原卓也のレビュー一覧

  • カラマーゾフの兄弟(中)

    Posted by ブクログ

    上巻と同じく最後の半分が面白かった。

    ドミートリィの自尊心とか恥とかの基準がよくわからんけど、どうせ死ぬなら何やってもいいと、大宴会して自殺しようとした気持ちは少しわかる。

    犯人はだれだ

    0
    2020年03月14日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2020年9月21日 再読

    前半はゾシマ長老、中盤はグルーシェニカ、後半はミーチャ。神秘的な客、一本の葱、証人たちの供述。童、読み応えのあるエピソードが複数ある。


    上巻の後宮部みゆきをはさみ、中巻へ。
    べミハイルの話が印象的である。
    いわゆるこの物語の中心をなす出来事が中心に据えられ、ミーチャの成り行きを進めていく展開であり、上巻に続き読み応えがあり、そしてどんどん引き込まれてしまう。
    印象的なのは「神秘的な客」の編。
    神は全ての罪を赦し、全ての罪人を救うというなら、神によってこれほどの葛藤が生まれるのは何故だろう。べミハイルはともすると若かりしゾシマ長老を殺しかねなかったのである。また

    0
    2020年09月21日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

    Posted by ブクログ

    3月の読書会の課題本。晩年のドストエフスキーによる大長編。全四部+エピローグという構成になっている。様々なバージョンが出ているが、新潮文庫版は全三巻。第二巻の本書は、第二部の続きから第三部のラストまでが収録されている。キリスト教嫌いが多い日本では、第三部の後半からようやく本番と思う人が多いだろう。しかし第二部のラストも全体のテーマに絡む非常に重要な場面だと思う。

    0
    2020年02月07日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最終章となる第17章がとても印象的だ。
    マドマアゼル・ブランシェとのパリでの浪費生活を終えたアレクセイは、ルーレット賭博のためにルーレテンブルク、ホンブルクと流れ着き、各地で手痛く敗北する。
    やがてホンブルクで再開したアストリーから、かつて恋い焦がれていたポリーナの真の気持ちを告げられる。その内容は、あれだけつれなかったポリーナが、実はアレクセイを愛していたというものであった。これを機にアレクセイは再起を志す。しかし、既にアレクセイの生活から賭博は切り離し難く、再起のための手段と称して再び賭博に手を出そうとする…。最早、彼にとって賭博を打つことは経済的再生の手段ではなく、刺激を得る為の目的とな

    0
    2019年12月07日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人生論というよりも、トルストイ個人の視点から「生命」というものを分析した論文のような文章です。

    生命を構成する分子、更にもっと細かい物質まで科学によって研究を重ねていけば生命を理解できるというのは誤った視点であるという問題提起から始まります。

    そもそもその分子レベルでの研究を重ねっていく目的自体はなんなのか?今、我々にある苦悩や幸福は本当にその科学的な分析で明らかになるものなのか?今自分にある「生命」とは本当にそんなものによるものなのか?
    という問いかけが常になされます。

    そこから人間の中に存在する「動物的個我」と、「理性」についての説明や対比を述べ、いち個体の幸福の追求、つまり「動物的

    0
    2019年02月03日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    生命に係る哲学的テーマと難解な言い回しが多用されているものの、動物的幸福の達成を目標とする「生存」と動物的個我を理性的意識に従属させ永遠の「生命」を明確に区別し語る。「人の為に生きる」「歴史に名を残す」、人間のほか生物と一線を画す部分、連綿と続く人類の歴史の本質を捉えた視点といえよう。

    ちなみに何気に初トルストイ。

    0
    2018年09月16日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    ギャンブルの描写が、
    ギャンブルを知っているからこそ書けるというものでした。
    主人公が後半に大勝負するところも含めて、
    ギャンブルにはいろいろな面があり、
    いろいろな局面をつくり、
    いろいろと作用することがよく描かれていると思った。
    そして、その魔性についても。

    このギャンブルの描写はちょうど良い距離感なんでしょうね。
    もっと深く、微に入り細を穿って描けそうな気もするのだけれど、
    そうなると個人的すぎて、
    ギャンブルとしてはひとつの断片的性格が強くなりそう。
    『賭博者』の極端なギャンブルの例たちが合わさって、
    ひとつの全体性みたいなものが感じられるようになっている。
    ギャンブルそのものについ

    0
    2017年08月16日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    お祖母ちゃんが登場してからの展開のジェットコースター感たるや。僕は頭に血が上りやすいタイプなので、ドストのほかの作品を読んでも登場人物に共感することが多いのだが、この本はまさに賭け事にハマった自分のシミュレーションに他ならないなと感じた。パチンコにだけは手を出すまい。自らの誠実な気持ちのすべてを、賭博室へ向かうための言い訳にすり替えてしまう描写がリアルで恐ろしい。

    0
    2017年04月07日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    手にとって裏表紙見て読むのやめそうなタイトル&作者ですが、友達に薦められ読んで、自分の考えていたもやもやした捕らえどころのない雲みたいな事柄が文章になっているのをみて感動しました。10年以上前に読んだのでもう一度読む必要あり。

    0
    2016年05月31日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    レビュー漏れ。これも読んだのはだいぶ前。
    当時ブックノートに書いた一節を引用

    「トルストイいわく、人間の生命とは幸福の志向にあるという。そしてそれは理性が動物的個我を支配することによってのみ可能であり、それが出来なければ、人間は「生存している」だけに過ぎないと。人間の生命とは一体何か。幸福とは一体何か。幸福を志向するということは、いかにして生きることなのか。人生について考えさせられる、ディープな内容になってます。」

    0
    2019年05月13日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    なんだろう、真面目というにはことばが足りない。このジッドに似たこの信仰心。光さすような力強くておもわず目がくらんでしまうような。
    別に父なる神という大いなる存在の前にひれ伏して身を委ねているというわけでもない。彼のことばこそが光となって動いているのだ。名前が悪いかもしれないが、トルストイ教、そんな感じ。
    タイトルは人生論となっているが、人生の「生」どう生きるかではなくて、「生きる」とは何か。ひたむきな考察である。彼は決して論じているのではなく、「考えて」いる。「生命考」といった方が正確かもしれない。
    生命とは遍く幸福を求める存在である。幸福とは動物的な自分の快楽ではなく、理性が求める他人の幸福

    0
    2015年09月14日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    2015/01/05

    ドストエフスキーはこの作品をわずか27日間の間に口述筆記で書き終えている。

    ルーレットに取り憑かれた病的な青年の絶望的な恋が悲しい。
    ドストエフスキーの経験が大きく影響しており、後半の展開は熱中させられた。

    0
    2015年01月06日
  • カラマーゾフの兄弟(下)

    Posted by ブクログ

    好色で吝嗇、品性下劣なフョードル・カラマーゾフの下に生まれた3人の兄弟――激情的で心の弱いドミトーリイ(ミーチャ)、賢く冷笑的なイワン、純朴で信仰深いアリョーシャ。物語は、信仰の意味をめぐる問い――神がなければ、すべてが許され、人は何事をもなしうるのか?――を背景におきながら、ひとりの女性と金をめぐる父と子の対立から、殺人事件の発生と裁判劇に展開していく。
    キリスト教が維持してきた規律を否定してしまったとき、社会はどうなるのか、人間の良心は耐えられるのか、とは、現代のわれわれから見ると、あまりに大上段すぎて的外れな問いに思えるけれど、当時の大変動の中にあったロシア社会においては深刻な問題だった

    0
    2024年07月13日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    能動的に仕掛けているようで、実はほとんど運任せという受動的な遊び
    それがギャンブルだ

    お金とは、人間にとって社会的な生命とも呼べる重要なものだが
    ギャンブルという「大人のお遊び」においては
    この、お金というものを、おもちゃとしてあつかってしまう
    お金を賭けたが最後
    否応なく生と死のグレーゾーンに直面させられるのだ
    だがしかし、それは勝負が決するまでのほんの一瞬において
    彼がすべての社会的責任を放棄できるということでもある
    つまり、幼児に返るということだ
    こう考えると、ギャンブルはまさに「享楽」と呼ぶにふさわしい遊びである

    一方、ギャンブルを「信仰」と解釈することもできるだろう
    なにしろ、信

    0
    2014年08月11日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    バクチって怖いよね、と雑に一言で終わらせてしまってもいいかもしれん。賭け事に嵌ってしまい、ズルズルと破滅していく登場人物の心の動き方、周囲の人との関わり方が克明に表現されています。一方、描写そのものはくどくもなく、ダレる感じもないのであっさり読み進めていける感じです。

    中盤から登場する、ある人物がルーレットで凋落していく様子は、「きっとこういう人が当時は間違いなくいたんだろうな」という感じで、シニカルであると同時に戦慄すら覚えます。

    ドストエフスキーの他の作品はあまり読書経験がないのですが、恐らく読みやすい部類に入るのではないかと。それほど厚くもないですし。
    一部は著者自身の経験にも基づい

    0
    2014年07月30日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

    Posted by ブクログ

    クロイツェルソナタ
    電車で乗り合わせた男の話。
    始めは『人生論』のような固い一般論から、次第に男の話は熱を帯びて、その一般論をかざすに至った自らの起こした事件について語り、その語りは読み手の感情を揺さぶり始める。妻の死前後辺り以降が秀逸。あー面白かった。
    トルストイというと神の視点のイメージがあり、人間そのものの生をじわじわ太く書くのが良さだと思っていた、そして今回読んで実にそうだと思った。やはり一人の人物に語らせ、前半の一般論の証明のような作品のかたちは、テーマというか作者の意図が絞られるというか、どうしてもパンチは軽くなる、そのぶん切れ味は鋭いんだけどね。まぁ、前半の愛論はなくても、後半だ

    0
    2014年05月18日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    著者自身が南ドイツのヴィースバーデンに滞在していた頃の経験を元に、ロシア人特有の気質ゆえにルーレットで身を滅ぼしていく人々を描いた一冊。
    序盤で出てくる、誠実な勤労によるドイツ式蓄財法とロシア式の無謀な博打の対比が良い。
    ドストエフスキー『賭博者』の中で一番の名文だと感じた箇所をまるごと引用↓

    ...
    「しかし、僕の考えだと、ルーレットというのはもっぱらロシア人のために作られたものですよ」とわたしは言い、わたしのこの感想にフランス人が蔑むような薄笑いをうかべたので、そりゃもちろんわたしの言うことが正しい、なぜならロシア人が博打好きだとわたしが言うのは、ロシア人を賞めると言うより、むしろけなし

    0
    2013年10月20日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

    Posted by ブクログ

    クロイツェルソナタ
    嫉妬と思い込みから妻を殺してしまった男の独白。
    ここまで徹底した独白の小説を読んだのは初めて。物事の経緯やその時々の心情を事細かに描写している。

    悪魔
    クロイツェルソナタが男性上位な思想によるもの(に私には思える)としたら、こちらはその中にあって、妻に誠実であろうとする主人公の苦悩。

    時代や文化やいろいろな背景があるけれど、私はこんなに道徳や嫉妬や宗教にがんじがらめになるのはつらいし、この男たちは面倒くさいと思った。そして、その面倒くさいことで出来上がっているこの小説はとてもおもしろかった。
    翻訳もきれいで読みやすく、ところどころ面白い表現があって笑えた。40年も前の訳

    0
    2013年03月31日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

    Posted by ブクログ

    私達夫婦はよく人に言われます「仲がいいですねぇ」なんて。お互い我慢しているだけなんですよ。
    それが、良いのか悪いのか悲しいことなのか、なんて考えたり論じたりするのは「行為」が終わればお互い?満たされて、そんな思考は子育てや仕事や区の行事なんかで忙殺され、欺瞞と偽善の世を生き続けているのです。お互いの真の姿なんてとても言えませんよ。
    でも、禁欲主義トルストイが、自身の懺悔と苦悩と後悔で綴る人間、男と女、真実の姿。を、見たいならどうぞお読みください。
    恋愛中、婚約中、新婚さん、子育て中の方は読まないほうがいいかも。

    0
    2013年01月05日
  • 賭博者

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    厳粛なる祖母の登場により、狂った様な性急さで乗客を混乱させる。主人公が終世忘れえぬと述懐した奇跡的な夜の賭博は圧巻。打ちのめされた主人公が最後に向かう場所が、愛する人の待つスイスでは無く、自身を破滅させたカジノであり、まさに病的な賭博者。

    0
    2012年06月16日