絲山秋子のレビュー一覧

  • 袋小路の男

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    こういう、どうしようもない、抗えない、恋かどうかすら分からないけれど離れられないって話、すごく好きです。同時収録の話も大好き。

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    2023年10月20日
  • 沖で待つ

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    ネタバレ

    女と男の友情・・・。

    成立するのかしないのか、周りで議論されるのを何度か聞いたことがあるが、もう一つ、20年前に早逝した友人の葬儀で、彼の親友が、「エッチなビデオ一式を生前の約束通り全部処分してやった」と言っていた。

    そんな僕個人の思い出が込み上げる標題作②は秀作。

    ③は全文ひらがなとカタカナのみ。そんな小説は、筒井康隆の「心狸学・社怪学」で目にして以来。(絵本や宮沢賢治作品ならありそうだが)

    ちょっと蓮っ葉で物足りなさを感じた①だったが、「オマエ、書いてよ」と絲山先輩に命令されて書いた夏川けい子さんの解説で、その、もの足らない部分がガチン!と音を立ててハマる快感。

    解説まで堪能でき

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    2023年09月03日
  • ばかもの

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    とっても良かったです。この作家さんは前から読みたいと思っていて、今回、はじめて読みましたがとてもいいなぁ、と思いました。作中でてくる
    『容易じゃねぇなあ』というのがとても私には渋く、ある意味この作品に収斂していく表現かなぁと思ったりしました。この作家の作品を他を読んでみようとおもつています。

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    2023年08月09日
  • まっとうな人生

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    『逃亡くそたわけ』の単純な続編かと思いきや、富山を舞台にコロナ禍の日常を描く冴えた視線のエッセイとも言うべき作品だった。いくつも振り返りたくなる省察が含まれていて、それでいて「たびのひと」と呼ばれるよそ者の視点から富山のローカルな日常のあれこれが民俗的に描かれていて、物語性のなさがちっとも気にならず、夢中にさせる良作だと思う。とてもいい。

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    2023年06月12日
  • まっとうな人生

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    精神疾患を抱えながら日々を生きていくってなるほどこんな感じなのかもしれないなぁと、リアルを感じた。
    症状の波をうまく手懐けながら、でも時々大きな波にのまれそうになって慌てたりしつつ暮らす主人公と、その苦労やしんどさを肌感覚でわかろうとしながら共にいる家族。
    そこにはかけがえのない絆があるけれど、だからといってすべてが分かり合えるはずもなく、時にはお互い傲慢になったり、相手に受け入れられない一面をみたりもする。
    日々、気持ちを泡立たせながら些細な、時には大きな出来事を過ごしていくことが、まっとうに生きるってことなのかな。

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    2023年05月22日
  • 沖で待つ

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    好みの作品に出会えました。
    どちらの作品も仕事に焦点が当たっていて、さまざまな視点からの仕事観が描かれていてとても楽しかった。
    勤労感謝の日、凄く良い!!
    知性溢れる毒舌と皮肉混じりの後輩との会話が本当に好きすぎました。

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    2023年05月21日
  • 逃亡くそたわけ

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    プリズンたる病棟からの明日なき逃避行。資本論の等価交換の呪文から逃れようともがく主人公と商品価値の象徴たる東京の呪縛に囚われるなごやん。行き着いた岬のラベンダーの香りが旅の終わりを納得させる。とても印象的な作品でした。

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    2023年04月30日
  • 夢も見ずに眠った。

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    ネタバレ

    ・絲山秋子の小説って「海の仙人」とか「沖で待つ」とか「離陸」とか「薄情」とか、思い切りのいいタイトルが多いので、え、いきなり「。」つきのタイトルってなんか秋元康っぽくね。と、戸惑ってしまった。ために購入後少し時間を置いてしまった。
    ・スレた人間なので、小説を読んで泣いたなんていう経験はほぼない。が、本作は2回、鼻の奥がツーンと来る経験をした。それを悔しいとは思わず、嬉しいと思った。
    ・2011年に36歳だというから、1983年生まれの私より8歳年上の、夫婦の話(生年は1975年生まれだろう)。作者は1966年生まれなので、だいたい10歳くらい年下を想定したのだろう。その夫婦の1998年から20

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    2023年04月20日
  • 夢も見ずに眠った。

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    私の最近の読書傾向がたいへんヘヴィなものが
    多くて食傷気味だったところに絲山作品。
    文章の心地良さがバツグン…!
    語り手と物語(登場人物達)の距離感が良過ぎる。
    さっぱりとしていて、適温。
    過不足なく、軽妙で、実直。
    メッセージ性とか話の構造ばかりに目が行きがちになってるなぁ、と反省。
    語り口、超大切。

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    2023年03月28日
  • 逃亡くそたわけ

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    牢獄に見紛う精神病棟から逃げる、という動機から九州を車で走り抜けるロードムービー的な小説。解説には経済的な側面とストーリーとの対比が根底にある書いており、ふむそんな含意もあるのだなと思った。自分が抱いた感じはもっと切実なところで、逃げきれない悪夢を現実で上塗りを繰り返すことの虚しさだった。物理的に逃げても遠のかない苦しみに戸惑いつつ生きようとする。病気の烙印を押されると忽ち社会の不安定さを心に受ける場面に現代の危うさがあり、色々と考えさせられる小説だった。

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    2023年02月14日
  • 逃亡くそたわけ

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    都甲先生のエッセイにあったので。
    超よかった!!勢いのある文体でどんどん読める。
    九州のロード・ノベル。美しいところも少し不気味なところもすばらしい描写。
    阿蘇行ってみたい。ほかの作品も読む!

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    2023年01月01日
  • まっとうな人生

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    前編から、コロナ禍の今で生きてるはなちゃんとなごやん。はなちゃんの 物事の捉え方が 切なくて愛おしい。

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    2022年11月21日
  • 逃亡くそたわけ

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    これも素晴らし。そんなに長くない小説が多いイメージなんだけど、内容の濃さは唯一無二。サラッと読み通せる物語だけど、色んな引っ掛かり(というか、作家のたくらみ?)はふんだんに盛り込まれてます。今回はロードノベルとしての楽しみも特筆もので、かの地へは数えるくらいしか行ったことないんだけど、一緒に旅している情景が目に浮かぶよう。

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    2022年11月14日
  • 沖で待つ

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    3作とも最後にほろっとして微笑んでしまうものでした。
    図らずも都合退職してしまった恭子の話。
    同期だった太っちゃんが死んでしまった話。
    ナガタチョーで大臣だった「ぶんたろう」が南の離島に左遷されてしまった話。

    最後にふっと息を吐いてニンマリしました。

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    2022年10月31日
  • まっとうな人生

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    アキオちゃんは俺だ。「あたし」もそうかもしれない。と思わせる旨さ。
    地方都市のリアリティを見事なまでに言語化している。さらに、移りゆくコロナ禍における誰もが持った漠然とした不安感が、ストーリー本編にさらりと編み込まれているのがとても良い。

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    2022年09月23日
  • まっとうな人生

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    すごくすごく良かった。
    全体的に「わかるなぁ〜」って感じで、ここ数年の2019〜2022年を舞台にしていて身近な感じも珍しくて良かった。コラムみたいな感じ。
    あと、福岡出身の主人公が富山で暮らすという地方感も良かった。富山が識れて面白かった。

    『まっとうな人生』は『逃亡くそたわけ』の続編で、実際に主人公の時間が経過して今現在という設定になっている。
    『逃亡くそたわけ』の内容はすっかり忘れたけど、問題なく読める。
    大事なのは時間の経過ということであって、内容ではない。
    『逃亡くそたわけ』から『まっとうな人生』までの時間経過はそのまま私を含む全ての人に経過した時間で、
    だから『逃亡くそたわけ』を

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    2022年09月17日
  • 絲的メイソウ

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    ネタバレ

     私は一方的に群馬に惚れ込んでいるのだが、群馬人に群馬のよさをわからせることは至難の業である。健康な人が健康のありがたみを知らないことの如くである。当たり前のレベルが違う。京都や金沢の中華思想めいたお国自慢と全然違うのだ。w 絲山秋子さん。1966年生まれ、早大卒、メーカーに入社、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。(なるほど、なるほど)なお、中学で酒を。高校でタバコとかw。2001年退職。2006年「沖で待つ」で芥川賞。「絲的メイソウ」、2009.9発行(文庫)。気持ちよい毒舌。面白かったです!

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    2022年03月19日
  • ばかもの

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    ネタバレ

     高崎の大学生、大須秀成(ヒデ)は吉竹額子27歳に夢中。でも2年後、額子(ガクコ)は結婚。その後、ヒデは、山根ゆきや翔子と付き合うが、28歳の時はアルコール依存症に。酒を断つか命を断つか。3ヶ月入院。額子の母に会い、額子が事故で左腕を切断、離婚して片品で一人で住んでることを聞く。電車とバスで2時間、バス停に総白髪の女性が。額子の家で食事をした後、額子はヒデにお願いを。右腕をゴシゴシ洗ってほしい。そして、右の腋毛を剃って欲しいと。秀成と額子の長い年月をかけて辿り着いた愛の物語。絲山秋子「ばかもの」。

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    2022年03月16日
  • 離陸

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    水の番人サトーサトー。ブツゾウとアカネを見守って。離陸はまだまだ。
    3年ぶりに読み返して、やっぱり凄かった。

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    2024年07月07日
  • ラジ&ピース

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    初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。
    しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きていく道が拓けていくような展開にすごく惹き込まれて良かったです。

    絲山秋子さんご自身が、東京出身ながら地方都市を転勤しながら暮らされていたご経験があるとのこと。地方都市ならではのローカルな暮らし、人間関係、町の少し寂れた部分など、リアリティのある世界観も見事でした。
    他の作品も異った地方都市が舞台の

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    2021年06月13日