絲山秋子のレビュー一覧
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ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。
「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。とても味わい深い読書だった。
この作家は、女流作家の中で随一に男性の一人称がうまいと思う。団塊の世代のいわゆる「日本のオヤジ」の自意識にリアルに寄り添える力量に感心する。
備忘録:
「自分たちの世代は、若い頃もっと、社会と密接につながっていたと思う。省三(主人公)が月のように、社会の周りで満ち欠けしているとしたら -
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絲山秋子の絲的メイソウを読みました。絲山秋子の露悪的エッセイでした。瞑想というよりは妄想に近いような、絲山的人生観が綴られていきます。禿礼賛という章では禿に萌える絲山秋子の感じ方が大まじめに語られています。寝言は寝て言えという章では、寝言で、お客様に丁寧に挨拶をした後、「クソオヤジがっ」と言ってしまったというエピソードが語られています。また、絲山の取説という章では、家電の取扱説明書のようなトーンで自分の紹介が書かれています。どれもこれも吹き出しそうになりながら面白く読みました。極めつきが世の中みんな五七調という章で、一回分のエッセイが全て五七調で書かれているのです。私はテンポの良い文章が好きな
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躁うつ病の女性「あたし」(博多出身21歳)と、うつ病の男性「なごやん」(名古屋出身24歳)が、精神病院を脱走し、九州を舞台におんぼろ車で逃亡するロードノベル『逃亡くそたわけ』の続編です。
前作から10数年後、2人はそれぞれ家庭を持ち、偶然にも共に富山に暮らし再会を果たします。
「あたし」は、衝動に突き動かされかつての日々を愚かで、今を「まっとう」と思っています。ゆる〜くトホホな大人の話は、笑いを誘いホッとします。
そうした笑いの中に、「まっとうな人生」って、どんな人生? どうすれば送れる? 人や物事が正しい状態の「真っ当」と頭で理解しても、そんな哲学的な深い問いがもたげてきます。 -
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ネタバレ「私はこの店に夜を買いに来るのだ。真っ暗で静かで狭い夜一丁」
絲山秋子一作目
三編あったけど全部好きだった
シニカルでテンポがいい一編目
会社の同期で気のいい太っちゃんの二編目
子供向け?の童話のような三遍目
共通して地の文でユーモアのある感情が含まれていて、伊坂幸太郎作品のように笑ってしまうシーンが多くて読んでいて楽しかった。
二編目では、自分の人生では体験できない営業職のきつさもあるけど、一緒にいて楽しい太っちゃんや頼りになる副島さん、きびきびさばさばしている井口さんたちとの職場環境が楽しさも同じくらい楽しそうだなと思った。 -
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芥川賞作家の絲山秋子さん、本作では直木賞候補にもなっており、守備範囲広く多才です。以前、自費出版ZINE『妄想書評』で笑い、本作もぶっ飛びタイトルに惹かれ手にしました。
躁うつ病の女性「あたし」(博多出身21歳)と、うつ病の男性「なごやん」(名古屋出身24歳)が、精神病院を脱走し、九州を舞台におんぼろ車で逃亡するロードノベルです。
逃亡は「北へ」のイメージですが、本作では博多から指宿まで、目的のない南下する逃避行で、南のイメージも相まって湿っぽい雰囲気がなく、乾いた爽やかさが感じられます。
「あたし」と「なごやん」の関係性が絶妙です。「あたし」のばりばりの博多弁と、東京にこだわり頑