絲山秋子のレビュー一覧

  • ばかもの

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    ヒデが酒に溺れていく姿は笑えなかった。あんなふうに落ちていくのならオイラもアル中になる可能性があるし、もしかしたらすでになっているのかも。健気な翔子を大切にできなかったヒデはばかものだ。でも、大切な人だってわかっているのに傷つけるようなことをしてしまうのはなんかわかるなぁ。そんなことをしてもお互いになにもいいことなんかないのに。退院したヒデに額子が会ってくれたのは悲しい離婚を経験したからなのかな。額子は遊びで付き合っていたヒデを愛していたってことなんだよな。だったら、ヒデを木に縛り付けたまま捨てるなんてことをするなって話だけど、女の人の考えることはよくわからない。
    そう言えば、ヒデの想像上の人

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    2018年07月14日
  • 末裔

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    妻を失い、子供達にも構ってもらえない主人公の男性の話が、鬱々と進むのに、最後の展開についていけなかった。
    結局、人間は基本、楽観的ってことかな。

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    2018年03月25日
  • 忘れられたワルツ

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    知人にすすめられた一冊。短編集です。

    恋愛雑用論
    強震モニタ走馬燈
    葬式とオーロラ
    ニイタカヤマノボレ
    NR
    忘れられたワルツ
    神と増田喜十郎

    少しずつ東日本大震災が絡んでいた。
    どの話にもこれといったオチがなく、カットアウトするように終わってしまうのですが、そこがまたこの短編の世界をつくりあげているのかなぁ。
    すでに内容うろ覚えなのですが、葬式とオーロラが良かったかな。恩師の葬儀にむかう途中、高速道路のSAで出会った女性。彼女はトラックでオーロラを運んでいると言った。

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    2018年02月16日
  • ばかもの

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    ネタバレ

    この本に出てくる人間たちは、ひとりなのにひとりでない。何か自分を補完するものを必要としていて、寄りかかる”自分”というものが欠落している。そんな、自分という枠の中がスカスカで、何かをその“スキマ”に詰めないと固い”自分”が存在できないような脆い人々の話だ。私たちの心の中の弱い部分をそのまま抜き出したような人々だ。そんなどうしようもない弱さを「ばかもの」と一蹴されるような、物語にすると滑稽だろうと嘲笑うかのようなタイトルなのだこれは。

    主人公ヒデは額子を失ったことで、次第にアルコールへと依存していく。寄る辺ないネユキは、失恋を機に宗教団体に依存していく。スキマを何かで埋めなければならないから

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    2017年12月08日
  • 忘れられたワルツ

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    ネタバレ

    どこかシュールな7話が収められた短編集。

    冒頭いきなり「恋愛とはすなわち雑用である」と言い切った一文で始まる『恋愛雑用論』。
    雑用でしかないけれど決して不要ではない、というのがミソである。
    日下部さんと金子くんの掛け合いのような会話が笑える。
    社長の言う通りお似合いの二人だ(日下部さんは怒るだろうけれど)。

    また「離婚したから遊びに来ませんか」で始まる『強震モニタ走馬燈』も良かった。
    新年早々、このたった一行の年賀状を寄越した女友達はとにかくマイペースで、暇さえあれば強震モニタを見ているという変わり者。
    けれど悩みだろうが悪口だろうが筋が通っていようがいまいが、何を言っても否定しない。

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    2017年10月07日
  • 離陸

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    ネタバレ

    絲山さんはこんな静かな物語も描かれるんだ、とちょっと驚いた。

    突然佐藤の前に現れた黒人。
    「サトーサトー」行方不明の女優を探してほしい、と語り出す。
    謎の怪文書を解読しながら、謎の「女優」探しの旅が始まった。

    「死」を飛行機の「離陸」に例える佐藤の言葉がとても印象的。
    滑走路に向かった飛行機が息を整えるように停止し、ゆっくりと力強く滑走をはじめる。その滑走は悲しみを引きちぎるように加速していき、やがて地上を走ることに耐えられなくなりふっと前輪が浮く…。
    まだ生きている私達は滑走路で離陸待ちの状態。
    私もいつかみんなに見守られながら無事に離陸できるだろうか。
    離陸し飛び立った後、次の行き先へ

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    2017年10月02日
  • ラジ&ピース

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    自分を醜いと思い込み、意固地になっていた野枝。現実世界では他人とつながることを拒否し、ラジオ局のスタジオの中でしか息ができない。例えば、気の置けない友人と一緒になって笑いたいが、どういう顔をして笑ったらいいのかわからない。そんな彼女が、群馬という土地で、少しずつ変わる物語。
    併録された「うつくすま ふぐすま」この表題の意味が分からないのは私だけ?

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    2017年09月09日
  • 不愉快な本の続編

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    ネタバレ

    2017年、37冊目です。

    主人公の故郷の町には、何度か行ったことがあるので、物語の最後あたりで急速に親近感を感じました。

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    2017年11月06日
  • ラジ&ピース

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     あまり印象に残らなかったけど、嫌いではない。たぶん時間をおいてまた読んだら新たな発見があって、その都度好きになり、最終的に気に入りそうな本の予感はしたけど、それくらいの感じ。

     表題作の野枝のサバサバした感じ、世間に期待していない感じがちょっと好きだな~っていうのはある。沢音とは正反対のタイプなのに、気が合ってしまう感じもなんかわかる気がする。わかるけど、よくわかんないや。

     誰もがここにいる。ここに存在するっていう感覚が大切で必要なのかな。

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    2017年08月06日
  • 離陸

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    同性の作家さんは読んでて変に冷めたりして入り込めないので敬遠しがちだが、彼女の名前の字面が好きで手にする事がある。
    なんともオチのない結末なのに腑に落ちる。良くも悪くも草食な主役が周囲に振り回された挙句、どう離陸してどこに着地するか…読後にそんな事を考えるのがおもしろい作品。

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    2017年08月04日
  • 忘れられたワルツ

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    ネタバレ

    恋愛も雑用と一部と考えてしまう事務員と、小利口くん。

    風変わりな離婚した魚住が毎晩見る地震計の揺れ。

    理科の先生の葬式とオーロラを運んでると言った知らない女。

    鉄塔と変だけど気の合った今は亡きいとこと別れた恋人。

    ノーリターンで直帰だった上司と部下が行き着いた先。

    母の浮気調査のために家を出て行った姉を案じる妹と変わった家族。

    市長になった同級生を支え続け女装することになった男と神。

    恋愛雑用が一番面白かったと思うけど
    長い病院の待ち時間で読み進めたからか、
    頭にうまく入ってこない部分もあり
    たぶんこの本の面白さを全身で感じ取れていない。

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    2017年06月29日
  • 忘れられたワルツ

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    良く判らなかったというのが素直な感想。
    「震災後を生きる者たちの不安/不穏を描き出す」といった解説があり、確かに作品中に震災がチラチラ顔をのぞかせるのだけれど、別に震災が有ろうが無かろうがこんな不安/不穏は存在するので。。。
    それぞれの短編は面白いのだけれど、一冊の本としての印象が薄い、そんな本でした。

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    2017年05月07日
  • 不愉快な本の続編

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    思わず手にとってしまうタイトルに衝動買いしましたが、短編集『ニート』に収録されている「愛なんていらねー」の著者を主人公にした作品なのだそうです。短編のスピンオフのはずが堂々の1冊になったというところでしょうか。いわば続編ではありますが、本編を知らなくても問題なく読めます。本編は私の苦手なスカトロの描写もあるようなので、むしろ知らずにいてよかったかも。(^^;

    この続編から察するに、主人公のボク、「乾ケンジロウ」はイケメンの賢い奴。しかしというのかだからというのか女が放っておかず、ずっとヒモとして暮らすろくでなし。性的倒錯者でもあるが自分のほうから女にのめりこむことはない。そんな彼が初めて恋を

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    2017年05月15日
  • ラジ&ピース

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    相馬野枝32歳独身。FMラジオのDJ。
    自分の容姿に強烈なコンプレックスを抱き、極端なほど他者との距離を保つ彼女が、唯一自分を解き放てるのが自らパーソナリティを務めるラジオ番組。
    仙台から群馬のFM局に転職した彼女が、半ば強引にできた女友達やリスナーとの関わりの中で、ほんの少しずつ自分を肯定していく・・・という標題作は、本当にFMラジオの番組を聞いているかのような孤独な心地よさ。
    群馬の小ネタ(高崎人は前橋人が嫌いとか・・・ホント?)も随所にはさまれクスッと笑える。

    併録された「うつくすま ふぐすま」は、短いながらスカッと晴れた空を感じさせるキレのいい作品。
    生ゴミのようだと感じる男とずるず

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    2017年04月01日
  • 不愉快な本の続編

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    富山の美術館に足を運んだ時にこの小説が掲載されていて、久しぶりに絲山さんの本を手に取ってみた。ニート以来倦厭していたのですが、まさかニートの続編とは思わず…。タイトル見れば分かるんだけど笑。やっぱりちょっと苦手かも。

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    2017年03月09日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    絲山さんのデビュー作である表題作と「第七障害」の2作。
    【イッツ・オンリ・トーク】
    「無駄話さ!」というタイトルどおり、軽いタッチの15のエピソード。主人公の優子は新聞記者をしていたが、精神を病んですべてを失い、今も薬のお世話になりながら、絵を描いて暮らしている。
    「セックスなんてトーストを焼くみたいなものよ」という彼女と、EDの議員、うつ病のヤクザ、いとこの居候、痴漢、うつ病仲間との関係がさらっと描かれている。
    それぞれのエピソードは面白いとか泣けるとかではないんだけど、すっ~と入ってきて心地よいのは絲山さんの無駄のない文章のおかげなのだろう。
    特に私は、痴漢がお気に入り!私もこんな痴漢と付

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    2016年11月25日
  • ラジ&ピース

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    他の本より地の文があっさりしていて、主人公の内面もガシガシ消しゴムで削られた跡だけがある。
    つまりは測りかねた主人公の変化が、大きいものなのか小さいものなのかわからなかった、それが読みのせいなのか作品の性質なのかもいまひとつ確信できない。

    「うつくすま ふぐすま」も、収録。

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    2016年10月06日
  • エスケイプ/アブセント

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    ネタバレ

    遅すぎた中年、福岡に向かい、ふと京都に降りる。
    そこには現在を把握していない、双子がいたが、今はどうやら。
    コスプレ神父バンジャマンと交流。
    結局双子に会うことはなかったが、その不在こそが隠れた透明の背骨である。
    それは作中に形を変えて言及される。
    「不在は、美化される。キリストだってそうだ。」
    キリストなんかより歌子婆さんみたいな人が今現在生きているってことを美化したいね、という独白や、
    なんで大人ってドライでソリッドではなく、生、なんだろう、といった感覚やに、
    大いに共感。ずっとそう思っていた。

    ちなみに「アブセント」はその双子の片割れ。

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    2016年10月05日
  • ばかもの

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    ネタバレ

    気ままな大学生活を送るヒデは、年上の女性額子との性的な関係に溺れていたが、結婚を決意した彼女に手ひどく振られてしまう。
    社会人になったヒデは、いつしかアルコール依存症になり立ち直るきっかけをつかめずにいた。
    一方額子も不慮の事故で左腕を失ったうえ離婚し、一人山間の村で生活していた。
    全てを失い、絶望した二人が長い年月を経て再会した・・・

    絲山さんの文章は読みやすく、気持ちが良い。
    ヒデがなぜアル中になったのかよくわからなかったが、実際に酒浸りになるときもそんなものかもしれない。
    ずっとヒデが抱いていた「行き場のない思い」って何なのだろう・・・額子もまた行き場なく山奥の村に流れ着いた。
    互いに

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    2016年08月14日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    ネタバレ

    こういう、特にサスペンス的なことは何もなく、同年代の女性の日常(あるいは非日常)が淡々と書いてあるだけの本を面白く読めるようになったのは、30になってからだと思う。
    多くは独身の女性が主人公なので、感情移入はできないけれど、理解はできる。
    わたしも、結婚してなかったら、こんな人生だったのかなぁなんて。

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    2016年05月04日