絲山秋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表題作〝ラジ&ピース〟の主人公は、32歳の独身女性。孤独癖のあるひねくれ者なのですが、読んでいてぜんぜん嫌な気を起こさせないのは、絲山さんの文章のなせる技ですねぇ。むしろ、主人公の気持ちに共感させられてしまいます。孤独というのが、良くないこととして受取られるようになったのは、いったいいつ頃からなのでしょう?孤独に馴染むことも、人として大切なことだと思えますが・・・。
併録されている〝うつくすま ふぐすま〟は、恋人よりも友達が大事という、ちょっぴり高慢で我侭な女性が主人公です。自分の恋人のことをケチョンケチョンに評価するので、読んでいてたまらない気持ちになりますが、どちらも不思議に晴々とした余韻 -
Posted by ブクログ
おれは必死だよ。でも、必死って祈ることに少しは似てないか。
不在っていうのは影みたいなもんだ。エスケイプしたら不在が残る。教室に、家に、あらゆる、いるべき場所に不在は残る。(中略)不在は美化される。
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フランス人なのに日本語しか話せないコスプレ神父。法衣を纏ったら似合ったからという理由で神父になったというくだりは、この本で絲山さんが書きたかったことの例えだと思う。つまり、外側から作られる場合もあるということ。本当に自分の中から出て来るものって少ないんじゃないかということ。人間は不確かで脆い。
人生についての本。人生を思いっきり軽い口調で語った本。相変わらず