絲山秋子のレビュー一覧

  • 袋小路の男

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     切ない平行線。互いの心情は包み隠さずストレートに表現される反面、男女が心身共に交わる事なく時が流れる。読み手のその時の感情によっては歯痒くも感じられる場面が次々と繰り返されるものの何故か納得感も覚えさせられ、物語と読者との距離も接する事なく一定の間隔を保ったまま結びの行までだどり着いてしまうような不思議な短編たちでした。
     気付かぬうちにするりと読み進めえられるのは話の展開だけでなく文章の書き方が上手なのかもしれない。滞りなく文字を追う目が先に導かれていった。

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    2022年06月29日
  • 袋小路の男

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    ネタバレ

    これは恋愛?純愛?なんとなく綺麗だけど、実は、ものすごくドロドロで。

    わかるようなわからないような…引きづりますね。

    2話目でただの閉塞感は薄まりましたが。

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    2022年06月14日
  • 袋小路の男

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    「袋小路の男」には三作品が掲載されていて、一番初めの物語、「袋小路の男」は書き方、いや主人公の語り口調がとても好きだと思った。その理由はなぜか、大抵改行があまり行われていない文字の羅列は、開くたびに時折うっとなってしまうことがある(そんなこというなら小説なんて読むな、という話であるが)が、絲山秋子さんは違う。
    この改行のない文章は、主人公思考の過程を表しているのではないか、思考が思考を呼び、その思考はたしかに存在しているにもかかわらず、この主人公の身の一つとなる構成要素の一つとなる。
    文字の繰り返し、会話、文字の繰り返し、会話、このリズムは、自然と私たちの頭の中に入ってきて、スッと消えて入って

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    2022年05月29日
  • 逃亡くそたわけ

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    めっちゃ良かった。面白い。
    精神病棟から逃げ出して、九州を逃亡する約1週間ほどを描くロードムービー、いや
    ロードノベル?
    亜麻布二十エレは上衣1着に値するという
    意味不明な言葉が主人公の頭に幻聴として
    響く。最初意味不明だなと思ってたけど
    調べてみて、更に作品に深みが出ました。
    方言も素晴らしい。そして、驚く程、自然で嘘っぱちでない。そいぎんたはいいですね。また好きな作家が増えたな〜。

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    2022年05月28日
  • 妻の超然

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    絲山さんの本は前にまとめ買いしたのでちょこちょこ読んでいるのだが、この手の「らしさ」というか毒が前面に出ている作品があんまり合わなくてつらい。なにかにつけ現れる不満、攻撃性が常に読書のテンションを下げてくる。
    巨人戦は負けた時の悔しさが尋常じゃないから見に行きたくないとかものすごくわかるし、「他人へのむきだしの善意と、社会へのむきだしの悪意」への不安、「その全てを見ていたいと思う」とか面白いと思うところはどの短編にもあった。妻の超然が敗北するところなどはやっぱり見事だなと思うけど、物語に回っている毒に疲れてしまうのが印象として強い。

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    2022年04月08日
  • 妻の超然

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    ネタバレ

     芥川賞作家の作品だと思いました。超然というのは手をこまねいて、すべてを見過ごすこと。栄えるものも、滅びるものも。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の3話が収録されています。私は「作家の超然」が気に入りました。絲山秋子「妻の超然」、2013.3発行(文庫)、2010.9刊行。

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    2022年03月13日
  • 袋小路の男

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    最近、積読を積極的に消化しようキャンペーンをやっていて、この本も随分と前に古本屋で購入してあった本。
    まず、袋小路の男と小田切孝の言い分。
    デカダンス的な男女の何とも割り切れない十数年。2人が、世の中で名前がついている関係にならないのは、2人がどこまでも自己愛から抜け出せないエゴイストだからかなと思います。別にそれが良いとか悪いとかじゃなくて、2人はその自己愛の依存関係が心地良いのだから、そういう関係性もあるのだろうけど。臭いモノを、臭いとわかっていながら何度も嗅いでしまうような、そんな気持ちで読み進めてしまった物語でした。
    私が好きだったのは、アーリオ オーリオの方。
    中年独身男と姪っ子の文

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    2022年02月27日
  • 妻の超然

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    ネタバレ

    「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の三篇からなる中編集。

    恥ずかしながら私、「超然」という言葉を知らなくて。
    読む前に意味を調べました。

    で、「超然」とは、『物事にこだわらず、平然としているさま。世俗に関与しないさま』という意味とのこと。

    夫の浮気に超然といようとする妻。
    超然とした態度を恋人に罵倒される男。
    そして病気に対して人生に対して超然としている作家。

    それぞれがそれぞれの問題に対して、どこか悟りを開いたような、一種諦めのような、そんな状況が描かれています。

    でも、なんだろうなー。
    それって、自分の本当の感情を抑えようとしてるだけなんじゃないかなー。なんてことを、読みな

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    2022年02月17日
  • 袋小路の男

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    家にあった本。意外や川端康成文学賞作品。

    十年に及ぶ女性の片思いのの物語と思いきや、実は両思いだけどなかなか交際には発展しないもどかしい二人の距離感を、時に暖かく描いている作品。

    淡々と読みながらも、ホントふとあったかい表現がうまく使われてます。直接的な表現は少ないのでぼーっと読んでると見落としてしまいそうな。

    特別結論に向かうような作品ではなくゆる~い感じなので、はっきりしたエンディング好きな人はちょっと物足りないかも。

    でもまぁどっちかというと女性向けでしょうか。

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    2022年01月06日
  • 忘れられたワルツ

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    小品7作
    どの作品も主人公はそこし変わった人
    理解できるところとそうでないところがありそこし読みにくかった

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    2022年01月04日
  • 絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか

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    雑誌の連載で絲山さんが身も心も削って書いていたらしい、自炊のお話。自炊らしい適当な感じで全く肩ひじ張らないし、めちゃくちゃおいしそうすぎてお腹が空く、ということもないかも。それでも久々に豚キムチ作って食べたくなった。

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    2021年12月08日
  • 袋小路の男

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    大谷日向子の心境はさぞ辛いだろうなと思う。

    読んでいる私からすれば、日向子と小田切、お互いの胸の内を読者として知っているから、これはこれでいい関係かもしれないと思うけれど、片思い中の当人にとっては、たまったもんじゃない。ただ、答えが出たら、そこで何かが終わってしまうかもしれない怖さもあり、改めて恋愛の複雑さを思い知る。

    はっきりさせていないが、これは恋愛でしょう。
    日向子はわかりやすいし、小田切にしても口は悪いし、駄目な部分も多々あるが、クズでもない。日向子への気遣いを持とうとしている時点で、「それだよ、あなたの~は」、と私は思ってしまうが、人の恋路に口出しは無用。だって、相手の心の内を微

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    2021年10月30日
  • 掌篇歳時記 春夏

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    ネタバレ

    二十四節気をさらに三等分した七十二候をもとに、年末から夏にかけて、それぞれ人気作家がつづる短編集。
    季節がテーマで、純文学系の作家が中心ということで、その表現を楽しむ小説であることは間違いない。
    でも、その反面、連想で思考があちこちに飛んでしまうので、集中できないのも確か。
    寂聴氏の作品を初めて読んだが、住職っぽくなく驚いた。もうすぐ100才。

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    2021年10月23日
  • 逃亡くそたわけ

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    精神病院を脱走し年代物のボロ車で目的の無い旅をする二人の最後は、、、

     躁病の主人公と鬱病の”なごやん”は突然にある日精神病院を抜け出し”なごやん”の広島のメルセデスこと名古屋ナンバーのマツダルーチェで目的のない逃走を図る。

     九州の福岡を出発し別府温泉、阿蘇山、宮崎市、鹿児島と車中泊を重ねながら南進して行く道中では何故か大量のヒルが降ってきたり、無免許運転、食い逃げ、畑荒らし等社会で生活していれば絶対に取り得ない行動を繰り返す二人。

     小説のところどころで町田康ばりの意味不明な面白さに出会うのもこの作家さんの特徴で”なごやん”憧れのポルシェに無免許の主人公がルーチェでぶつけて当て逃げす

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    2021年05月02日
  • 袋小路の男

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    高校時代から気になっていた異性とのドライ?クール?な付き合いに友達以上の関係性を感じられない主人公は連絡の途絶えた20歳の時に同じ大学の彼氏が出来るが卒業時に別れる、社会人になって東京を離れてもなんとなく恋人でもなかった筈の高校時のドライな彼を思い出す日々。。。

     帰京の際に偶然に彼と出会い、何となく近くて遠いドライなお友達関係が復活する。彼はバイトをしながら小説を書き作家デビューを目指しているがある時自殺未遂をしてしまう、、、

     彼の棲む家の場所は袋小路だが執筆に悩む彼も袋小路に陥って居りそんなドライな彼に恋心を抱く主人公もまた袋小路に捕まった女なのだ。

     二人ともリスの様にヒマワリの

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    2021年04月17日
  • エスケイプ/アブセント

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    ネタバレ

    軽妙な文体で読みやすい。この世代の人はこういう時代を生きて、みたいな世代感が全然分からないためになんとなくぼんやりと霧の中を行くように読み進めていたんだけど、何にも信じられないから神様だけは信じられる、毎日謝ってるっていうバンジャマンの話はすごくわかるなあと思ってしまった。
    江崎は大人は生でぬるついて気持ち悪いっていうけど、私は子供の方が生で怖い。神様は人の罪なんて聞かずに応援しろ、祈れって言うけど、ただ聞いてくれるのってむしろすごい応援だと思う。なんか根本が違うんだろうな。江崎はちゃんと人が好きな人というか、結局のところそうだからセクトみたいな活動だってできるんだろう。そう考えると「愛がない

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    2021年02月13日
  • 袋小路の男

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    表題作「袋小路の男」は、高校のときに好きになった先輩の小田切孝を見つめつづける大谷日向子の物語です。一方「小田切孝の言い分」は、二人の関係を小田切の視点を中心に、三人称の文体でつづっています。

    ある意味では、著者の文章は小田切と日向子の自意識を容赦なく抉っているともいえるのですが、突き放した視点でえがきつつも人間の哀れさのようなものを教えてくれるといったまとめ方には収まらない、不思議な読後感がのこりました。けっして温かいまなざしではないものの、どうしようもない二人をそのままに受け止めるといった感じでしょうか。

    「アーリオ オーリオ」は、松尾哲とその姪の美由との手紙のやりとりを中心にした物語

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    2020年09月03日
  • 逃亡くそたわけ

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    『資本論』の一節が頭のなかに響くことに悩まされる花ちゃんが、なごやんという青年とともに精神病院を脱出し、彼の運転する車で福岡から南へと九州を駆け抜ける物語です。

    精神病院からの逃走劇ということで、もっとぶっ壊れた内容を想像していたのですが、方言が飛び交う二人の会話と、行き当たりばったりな旅の雰囲気のおかげで、全編にわたって明るさを感じる内容でした。

    『資本論』と「逃走」というテーマは、80年代の島田雅彦の作品を連想させますが、東京かぶれの名古屋出身者という設定のなごやんが前時代的な地方コンプレックスを丸出しにしていることが、こうした図式に収まることを拒んでおり、力の抜けた作品世界をつくり出

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    2020年09月03日
  • イッツ・オンリー・トーク

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    表題作の「イッツ・オンリー・トーク」と「第七障害」の二編を収録しています。

    「イッツ・オンリー・トーク」は、橘優子という35歳の女性の物語です。議員候補の本間、鬱病でヤクザの安田、いとこで元ヒモの祥一、そして優子と奇妙な関係をつづける痴漢など、彼女をとりまく男たちとの日常を、タイトルが示すとおり「イッツ・オンリー・トーク」、すべてはムダ話だという調子でえがいています。

    「第七障害」は、かつて馬術大会でゴッドヒップという馬とともに出場するも転倒してしまい、馬を安楽死の運命へと追い込んでしまったことに対する懺悔の念をいだきつづけている早坂順子の物語です。彼女のライヴァルだった永田篤や、同居人の

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    2020年09月02日
  • 海の仙人

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    ネタバレ

    確かにファンタジーのお話。読後にあらすじで考えれば荒唐無稽なんだけど、そこで書かれていることが地に足ついているためにそのことに気が付かないようになっている。
    孤独は心の輪郭で、自分のあり方だっていうのは、わかる。輪郭がなければ触れ合うことができないから。でもこの本の登場人物たちはあんまり触れ合おうとはしていない。惹かれていても、みんなどこか別の方向を向いていて、私はこういう話は切なくなってしまって苦手だ。
    孤独とともに現れるファンタジー。孤独は人と一緒にいてもある。後で思い返せば、輪郭に触れれば良かったのに、何で孤独に浸っていたんだろう、と後悔することがたくさんある。私は今こう思っていて、あな

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    2020年08月16日