絲山秋子のレビュー一覧

  • まっとうな人生
    「逃亡くそたわけ」の続編といえば続編。本作単品でも十分に面白いが、前作を読んでいるとより細かいところの意味合いが感じ取れる。
    一言でいうと家族の小説。ちょっと詳しくいうと家族を含めた様々な世代の老若男女のコミュニケーションの難しさ、大切さを問う小説。
    最後の章は特に含蓄に富んだセリフが続く。
    主人公...続きを読む
  • 神と黒蟹県
    まったく架空の地なんだがいかにも郷土史とか銘菓名産等ありそうで、こういう作品大好き!
    隣と町や市との関係とか、ジワジワ来る。あの人がここに!という私の好きな連作短編集
  • 絲的メイソウ
    面白かったです。久しぶりに本を読んで爆笑しました。エッセイなので絲山秋子さんの日々の生活が映し出されていくのですが、気持ちいいくらい感情の描きっぷりがいいので、すっきりとした気持ちで笑えました。絲山さんの他のエッセイも読んでみたくなりました。
  • 御社のチャラ男
    お仕事小説というか会社小説というか…会社員って言っても、みんな人間で、それぞれの人生があるということに、改めて気づかされた。
  • 夢も見ずに眠った。
    離れて暮らしたり離婚したり旅行したりする中で、悩んだり怒ったり悲しんだりする話。
    函館、青梅、横浜、岡山など、いろんな街が出てくるところと、最後がとてもよかった。
  • 薄情
    群馬に住む中年男性のモヤモヤと日常。
    「田舎」と「都会」。都市(町)の境界。
    ヨソモノと地元の人の対比。良かった。
  • 神と黒蟹県
    8話の連作短編。ある架空の県の話だが、ディテールの描写が面白い。町の様子とか、植物の名前とか、人の心の動きとか。よく観察して丁寧に日常を生きてる人なんだろうな、この人は、と思う。8つの話の中でどれが好きだったか。第一話、第三話…と奇数番目の4話が良かった。それらは何故か神が出てこない4つの話だった。
  • 神と黒蟹県
    実在と架空が入り混じる黒蟹県と神の話
    p198娘が生まれてからおふくろが『ばあちゃん』になって。俺はおふくろの息子をそのときやめたのかもしんないな
    それなら男が子を持つのも悪くないな
  • 神と黒蟹県
    虚実織り混ぜ、というか架空の事物にあふれる架空の黒蟹県で、なぜか神様が降臨し人間社会でさまざまな体験をする。

    人間ではないのに人間くさい神様が可笑しい。

    お弁当にあこがれる神様が、おせち料理をもらって歓喜の声を上げると、神様が住む四畳半には光が満ちあふれ、七色の花びらが花吹雪となって舞い散るのだ...続きを読む
  • 薄情
    タイトルにひかれ手に取りました。
    淡々と地味な内容ではありながらも、文章がすっと入ってきました。
    主人公 宇田川の人との距離感、つきあい方、考え方に共感できたり、似てると思えるところもあり。
    薄情なのかもしれないが、温かい部分ー感じる作品でした。
  • 袋小路の男
    なんかもぞかしいというか、厄介というか、お互いにどっちもどっちな気がする。人の恋愛を見てもぞもぞしたい人にはいいかも
  • イッツ・オンリー・トーク
    映画「やわらかい生活」を見て原作も読もうと思って2年近くも経ってしまった。
    優子は寺島しのぶ、祥一は豊川悦司になってしまうのは仕方がない。結構強烈なイメージだったから。
    登場人物は一致しているが、ストーリーは少し違ったような。
    蒲田も重要な役(目)だったように思う。ヨーカドーあったんだ。

    初期の頃...続きを読む
  • 神と黒蟹県
    黒蟹県という架空の地方を舞台としている。ユートピアでもその逆でもなく、実際に日本にありそうな地味な地方であり、近隣の市同士が落雁派と金鍔派で仲違いしていたりする。
    特定の主人公はおらず、章ごとに複数の登場人物が出てくるが、各自の物語に影響を与えることもなく群像劇にはならない。
    唯一、神が偶数章に登場...続きを読む
  • 神と黒蟹県
    神から眺めた『人間というもの』が鋭くユーモアたっぷりに描かれている。物語に登場する黒蟹県や市町村は架空だが、ふと身近な場所に思えてならない。牧歌的でありつつも説得力のある筆力に唸る。
  • 神と黒蟹県
    黒蟹県という架空の県に暮らす人々を描いた連作短編。
    描かれているのはごく普通の暮らしなので、わざわざ架空の県にしなくてもと思いましたが、そういえば絲山さんは『まっとうな人生』で富山を描いたり、元々はどちらかと言えば土着型。やはり、それでは色々差支えがあって書き難さがあるために、わざわざ地図やロゴまで...続きを読む
  • 神と黒蟹県
    私自身が"東京"以外に住んだことがないこともあってか、読んでいてうまくピントが合わせられないもどかしさはあったけれども、それでも読んでいるうちにそこの暮らしに親しみを感じられた。
  • 沖で待つ
    勤労感謝の日

    「あまり大袈裟じゃなく、ホームパーティーみたいな感じ」ではあっても一応お見合いで呼ばれたのに、あのナリと態度の男性の方がどうかと思ってしまう私は、主人公目線…
    いや、私が彼女の母なら、その場は取り繕っても、速やかにお断りの連絡を入れるでしょう



    沖で待つ

    太っちゃんの言葉のチョ...続きを読む
  • まっとうな人生
    言葉の使い方が絶妙。
    精神疾患を抱える主人公の気持ち、共感できる。

    ー元気な時は想像力が不足しがちだ。落ち込んでいる人に面と向かって「出口のないトンネルはない」とか「明けない夜はない」などと言ったりする人もある。あるよ。出口のないトンネルはブラックホール。明けない夜は宇宙。ー

    すごく響いた。
  • イッツ・オンリー・トーク
    「イッツ・オンリー・トーク」は、それぞれにキャラクターのちがう男たちとの関わり 身体を介さないコミュニケーション(痴漢を除いて)、即物的でない繋がりの方が向いているひとたちだ お互いになにも期待しない気安い関係のほうが心地よいときもあるよね
    「第七障害」は馬術の話だ、馬・群馬・篤、馬づくし 年下男の...続きを読む
  • 夢も見ずに眠った。
    冒頭の岡山旅行では「勝手な旦那さんだなぁ」と思ったし、そりゃ奥さんも機嫌悪くなるよなと思った。
    旦那さんは非正規雇用で婿養子でもあり、精神的にしんどいだろうなと思ったら、やはり鬱になってしまった。そういう面で同情的な気持ちもあったが、やはり旦那氏は奥さんの気持ちをもう少し考えるべきだと思ったし、話し...続きを読む