絲山秋子のレビュー一覧
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ネタバレ*引用*
オトコに脳味噌はいらない。
百歩譲ろうか。脳味噌だけでもホルマリン漬けにしたくなるような、常軌を逸した賢さならいい。でも、なかなかいないでしょう、そんなひと。凡庸でしょう、あんたもその前もまたその前も。つまり私とつきあう大抵のオトコは。少しお利口なら友達になって一生つきあった方がいいじゃない。オトコなんてあれよ、どうせ飽きるんだから。三年もったら大したもの。何に飽きるか。それは何のためにつき合うかと一緒。つまりセックス。べたべたして好きだの愛してるだのぐじゅぐじゅ言うこと。でもね、セックスとお利口は両立しないの、殆どの場合。オバカにならないとあんな恥ずかしいことはできないの。おわ -
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さて困りました。何と書けばよいのか?
こういう時はネットの書評を読んで、同感できる言葉を拾い集めてみる事にしましょう。
◇こんな魅力的な不機嫌は絲山さんの得意技のひとつだ。
◇なんか愛想は悪いがなかなか気の利いたつまみをだしてくれる飲み屋みたいな小説。
◇はっきり言って、野枝は、お近づきになるのは遠慮したくなるほどの『嫌な女』なのだが、これぞ絲山秋子の筆の凄いところで、いつのまにか物語に引き込まれ、野枝に好感を持ち、応援までしている自分がいた
◇日差しの中で少しずつほぐれていくような野枝のほんのわずかな変化が作品に温かみを加えていきます。
自らの殻にこもる孤独(引きこもりとはちょっと違う) -
Posted by ブクログ
主人公は左翼運動の元活動家。革命を夢見て、闘争と潜伏に明け暮れること20年の果て、テレビでアメリカの同時多発テロを目の当たりにしたことで挫折を味わい、運動から脱落。40歳になってやっと気づいたことといえば、とりあえずの敵は国家権力とかじゃなくて、ただの退屈だった・・・ってこと。
人生を棒に振ったと気づいたときの虚しさ、寂しさ、空恐ろしさ。絲山作品の主人公はいずれも、世間にうまく馴染めない人。面白そうだけど、お近づきになるのは謹んでご辞退申し上げたい人などが多いようですが、この作品でも脱落者である自称元革命家の目を通して、生きていくことの嘘っぽさ、それでもなお捨てがたい人生の物哀しさを、絲山さん -
Posted by ブクログ
ネタバレおそらくは死後の世界を描いた話。
話、と言っていいのか…絲山さんの中にある条理を超えた世界をそのまま見せられていて、率直に言って「わからん」という感じです。
デヴィッド・リンチの映画を見るときと同じような、幻想的でざわつきのある、でもなぜか魅力的で見てしまうが、でも話はさっぱりわからなくて気づいたら寝てました、というようなあの感じを活字で体験した気分です。
ラストにつまりなんなのか、は描かれているので「よかった、このまま放り投げられなくて」とホッとしました。とはいえ疲れました。いや、今もって理解できたのか?と問われると正直よくわからない…