う。自分がどのような状況下に置かれていようとも孤独であること。その孤独に浸りたいときに、読み返すと思う。

     河野が持っている独特の他者との距離感や、不意に生活圏に表れてきたファンタジーという出来損ないの神。そこに侵入する片桐。そしてかりん。

     解説にも書かれているけど、男女関係の物語に、ここ最近性描写がセットになっていて、性描写と愛がイコールになっているものが多くて辟易としていたが、この本はもっと違う何かでつながっている。それぞれが孤独であることを意識しながら、うまく距離を測っている。そんな対人関係の微妙な距離感がすごく好き。

     私も

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    2017年07月29日
  • 逃亡くそたわけ

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    好きー(^-^)
    精神病院からの逃亡って暗くて重い話なのかな、と思っていたら、予想外に爽快だった。なごやんと花ちゃん、どっちも突き抜けてて気持ちよか。
    九州縦断、旅したくなった。
    なごやんがところどころキュートで癒された。

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    2017年07月19日
  • 離陸

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    不思議な本。
    ミステリーでもないし、恋愛小説でも、ファンタジーでもないが最後は、腹落ちのする本でした。

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    2017年04月16日
  • ラジ&ピース

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    絲山秋子のラジ&ピースを読みました。

    相馬野枝は25歳から六年間続けた仙台のFM局から群馬のFM局に転職します。
    そこでラジ&ピースという番組のパーソナリティーを始めます。
    野枝は番組で見せる顔とは違うかたくなな素顔をもてあましています。
    そんな野枝は朗らかで無防備な女医の沢音と出会って時々会うことになります。

    自由に生きる女性の生き様が淡々と描かれています。

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    2017年01月21日
  • ばかもの

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    絲山秋子さんの文章が好きです。
    リズム感があるし、簡潔で、なんだか面白くて。

    書き方は淡々としているのに、内容や描写が切なくてどんどん読み進めてサラリと読めてしまいました。

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    2017年01月07日
  • 絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか

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    数年前に購入して、何度も読んでる本。
    特にレシピを作ってみたりするわけではないのに、気がつくと読み返している。
    絲山さんはたぶん料理がうまい人なんだと思う。だけど、作中において絲山さんが自分のためだけに作る自炊料理にはなんとも言えないリアルなテキトーさがあって、そこが面白い。
    ぶっきらぼうで時に繊細さのかけらもない言葉遣いのなかに、連載のために真冬に毎食そうめんを食べ続ける生真面目さや、トラバタって(好きな人ができて)食事が全く喉を通らない、挙句好きなひとにもらった卵を食べまくり絶賛する女子高生みたいな可愛らしさに作者の人柄が見えてくるような気がして、絲山ファンとして大変楽しめる一冊。

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    2016年12月15日
  • ばかもの

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    アルコールに依存して完全に駄目になり孤立した男が、それからまた誰かとともに生きようと再生するお話。主人公は普通より数倍どうしようもない人間だけど、そのどうしようもなさは等身大でありとても共感できる。なぜ等身大であるかというと、主人公の生まれや環境に特別な不幸や不自由がないからだと思う。学生時代の彼女とセックスの後に缶ビールを飲む習慣が別れた後もなんとなく残り、次第に飲む量が増え、いつのまにか依存症になっていた。それだけなのである。私もこの主人公となんら変わらない。多くの一般的な人の生活と近い延長線上にある。だからこの小説は広く共感を呼ぶ力があるのではないかと思う。

    読んだ方はわかる通り、主人

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    2016年10月30日
  • 不愉快な本の続編

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    ネタバレ

    「ニート」収録作「あいなんていらねー」で語り手を翻弄するスカトロ男がいたが、彼のその後。
    不思議な題名が気になるが、表紙にはカミュ「異邦人」(すなわちよそもの)、裏表紙には乱歩「芋虫」が刻印されているらしい。
    そして絲山秋子ならでは、不在の人物こそが登場人物を操っていると、あるタイミングでふと気づかされる。
    本書では弟だが、実は書き出しすぐに言及されていた。
    ただしそれを初読時に感じさせることないほどにふらっと現れた語り手。
    本が開かれたから現れたといえるほどに。

    (まあ成田さんと別れてしばらくヒモ暮らしをしていたみたいだけと)

    流れるように新潟に行き、好きになった女と結婚するが、「不愉快

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    2016年10月22日
  • ラジ&ピース

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    昔から人と関わるのが苦手で、今では人に心を開くことをほとんど諦めているアラサー女性の新天地での物語。そこで出会い、されるがままに付き合いを続けるも気を許していなかった沢音に対して野枝が初めて心を開く場面が個人的にとても良かった。カーチェイスって言うの?猛スピードを出して追い越したり追い越されたりしながら車を走らせる。互いに自分の車の中という別の空間にいて当然言葉も視線も直接交わることのない状況でありながら、そのうち感情が高揚し気がついたら心を通わせていたーー。こんな心の交わし方もあるんだって心の底から驚いたし希望も感じた。何がきっかけで友情が芽生えるかって本当に分からないものだし、対人関係でひ

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    2016年10月08日
  • 海の仙人

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    ネタバレ

    これはまたいい小説を読んだ。
    優しくて非情でリリカルで奇妙で。
    何せファンタジーという名の「神」が当たり前のように現れたり消えたりするのだ。
    そしてファンタジーは、筋としてはいてもいなくても変わらないのに、いることで間違いなく小説が芳醇になる。
    小説が「∞」という形状をしているとしたら、その結節点にファンタジーが存在していたりしていなかったりするのだ。
    内的モノローグはこういう仕掛けを通じて小説的なダイアローグになるという、見本のような小説だ。

    ★孤独な者と語り合うくらいだ。
    ・いま、お前さんの運命の女が走ってきたのだ。
    ・ファンタジーと会うのははじめてだけど、でも前から知ってるような気がし

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    2016年09月03日