絲山秋子のレビュー一覧
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ネタバレ女と男の友情・・・。
成立するのかしないのか、周りで議論されるのを何度か聞いたことがあるが、もう一つ、20年前に早逝した友人の葬儀で、彼の親友が、「エッチなビデオ一式を生前の約束通り全部処分してやった」と言っていた。
そんな僕個人の思い出が込み上げる標題作②は秀作。
③は全文ひらがなとカタカナのみ。そんな小説は、筒井康隆の「心狸学・社怪学」で目にして以来。(絵本や宮沢賢治作品ならありそうだが)
ちょっと蓮っ葉で物足りなさを感じた①だったが、「オマエ、書いてよ」と絲山先輩に命令されて書いた夏川けい子さんの解説で、その、もの足らない部分がガチン!と音を立ててハマる快感。
解説まで堪能でき -
Posted by ブクログ
ネタバレ・絲山秋子の小説って「海の仙人」とか「沖で待つ」とか「離陸」とか「薄情」とか、思い切りのいいタイトルが多いので、え、いきなり「。」つきのタイトルってなんか秋元康っぽくね。と、戸惑ってしまった。ために購入後少し時間を置いてしまった。
・スレた人間なので、小説を読んで泣いたなんていう経験はほぼない。が、本作は2回、鼻の奥がツーンと来る経験をした。それを悔しいとは思わず、嬉しいと思った。
・2011年に36歳だというから、1983年生まれの私より8歳年上の、夫婦の話(生年は1975年生まれだろう)。作者は1966年生まれなので、だいたい10歳くらい年下を想定したのだろう。その夫婦の1998年から20 -
Posted by ブクログ
すごくすごく良かった。
全体的に「わかるなぁ〜」って感じで、ここ数年の2019〜2022年を舞台にしていて身近な感じも珍しくて良かった。コラムみたいな感じ。
あと、福岡出身の主人公が富山で暮らすという地方感も良かった。富山が識れて面白かった。
『まっとうな人生』は『逃亡くそたわけ』の続編で、実際に主人公の時間が経過して今現在という設定になっている。
『逃亡くそたわけ』の内容はすっかり忘れたけど、問題なく読める。
大事なのは時間の経過ということであって、内容ではない。
『逃亡くそたわけ』から『まっとうな人生』までの時間経過はそのまま私を含む全ての人に経過した時間で、
だから『逃亡くそたわけ』を -
Posted by ブクログ
初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。
しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きていく道が拓けていくような展開にすごく惹き込まれて良かったです。
絲山秋子さんご自身が、東京出身ながら地方都市を転勤しながら暮らされていたご経験があるとのこと。地方都市ならではのローカルな暮らし、人間関係、町の少し寂れた部分など、リアリティのある世界観も見事でした。
他の作品も異った地方都市が舞台の