原卓也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「罪と罰」「地下室の手記」に続くドストエフスキー三作目。チェーホフも間に挟んだりして、だいぶロシア人への免疫もつけた上で臨んだ。時代と場所は違えど物語のスケール感や台詞回しの大仰さという意味ではバルザックを挟んだこともプラスに働いた。
膨大な人数の登場人物をここまでのピッチと情報量で描き出し、数ページにも及ぶセリフを交えながら生き生きと動かす。読書量がまだまだ足りない自分にもわかる。こんな小説はドストエフスキーにしか書けない。
内容に立ち入ってレビューするには重厚すぎる本作だが上巻に関してはやはり大審問官の件が最重要かと。
宗教の効用は人間が信仰と引き換えに不死を手に入れるといったある種の取引 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【感想】
人間が生きる意味はまさに、他者に尽くすことであるという一言に尽きる。
理屈では分かるものの、これが中々難しい。生命の法則が相互奉仕にあることも理解できる。だが、現実世界を生きるには絶えず闘争に打ち勝たねばならないという意識もある。ゲーム理論的には、お互いに協力し合うことが両者にとって最善なのだろうが、出し抜いた側はより一層恩恵を受けられる(欲を充足できる)。ここに、一人一人の人間が陥りがちな個人の幸福を願う動物的個我の問題点が発露する。
頭でまずは理性を自覚する、生命の至上命題を理解することが、社会が幸せになるための大きな一歩なのであろう。その方策として考えられるSDGsや社会起 -
Posted by ブクログ
ネタバレ他の長編にくらべると思想的なものが薄かったりして読みやすかった。
ギャンブルにはまったひとにしか書けなさそうな文だとおもったらドストエフスキーもギャンブルでえらいめにあってたのね…。
書いてあることが、ギャンブル依存症の知人が言ってることとだいたい同じだった。
老婦人が登場してからの勢いのある賭け方とスリ方にはつい笑ってしまった。
ドストエフスキーの登場人物は唐突に叫んだり激昂したりするけど、この人もそんな感じで、周りが必死になってとめてるのにウォォォ!とばかりに賭けまくって持ち金全部なくす様は潔くもあり滑稽でもありまた切なくもあった。
負ければ取り返したくなるのは仕方ないことだけどあまりに -
Posted by ブクログ
ネタバレ有かも…
ご注意ください
さて中巻は見習い修道僧であり、愛されキャラ三男アリョーシャがお世話になっている修道院の長老であるゾシマが瀕死状態になる
ここでゾシマ長老の過去の回想(伝記)及び法話と説教など…(か、かなり長い)
今でこそアリョーシャをはじめ、民衆から尊敬されるゾシマ長老(その民衆らの信仰ぶりは遠方からはるばるゾシマ長老に一目会いにくるなど、上巻たっぷり記載されていた)だが、若い頃は結構平凡で普通の青少年だ
ポイントとなるエピソードは3つ(個人的見解です)
■エピソード1
(ん?スターウォーズ⁉︎)
お兄さんの精神世界の変化
ゾシマ長老は精神的にアリョーシャと自分の兄が -
Posted by ブクログ
上・中・下巻足かけ約2ヶ月くらいけかてやっと読破。
上巻に1ヶ月くやい費やしたかも。
この緊急事態宣言が出たからこそ、読めたのかもしれない。
父親殺しがテーマだけど、宗教、恋愛、病、児童虐待、親子いろんなことがてんこ盛りの小説で、読むには読んだけど、ドフとエフスキーの言わんとしたことがどこまで理解できたかは疑問。
作者はアリョーシャが主人公としてるけど(続編が書かれる予定だったらしい)ドミトリー、イワン、アリョーシャそれぞれが主役だった。
結局、父を殺したのは藪の中でスメルジャコフなのか(多分そうであろう)ドミトリーなのか判然としない結末。
でも、ドミトリーはカテリーナが最後に裏切って出した手 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻よりさくさく読めた。
そしてだんだん面白くなってきたとこ。
ゾシマ長老の修道僧をなる道のり(若くして死んだ兄の死がきっかけ)や死後の俗人の証のような腐臭、スメルジャコフとイワンの庭先での意味深な会話(スメルジャコフの不気味な予言)
そしてドミトリーの父親殺しの殺人容疑での逮捕。
まるではめられたようにドミトリーには不利な証人ばかり。
私的にはドミトリーは殺ってないと思う。
直情的で乱暴者かもしれないけど、根はいいやつで嘘はつかないと思うから、じゃあ怪しいのはスメルジャコフ
か。
訳本だからしょうがないと思うけど、とにかくセリフがまわりくどい。意味が?のとこも。
言ったすぐそばから否定したり -
Posted by ブクログ
善良であり卑劣でありっていう、一見矛盾に見えるものを両方持ってて、ミーチャなりに自分に誠実で信念を強く持って生きてるのが、憎めないところ。ある種高潔な心を持っているし、同時にどうしようもない人間でもある。これでフョードルを殺していたら、そんなのは幻想となって一気に崩れ去ってしまうけど。ドストエフスキーがどっちの方向性のことを伝えようとしているのかによるな。
その人が罪を犯したかどうかを、先入観で決めつけてその人への態度を変えるのは、人間らしいけど浅ましいなと思った。
ゾシマ長老が尽くイワンの思想へ反駁しているのがちょっと面白かった。
アリョーシャの部分は、長老の死を受けてどういう方向