絲山秋子のレビュー一覧

  • 夢も見ずに眠った。
    ・絲山秋子の小説って「海の仙人」とか「沖で待つ」とか「離陸」とか「薄情」とか、思い切りのいいタイトルが多いので、え、いきなり「。」つきのタイトルってなんか秋元康っぽくね。と、戸惑ってしまった。ために購入後少し時間を置いてしまった。
    ・スレた人間なので、小説を読んで泣いたなんていう経験はほぼない。が、...続きを読む
  • 夢も見ずに眠った。
    私の最近の読書傾向がたいへんヘヴィなものが
    多くて食傷気味だったところに絲山作品。
    文章の心地良さがバツグン…!
    語り手と物語(登場人物達)の距離感が良過ぎる。
    さっぱりとしていて、適温。
    過不足なく、軽妙で、実直。
    メッセージ性とか話の構造ばかりに目が行きがちになってるなぁ、と反省。
    語り口、超大...続きを読む
  • 逃亡くそたわけ
    牢獄に見紛う精神病棟から逃げる、という動機から九州を車で走り抜けるロードムービー的な小説。解説には経済的な側面とストーリーとの対比が根底にある書いており、ふむそんな含意もあるのだなと思った。自分が抱いた感じはもっと切実なところで、逃げきれない悪夢を現実で上塗りを繰り返すことの虚しさだった。物理的に逃...続きを読む
  • 逃亡くそたわけ
    都甲先生のエッセイにあったので。
    超よかった!!勢いのある文体でどんどん読める。
    九州のロード・ノベル。美しいところも少し不気味なところもすばらしい描写。
    阿蘇行ってみたい。ほかの作品も読む!
  • まっとうな人生
    前編から、コロナ禍の今で生きてるはなちゃんとなごやん。はなちゃんの 物事の捉え方が 切なくて愛おしい。
  • 逃亡くそたわけ
    これも素晴らし。そんなに長くない小説が多いイメージなんだけど、内容の濃さは唯一無二。サラッと読み通せる物語だけど、色んな引っ掛かり(というか、作家のたくらみ?)はふんだんに盛り込まれてます。今回はロードノベルとしての楽しみも特筆もので、かの地へは数えるくらいしか行ったことないんだけど、一緒に旅してい...続きを読む
  • 沖で待つ
    3作とも最後にほろっとして微笑んでしまうものでした。
    図らずも都合退職してしまった恭子の話。
    同期だった太っちゃんが死んでしまった話。
    ナガタチョーで大臣だった「ぶんたろう」が南の離島に左遷されてしまった話。

    最後にふっと息を吐いてニンマリしました。
  • まっとうな人生
    アキオちゃんは俺だ。「あたし」もそうかもしれない。と思わせる旨さ。
    地方都市のリアリティを見事なまでに言語化している。さらに、移りゆくコロナ禍における誰もが持った漠然とした不安感が、ストーリー本編にさらりと編み込まれているのがとても良い。
  • まっとうな人生
    すごくすごく良かった。
    全体的に「わかるなぁ〜」って感じで、ここ数年の2019〜2022年を舞台にしていて身近な感じも珍しくて良かった。コラムみたいな感じ。
    あと、福岡出身の主人公が富山で暮らすという地方感も良かった。富山が識れて面白かった。

    『まっとうな人生』は『逃亡くそたわけ』の続編で、実際に...続きを読む
  • まっとうな人生
    はなちゃんお母さんになってた〜。
    生活の「こうあるべき」、にイラッとしたり、コロナ禍でモヤモヤしたり揉めたり、っていうの、私の話かと思った。
    まっとう。「正しい」の結論を急ぐのは、狹くて、危険…
  • 沖で待つ
    沖を待つの話は太っちゃんと主人公の関係について書れていました。お互いに信頼し合っていることが会話などから読み取ることが出来ました。他の話も面白くすらすら読みことが出来ました。
  • 絲的メイソウ
     私は一方的に群馬に惚れ込んでいるのだが、群馬人に群馬のよさをわからせることは至難の業である。健康な人が健康のありがたみを知らないことの如くである。当たり前のレベルが違う。京都や金沢の中華思想めいたお国自慢と全然違うのだ。w 絲山秋子さん。1966年生まれ、早大卒、メーカーに入社、営業職として福岡、...続きを読む
  • ばかもの
     高崎の大学生、大須秀成(ヒデ)は吉竹額子27歳に夢中。でも2年後、額子(ガクコ)は結婚。その後、ヒデは、山根ゆきや翔子と付き合うが、28歳の時はアルコール依存症に。酒を断つか命を断つか。3ヶ月入院。額子の母に会い、額子が事故で左腕を切断、離婚して片品で一人で住んでることを聞く。電車とバスで2時間、...続きを読む
  • 沖で待つ
    読書開始日:2022年1月30日
    読書終了日:2022年2月2日
    【勤労感謝の日】
    するすると読めた。
    水谷のような人に憧れる。
    久しぶりにシンプルで良い作品を読めた
    難易度が高いという表現は、嫌だ無理だという表現より可能性を感じる。使いよう
    【沖で待つ】
    とても好きな作品になった。
    弔辞のような文...続きを読む
  • 沖で待つ
    同期の太っちゃんと私は、先に死んだ方のパソコンのHDDを、後に残ったやつが破壊するという約束をする。

    ・大事なことは明文化する、文書に残したらやばいことは口頭で喋れ
    ・死なない人はいないのですが、私という現場は太っちゃんという現場よりずっと竣工が早いような気がしたのです
    ・「俺は沖で待つ 小さな船...続きを読む
  • ラジ&ピース
    初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。
    しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きて...続きを読む
  • 離陸
    一週目ではまだ分かりきっていない感はあるけどすごくじんわりくる良さだった。
    死を飛行機が離陸することで表していて、その表現がスッとはいってきた。
  • 海の仙人
     主人公の不思議な生活ぶりが面白い。なんでよりにもよって山陰の薄暗い地域など好んで住むのか、海の近くなら静岡などの方がずっと暮らしよいと思うのだが、そうしたくなる気持ちが読み進めると理解できる。セックスレスでありながら女性を求めるのは相手に対してひどいのではないか、しかしそうなってしまうのも仕方がな...続きを読む
  • 妻の超然
    妻、下戸、作家の三者の「超然」のうち、二人称で書かれた「作家の超然」が壮絶だった。難解な言葉も文脈もないのに、視点はどんどん遠ざかって、やがて文学の滅亡に至る。言葉の意味や情報が失われた後に幻視する光景にただ圧倒される。ひたすらすごい本だった……。
    久しぶりの絲山作品。疎遠になっていた原因でもある「...続きを読む
  • 小松とうさちゃん
    同時収録の「ネクトンについて考えても意味がない」かステキすぎる。もちろん、本書のタイトルである「小松とうさちゃん」もいいのだけども。
    淡々とした交流の中に、引力の強い掛け合いがふっと出てくるのに、気持ちがもっていかれるような?

    終わり方もきれいで、凛とした精神のありようを見るみたいだと思った。