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Posted by ブクログ
絲山秋子の谷崎賞受賞作品の文庫化ってことで入手。しばらく文庫化に気付かなくて、このタイミングになっちった。『ばかもの』が随分好きだったけど、やっぱり根っこには、当たり前だけど同じ雰囲気を感じた。タイトルからして、薄情な登場人物が活躍するもんだと軽薄にも思っていたんだけど、主人公にしろ周りの人にしろ、あまり薄情とは違うよな、って思いながら読み進み。殆ど終わりの頃になって、一度だけ”薄情”って言葉が登場するんだけど、なるほどそういうことかって感じ。薄情に見えるけど実は情け深いというか、そんな微妙なニュアンスが作品をもって綴られていた訳ですね。本作も、流石のクオリティでした。
Posted by ブクログ
読書開始日:2022年3月19日
読書終了日:2022年3月22日
所感
北関東、東京へ行こうと思えば行けるくらいの立ち位置。
この立ち位置も、宇田川のうだつのあがらなさを助長させていたのだろう。
行動すればなにかが変わることも、
行動できない理由なんか一つもないことも、
心のどこかで自覚しながら、日々を怠惰に過ごす。
自分と対極の鹿谷の自由生活に触れ、その人生の疑似体験を行うも、
どこかで鹿谷の失敗を望んでいた。
自分のしがみついた安定が間違っていないことを、実感したかった。
みずから実感を掴みに行くのではなく、その実感が来るのを待っていた。
ここにも、宇田川の弱さが出る。
鹿谷がいざ失敗をすることで、気づけば自分は毒に侵されていると知る。
自覚があったからこそ、横須賀の見舞いできっかけを得、ヒッチハイカーを拾ってあての無い遠出をするという行動に出れた。
なにに対しても無気力で、自分の生活、凝り固まった思考にしがみついた、薄情な宇田川が色づいた。
過去が過去になっていくのを感じる。これはいい文だなと思った。
瑞穂に対して「勝手な投影」と言い非難した宇田川がすぐさま自分もみずほに対して「勝手な投影」をしていたことにに気付いたシーンは、
かなりきつかった。
こうなると折り合いをつけるしかなくなる。
欠落してるからこそわからぬ俺の欠落。
W田中の鏡の話が思い起こされる。
さくい
ヘルパーツバメ
〇〇ではどこに日が沈む、どこから日が登る
ミレイちゃんのお父さんお母さんに会いに来たわけではなかった。俺は粟井という人間に会いに来た
あまりものを言わずに暮らしていると客観性を失う。自分の都合で考える癖がつく。
鏡、見えないものを大事にしていれば大丈夫。
子供と大人は見えているものが違う。興味ベース
怜悧
似合う、そういうのが夫婦だ
お相伴
宇田川=密度
欅は八年くるい続ける???
自己憐憫で腫れ上がった彼女の目
投影=宇田川も=鏡
欠落してるからこそわからぬ俺の欠落
ショックで寝込むなんて全部終わってからにしろよ
いつからおれは裁いてんだ
俺を選べばこんな間違いはおきなかった。でもそういうのはえらべない
ルームミラーに移した自分の顔は笑っていた
鹿谷さんのアトリエに通うものはみな、弱い毒が蓄積していた。それは自分自身を認められないことによる、狭く濁った視野からくる毒。鹿谷さんと過ごす時間によって、自分が広い視野を持つ擬似体験をするが、結局は擬似。どこかで弱い毒が、仕方に失敗しろ、地元にしがみつく安心こそが正義と叫ぶ。
安定は求めるものでしがみつくものではない。弱い毒が蓄積する。
過去が、たしかに過去になっていくのを感じた
Posted by ブクログ
もっさりヘラヘラした主人公だけど、「あーあるある、こういう感情!」という場面が多々描かれてるから嫌な主人公という印象にならなかった。もっさりしてるけど。
「当たり前」のように毎日同じ生活してて、ふと全然違う行動したくなる衝動とか、夜の田舎道を運転する何とも言えない孤独感?ワクワク感、スリルみたいなものを思い出す。ここではないどこかに行きたい気持ち。
歳をとると薄情が当たり前になってたけど、人間同士の感情の複雑さを嫌な部分も含めて明るみにしてくれた感。
あとは、田舎道ドライブしたくなる。さすが絲山秋子。BGMはくるりのハイウェイとかいいな。
映画化したらどうなるんだろう、と妄想したけどどうにも主人公が私の中でもっさりイメージなので華がないかもなぁ。でもきっと景色は綺麗そう。
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