絲山秋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
絲山秋子の文体や作品の中に充満している空気感、曇り空からほんの少し覗く太陽の光のような、好転の兆しが本当に好きだ。
大きな波が岩肌にぶつかって割れて散るような激しさはないけれど、密閉容器に煙がどんどん立ち込めていくような、静かな圧迫感が凄い。
本の薄さからも分かる通り、言葉は少ない。
けれども、こちらに投げられる野枝という女の、世界に対する期待感の無さや虚無感は計り知れないものがある。
だからこそラストに訪れる、決して派手な大団円ではない、喉に刺さった小骨が抜けるような小さな解放が沁みる。
これからずっと幸せだろうという予感ではなく、とりあえず明日は大丈夫だろうというくらいの幸福感を描くの -
Posted by ブクログ
感情は抑える必要もない。音楽のように豊かに溢れ出せばいい。悲しみも、喜びも、ときには怒りだって。たまには踏み外したっていい。(本文より)
群馬のローカルネタ、ラジオの現場の描写が新鮮。
なじめない、なじまないでやってきたローカルFMでパーソナリティを務める30代の主人公、新しい土地で出逢う人たちとのやり取りで、良い感じにこれまでのスタンスが乱れほぐれる。基本的・根本的に改めたり省みたりするようなものではなく、これもいいかもしれんくらいのもの。
そうそう変えられるものでもない自分のやり方や人づきあいの癖ってあって。誰かに意見されることもないし、もういいねんって、思ってたもんが、ちょっとしたき -
Posted by ブクログ
表題作〝ラジ&ピース〟の主人公は、32歳の独身女性。孤独癖のあるひねくれ者なのですが、読んでいてぜんぜん嫌な気を起こさせないのは、絲山さんの文章のなせる技ですねぇ。むしろ、主人公の気持ちに共感させられてしまいます。孤独というのが、良くないこととして受取られるようになったのは、いったいいつ頃からなのでしょう?孤独に馴染むことも、人として大切なことだと思えますが・・・。
併録されている〝うつくすま ふぐすま〟は、恋人よりも友達が大事という、ちょっぴり高慢で我侭な女性が主人公です。自分の恋人のことをケチョンケチョンに評価するので、読んでいてたまらない気持ちになりますが、どちらも不思議に晴々とした余韻 -
Posted by ブクログ
おれは必死だよ。でも、必死って祈ることに少しは似てないか。
不在っていうのは影みたいなもんだ。エスケイプしたら不在が残る。教室に、家に、あらゆる、いるべき場所に不在は残る。(中略)不在は美化される。
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フランス人なのに日本語しか話せないコスプレ神父。法衣を纏ったら似合ったからという理由で神父になったというくだりは、この本で絲山さんが書きたかったことの例えだと思う。つまり、外側から作られる場合もあるということ。本当に自分の中から出て来るものって少ないんじゃないかということ。人間は不確かで脆い。
人生についての本。人生を思いっきり軽い口調で語った本。相変わらず