絲山秋子のレビュー一覧
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ネタバレ⚫︎感想「沖で待つ」
初めての絲山さんの作品は「神と黒蟹県」(2024.4時点で最新作)だったが、15年以上前に書かれた芥川賞受賞作である「沖で待つ」にすでに絲山ワールドが完成されていたのだ…といった感想をもった。男女がベタつかない軽やかさや、全体に広がるユーモアと優しさ、少しの寂しさ、少し現実離れした不思議ワールドを感じられた。
二人はお互い先に死んだ時は残った者がハードディスクを壊し合うという約束を交わす。
「沖で待つ」は太っちゃんが妻に残したとされる詩のフレーズ。強い信頼を互いにもてて、ピンチの時は助けに行くし助けてくれる、必ず待っていてくれると思える安心感。
こちらの作品では、同期 -
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3編ともおもしろいが、やはり表題作『沖で待つ』が特に良かった。登場人物、彼らの会話がおもしろく魅力的。会社の中での「同僚」という人間関係。時に共に喜んだり時には互いの失敗をフォローしたり、日々仕事の中で同じ体験を共有しており、飲むと学生時代の友人以上に話がはずんだり…。読んでいると、その人間関係がリアルで、自分の若かりし頃を思い返して懐かしい気持ちになる。
主人公と太っちゃんの、恋愛にはならないけど、ただの友人よりも深い、運命共同体のような同士のような関係性は、読んでいると憧れてしまう。現実味があるかといえば無いような気もするが、それ以上に二人の描写が自然で魅力的で、気にならない。
絲山秋子 -
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⚫︎受け取ったメッセージ
神視点で「人々」を愛することを教えてくれるお話
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先 -
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ネタバレ女と男の友情・・・。
成立するのかしないのか、周りで議論されるのを何度か聞いたことがあるが、もう一つ、20年前に早逝した友人の葬儀で、彼の親友が、「エッチなビデオ一式を生前の約束通り全部処分してやった」と言っていた。
そんな僕個人の思い出が込み上げる標題作②は秀作。
③は全文ひらがなとカタカナのみ。そんな小説は、筒井康隆の「心狸学・社怪学」で目にして以来。(絵本や宮沢賢治作品ならありそうだが)
ちょっと蓮っ葉で物足りなさを感じた①だったが、「オマエ、書いてよ」と絲山先輩に命令されて書いた夏川けい子さんの解説で、その、もの足らない部分がガチン!と音を立ててハマる快感。
解説まで堪能でき -
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ネタバレ・絲山秋子の小説って「海の仙人」とか「沖で待つ」とか「離陸」とか「薄情」とか、思い切りのいいタイトルが多いので、え、いきなり「。」つきのタイトルってなんか秋元康っぽくね。と、戸惑ってしまった。ために購入後少し時間を置いてしまった。
・スレた人間なので、小説を読んで泣いたなんていう経験はほぼない。が、本作は2回、鼻の奥がツーンと来る経験をした。それを悔しいとは思わず、嬉しいと思った。
・2011年に36歳だというから、1983年生まれの私より8歳年上の、夫婦の話(生年は1975年生まれだろう)。作者は1966年生まれなので、だいたい10歳くらい年下を想定したのだろう。その夫婦の1998年から20 -
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初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。
しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きていく道が拓けていくような展開にすごく惹き込まれて良かったです。
絲山秋子さんご自身が、東京出身ながら地方都市を転勤しながら暮らされていたご経験があるとのこと。地方都市ならではのローカルな暮らし、人間関係、町の少し寂れた部分など、リアリティのある世界観も見事でした。
他の作品も異った地方都市が舞台の