絲山秋子のレビュー一覧

  • 末裔
    『沖で待つ』が良くて、それ以来、絲山さんの本を読むようになりました。

    今回の末裔は、妻を亡くした中年男性が主人公。
    家に帰ろうとすると、何故か鍵穴が見つからず、仕方がなく放浪する羽目になるってお話。

    鍵穴が見つからないってところで、どういうこと?と思い、かつその説明がされないので、ずっとモヤモヤ...続きを読む
  • 末裔
    家族であることとはいったい何なのか。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出
  • ラジ&ピース
    自分の殻に閉じこもりがちな主人公が、群馬でのラジオDJの仕事を通して、少しづつ、周りに心をひらいていく。DJをしている時とその他の時のテンションの差がちょっと笑えるけど、自分も案外そういう所があるなあと思う面もある。

    際立って劇的な場面があるわけではないけど、じんわりと展開していくこういう話は好き...続きを読む
  • ラジ&ピース
    自由の不自由と自由の孤独が、ラジオ番組の進行と録音ブースの外でのぎこちない生活との対比で浮き彫りにされる。
    表題作はこれまで読んだ絲山秋子の作品の中でベスト。
  • ラジ&ピース
    表題作を読み終えて、何故か、
    自分もにっと笑ってました。
    併録の短編も潔くて心地よい。
    好きな作家さんなので評価は、
    ほんの少しだけ贔屓目です。
  • ラジ&ピース
    *引用*

    オトコに脳味噌はいらない。
     百歩譲ろうか。脳味噌だけでもホルマリン漬けにしたくなるような、常軌を逸した賢さならいい。でも、なかなかいないでしょう、そんなひと。凡庸でしょう、あんたもその前もまたその前も。つまり私とつきあう大抵のオトコは。少しお利口なら友達になって一生つきあった方がいいじ...続きを読む
  • ラジ&ピース
    さて困りました。何と書けばよいのか?
    こういう時はネットの書評を読んで、同感できる言葉を拾い集めてみる事にしましょう。

    ◇こんな魅力的な不機嫌は絲山さんの得意技のひとつだ。
    ◇なんか愛想は悪いがなかなか気の利いたつまみをだしてくれる飲み屋みたいな小説。
    ◇はっきり言って、野枝は、お近づきになるのは...続きを読む
  • 絲的メイソウ
    小説ではストイックとでもいうべきキリッとした表現の絲山氏なのに、素のエッセイではひねくれたオヤジのようになるギャップが素敵です。
  • 絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか
    おもしろかったー!同じもの食べ続けたり、発明したり。雑誌の食べものページにここまで真摯に向き合ってる人がいるだろうか、と(笑)食べ物が好きで真面目なことがよくわかる。ヘナッポはぜひ作ってみたいです!
  • エスケイプ/アブセント
    ロックなんだな。男臭い。
    やっぱり大好きだ、絲山秋子。元職業革命家と京都の街。エトランゼの目線で濃密な街の匂いを嗅ぎ分ける本能に脱帽。
  • ばかもの
    流されるばかり、ついには酒に溺れるダメ男のヒデと、強いのか弱いのか何とも捉え切れない性格の額子の物語。
    二人ともある種の破綻者なので、感情移入し辛い筈なのに、なぜか物語に引き込まれて行きます。そこらは絲山さんの上手さのようです。でも、入り込めない人も居るでしょうね。ですから人によって評価が大きく割れ...続きを読む
  • エスケイプ/アブセント
    もうこの絲山さんの作品って、文学の超最先端、って思った。
    極限まで究極まで研ぎ澄ました、文学。

    酸いも甘いも、喜怒哀楽も、個人も社会も、欲望も無碍も、生も死も、
    全部感覚として分かっていて、最短でそれを表現している、気がする。

    生まれて初めて、サイン会なるものに行ってしまった。。
    今、世界で一番...続きを読む
  • エスケイプ/アブセント
    評価が分かれる作品だろうなぁ。

    文体が軽くて、すぐに読み終わってしまうので、何コレ?これで終わり?と呆気にとられる方もいるかもしれません。男性目線で書こうとしているので、多少無理があるかなと感じる個所もありましたが、そういうのを抜きにして、ストーリーの雰囲気がとてもおもしろい。雰囲気と軽妙な文章だ...続きを読む
  • エスケイプ/アブセント
    私も、行き詰ったら、神父のコスプレでもしよう。
    などと思ってみる。
    この本読んでたら、生きることが最早ちっせー革命だと思えた。
    気づいたら終わってる――日々と似てる。
    でも、毎日何とか積み重ねてれば、そのうち大きくなるかも。

    この題材に、この軽妙な文章センス、いったい何なの!(赤面で)

    あーもー...続きを読む
  • エスケイプ/アブセント
    主人公は左翼運動の元活動家。革命を夢見て、闘争と潜伏に明け暮れること20年の果て、テレビでアメリカの同時多発テロを目の当たりにしたことで挫折を味わい、運動から脱落。40歳になってやっと気づいたことといえば、とりあえずの敵は国家権力とかじゃなくて、ただの退屈だった・・・ってこと。
    人生を棒に振ったと気...続きを読む
  • エスケイプ/アブセント
    2作とも読んでようやく「なるほど」と思える。
    個人的には一回読んだだけじゃちょっと内容を把握しきれんかった。それはわたしがそういう「活動」をしていたわけじゃないし、そういう世代からも少し遠いところにいるせいもあるとは思う。
    でもこういう内容の話にしては取っ付きやすい作品だと思います。
    絲山さんの「尖...続きを読む
  • 絲的メイソウ
    絲山秋子氏のエッセイ。コレが迷走なのか瞑想なのかは別にして大変面白く読めた。特に面白いと思ったのはエッセイ全部が五七調で書かれている文章だ。よくよく読んでみると特別な意味も無く、内容もすかすかなのだが大変面白い試みだと思った。ここ最近読んだエッセイの中ではコレが一番面白いと思った。
  • イッツ・オンリー・トーク
    淡々と始まって、淡々と終わる。単に日常生活のある適当な一部を切り出したかのように。
    何かの主題があって、それをストーリーにするのではなく、エピソードを積み重ねながら全体の雰囲気を作っていく。そんな作品です。
    強いて言えば、主人公とその周りに集まる奇妙な男たちの、濃密でありながら、どこか淡々とした人間...続きを読む
  • 海の仙人
    なんか、粗筋を書くとドロドロの恋愛小説みたいですが、そんな話ではありません。
    不思議な話です。ファンタジーっぽい要素もあれば、きれいな恋愛小説的なところもある。どう書けば、この小説の魅力を言い表せれるのか判りません。
    ただフワフワと心地よく、時に微笑ましく、時に切なく物語の中を漂ったような気がします...続きを読む
  • 神と黒蟹県
    地味で微妙な架空の県、黒蟹県。架空なのに、というか架空ゆえに、リアリティがありすぎる。誰もが「あの地域かな?」と自分の知っている地名を思い浮かべたくなるような、地味でありがちな日常。
    各章ごとにその回に出てきた言葉の辞典がついているが、それが架空のものと現実のものがないまぜになっていて面白い。
    「半...続きを読む