絲山秋子のレビュー一覧

  • 薄情

    Posted by ブクログ

    田舎者を経験した者であれば、ものすごく引き込まれる小説だと思う。
    漫然とやり過ごす毎日の中にも喜怒哀楽があり、それを穏やかにキープするための田舎ならではの処世術。その肌感覚で知ってるものが言語化される事にハッとなる。

    主人公の宇田川。
    ニヤつく癖が抜けなければ、この先仕事を継いだ後も小さな陰口に息が詰まる思いを抱えて行くのだろう。その弱さと強さが容易に想像できる程に人物描写が絶妙で良かった。
    読み終えて表題が改めて沁みる。
    薄情。
    あぁ、そうだな。ほんとうに。

    0
    2024年04月15日
  • 沖で待つ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ⚫︎感想「沖で待つ」
    初めての絲山さんの作品は「神と黒蟹県」(2024.4時点で最新作)だったが、15年以上前に書かれた芥川賞受賞作である「沖で待つ」にすでに絲山ワールドが完成されていたのだ…といった感想をもった。男女がベタつかない軽やかさや、全体に広がるユーモアと優しさ、少しの寂しさ、少し現実離れした不思議ワールドを感じられた。

    二人はお互い先に死んだ時は残った者がハードディスクを壊し合うという約束を交わす。
    「沖で待つ」は太っちゃんが妻に残したとされる詩のフレーズ。強い信頼を互いにもてて、ピンチの時は助けに行くし助けてくれる、必ず待っていてくれると思える安心感。

    こちらの作品では、同期

    0
    2024年04月10日
  • 海の仙人

    Posted by ブクログ

    作者が描く風景とメッセージが胸に流れ込んできて、いい読み心地でした。絲山秋子さんの物語はどっしり背中を預けて読めます。

    0
    2024年03月18日
  • 沖で待つ

    Posted by ブクログ

    3編ともおもしろいが、やはり表題作『沖で待つ』が特に良かった。登場人物、彼らの会話がおもしろく魅力的。会社の中での「同僚」という人間関係。時に共に喜んだり時には互いの失敗をフォローしたり、日々仕事の中で同じ体験を共有しており、飲むと学生時代の友人以上に話がはずんだり…。読んでいると、その人間関係がリアルで、自分の若かりし頃を思い返して懐かしい気持ちになる。
    主人公と太っちゃんの、恋愛にはならないけど、ただの友人よりも深い、運命共同体のような同士のような関係性は、読んでいると憧れてしまう。現実味があるかといえば無いような気もするが、それ以上に二人の描写が自然で魅力的で、気にならない。

    絲山秋子

    0
    2024年03月10日
  • 神と黒蟹県

    Posted by ブクログ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    神視点で「人々」を愛することを教えてくれるお話

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    「黒蟹とはまた、微妙ですね」
    微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
    県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先

    0
    2024年03月02日
  • 袋小路の男

    Posted by ブクログ

    こういう、どうしようもない、抗えない、恋かどうかすら分からないけれど離れられないって話、すごく好きです。同時収録の話も大好き。

    0
    2023年10月20日
  • 沖で待つ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女と男の友情・・・。

    成立するのかしないのか、周りで議論されるのを何度か聞いたことがあるが、もう一つ、20年前に早逝した友人の葬儀で、彼の親友が、「エッチなビデオ一式を生前の約束通り全部処分してやった」と言っていた。

    そんな僕個人の思い出が込み上げる標題作②は秀作。

    ③は全文ひらがなとカタカナのみ。そんな小説は、筒井康隆の「心狸学・社怪学」で目にして以来。(絵本や宮沢賢治作品ならありそうだが)

    ちょっと蓮っ葉で物足りなさを感じた①だったが、「オマエ、書いてよ」と絲山先輩に命令されて書いた夏川けい子さんの解説で、その、もの足らない部分がガチン!と音を立ててハマる快感。

    解説まで堪能でき

    0
    2023年09月03日
  • ばかもの

    Posted by ブクログ

    とっても良かったです。この作家さんは前から読みたいと思っていて、今回、はじめて読みましたがとてもいいなぁ、と思いました。作中でてくる
    『容易じゃねぇなあ』というのがとても私には渋く、ある意味この作品に収斂していく表現かなぁと思ったりしました。この作家の作品を他を読んでみようとおもつています。

    0
    2023年08月09日
  • 沖で待つ

    Posted by ブクログ

    好みの作品に出会えました。
    どちらの作品も仕事に焦点が当たっていて、さまざまな視点からの仕事観が描かれていてとても楽しかった。
    勤労感謝の日、凄く良い!!
    知性溢れる毒舌と皮肉混じりの後輩との会話が本当に好きすぎました。

    0
    2023年05月21日
  • 逃亡くそたわけ

    Posted by ブクログ

    プリズンたる病棟からの明日なき逃避行。資本論の等価交換の呪文から逃れようともがく主人公と商品価値の象徴たる東京の呪縛に囚われるなごやん。行き着いた岬のラベンダーの香りが旅の終わりを納得させる。とても印象的な作品でした。

    0
    2023年04月30日
  • 夢も見ずに眠った。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・絲山秋子の小説って「海の仙人」とか「沖で待つ」とか「離陸」とか「薄情」とか、思い切りのいいタイトルが多いので、え、いきなり「。」つきのタイトルってなんか秋元康っぽくね。と、戸惑ってしまった。ために購入後少し時間を置いてしまった。
    ・スレた人間なので、小説を読んで泣いたなんていう経験はほぼない。が、本作は2回、鼻の奥がツーンと来る経験をした。それを悔しいとは思わず、嬉しいと思った。
    ・2011年に36歳だというから、1983年生まれの私より8歳年上の、夫婦の話(生年は1975年生まれだろう)。作者は1966年生まれなので、だいたい10歳くらい年下を想定したのだろう。その夫婦の1998年から20

    0
    2023年04月20日
  • 夢も見ずに眠った。

    Posted by ブクログ

    私の最近の読書傾向がたいへんヘヴィなものが
    多くて食傷気味だったところに絲山作品。
    文章の心地良さがバツグン…!
    語り手と物語(登場人物達)の距離感が良過ぎる。
    さっぱりとしていて、適温。
    過不足なく、軽妙で、実直。
    メッセージ性とか話の構造ばかりに目が行きがちになってるなぁ、と反省。
    語り口、超大切。

    0
    2023年03月28日
  • 逃亡くそたわけ

    Posted by ブクログ

    牢獄に見紛う精神病棟から逃げる、という動機から九州を車で走り抜けるロードムービー的な小説。解説には経済的な側面とストーリーとの対比が根底にある書いており、ふむそんな含意もあるのだなと思った。自分が抱いた感じはもっと切実なところで、逃げきれない悪夢を現実で上塗りを繰り返すことの虚しさだった。物理的に逃げても遠のかない苦しみに戸惑いつつ生きようとする。病気の烙印を押されると忽ち社会の不安定さを心に受ける場面に現代の危うさがあり、色々と考えさせられる小説だった。

    0
    2023年02月14日
  • 逃亡くそたわけ

    Posted by ブクログ

    都甲先生のエッセイにあったので。
    超よかった!!勢いのある文体でどんどん読める。
    九州のロード・ノベル。美しいところも少し不気味なところもすばらしい描写。
    阿蘇行ってみたい。ほかの作品も読む!

    0
    2023年01月01日
  • 逃亡くそたわけ

    Posted by ブクログ

    これも素晴らし。そんなに長くない小説が多いイメージなんだけど、内容の濃さは唯一無二。サラッと読み通せる物語だけど、色んな引っ掛かり(というか、作家のたくらみ?)はふんだんに盛り込まれてます。今回はロードノベルとしての楽しみも特筆もので、かの地へは数えるくらいしか行ったことないんだけど、一緒に旅している情景が目に浮かぶよう。

    0
    2022年11月14日
  • 絲的メイソウ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     私は一方的に群馬に惚れ込んでいるのだが、群馬人に群馬のよさをわからせることは至難の業である。健康な人が健康のありがたみを知らないことの如くである。当たり前のレベルが違う。京都や金沢の中華思想めいたお国自慢と全然違うのだ。w 絲山秋子さん。1966年生まれ、早大卒、メーカーに入社、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。(なるほど、なるほど)なお、中学で酒を。高校でタバコとかw。2001年退職。2006年「沖で待つ」で芥川賞。「絲的メイソウ」、2009.9発行(文庫)。気持ちよい毒舌。面白かったです!

    0
    2022年03月19日
  • ばかもの

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     高崎の大学生、大須秀成(ヒデ)は吉竹額子27歳に夢中。でも2年後、額子(ガクコ)は結婚。その後、ヒデは、山根ゆきや翔子と付き合うが、28歳の時はアルコール依存症に。酒を断つか命を断つか。3ヶ月入院。額子の母に会い、額子が事故で左腕を切断、離婚して片品で一人で住んでることを聞く。電車とバスで2時間、バス停に総白髪の女性が。額子の家で食事をした後、額子はヒデにお願いを。右腕をゴシゴシ洗ってほしい。そして、右の腋毛を剃って欲しいと。秀成と額子の長い年月をかけて辿り着いた愛の物語。絲山秋子「ばかもの」。

    0
    2022年03月16日
  • 離陸

    Posted by ブクログ

    水の番人サトーサトー。ブツゾウとアカネを見守って。離陸はまだまだ。
    3年ぶりに読み返して、やっぱり凄かった。

    0
    2024年07月07日
  • ラジ&ピース

    Posted by ブクログ

    初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。
    しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きていく道が拓けていくような展開にすごく惹き込まれて良かったです。

    絲山秋子さんご自身が、東京出身ながら地方都市を転勤しながら暮らされていたご経験があるとのこと。地方都市ならではのローカルな暮らし、人間関係、町の少し寂れた部分など、リアリティのある世界観も見事でした。
    他の作品も異った地方都市が舞台の

    0
    2021年06月13日
  • 離陸

    Posted by ブクログ

    一週目ではまだ分かりきっていない感はあるけどすごくじんわりくる良さだった。
    死を飛行機が離陸することで表していて、その表現がスッとはいってきた。

    0
    2021年05月08日